二次創作小説(紙ほか)

Act7:武装・天命の騎士 ( No.391 )
日時: 2016/09/29 07:06
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 身につけられた白金の鎧、細身の体。そして、両腕には2本の巨大な槍が掲げられていた。
 甲冑に包まれた頭部、曲線の多いライン。
 重騎士のような印象を与える《ディストーション》とは対照的だった。
 そして、大きく、白い翼を広げる。

『我が天空の槍が全てを貫く、覚悟するがよい!!』
「《ハーシェル・リダクション》の効果発動——武装時に、相手のタップされているクリーチャーを1体選び、持ち主のシールドゾーンへ送ります! 送るのは、《ハーシェル・ディストーション》です!!」
「ッ……!!」

 第一の槍が放たれる。
 それが、暗黒の騎士の胴を貫く。呻き声を上げると共に、闇の騎士は崩れ落ちていく——

「ぶ、武装解除!!」

 次の瞬間、闇の騎士の体が光り、《ドラドルイン》と《ハーシェル・ブランデ》が分離して、《ドラドルイン》のみが超次元ゾーンへ送られる。
 更に——これだけでは終わらない。

「そして、今度は相手のクリーチャーを1体選んで、持ち主のシールドゾーンへ送ります!」
「ま、また!?」

 放たれるのは第二の槍。
 それが、今度は《ハーシェル・ブランデ》を突き貫き——根源へと帰す。

「これでもう、踏み倒しをする上で懸念する要素は消えました——さあ、いきましょうか!!」

 ホタルはカードを引く。
 そして——7枚のマナをタップした。

「まずは、《支配の精霊龍 ヴァルハラナイツ》を召喚!! その効果で、《パーフェクト・マドンナ》をフリーズ!」

 「ッ……馬鹿な……!!」

 次の瞬間、完全なる光器の動きが停止する。
 がくり、と首をもたれて動かなくなった。
 更に——ホタルは展開を続けていく。 

「そして——ターンの最初に光のクリーチャーを召喚したとき、《ハーシェル・リダクション》の効果が発動します!」
『我が先導に導かれよ、精霊達よ!!』

 《ハーシェル・リダクション》が拳を突き上げた。
 同時に——山札の上からカードが2枚、引かれる。
 そして、頭上には天国への門が開いた。

「私はカードを2枚引き——その中から、コスト8以下の光のクリーチャーを1体、手札からバトルゾーンへ出すことが出来ます!!」



天命騎龍王ジークパラディン ハーシェル・リダクション 光文明 (15)
スターダスト・クリーチャー:ユニコーン・コマンド・ドラゴン/ジャスティス・ウィング 14500
U・コア
このクリーチャーが武装したとき、相手のタップされているクリーチャーを1体選んで、持ち主のシールドゾーンに裏向きにして置く。その後、相手のクリーチャーを1体選んで、持ち主のシールドに裏向きにして置く。
このターン、初めて自分がクリーチャーを召喚したとき、カードを2枚引く。その後、コスト8以下の光のクリーチャーを手札から1体選び、バトルゾーンへ出す。
T・ブレイカー
武装解除



「お願いします、《革命龍 スターリースカイ》!!」

 現れたのは、3本の角を携えた白翼の精霊龍だった。

「そして今度は2マナで、《ティグヌス》を召喚! そして、《ヴァルハラナイツ》の効果で、《テレジア》もフリーズ!」
「そ、そんな馬鹿な——!!」
「そのまま、《ハーシェル・リダクション》で《テレジア》を攻撃——するときに、《ブランノワール》の効果で、手札から《モーギュ》を召喚!」

 突貫すると同時に、純白の教会から白翼のオーブが更に姿を現す。
 そして、《ハーシェル・リダクション》の槍が、再び彼の手元に現れ、今度は法衣を身に纏った狩人の女神を撃ち貫いた。

