二次創作小説(紙ほか)

Act1:揺らめく影 ( No.361 )
日時: 2016/09/03 21:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 《極・龍覇 ヘルボロフ》。闇ドラグナーの中で最も重量であり、呼び出せるドラグハートの範囲も闇の中では最大だ。
 その効果により、山札の上から2枚。《ホネンビー》と《魔狼月下城の咆哮》が落とされる。
 更に、超次元ゾーンからレンは1枚のカードを取り出した。

「《ヘルボロフ》の効果で、コスト5以下の闇のドラグハートの《極魔王殿 ウェルカム・ヘル》を場に出す」
「フォートレス……!! 蓬莱の使っていたカードだが——そいつでどうすると言うのだ!」
「このフォートレスが場に出た時、墓地からコスト5以下の闇のクリーチャーを場に出せる——《暗黒鎧 ヴェイダー》をバトルゾーンへ出すぞ——そして、ターン終了時に再び《ヴェイダー》の効果発動」

 言ったレンは、墓地にカードを更に送り込む。手札に加えられたのは——《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》のカードだった。
 自分のドラゴンが破壊されるたびに手札に戻る《イン・ザ・ダーク》は実質破壊しても意味を成さない——!

「ターンエンドだ」
「お、おのれ……!」

 言ったシュウヤは、カードを引く。
 しかし、この状況を打開できるわけではない。クリーチャーは合計で4体もいるのだ。
 これら全てを処理するのは容易いことではないだろう。

「と、とにかく召喚だ! 《アクア・ベララー》を出して、《特攻人形 ジェニー》を召喚! そのまま自爆して手札からカードを叩き落す!」
「おや、良いのか?」
「どの道、そっちにはドラゴンの比率が高くなさそうだからな——! 更に、《ベララー》の効果で山札の一番上をチェックする! そして、それを山札の上に置いたままにするか、下に置くか選べる!」



アクア・ベララー C 水文明 (2)
クリーチャー:リキッド・ピープル 1000
自分の他のクリーチャーをバトルゾーンに出した時、いずれかのプレイヤーの山札の上から1枚目を見る。その後、そのカードを持ち主の山札の一番下に置いてもよい。




 軽量の山札操作カード、それが《アクア・ベララー》だ。
 他のクリーチャーを場に出す度に、要は相手のトップを見て、それを山札の一番下に送ることができる、というもの。
 ハンデスの後の仕上げに使われることが多い。
 そして、彼の確認した山札は——
 ——ゲッ、また《ヘルボロフ》……! 送るしかない!

「それを山札の下に送れ!」
「っ……」
「ターンエンドだ!」

 ——恐らく、良い引きだったのだろうが——仕方あるまい。不幸、不運はよくある話だ。
 しかし、フォートレスがある分、それでもレンの方が有利だった。
 それを裏付けるかのように——彼は動き出す。

「僕のターン、カードをドロー——」

 そして、そのカードを見るなり、彼は6枚のマナを再びタップする。《ブラッドレイン》でコストを軽減したのだ。
 そのまま——迷わず召喚する。
 今、この場を一気に制圧するチャンスなのだから。




「——頼むぞ。《策謀の魔龍星 アヴィオール・ヴァイス》、召喚」



 まるで、引き寄せられるかのように——手札にやってきたのは《アヴィオール・ヴァイス》だった。
 
「ふ、ふふふ! 今更ステラアームド如きで驚きはしないぞ!」
『こんなことを言っていますよ黒鳥レン、どうしますか』
「それはどうかな? とでも返すのがお決まりらしいな。こういう奴には」
「何!?」
「まず、効果によって超次元から《地獄龍星 メテオレイン》をバトルゾーンに。その効果で山札の上から3枚を墓地へ送り、そして墓地から手札へ《ホネンビー》を加える。そして、ターン終了時に」

 しかし。これだけでは終わらない。レンは先ほど、《ウェルカム・ヘル》の龍解を敢えて行わなかった。それには理由がある。
 
「貴様に一気に2つ、地獄を見せてやろう。我が最強の地獄を一気に2つ——精々喜べ。《ウェルカム・ヘル》の効果発動。ターン終了時に《ヘルボロフ》、《ブラッドレイン》、《ニンジャリバン》、そして——《メテオレイン》を破壊」
 
