二次創作小説(紙ほか)

Act3:再燃 ( No.404 )
日時: 2016/10/09 11:45
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

 現れたのは溶岩の革命龍。
 その効果により、弱者は容赦なく全て破壊される。
 パワー5000以下の《トップギア》と《マイパッド》、《メタルアベンジャー》は即座に破壊される。

「除去られた……!」
「更に呪文、《勇愛の天秤》。効果で手札から《鬼丸「覇」》を捨てる」

 彼の手札から送られたのは、《鬼丸「覇」》だ。
 何故そんな重いカードを、このデッキに積んでいるのかは疑問が残ったが——

「おいヒナタ。少し墓地を見せてくれないか」
「? どうしたのよレン」
「いや、少し……な」
「ああ、構わねえぜ。公開ゾーンだしな」

 彼の墓地を見る。
 その中には、さっき《シューマッハ》の効果で墓地に送られた《撃英雄 ガイゲンスイ》と《熱血龍 バトクロス・バトル》があった。
 ——何なんだこの墓地は……いや、何を考えているんだこれは……。

「ターンエンドだ」

ヒナタ:山札17 手札4 マナ2/6 墓地5 シールド6

「……オレのターン!」

 カードを引くノゾム。
 まず、《エビデゴラス》の効果でカードを追加で引くことが出来るので、ドローし、さらにターンの最初のドローで手札は7枚。これにより——
 そして、7枚のマナをタップする。

「——頼むぞ! 《上弦の玉兎星 クレセント・ニハル》召喚! その効果で超次元ゾーンから《月影機構 ルーン・ツールS(ストライク)》をバトルゾーンへ!」
『ふふーん、いっくよー!』

 ノゾムが繰り出したのはクレセントだ。
 そして、その効果で超次元から《ルーン・ツールS》が姿を現す。
 
「その効果で、先輩の手札を1枚見ないで選び、山札の一番下へ送ります! 右から2番目を山札の一番下に!」
「……」
「そして——ターン終了時に相手の手札の枚数より自分の手札の枚数が上回っていれば、《ルーン・ツールS》は星芒武装します!」
「来るか……!」

 《エビデゴラス》で手札を増やしたことと、《ルーン・ツールS》のハンデスにより、手札の枚数はノゾムの方が上回っていた。
 《ルーン・ツールS》を裏返し、《クレセント・ニハル》へと重ねる。

「その鉄槌で悪を砕け。正義を胸に今、ここに武装完了——《循環水月 クレセント・ベクトル》!」

 現れてしまった。
 ノゾムの切札が。武装時に相手のクリーチャーを全てバウンスし、更に相手が呪文を唱える度に自分も呪文を唱えることが出来る、という効果を持つ強力なクリーチャー、《クレセント・ベクトル》が。

「そして、こいつの効果で《メガ・マグマ》と《シューマッハ》をバウンスだ!」

 一気に2体のクリーチャーが吹っ飛んだ。
 ノゾムの構想としては、次のターンに《マイパッド》から《プラズマ》に進化し、《エビデゴラス》を龍解させてさらに攻勢を増やすというもの。
 いきなりシールドを減らしすぎるのは《ドギラゴン》の可能性を考えると非常に危険であるが——
 ——特にヒナタ先輩のデッキは今回、除去手段を多めに積んでるみてーだし——でも、武装解除で除去耐性の高い《クレセント・ベクトル》ならフィニッシャーとして申し分は無い!

「ターンエンドっ、すよ先輩!」

ノゾム:山札18 手札5 マナ0/7 墓地2 シールド5
ヒナタ:山札20 手札6 マナ2/6 墓地2 シールド6

「……ま、進化元が居ないんじゃ進化も真っ当に出来ねーか」

 確かにノゾムと《クレセント》の絆の賜物である武装は、非常に強力だ。
 しかし。ヒナタとしても負けてはいない。こちらにも——切札があるのだから。

「——んじゃ仕掛けていくぜ、相棒! 俺のターン、7マナをタップだ!」

 あるマナを全てタップし、彼は宣言する。そして——

「黄金の九尾を携えし、聖獣よ!! 今、この俺と鼓動をあわせろ!! 咆哮せよ、そして開闢せよ!!
《尾英雄 開闢の白陽》!!」

 召喚されたのは白陽だった。

『クレセントよ。あまり調子に乗っていると痛い目を見るぞ』
『なになにー? 遊んでくれるんだ、白陽』
『いや、私の効果——忘れたとは言わさんぞ』
「《白陽》の効果で、相手のドラゴンとドラグナーは攻撃することが出来ない」

 つまり。ノゾムのフィニッシャーとなるカードは、大方止められてしまったことになる。
 このままではノゾムは攻め込むこともできない。

ヒナタ:山札19 手札5 マナ0/7 墓地2 シールド6

「——くそっ、オレのターン——ドロー!」

 カードを引くノゾム。
 何とかして、《白陽》をどかさなければ勝ち目はない。
 8枚のマナをタップして、彼を倒しにかかる。

「《龍脈術 水霊の計》! 効果で《白陽》を山札の下へ送ります!」
「《陰陽超技・炎熱乱舞》を手札から捨てれば、送られたゾーンから《白陽》は復活する。もちろん、呪文を唱えた扱いじゃねーから、《ベクトル》の効果は発動しねえ」