「クッ……この私が……そんな馬鹿な……!! 許されませんわ……!!」
「ターンエンドです」

 淡々と告げるホタル。
 キッ、と彼女を睨むドラドルインは——何とか逆転の一手を探そうとする。
 そして——カードを引くと共に、再び笑みを浮かべたのだった。

「呪文、《ヘブンズ・ゲート》ですわ!! その効果で、手札より《光器パーフェクト・マリア》2体をバトルゾーンへ出しますわ!!」




光器 パーフェクト・マリア VR 光文明 (7)
クリーチャー:メカ・デル・ソル 7000
ブロッカー
W・ブレイカー
このクリーチャーが攻撃する時、光以外のクリーチャーをすべてタップする。
このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時にアンタップしていたら、離れるかわりにとどまる。



 天国への門が再び開かれた。
 そこから2体の光器が姿を現す。織姫のような法衣を身に纏った光器は、一際存在感を放っていたが——降り立った時、既に2機は機能を完全に停止していた。
 ピクリとも動かないのだ。

「は、ははは——な、なぜ!? 馬鹿な、これは——」

 ドラドルインは盤面を見る。
 そして戦慄した。
 すでに、場に出たときに2体はタップされていたのである——つまり、タップインだ。

「……《革命龍 スターリースカイ》の革命2で、貴方のクリーチャーはタップしてバトルゾーンに出ます。もう、クリーチャーを出しても無駄ですよ」



革命龍 スターリースカイ VR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/革命軍 7500
ブロッカー
W・ブレイカー
自分のターンの終わりに、このクリーチャーをアンタップする。
革命2−相手のクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドが2つ以下なら、そのクリーチャーをタップする。



「ッあ、ああ——馬鹿な——!!」

 そのまま、彼女は何もすることが出来ずにターンを終える。絶望、失意、そして無念が襲い掛かる。
 もう、成すすべはない。
 もっとも、この軍勢を前に《パーフェクト・マリア》2体では覆りようがなかったのも事実であるが——

「私のターン、ドロー」

 カードを引いたホタルは、とうとう詰めの準備に入った。
 同時に——場にある光のクリーチャー達の力を借りて、《ブランノワール》が目覚める。

「場に光のクリーチャーが4体以上あるため、《ブランノワール》を3D龍解——《日蝕の精霊龍 ソレイルノワール》に!!」



日蝕の精霊龍 ソレイルノワール P 光文明 (7)
ドラグハート・クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 7000
W・ブレイカー
自分のクリーチャーが攻撃する時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の手札または墓地からバトルゾーンに出してもよい。



 現れたのは、宝杖を構え、太陽を背にした精霊龍だった。その力は光にしては禍々しく、死者の領域にまで干渉する。
 そして、最早マナをタップすることもなく、1枚の呪文を唱えた。

「呪文、《ミラクルストップ》をG・ゼロで唱えます。これであなたは呪文を唱えることが出来ない」
「ぎ、ぎぎぎぎぎ!! こんな、ことが——!!」
「そして、《ソレイルノワール》で攻撃——するとき、手札か墓地からコスト3以下の光のクリーチャーを出せます! 私は墓地から《モーギュ》をバトルゾーンへ!」

 更に軍勢が並べられていく。
 墓地よりよみがえった《モーギュ》の力を受け、《ヴァルハラナイツ》がその輪刀を《パーフェクト・マリア》に放った。
 縛り付けられた彼女は、もう起き上がることはないだろう。
 そして——残る2枚のシールドが割られる。

「S・トリガーは——あ、ああ——!!」

 確かにS・トリガーはあった。
 しかし、手札に来たのは《ヘブンズ・ゲート》。ブロッカーを出したところでタップインされるのみだ——

「悔い改めなさい、ドラドルイン!! 《ハーシェル・リダクション》でダイレクトアタック——!!」
『これで、お終いだ!!』

 最早、ブロッカーも、何もない。
 そこへ——聖騎士が駆けて、槍を放つ。


 
「馬鹿な……私は、私は——何なの……!?」



 そんな言葉をかき消すかのように、槍はドラドルインを無慈悲に貫いたのだった——