二次創作小説(紙ほか)

Act6:ディストーション 〜歪な戦慄〜 ( No.389 )
日時: 2016/09/29 07:00
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

白夜教会 ブランノワール P 光文明 (4)
ドラグハート・フォートレス
自分の光のクリーチャーが攻撃する時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
龍解:自分のターンのはじめに、バトルゾーンに自分の光のクリーチャーが4体以上あれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップしてもよい。



 現れたのは、永遠に訪れない夜の教会。
 闇を照らすかのごとく、それは突如、宙に現れる。 
 自分の光のクリーチャーが攻撃するたびに更に増援を送れるこのカードであるが、更にターンはじめに光のクリーチャーが4体以上あれば龍解するという代物だ。既にホタルの場には、4体のクリーチャーがある。次のターンの始めまで、何もなければ、龍の要塞はその真の姿を現す。
 そのまま彼女はターンを終えたのだった。
 ——次のターン、《ジャッジ》か別の呪文で《ロージア》が除去されても、更に展開出来るので問題ないです! むしろ、この子は龍解しない方が展開力は高いですし……。

 ホタル:山札22 手札4 マナ0/5 墓地0

「私のターン、ドロー」

 カードを引くドラドルイン。
 此処で彼女がどう動くか——それに懸かっている。

「呪文、《魂と記憶の盾》——その効果で《オリオティス》をシールドに封じ込めますわ」
「ッ!!」



魂と記憶の盾(エターナル・ガード) VR 光/水文明 (3)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化ではないクリーチャーを1体選び、裏向きにして、新しいシールドとして持ち主のシールドゾーンに置く。
※殿堂入り



 次の瞬間、凄まじい魔力が《オリオティス》に襲い掛かる。
 成すすべ無く、白翼は魂もろとも盾となって封じ込められた。
 これにより、ドラドルインは自由にクリーチャーを踏み倒せるようになったと言える。

「ターンエンド」

 ドラドルイン:山札22 手札5 マナ0/5 墓地3

「……っ私のターン——でも、これでシールドを更に削っていきます!」

 カードを引くホタル。
 そして——再び、5枚のマナをタップした。

「闇を制圧してこの世界から悲しみを消してください——《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》!」

 現れたのは、支配を司る精霊龍。
 それは再び、ホタルに力を貸すために現れたのだ。

「……もう1度私に、力を貸してください——《ヴァルハラナイツ》!! 《ヴァルハラナイツ》の効果で《ベルリン》をフリーズします!!」
「っそいつは……!!」
「そして、《ヘブンズロージア》で《ベルリン》を攻撃——するときに、手札から《ティグヌス》を出します!」

 さらに軍勢を増やし、今度は《ヘブンズロージア》が《ベルリン》を槍で突き貫く。

「このまま、シールドを叩き割ります!! 《ララァ》で攻撃——するときに、《ブランノワール》の効果発動!! これで、手札から《牛歩の玉 モーギュ》を出します!」

 此処でドラドルインは、トリガーで《ヘブンズ・ゲート》が出したとしても《ヴァルハラナイツ》と《ブランノワール》のコンボによって致命打を受けるのは間違いないだろう。光のクリーチャーが攻撃するたびにコスト3以下の光クリーチャーが手札から現れ、そしてこちらのクリーチャーはフリーズされていくのだから。
 しかし。

「S・トリガー、発動——!!」

 割られた盾は、光となって収束する。

「《ヘブンズ・ゲート》!! 効果により、《勝利の女神 ジャンヌ・ダルク》に《天国の女帝 テレジア》をバトルゾーンへ!!」
「なっ!?」

 次の瞬間、天空に門が開いた。
 そこから——2体の光器が舞い降りる。
 同時に、光が《ヴァルハラナイツ》と《ティグヌス》を縛り付けた。
 ホタルは戦慄する。よりによって、このタイミングでトリガーを踏んでしまとは——と。

「おほほほほ……これでもう、攻撃は出来ないでしょう」

 これ以上の攻撃は旨みが無い。《ジャンヌ・ダルク》でブロックされれば、せっかく出したクリーチャーもタップされて出てしまう。
 もう、ホタルに出来ることはなかった。

「……っターンエンドです」

 ホタル:山札21 手札1 マナ0/6 墓地0 

 此処で《ヘブンズ・ゲート》を踏んでしまうとは思わなかった。
 少々勇みすぎたか、とホタルは自分の行動を悔やむ。しかも、こちらのクリーチャーがタップされたことで、攻め手も途切れてしまったのだ。