 次々に自分のクリーチャーを破壊するレン。
 そして、《ウェルカム・ヘル》を裏返した。
 
「——裁きの門は開かれた。愚かなる罪人に死の祝福を」

 それは死を齎す最強の悪魔龍。
 そして、レンの最強のドラグハートとなるカード。
 見せつけるように、彼は宣告する。
 その切札の登場を。



「龍解——《極・魔界王 デスゴロス》」



 龍解した《デスゴロス》。
 その効果は、一瞬にして2つの命を葬るというものであった。
 
「《デスゴロス》の龍解時効果によって、《ブラックサイコ》と《ベララー》を破壊」
「っ……!!」
「そして、ドラゴンである《ヘルボロフ》が破壊されたので《リュウセイ》も手札へ加える」

 そして更に連鎖するようにして、彼はカードを裁いていく。
 その様は指揮官のようだった。

「更に此処で《メテオレイン》の効果も発動だ。ターン終了時に場を離れていたので——武装条件は達成された。超次元からこのカードを裏返し、《アヴィオール》に武装させる」
『死は連鎖します。貴方にも教えて差し上げましょう。ボクの死の指揮の一端を』

 誇らしげに言うアヴィオール。言う通り、ターンの終わりに発動する能力と言うのは、総じてトリガー能力だ。だから、ターンの終わりに発動条件を満たしていなくても能力が発動しないという訳ではない。実際には能力を発動する段階で条件を満たしていれば能力はトリガーする。そう、連鎖するようにして。
 《メテオレイン》を裏返し、《アヴィオール・ヴァイス》の頂きへ重ねた。
 そして——レンは宣言する。
 自らの最強の刃を。スターダスト・クリーチャーの力を。




「邪悪を照らす刃よ。高貴で美しき、死の武装を今——《殲滅の地獄軍師 アヴィオール・デスロード》」



 シュウヤは思わず、声が出なかった。
 圧倒的な力。覇気。それだけならば、自身の所持していたアウトレイジに似てさえいるということ。
 その効果は、慎ましく、そして鮮やかに、死の指揮官となったアヴィオールの下で振るわれていく。

「こいつが武装に成功した時、または攻撃する時、墓地からコスト5以下の闇のクリーチャーを場に出せる。《龍覇 ニンジャリバン》を召喚し、超次元から《悪夢卍 ミガワリ》を装備し、ターンエンドだ」
「あ、そ、そんな……巨大クリーチャーが2体も……!!」
「ついでに言うと、《アヴィオール・デスロード》の効果で自分のナイトが場を離れる時、代わりに相手のクリーチャー1体のパワーをゼロに出来る。更に貴様のクリーチャーは問答無用でタップインだ」

 まずいことになった。
 流石にこの2体を処理し、取り巻きも処理できるほどの余力は彼には残されていない。
 しかも《トリッパー》は生きているので、もうこれ以上のマナを増やすことも出来ないのだ。
 侵略をしようにも、まず侵略元が場に出した時にタップされるのでお話にならない。

「タ、ターンエンド……! そんな、こんな収拾がつかなくなるなんて……!」
「では僕のターンだな」

 カードを引くレン。
 そして——《デスゴロス》に手を掛けた。

「《デスゴロス》で攻撃——する時、山札の上から1枚を墓地へ置く。そして、闇のクリーチャー1体をリアニメイトする。墓地から《極・龍覇 ヘルボロフ》をバトルゾーンへ。墓地にはカードは置かず、超次元から《レッドゥル》を出して、効果で《ヘルボロフ》をSA化だ。そのまま、シールドをT・ブレイク」

 シールドが一気に3枚吹き飛ばされる。
 シュウヤはこの時悟った。
 このデュエル、逆転は不可能だ、と。破壊しても破壊しても、既に連鎖は始まってしまった。
 終わることのない死の連鎖が、恐怖の指揮官の下で——

「そして《ヘルボロフ》でシールドをW・ブレイク」
「や、やばい……S・トリガーは……ダ、ダメだ!!」

 これでシュウヤのシールドは0枚になった。
 ブロッカーは居ない。決着が付く。




「《アヴィオール・デスロード》でダイレクトアタック」