二次創作小説(紙ほか)

Act5:確率の支配者 ( No.413 )
日時: 2016/10/12 15:18
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

超奇天烈 マスターG SR 水文明 (7)
進化クリーチャー:マジック・コマンド/侵略者 9000
進化−自分の水のクリーチャー1体の上に置く。
侵略−水のコマンド
W・ブレイカー
このクリーチャーはブロックされない。
このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、偶数か奇数のどちらかを選ぶ。その後、相手は山札の上から1枚目を表向きにし、山札の一番下に置く。そのカードのコストが選んだ側であれば、このクリーチャーはバトルゾーンを離れるかわりにとどまる。



 現れたのは、侵略前の《チャンG》とは打って変わり、巨大な図体とそれ以上に多くのギャンブル器具を身に着け、都市を取り込んだ侵略者。
 余りにもけた違いな巨躯に、ヒナタは愕然としてしまう。
 しかし。既に、隠れてその命を狙っていた《マグナム》の凶弾がそれを狙った。

「踏み倒したな! 《マグナム》の効果で破壊だ!」
「《マスターG》の効果発動!」

 しかし。
 弾丸が到達する前に、彼は宣言する。次の瞬間、バリアが展開されて《マグナム》の銃弾を防いだ。
 そして次の瞬間、空中に巨大なツボが現れ、その中に《マスターG》の持っていたサイコロが入れられる。

「さあ、ご来場の皆さん!! これより、一か八か、丁か半かのゲームの始まりです!!」
「ああ!?」
「ククク……賭け金をベットした時点で、ディーラーであるこの俺から、お前は逃げる事が出来ない!」
「何言ってんだァ? ゲーム……まさか、さっきの《ベガスダラー》みたいなイカサマギャンブル効果か!」
「あんな侵略者の中でも初期に開発された、旧式雑魚と一緒にしないで欲しいネェ」
「あっ、酷いですテイシュウさん! 私の可愛い《ベガスダラー》をポンコツ呼ばわりするなんて! 大体開発時期が、そっちの方が後だっただけじゃないですか!」

 後ろから響くリンユーの言葉をガン無視して彼は、宣告する。
 既にここは、彼の取り仕切るゲーム会場。
 ディーラーである彼に、ヒナタが背を向ける事は許されない。

「俺の《マスターG》が場を離れる時、丁か半か——つまり偶数か奇数のどちらかを選ぶ。その後、お前は山札の上から1枚目を表向きにして山札の一番下に置き——それが俺の選んだ側なら、こいつは生き残る」
「っ……マジかよ!?」
「そのデッキにとって嫌な事、それはメタが機能しない事だ。どんなに張り巡らされた罠も、イカサマも、発動しなければ意味がないんだよネェ!!」
「だけど、そんな運任せの能力、当たってたまるかってんだ!」
「——偶数」

 容赦なく、テイシュウは言い放つ。
 その言葉に、彼は従うしかない。どうにか、それが彼の言った方でなければ——《マスターG》は此処で破壊できるのだ。
 しかし。

「——いっ……!」

 捲られたカードは——《メガ・マグマ・ドラゴン》。コスト8で、偶数だ。
 彼の言った方の数字だったため——バリアが銃弾を跳ね返し、《マスターG》はその巨躯でヒナタのシールドへ躍りかかった。
 
「はははははは! 大当たりだ! 叩き潰せ、《マスターG》でW・ブレイク!!」

 サイコロが浮かび上がり、それがヒナタのシールドを2枚、叩き割る。
 メタが機能せず、しかも相手の切札を出してしまった事はかなりの痛手だ。
 まだリカバリーできないことも無いが……。

「S・トリガー、《勇愛の天秤》で《爆鏡 ヒビキ》を捨てて2枚ドローだ」

 申し分程度の手札補充。
 しかし、無いよりはましだった。今ので、より取れる戦略が増えたとも取れる。

「……成程、こっちのマナから丁半どっちが多そうかは推測できる。あながち、運任せの能力でも無さそうだが——それでも100%じゃない!」

 確かに、先に切札を出させたのは痛いが——まだ、勝ち目が無いわけではない。
 ——パワーは高いし、除去耐性付きの厄介なクリーチャーだけど、まだやれる! こっちもパワーで勝負だ!

