二次創作小説(紙ほか)
- Act4:一角獣は女好きか? ( No.41 )
- 日時: 2014/06/22 12:57
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
「我の分身、《麟英雄 一角のハーシェル》召喚じゃ!! マナ武装7発動!」
子馬の周りに漂っていた装甲が装着され、全身が鋼で固められる。さらに、黄金のオーブがあたりを目まぐるしく高速自転して飛び回る。
それぞれが決まった軌道を持ったそれらは、敵を見つけると即座に反応して飛んでいくようだった。
「効果により、次の我のターンまでシールドの中にある光のドラゴンは全てS・トリガーになるのじゃ!」
「それがどうした! 次のターンは、クリーチャーの破壊に専念するだけだぜ!」
「ほーう。これを見てもか?」
刹那------------《サリヴァン》がハーシェルのシールドを2枚、叩き割った。
一瞬、何があったかは分からない。しかし、唯一ついえるのは”自分のクリーチャーで自分のシールドをブレイクしたということだ。
ハーシェルの残りシールドは3枚。
しかし。
「S・トリガー発動じゃ! 《サリヴァン》を《聖霊龍王 バラディオス》に進化! さらに、S・トリガーで《偽りの王 ナンバーナイン》も出すのじゃ!」
聖霊龍王 バラディオス ≡V≡ 光文明 (8)
進化クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン 12000
進化ー自分の光のコマンド1体の上に置く。
ブロッカー
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、または自分のシールドの最後の1枚がブレイクされた時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーをすべてタップする。次の相手のターンのはじめに、そのクリーチャーはアンタップされない。
T・ブレイカー
「な、ななななな!?」
「我の効果によって、我のほかのクリーチャーは、自分のシールドをブレイクできるのじゃ。その上、ターンの終わりに山札の一番上からシールドを1つ増やせるのじゃ!」
前代未聞である。自分のシールドを自分でブレイクさせるクリーチャーが存在するとは。
「《バラディオス》の効果発動じゃ! ヌシのクリーチャーを全てタップ、そして次のターン起き上がれなくするのじゃ! T・ブレイク!」
ヒナタのシールドが3枚割られる。
「ど、どうするヒナタ! このままでは……!」
「うるせぇよ白陽! 野郎はつぇぇ、だけどトリガーに賭けるしか……!」
「残念じゃの。《ナンバーナイン》を忘れとるぞ」
偽りの王(コードキング) ナンバーナイン P 光文明 (9)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/アンノウン 9000
相手は呪文を唱えることができない。
W・ブレイカー
まずい。S・トリガーのクリーチャーでも無い限り、これではもうトリガーは発動しない。
「さらに、シールドを1枚山札から追加じゃ」
麟英雄 一角のハーシェル 光文明(7)
クリーチャー:ガーディアン/エンジェル・コマンド・ドラゴン 7000
W・ブレイカー
自分の他のクリーチャーは自分のシールドをブレイクすることが出来る。
ターンの終わりに、山札の一番上のカードを1枚シールドゾーンに置く。
マナ武装7--このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、マナゾーンに光のカードが7枚以上ある場合、次の自分のターンまで自分のシールドから手札に加えられる光のドラゴンは全て「S・トリガー」を得る。
絶体絶命。現に今手札に加えられたのは全て呪文ばかり。
「そ、んな……!!」
ガンッ、と拳を地面に叩きつけるヒナタ。
負ける。また負ける。
このままでは、また------------負けてしまう。
こんなものでは、キイチにもましてあの獅子怒にも勝てない。
そう思ったときだった。
「諦めるな、ヒナタ!! 負けることを先に考えれば本当に負けるぞ!!」
「……白陽!」
そうだ-----------まだ俺にはシールドもマナも手札も残ってるじゃねえか。
カードを引くヒナタ。それを見て、思わず微笑む。
まだ、勝つチャンスは残っている!!
---------運任せだが、ここはお前に任せる!!
