二次創作小説(紙ほか)
- Act6:不滅の銀河 ( No.414 )
- 日時: 2016/10/13 01:46
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
「レディースエーン、ジェントルメーン! これより、錚々たる顔ぶれの侵略者達——彼らをこのターンで全て、消し飛ばしてみせましょう——!」
突如、両腕を広げて観客に向かい、まるで手品師のような演技で宣言するヒナタ。
3体のクリーチャーを、このターンで消し飛ばす。
シールドが3枚あり、革命も発動できない状態で、何が出来るというのか。既に半信半疑で、テイシュウは食って掛かる。
「俺の場のクリーチャーを消し飛ばす、だとォ!? ははははははは!! リンユーのデュエルに感化でもされたか? そのシールドでは、革命も何も——」
「革命は起きるモノじゃねえ。この手で起こすモノだ。それを今から見せつけてやるよ! 《ドギラゴン・エントリー》の効果で俺はシールドを1枚、手札に加える——」
刹那、空に大穴が開いた。
激しい稲光が鳴っており、大いなる巨竜の出現を予感させる。
笑みを浮かべると、ヒナタは拳を突き上げた。
今この状況では、彼に頼るしかないのである。
「——そして、俺はコスト7以下の火のドラゴンを手札から場に出しても良い!」
「……何ィ!?」
ドギラゴン・エントリー R 火文明 (5)
呪文
自分のシールドをひとつ、手札に戻す。ただし、その「S・トリガー」は使えない。
火のコスト7以下のコマンド・ドラゴンを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
「特筆すべきは、進化クリーチャーも出せるってことだ! 《マグナム》進化——!」
突如、爆炎に包まれて現れたのは《ドラッケン》だ。飛来するとともに、翼を広げ、戦闘機の装甲をその身に纏っていく。
肩にはガトリング砲が二問、現れた。
新たなる進化。
新たなる革命。
それは、その先に待つ勝利のため——
「革命の司よ、今こそ更なる進化の時! 暁の戦場に勝利を刻め!
《爆ぜる革命 ドラッケンA(アサルト)》!!」
——再び昇華し、大空へ羽ばたく。
会場は再び沸き立った。
これにより、ヒナタのシールドは残り2枚。
つまり——今こそ、革命が起こる時。
《ドラッケンA》の二門のガトリング砲が炎に包まれる。
それが、星型の《アサルト》を想起させるものに変わる。
そして、それが一気に撃ち放たれた——
「大いなる鳳龍よ、俺に力を貸せ! 俺の魂に従い、絶望に抗って革命せよ! 革命2、発動!」
次の瞬間、回転するガトリング砲の弾幕がその場を制圧する。
《チャンG》と《マイパッド》を、それは地面ごと耕し、そして根絶やしにしていく。
残るのは《マスターG》のみだ。
「《ドラッケンA》の革命2で、パワー13000以下の相手クリーチャーは全て破壊するぜ!」
「おのれ、折角リーサル圏内にぶち込めるように調整したというのに——ふ、ふはははは!! やっと面白くなってきたじゃないか——《マスターG》の効果発動、選択するのは奇数だ!!」
——そろそろ、奇数が出る頃合い——ッ!! さあ、捲れ!!