「5マナをタップ——《マッカラン》を進化、《ゴウ・グラップラー・ドラゴン》!」

 現れたのは強大なる拳闘士(グラップラー)。
 丸太のように太い、4本の脚を持ち、力無き者を粉砕する激龍(メガ・コマンド・ドラゴン)だ。
 そして、そのまま《マスターG》へと突貫する。



ゴウ・グラップラードラゴン P 火文明 (5)
進化クリーチャー:メガ・コマンド・ドラゴン 6000+
進化−自分の火のクリーチャー1体の上に置く。
パワーアタッカー+6000
このクリーチャーは、アンタップされているクリーチャーを攻撃できる。
T・ブレイカー



「——《ゴウ・グラップラー・ドラゴン》は、パワーアタッカー+6000を持ち、攻撃時のパワーは12000だ! そのまま、バトル!」
「ふん、《マスターG》の効果発動!」

 次の瞬間、再びバリアが展開された。
 そして、《マスターG》によるサイコロが投げられる。

「——偶数」

 カードの一番上を捲る。
 それは——《メガ・マナロック・ドラゴン》、コスト6で偶数だ。
 再び、《マスターG》は破壊を免れることになる。

「はあ。やれやれだねェ。ツイてないとでも言っておこうか。まあ、こんな日もあるさ」
「ターンエンドだ……!」

 まずいことになった。
 あの《マスターG》は、放置していれば革命ゼロトリガーも防げる化物だ。
 今の彼の手札にあるカードでは、太刀打ちが出来ない。
 そのまま、非情にもゲームは進められていく。
 3枚のマナをタップすると、彼は宣言する。

「——2枚目の《奇天烈 チャンG》を、2枚目の《超奇天烈 マスターG》を見せて召喚。更に2マナで《マイパッド》も召喚——! さあ、《マスターG》で《ゴウ・グラップラー・ドラゴン》を攻撃して破壊!!」
「チッ……!」

 思わず舌打ちする。
 今度は一方的な破壊だ。パワーアタッカーのため、殴り返しに弱いのが案の定ネックになった。加えて、相手の場数は整ったと言っても良い。
 シールドは、次のヒナタのターンに革命を発動させず、尚且つリーサル圏内に持っていける3枚という、何とも嫌な数だ。
 このままでは、ヒナタは確実に負けるだろう。幾ら、《マグナム》が居ると言っても、そろそろバウンス除去であしらわれても良いころなのだ。

「ターンエンド。だんだんつまらなくなってきたネェ……そろそろ終わりにしよう」
「つまらねぇ、だと……?」

 しかし。彼はまだ諦めてはいなかった。

「分からねえのか、ギャンブル野郎——ゲームっつーのは最後まで何が起こるか、ハラハラドキドキで分からねえ——それが基本中の基本だろうが! テメェに、それを分からせてやるぜ!」
「はっ、強がりを。見ただろ? 俺の手札にはもう1枚の《マスターG》がある。このまま、終わらせてやる」
「ああ、終わりにしてやるよ」

 笑みを浮かべた彼は、高らかに言い放った。

「——”鎧龍の勝利”って結果を、テメェの言ってたエンタメとやらで決めてやるぜ!! 革命と言う名のエンタメでな!!」

 5枚のマナをタップする。
 このシチュエーションを待っていた。革命とは基本、受け身な戦法だ。
 しかし——最後の一歩を踏み出すことは出来る。
 そのまま、迷わず彼は5枚のマナをタップし、宣言した。



「——呪文、《ドギラゴン・エントリー》!!」