「俺のターン、《偽りの名 バルガ・ラゴン》召喚! 《メッサダンジリ》の効果でスピードアタッカーに! シールドをW・ブレイク!」
「無駄じゃ。《アンドロム》、我のために死ね」
《アンドロム》が飛んでいき、《バルガ・ラゴン》の攻撃を自分の命を持ってシャットダウン。
しかし。
「ドラゴンがバトルに勝ったから、《爆竜勝利 バトライオウ》を出すぜ! さらに、《バルガ・ラゴン》の効果で《「白陽」》を出す!!」
「何ィ!?」
しまった。これではアタッカーが攻撃できない。
《バラディオス》にも《ハーシェル》にも《ナンバーナイン》にも言えることだが、総じてドラゴンである。
つまり、《「白陽」》のロック効果を受けてしまうのだ。
「私の能力でドラゴンとドラグナーは攻撃もブロックもできなくなる」
「ッ、貴様ァー!! 調子に乗りおってぇぇぇぇぇ!!」
そのときだった。ハーシェルの眼が紅く光る。
「許さんぞ、愚かな人間共がぁぁぁぁぁぁ!! また我を愚弄するかぁあぁぁぁあああ!!」
「あ!?」
次の瞬間、ハーシェルが足を踏み鳴らす。同時に空間が崩れた。
「なっ!? 決闘空間が……!?」
そう思ったときには、元の場所に戻っていた。同時に、ハーシェルの姿も忽然と消えてしまっていたのだった。
逃げられた。全く卑怯も大概にして欲しいものであるが。
『ヤツは己の中の邪念が限界に達して苦しんでいる』
「じゃあ、今のはそれから逃れるための行動だったと?」
『ヤツの相手をするなら、本当に純潔の乙女でなければならないのかもしれんな』
すると、空間が裂したのを見届けたのか、コトハが駆け寄ってくる。
「ちょっと!? 大丈夫だったの!? 空間が突然裂けるなんて……!」
「逃げられた」
「逃げられちゃったの!?」
といっても、向こうが逃げたのだから仕方があるまい。
デュエリストとして恥ずかしいとは思わないのか! と言っても、向こうはあくまでもクリーチャーなのであって。
『そもそもヤツとお前では波長が違いすぎる。どの道仲間にはならんかっただろうな』
「んじゃ、そういうのは先に言えよ」
『すまぬ。だが倒して浄化させることだけは出来ると思っていたのだが』
コトハも割って入ってきた。
「あたしは?」
『お前も多分ダメだったろうな。使用する文明が同じであること=波長が同じであることだからな』
ともかく、ハーシェルを野放しにするわけにはいかない。
後は、目の前に倒れているブラックパラディン(馬)をどうにかすることだろう。
***
ノゾムはホタルの家の前に居た。
そして、インターホンに手を掛ける。
「淡島さんの友人の十六夜です。誰かいますか?」
彼女のことが心配だった。馬の件も気になったが、ヒナタ達に任せておいて大丈夫だろう。
その前に、今日やりたかったことをやっておきたかった。
ホタルの家を訪ねて、今の彼女がどうなっているかを探っておきたかった。
『……ノゾムさんですか?』
驚いた。まさか、ホタル本人が出てくるとは。
「ああ、オレだ」
『ごめんなさい、あの後外に出るのがとても怖くて……』
「いや、それで良い。それより親御さんはいねぇのか?」
一瞬、インターホンごしでも、彼女が言葉に詰まったのが分かった。
『……ノゾムさんには関係ないです』
「なら良い」
そういって、去ろうとした。ノゾムは気になっていた。夜にも拘らず、家には誰もいなかった。
その上、ノゾムが怪しいと思えるのは、この家がまともなだけに、余計気になった。
こんな立派な一軒家を建てられるくらいだ。金に余裕がなくて両親が夜勤をしているとは思えない。普通親なら娘を1人だけ家に置いておくのは、危険と考えて誰か置くのではないか?
(オレの考えすぎか?)
そう思ったときだった。
---------刹那、一角馬が咆哮と共に、空間を裂して空中に現われた。