ヒナタは山札のカードを捲る。
そのカードは——《次元龍覇 モルト「覇」》、コスト7で奇数だ。
バリアが展開され、ガトリング砲による斉射を《マスターG》は耐えてみせた。
「耐えきったぞ!!」
「……いや、まだだ! 《ドラッケンA》で《マスターG》を攻撃だ!」
「くっ——!!」
通算、4度目の破壊。
次も言い当てることが、テイシュウには出来るだろうか。
この効果の都合上、相手が偶数と奇数のカードをデッキに一緒に入れている限り、失敗する可能性はゼロではないのである。
「……偶数!」
カードを捲った。
ヒナタはそれをテイシュウに見せつける。
「——わりーな。4度目は、無かったようだぜ。コスト3、《ネクスト・チャージャー》だ!」
「くっ——!!」
上空を飛び回る《ドラッケンA》。
その強襲の炎は、破壊を撒き散らしていく。
星のガトリング砲を前にして、《マスターG》の体が、文字通り地面ごと、そして自らの展開していた都市ごと、耕されていく——
「——《超奇天烈 マスターG》、破壊!!」
散々梃子摺ったものの、何とか彼の切札をヒナタは破壊する事に成功したのである。
驚き、目を見開いたのはコトハだ。
流れるような動きに、感嘆する。
「す、すごい! 本当にテイシュウのクリーチャーを皆破壊しちゃった!」
「伊達や酔狂で、ヒナタもデュエマをやってるわけじゃねえってこったな」
「ふむ。流石と言ったところだ。僕の認めたライバルというだけはある」
レンもまた、感心したように言う。
革命を自ら発動させ、決めに行くスタイル。スーサイド気味でありながら、フレキシブルな展開の仕方。彼らしいと言えた。
「オ、オレも見習わなきゃ……! すげえ、すげえよ先輩!」
「本当ですよ! やっぱり暁ヒナタというデュエリストは——強い! 強いです!」
ノゾムも、ホタルも、彼のプレイングに見入ってしまう。
「ひえー、危なかったぜ……。ターンエンドだ!」
「……クックック」
笑みを浮かべるテイシュウ。
今、彼は最高の愉悦を感じていた。
ギリギリの橋を渡らされているような緊張感。
ヒリヒリと胸の奥から競り上がってくる焦燥感。
そして、身体が悲鳴を上げるように喜んでいる快楽感。
自分の切札を破られた。これ程に、焼け付くような展開があるだろうか。
「——ハ、ハハハハ!! 面白い!! もっと俺を楽しませてくれ!! 《奇天烈 ベガス》召喚! その効果で、お前は山札の上から1枚目を表向きにしろ! もっと、もっとだ! 俺を楽しませてくれるんだよネェ!!」
「へっ、たりめーだろ!! 退屈なんざさせねぇよ!!」
山札の上から1枚目を表向きにする。
そのカードは——《イフリート・ハンド》。コスト5以上のカードだ。
「ビンゴ!! 《ベガス》の効果で、山札の上から3枚をドローだ!! ターンエンドだネ!」
手札を大量に補充することに成功したテイシュウ。
しかし。ヒナタも今度はお返しと言わんばかりに、攻めていく。
燃え上がる6枚のマナをタップする。
今まで使ってこなかったカード。しかし、このデッキに於いて言えば最高の切り札となるのだ。
「《龍覇 グレンモルト》召喚!!」
彼が呼び出したのは、紅蓮の龍剣士。
超次元への穴が開き、そこから新たなる剣が彼の手に渡った。
「——そして、コスト4以下の火のドラグハート・ウェポン、《銀河大剣 ガイハート》を装備する!!」
「《ガイハート》——!? 前情報では、そんなカードは使ってなかったはず——!」
「さあな。俺もまた、新しい事にどんどん挑戦しねーとって思っちまったからな」
今まで、除去されやすいという理由でウェポンを避けていたヒナタ。
しかし、火のデッキに完全に慣れていく中で、遂にこのカードを採用するに至ったのだ。
二重に勝利を重ねる、熱血の龍の力を。
そして今、それを使うため、彼は熱血を彼の大剣に注ぎ込む。
「——《ドラッケンA》でシールドをT・ブレイク!」
空中からシールドを目がけてガトリングを乱射する《ドラッケンA》。
そのまま、彼のシールドを3枚、薙ぎ払った。
「そして《グレンモルト》でシールドブレイク!」
「受けよう!」
その熱血の剣が、今度こそテイシュウの4つ目のシールドを切り裂いた——その時だった。
遂に星龍の剣が鳴動を始める。
熱き血潮を滾らせ、勝利の鼓動を打ち始める。
「——クリーチャーが攻撃した後、それがターン中2度目の攻撃だったのなら——《ガイギンガ》の龍解条件は達成される!」
カッ、と《ガイハート》の瞳が光った。
《グレンモルト》が天高く、その大剣を投げ上げ——それは星の下、目覚めの時を刻む。
「彼方より降り立つ、不滅の星龍よ!! 熱き血潮を滾らせ、暁の戦場に勝利を叫びやがれ!!」
絶対に諦めないヒナタの意思に応え——それは咆哮した。
約束されし勝利の剣が今、龍としての本来の姿を解き放つ。
「——龍解、《熱血星龍 ガイギンガ》!!」