二次創作小説(紙ほか)

Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜 ( No.388 )
日時: 2016/09/25 00:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 鉄の扉をこじ開けた先には——少女が佇んでいた。
 まるで、待っていたかのように。再び、この手で彼女に成り替わろうとする存在として——

「……やはり来たのね」
「……ドラドルイン……!!」

 ホタルの姿のドラドルインは、残虐な笑みを浮かべると、何かが天井から降ってきた。
 それは——邪悪なる一角獣、ハーシェル・ブランデだった。彼女の力が完全になるにつれ、まやかしに過ぎないはずのこの獣も、徐々に真なる魔獣へとなりつつあるのだ。

「オリジナルは私……貴方の根源たる感情より生まれ出でた私こそが、淡島ホタルに相応しいのですわ……ふふふ、おほほほほ」
「確かに、貴方は元々私の心に巣食っていた負の念……私の言わば悪い面の根源が具現化した存在……」
『ワシらがワシら自身で忌むべきところが、具現化したようなもんじゃからのう』

 だからこそ、とホタルは一歩踏み出し——彼女に”伝える”。



「……私は、貴方のことがほっとけない!!」



 次の瞬間——黒い靄が現れる。
 そして、2人と2体は決闘空間に包まれたのだった——



 ***


 
 ホタルとドラドルインのデュエル。
 ホタルは1ターン目からクリーチャーを展開していき、《予言者クルト》で早くもドラドルインのシールドを1枚、ブレイクすることに成功する。
 《ハーシェル・ディストーション》の対策として、ノア戦に引き続き、ホタルはコスト踏み倒しを光単連鎖程使わない《サザン・ルネッサンス》を中心にしたデッキを使用していたのである。
 その一環で、序盤の《ヘブンズ・ゲート》を威圧するために《オリオティス》も2ターン目から出していたため、安心して殴ることが出来たものの——

「《墓守の鐘 ベルリン》召喚。ターンエンドよ」

 ドラドルイン:山札28 手札5 マナ0/2 墓地0

 ブロッカー、《ベルリン》の登場で迂闊には殴れなくなってしまった。
 これにより、ウィニーでの攻撃をホタルは躊躇してしまうことに。

「……これは困りましたね……でも、まだまだです! 私のターン、ドロー!」

 カードを引くホタル。序盤からビートダウンして、《ハーシェル・ディストーション》の弾を減らす、または出される前に倒すという線は薄くなってしまうものの、想定内だ。
 そのまま、3枚のマナをタップした。

「3マナで《信頼の玉 ララァ》を召喚! ターンエンドです!」

 今度は、光のコマンド・ドラゴンのコストを最大で2減らす《ララァ》を彼女は繰り出した。
 すでにプランは出来上がっている。
 そして——《オリオティス》がいる以上、相手は早期に大型を踏み倒すことが出来なくなっているのだ。
 まだ、恐れることはない。

 ホタル:山札28 手札1 マナ0/3 墓地0

「……私のターン、ドロー。3マナで《コアクアンのおつかい》を唱えるわよ。山札の上から3枚を捲り、光と闇のカードを手札へ」

 一方のドラドルインは、更に手札を整えるつもりらしい。
 捲られたのは《光器 パーフェクト・マドンナ》、《フリーズ・チャージャー》——そして、《ハーシェル・ブランデ》の3枚だ。

「おーっほっほっほっほ!! 3枚とも、光と闇のカードだから手札に加えますわ!! ターンエンド!!」

 ドラドルイン:山札24 手札6 マナ0/3 墓地1

 見えたのはチャージャー呪文。
 これで彼女はマナを増やすつもりなのだろう。
 しかし、ホタルの方が一手先だ。既に、キーカードを出す準備は整っている——

「私のターン——行きますよ! このまま攻めます! シンパシーで3コスト、《ララァ》の効果で2コスト軽減して——2マナで《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》を召喚!!」



