二次創作小説(紙ほか)
- Act4:一角獣は女好きか? ( No.39 )
- 日時: 2014/06/22 01:19
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
元々---------ユニコーンという生物は、荒々しく縄張りに入った不届きな輩を見境なく突き殺す凶暴な性格だが、純潔の女の前のみ大人しくなるという。
そして今東京を爆走しているこのクリーチャーは、純潔の乙女を傍に置くため、ギャルを探してナンパを仕掛けているというのがヒナタの仮説だった。
2時間経過。標的はどんどん海戸へと近づいているのがワンセグの中継の情報から確認できたところで、ヒナタが口を開いた。
「つー訳だ。作戦がある。コトハが水着になって道の真ん中に立つ。そして向こうから近づいてくる。名づけて、『ドキッ! 美少女だらけのお色気作戦』だ」
「それって、美少女だらけって言っておきながら、結局色仕掛けすんのはアタシだけよね? 殺すわよ」
下心丸見えの作戦に、コトハの制裁が下った。
手の平が、ガッとヒナタの頭をロックオン。
--------------痛いイタイイタイイタイタイタダダダダ!!
指が頭にめり込んで、すごく痛い。
「くそっ、分かったよ! ”お前を使った”お色気以外で何とかするってば!!」
「どーすんのよ」
「他の女子に頼む」
「ああ、アタシとしたことが迂闊だったわ……”お前を使った”を見逃していたわねー」
ポキポキ、と彼女の拳が鳴る。
しかし、蛇に睨まれた蛙のように動き出すことが出来ない。
あっけらかんで悪びれずに懲りない目の前の思春期真っ盛り男子の頭は彼女の5本の指でひしゃげそうになった。
そして、とびっきりの笑顔(と黒いオーラ)で彼女は言う。
「他の子に手ェ出したら 殺 す わ よ ?」
「おー、こええ、レンと同じ表現技法使うなっての」
頭がひしゃげそうだというのに、逆に反応が薄くなっているのはどうしてか。
よく考えてみれば、災難の中でも(自業自得)冷静でいられるのは自分の長所だと気付いた。
と、ここでケータイの着信。ノゾムからだ。
『先輩、大変っす! 今、ワンセグの中継を見てるんですけど、ブラックパラディンは今現在、渋谷を突っ走って、そのまま橋を渡って海戸1区を爆走してます!』
「1区?! どの辺りだ!?」
『鎧龍の前を通り過ぎて、カードショップ「WIN×WIN」を通り過ぎて、フードコート街を走り荒らした後、多分2区------------先輩の家辺りに向かってると思います!!』
「最初っからそう言え!! 結論を先に述べろ! こんなとこでぐだってる暇ねぇだろ、それじゃあよォ」
と、会話している間に、ブロロロロロロとヘリコプターの音。
恐らく、ブラックパラディンを追ってきたニュースの中継用のものだろう。
ん、待てよ? ということはもう馬は俺らのところまで迫ってるんじゃね?
とか思ってるうちに、こちらに向かって爆走してくる影。
見れば、その影は確かに馬でありながら異形の姿をしていた。
全身にプロテクターがついており、頭には雄々しく尖った一本の角、そして純白の体毛、全貌の姿はケータイで調べたブラックパラディンとそう変わらないが、やはりクリーチャーに憑依されている影響か、憑依元のクリーチャーの特徴を受けているようだった。
『どけどけどけどくのじゃー!! そこの乙女をよこせぇぇぇー!!』
「え!? アタシ!?」
一角馬の声は、まだ声変わりしていない少年のようなものだった。
ヤツの狙いは間違いなく、コトハに定まっているようだった。
「ぎゃああああ!! 来やがったぁぁぁ!? 仕方ねえ、頼むぜ白陽!」
『承知!!』
黒い霧が辺りに充満する。そして、1人と1頭は空間の中へと引きずり込まれたのだった。
***
「正体を現せ、化物が!」
吐き捨てるように問うヒナタ。
すると、着ぐるみを脱ぎ捨てるかのように、ブラックパラディンから光が抜け落ちた。黒馬は力が抜けたように横たわる。
光は、実像へと変わっていく。
その姿は、先ほどよりもより龍に近いものだった。馬の胴体、牛の尾を持ち、額に肉の鞘で覆われたツノを1本生やしている。そして、クリーチャーらしい要素は、全身に、さっきよりも多いプロテクターで覆われていた。
しかし、その風貌は”子馬”といった感じだった。
まだ幼い。
だが、目は野心で濁っている。
「ふははは! 我と対等に決闘を申し込むとは、なかなかじゃな、人間の少年! 我が名は”ハーシェル”。由緒正しき一角獣よ!」
一角獣のクリーチャー、か。
確かに、周りの装飾は何か神聖なものを感じさせる。
やっていることは不純極まりないが。
「白陽、こいつ知ってるか?」
「知らん。私の居た世界に居るクリーチャーではない」
白陽は淡々と答える。
確かに、彼やクレセントが平安時代のような衣装(に近代的な装甲)と古めかしい雅なイメージなのに対し、今目の前に居るハーシェルは西洋の神話に出てくるような姿だった。
「だが、今のヤツからは凄まじい邪気を感じる。恐らく、この星の邪念で汚染されているのだ。以前の私のようになともかく、やつを倒せば浄化できると思う。多分」
「ああ、だけど改造したこのデッキなら、勝てる! 多分」
不安なコンビの2人だが、さあどうするか。
***
「俺のターン! 《メッサダンジリ・ドラゴン》召喚だぜ!」
現われたのは、頭に結晶を持つ装甲竜。ヒナタとハーシェルのデュエルだが、現在は中盤戦。互いにマナは6つ溜まっており、場にはヒナタが今だした《メッサダンジリ・ドラゴン》に対し、ハーシェルが《不屈の翼 アンドロム》2体に《導きの精霊龍 サリヴァン》の2体だった。
というのも、序盤に踏んだ《ドラゴンズ・サイン》で《サリヴァン》と同時に、その効果に引っ張られてやってきた《聖歌の翼 アンドロム》2体の所為で《コッコ・ルピア》や《マッハ・ルピア》がタップされた後、そのまま殴り返しを受けて破壊されてしまったのだった。
聖歌の翼 アンドロム C 光文明 (3)
クリーチャー:ジャスティス・ウイング 3500
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
マナ武装3:このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに光のカードが3枚以上あれば、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップしてもよい。そのクリーチャーは、次の相手のターンのはじめにアンタップされない。
導きの精霊龍 サリヴァン R 光文明 (6)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、各プレイヤーはそれぞれカードを2枚引いてもよい。その後、自分はコスト3以下の光のクリーチャーを2体まで、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー
「ターンエンドだ!」
ジャスティス・ウィングとエンジェル・コマンド・ドラゴンに阻まれて、なかなか攻撃が出来ない。しかも、相手のデッキは光単色なので、マナ武装は容易に発動してしまう。
「さあ、我の手番じゃ!」
殺気。
小さな身体に込められた、威圧的なオーラがヒナタを焼いた。
そして、肥大する大地と共に、一角座の化身が降臨する。
眩いほどの光が、辺りに満ちた------------------
「我が分身、《麟英雄 一角のハーシェル》召喚!!」