「私のターン——ターンの始めに、《惨劇の一角星 ハーシェル・ブランデ》を《テレジア》の効果でバトルゾーンへ!!」



天国の女帝 テレジア VR 光文明 (8)
クリーチャー:メカ・デル・ソル/ハンター 8000
ブロッカー
自分のターンのはじめに、「ブロッカー」を持つ光のクリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー



 とうとう、現れてしまった。
 邪悪に染まるバトルゾーン。そして、禍々しくも雄雄しい一本角。光と闇のマナを纏い、魔方陣と共に現れた。
 それは、まさに負の化身、血の化身、破滅の化身——《ハーシェル・ブランデ》が地獄の門より現れる。漆黒に染まった体に黄金の装甲を身に纏った猛々しくも邪悪な一角馬だ。
 そして、更に後に続くようにして——目の前の、ホタルの姿をしていたドラドルインの体が歪んだ。

「《ハーシェル・ブランデ》の効果により——超次元より、U・コアを持つステラアームド・クリーチャーを1体、バトルゾーンへ……!! 勿論、出るのはこの私、《鋼神姫 ドラドルイン》ですわ!!」

 ピキピキ、と皮が剥げ落ち、そして鋼で構成された鋼鉄の処女が姿を現す。
 そこに血は通っておらず、ただただ咎人の血を求めるのみ——慎ましく、そして悍ましく、それは佇んでいた。
 鋼の門に艶やかな女体像が伸びたそれは、一見すれば美しい。
 だが、変わらずその門は絶えず開閉しており、拷問と処刑を司るクリーチャーであることを意味している。

「そして私は、《光器パーフェクト・マドンナ》を召喚ですわ! これで場には、5体の光と闇のクリーチャー!! 次のターンのはじめに、私は武装することが出来る!! 手始めに——《テレジア》で《ヴァルハラナイツ》を攻撃して破壊ですわ!」

 法衣を纏った光器が、支配の精霊龍を一瞬で打ち砕く。

「《ドラドルイン》の効果発動!! 自分の光か闇のクリーチャーが攻撃、またはブロックしたとき、相手の手札を1枚選んで破壊ですわ!」
「……っ残念でしたね、《ティグヌス》の効果で私の手札は捨てられません!」
「あら。それもそうでしたわね。では、《ジャンヌ・ダルク》で《ヘブンズロージア》を攻撃ですわ!! 効果で《クルト》をタップ!!」

 今度は、勝利の女神による熾烈な熱線が《ヘブンズロージア》を焼き切る。
 これにより、ホタルの主力カード2体は破壊されてしまったのだった。
 
「ターンエンド、ですわ」

 ごくり、とホタルは息を呑む。
 今の彼女の手札には、《ダイヤモンド・ソード》があるものの、今この状況を打開出来るものではない。
 この圧倒的な軍勢を前にして——再び、ホタルは押し潰されそうになっていた。
 
『ホタル』

 声が聞こえた。
 ハーシェルのものだ。
 優しく、包み込むような——そんな声に、震えていた手が収まった。

「……ハーシェル。私は弱い自分が、卑怯な自分が、矮小な自分が嫌いでした」
『ワシもじゃ、ホタル。傲慢で、卑俗で、小心者の自分が何よりも嫌いじゃったよ』
「でも——それも含めて、全部私、なんですよね。それをノゾムさんたちと一緒に関わるうちに分かっていたはずなのに——何で忘れてたんでしょうか」
『……さあのう。ワシらは本当、光なんてものからは外れた愚か者じゃわい。だが、そんなことは関係ない』
「そうです。私達がやってることは、信じてきたものは——間違ってなんかなかった」

 それは、仲間達が、先輩達が証明してくれた。
 迷わずカードを引く。
 そこには——思った通り、彼の姿があった。

「……それにハーシェル。誰が何と言おうと、貴方は私の騎士(ナイト)ですよ」
『……ああ。ワシが悩む必要などない。ヌシが決めたことだ。ワシは——後悔しておらんよ。むしろ、居場所をくれたヌシに感謝すらしている』
「なら——行きましょうか、ハーシェル」
『……御意』

 ハーシェルのカードが光った。
 そして——新たなる姿となり、産み落とされる。

「……私のターン、7枚のマナをタップして——召喚」

 迷わず、手札のカードをマナゾーンに置き、7枚のマナをホタルは生み出した。
 


「——純潔と誠実の一角獣よ、今こそ私の命の下に顕現しなさい!
召喚、《純白の騎光星 ハーシェル・シュヴァリエ》!」