共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス VR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7000
ブロッカー
シンパシー:光のコスト3以下のクリーチャー(このクリーチャーの召喚する時支払うコストは、バトルゾーンにある自分の光のコスト3以下のクリーチャー1体につき1少なくなる。ただし、コストは1より少なくならない)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分の光のコスト3以下のクリーチャー1体につき、カードを1枚引いてもよい。
W・ブレイカー



 現れたのは、黄金の鎧に身を包み、槍を掲げた精霊龍の指揮官。
 小さきもの達と共鳴を繰り返し、彼の龍はより迅速に戦場へ駆けつけた。

「その効果により、私の場にあるコスト3以下のクリーチャーの数だけカードを引きます!」 

 場には、《クルト》に《オリオティス》、そして《ララァ》の3体。これにより、ホタルが引くカードは——3枚だ。
 一気に手にカードが戻ってくる。
 しかし、ホタルはさらに展開をしていく。

「そして——残る2マナで、もう1体の《サザン・ルネッサンス》をバトルゾーンへ! 効果でもう1回、コスト3以下の光のクリーチャーの数だけカードを1枚引きます! 3枚、ドロー!」

 とはいえ、場には《ベルリン》が居る。
 攻め込むのは次のターンからになりそうだったが、今の手札を合わせてみても、余裕がありそうだ。
 
「ターンエンドです!」

 ホタル:山札21 手札5 マナ0/4 墓地0

 場にはパワー7000のブロッカーである《サザン・ルネッサンス》が2体。更に、《オリオティス》、《ララァ》、《クルト》の3体が揃い踏み。
 1ターンで盤面と手札のアドバンテージを増やしたホタルは、序盤を上手く運べていると言えた。

「私のターン」

 しかし、ドラドルインはそれにも動じた様子が無い。
 それもそのはず——彼女もまた、この盤面を覆すカードを手に握っていたのだから。
 3枚のマナをタップすると、静かに、そして残酷に女神は微笑んだ。



「呪文、《オリオティス・ジャッジ》」



 次の瞬間。
 天から光が降り注いだ。
 ホタルは思わず、眩いそれに目を覆ってしまう。
 しかし——再び目を開けた時、2体の《ルネッサンス》は忽然と場から消えていた。

「こ、これは——!!」
「おほほほほほほほ。《オリオティス・ジャッジ》の効果発動。互いのマナゾーンの枚数以下のコストを持つクリーチャーは全て、持ち主の山札の一番下へ送られるのですわ!」



オリオティス・ジャッジ R 光文明 (3)
呪文
S・トリガー
各プレイヤーは、自身のマナゾーンにあるカードの枚数以上のコストを持つクリーチャーをすべて、好きな順序で自身の山札の一番下に置く。



 不正は許さない、《オリオティス》の不屈の意志を感じられるこの呪文。要は序盤にコスト軽減やコスト踏み倒しで現れたクリーチャーを一挙に処理することが出来る強力なカードだ。
 ——コスト踏み倒しのみならず、コスト軽減まで封じて来るとは……私の動きを徹底的に妨害するつもりですね……!

「ターンエンドですわ」

 ドラドルイン:山札23 手札5 マナ1/4 墓地2

「……私のターン——!」

 カードを引くホタル。《オリオティス・ジャッジ》の存在がある以上、こちらもマナチャージをしないわけにはいかない。
 幸い、先ほどの《ルネッサンス》2体のおかげで手札は大量にある。
 後は、更に大量展開するための布陣を整えるだけだ。

「《ララァ》でコストを軽減して、5マナで《真・龍覇 ヘブンズロージア》を召喚!」

 次の瞬間、超次元への門が開く。
 そして、8枚のカードの中からホタルが選び取ったのは——



「その効果で、私は《太陽槍 ラヴァリテ》を超次元ゾーンで《白夜教会ブランノワール》に2D龍解させ、フォートレス状態でバトルゾーンに出します!」