 しかし、それも《炎熱乱舞》の効果で阻まれてしまう結果になった。
 結局、このターンに出来ることはなくなってしまう。

「ターン、エンド……!」

 それを宣言するのみだ。
 笑みを浮かべたヒナタは——高らかに宣言した。

「わりーな、ノゾム。この勝負、貰ったかもしれねーぜ!」
「えっ……!?」

 カードを引くヒナタ。
 そして——2枚のマナをタップする。

「《トリガラ・ダシッチ》召喚! その効果で、墓地にあるドラゴンを好きな順で俺の山札の上に置く!」




トリガラ・ダシッチ C 火文明 (2)
クリーチャー:ファイアー・バード炎 1000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、次のうちいずれかひとつを選ぶ。
・自分の墓地にあるドラゴンを好きな数、好きな順序で山札の上に置く。
・自分の他のクリーチャーを1体選ぶ。そのターン、そのクリーチャーに「パワーアタッカー+2000」を与える。



 山札の上に置かれたのは、《鬼丸「覇」》と《ガイゲンスイ》だ。
 そして——彼は残りのマナをタップする。

「6マナで《トリガラ・ダシッチ》を進化——」

 これを待っていた。
 会心のタイミング、そして丹念になされた準備。
 それが全て、勝利へと繋がっていたのである。



「革命の炎が激しく燃える! 支配と侵略に反逆の嵐を巻き起こしやがれ! 
《革命龍 ドラッケン》!」



 ノゾムはこの時、すべてが繋がった気がした。
 《ドラッケン》の能力、それは——攻撃時に山札の上を捲り、それが火のドラゴンならばバトルゾーンに出せるということ——

「まさか、山札の上にドラゴンを《トリガラ・ダシッチ》で仕込むために、今まで《シューマッハ》や《勇愛》で墓地を増やしていたってことっすかぁ!?」
「そうだ。これなら、ドラゴン比率を無理に上げてランダム要素に賭ける必要もねえ——んじゃ、行くぜ! 《ドラッケン》で攻撃するときの効果発動!」

 山札の上から1枚が捲られる。
 それは——当然、《勝利宣言 鬼丸「覇」》であった。

「シールドをW・ブレイク!」
「っ……!!」

 割られる2枚のシールド。
 そこにトリガーは無い。更に追撃と言わんばかりに、彼は《鬼丸「覇」》をタップする。

「《鬼丸「覇」》で攻撃——するとき、ガチンコ・ジャッジ発動!」

 互いの山札のカードが捲られる。
 ヒナタはコスト6の《メガ・マナロック・ドラゴン》。
 対するノゾムは——コスト4の《スペルブック・チャージャー》。
 勝ったのはヒナタだ。
 それと同時にシールドがブレイクされる。

「っ1枚目のシールドからS・トリガーで《終末の時計 ザ・クロック》召喚! その効果でターンをスキップします!」
「そうか——じゃあ、次も《鬼丸「覇」》の効果で俺のターンだな!」
「あ——!!」

 もう、ノゾムのターンは来ない。
 そのまま、ヒナタは再び自身のターンを始める。

「7マナで《ガイゲンスイ》召喚! そして、《鬼丸「覇」》で攻撃だ!」
「や、やばいっ——!!」

 《ガイゲンスイ》の効果で、引き上げられるパワーと打点だが、今この状況では最早オーバーキルも大概だろう。
 再び行われるガチンコ・ジャッジ。
 ヒナタはコスト3の《ネクスト・チャージャー》、対するノゾムはコスト6の《チュレンテンホウ》だったが——シールドは全て叩き割られる。
 
「S・トリガー、無し——!?」
「それじゃあ、これでシメェだ!!」

 ヒナタは《ガイゲンスイ》に手を掛ける。
 
「《ガイゲンスイ》でダイレクトアタック!!」
「革命ゼロトリガー、発動——《革命の水瓶》!!」

 

革命の水瓶 R 水文明 (2)
呪文
革命0トリガー—クリーチャーが自分を攻撃する時、自分のシールドがひとつもなければ、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい。
自分の山札の上から1枚目を表向きにする。それが水のクリーチャーなら、クリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
この呪文を唱えた後、墓地に置くかわりに山札に加えてシャッフルする。



 最後の砦と言わんばかりにノゾムは革命0トリガーの《革命の水瓶》を繰り出す。
 山札の上を捲り、出たのは——《アクア・スーパーエメラル》だ。

「効果で《ガイゲンスイ》をバウンス!! クリーチャーが居なくなったから、攻撃終了です!」
「だけど、まだ《白陽》が残っているぜ——」

 しかし、如何せん軍勢が多すぎた。もう、ノゾムを守る壁は無い。
 そのまま——《白陽》をタップした。



「《尾英雄 開闢の白陽》でダイレクトアタック!!」