二次創作小説(紙ほか)

Act1:揺らめく影 ( No.360 )
日時: 2016/08/28 00:35
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

爆霊魔 タイガニトロ R 闇文明 (4)
クリーチャー:ファンキー・ナイトメア 4000
マナ武装 5:自分のターンの終わりに、自分のマナゾーンに闇のカードが5枚以上あれば、相手は自身の手札から1枚選び、残りを捨てる。




「そ、そいつは……!!」
「たまにいるのだよ——ハンデスをしていて主導権を握ったと勘違いし、良い気になっている愚か者が。ならばそいつに教えてやりたいことがある。”窮鼠、猫を噛む”という言葉をな」
『何か、猫にはありがたくない言葉ですにゃ……』
「た、例えだから……」
「最も僕は、鼠の如く追い詰められているわけでも、まして勝負に対して自棄(ヤケ)を起こしたわけでもなんでもないが——只一つ言えるのは、此処から追い詰められるのは貴様の方だ。調子に乗って踏ん反りがえっている奴が、いつも痛い目を見るのでな」

 ターン終了時。
 まず、レンは《ヴェイダー》の効果を使って山札の上から1枚目を墓地に送り、それがクリーチャーの《凶殺皇 デス・ハンズ》なのでカードを1枚引く。
 更に——突き付けるようにしてレンは言った。

「《爆霊魔 タイガニトロ》のマナ武装5発動……僕のマナゾーンには闇のカードが5枚。よって、貴様には手札1枚を残してそれ以外を全て墓地へ捨てて貰おうか」
「ぐっ、こ、こいつ……!!」

 一気に4枚。
 一気に4枚のカードがシュウヤの手札から叩き落される。
 ——こ、こいつ……!! 折角の、折角の俺の完璧なハンデスライフを、おのれぇぇぇ!!
 次のターン、マナを溜めて何かをすれば、どうあがいても彼の手札は0になる。
 確かに手札補充をさっきのように行えば、手札は増えるが——《タイガニトロ》を倒さない限り、それが1枚を残して全て墓地へ叩き落されるという事実は揺るがない。

「ターンエンドだ」

 レン:山札25 手札2 マナ5 墓地5

 シュウヤ:手札1 墓地8

「流石だぜ、レン!」
「見事な切り返しだわ!」
「先攻ならば、逆にこちらが追い詰められていたかもしれんがな。そう、気を落とすな」
「お、おのれ……!!」

 こういった時の慰めの言葉は逆に煽りにしかならない。本人は善意で言っているのだろうが。
 手札を引くシュウヤ。
 そして——笑みを浮かべた。

「は、ハハハ!! 調子に乗っているのはお前の方さ!! このまま叩き潰してやる!! 5マナをタップ——呪文、《超次元 リバイヴ・ホール》」

 超次元呪文を唱えるシュウヤ。
 それも、闇の超次元呪文の中でも墓地からクリーチャーを手札に戻す《リバイヴ・ホール》だ。

「その効果で《復讐 ブラックサイコ》を手札に加え——そして、《勝利のガイアール・カイザー》で攻撃!!」
「!? そ、それは侵略のカード!?」
「嘘だろ!? お前の兄貴も持ってたのかよ!?」
「そうだとも!! 侵略は既に鎧龍さえも侵食しつつあるのだぁーっ!! これからは、侵略の時代、侵略者がデュエマの環境を牛耳るのさ!! ビートダウンも、コントロールもな!!」

 スピードアタッカー能力で《ヴェイダー》に向かって攻撃を仕掛けるシュウヤ。
 それと同時に——今手札に加えたカードをその頂へと叩きつける。



「——復讐、復讐、復讐!! 妹に付く悪い虫はこの俺がこの手で成敗する——《復讐 ブラックサイコ》、侵略進化ァァァーッ!!」



復讐 ブラックサイコ VR 闇文明 (5)
進化クリーチャー:デーモン・コマンド/侵略者 7000
進化−自分の闇のクリーチャー1体の上に置く。
侵略−闇のコマンド
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手の手札を2枚見ないで選び、捨てさせる。



 現れたのは地獄より現れた復讐の侵略者。
 その効果は突如姿を現し、手札を2枚見ないで選んで捨てさせるという凶悪なもの。
 しかも、《ガイアール》の効果でアンタップキラーは当然持続しており、そのままタップされていない《ヴェイダー》に狙いを付けたままだ。

「さあ、《ブラックサイコ》の効果でお前の手札を2枚選んで破壊だァーっ!」

 はらり、と2枚のカードがレンの手から墓地へと落ちた。
 これにより、彼もまた次のターンの自由を奪われたことになる。
 ——破壊しても、《リバイヴ・ホール》があれば疑似リアニメイト、しかも出てくるたびに《スケルトン・バイス》を放つ——厄介だな、これは……! 

「妹はこの俺が見守らねばならない!! 見守らねば、ならんのだよ、フハハハハ!!」
「っ……貴様のやっているのは、只の監視と統制だ。それは彼女の自由を妨げる以外の何者でもない」
「抜かせ! 《ヴェイダー》を一方的に攻撃して破壊……ターンエンドだ!」

 シュウヤ:山札25 手札1 マナ0/5 墓地9

「とはいえ、補給路は絶たれたか——ここからは、天運に賭けるしかないか」

 カードを引くレン。
 《ブラックサイコ》自体をどうにか出来るわけではないが——

「《龍覇 ニンジャリバン》召喚——その効果で、《龍魂遺跡 グリーネ》を出して山札の上から1枚目をマナゾーンへ。……ターンエンドだ」
「それだけか?」
「っ……」

 レン:山札23 手札0 マナ1/6 墓地7

 手札が1枚だけならば《タイガマイト》の効果も意味を成さない。
 そして彼自身も再び仕掛けに掛かる。

「呪文、《陰謀と計略の手》——! その効果により、《タイガニトロ》をバウンスし、そのまま手札から墓地へ叩き落す!」



陰謀と計略の手 UC 水/闇文明 (4)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
相手の進化ではないクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。その後、相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。




 《陰謀と計略の手》は、相手をバウンスしつつもハンデスすることで実質破壊を狙うことが出来る呪文だ。本来はサイキック・クリーチャーの除去をすれば1ハンデスをオマケで狙うことも出来、一方的に2枚のアドバンテージを取れる呪文ではあるが。

「……!」
「ターンエンドだ……このままじわじわと追い詰めてやろう!」

 シュウヤ:山札24 手札1 マナ1/5 墓地10

「僕のターン……」

 《タイガニトロ》も墓地に送られ、これで手札の補充も許してしまう結果となった。
 今のレンには、もう手札が無い——
 ——さて。僕はどうだ?
 彼は目を瞑る。あの2人がいずれそうなることは分かっていた。分かってはいたが——それでもやはり取り乱した。
 何故? 何故? それは——疎外感を一瞬でも感じてしまったからだろう。
 
「成程、僕も取り乱していたとはいえ——友人の為に何が出来るのかを真っ先に考えるべきだったな。反省だ」

 繰り返すが、今のレンには、もう手札が無い——しかし。場のクリーチャーと、今手にしたカードがある。
 《ブラッドレイン》でコストを1軽減する。

「貴様”も”好い加減、目を覚ませ。自分のやっていることがどういうことなのか、今一度考えてみろ。脳味噌が付いているのならば——使わねば意味が無いな」

 6枚のマナをタップした。
 このくだらない因縁を——終結させるために。




「《極・龍覇 ヘルボロフ》、召喚」