二次創作小説(紙ほか)
- Act4:増殖 ( No.438 )
- 日時: 2016/11/26 18:52
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
インフェルヌス・イモーレイター 火文明 (11)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/モナーク 17000
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、相手のクリーチャーをパワーが8000以下になるように選んで破壊する。
このクリーチャーがクリーチャーか呪文の効果で選ばれたとき、相手のシールドを3枚選び、ブレイクする。
T・ブレイカー
自分の他の火のクリーチャーのパワーは+4000される。
Origin:Infernus the Immolator
彼女の出したカードは、大翼の紅龍。
テイシュウは、5文明に存在する巨大なファッティカード・モナークと言っていた。
以前、デュエル・マスターズの海外版にはKaijudoというものがあったのであるが、現在海外で使用されているデュエマのカードは、それらをリメイクしたものもあるのだという。
この、《インフェルヌス・イモーレイター》も例外ではない。現在のデュエル・マスターズに蘇ったカードなのだ。
「その効果で、相手のクリーチャーをパワーが8000以下になるように破壊するよ! 《ザビ・バレル》も破壊!」
「ッ……まずいな、これは」
再び破壊されるクリーチャー。
つまり、《ベル・ヘル・デ・リンネ》の効果が再三発動するということだ。
「出てきてよ——来た!」
捲られたカード。
そこには、《永遠のリュウセイ・カイザー》のカードがあった。
「《永遠のリュウセイ・カイザー》召喚! これで一気に決めるよ!」
すぐさま、シャノンはそれをバトルゾーンに出す。
これで、場のクリーチャーは全てスピードアタッカーになる上に、こちらのクリーチャーはタップインされてしまう。
——恐ろしい制圧力だ!! このまま決めるつもりか!!
「そして、《ヤバスギル・スキル》で攻撃、シールドをW・ブレイク!! その効果で墓地から《バトラッシュ・ナックル》を手札に!」
「ッ……! S・トリガー、発動!!」
すぐさまそれを突き出す。
このままでは、自分のシールドが全て割られ、ダイレクトアタックまで持っていかれてしまう。
それだけは防がねばならない。
「呪文、《地獄門 デス・ゲート》!! これで、《リュウセイ・カイザー》を破壊だ! 更に、墓地から《暗黒鎧 ヴェイダー》を召喚する!!」
「後もうちょっとだったのに!」
革命を警戒しているのだろうか。
これ以上攻撃する事も無く、シャノンはターンを終えた。どの道、トドメを刺すことは出来ない。
しかし、場には《ベル・ヘル・デ・リンネ》に《バトラッシュ・ナックル》、《ヤバスギル・スキル》に《イモーレイター》の4体のドラゴンが佇んでいる。
まず、真っ先にT・ブレイカーの《イモーレイター》、そして殴り返しで《ヤバスギル・スキル》を排除したいところだが——
「あ、それと」
悪戯っ子のような笑みを浮かべ、少女は言った。
「《イモーレイター》は、選ばれたときに相手のシールドを3枚吹き飛ばす、って先に教えておくよ!」
「ッ……成程、な」
かなりうっとおしいクリーチャーだ。
《リンネ》の能力誘発に加え、しかも疑似アンタッチャブル持ち。
リーサルが決められない時に、あれをどかすのは自殺行為だ。
「ならば、これでどうだ!」
6枚のマナを、レンはタップする。
そして、《ヴェイダー》の頂に叩きつけた。
「進化、《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》!! その効果で、《ベル・ヘル・デ・リンネ》を破壊! そして、《ヤバスギル・スキル》も攻撃して破壊だ!!」
——かなり考えられているな? これでも、どの道次のターンでリーサル圏内か……!
自身の切札で対応したレンであったが、これでもまだ劣勢には変わりなかった。
そのまま、ターンの終了を告げる。次のシャノンのターンを、耐え切ることはこのままではできないのである。
「それじゃあ、《ヤバスギル・スキル》を召喚!! その効果で、《リュウセイ》を回収して、《キラー・ザ・キル》を破壊!」
「チッ……!」
「そして、《イモーレイター》でシールドをT・ブレイク!!」
残るレンのシールドが全て割られた。
それらを確認しながら——3枚目の《革命魔龍 キル・ザ・ライブ》を、レンは墓地に置く。
「S・バック、発動! 《暗黒鎧 ディオデスター》を場に出す!」
「S・バック!? だけど、どうするの!? もう、何もできないよね!!」
暗黒鎧 ディオデスター UC 闇文明 (3)
クリーチャー:ダーク・ナイトメア 2000
S・バック−闇
所詮、素のスペックは貧弱でバニラの《ディオデスター》。残る、彼女の《バトラッシュ・ナックル》を止める事は出来ないのだ。
つまり——この時点で、
「《爆竜 バトラッシュ・ナックル》で、ダイレクトアタック!! アタシの勝ちだよ!!」
シャノンの、勝利が決まる——
***
「石造りの街、か……本当に綺麗だよなあ」
『疲れたよう、ノゾムぅ……あいしゅ欲しい……』
「あー、うん買ってやるから」
オックスフォードサーカスの一角で、ノゾムとクレセントは、そんな会話をしながら街を歩いていた。
一応、クリーチャーがいないかどうか、ヒアリングを使いながら、だ。
しかし、彼女もくたびれたらしい。音を上げていた。
『でも、ほんとに素敵だよね……あたし、生まれてからあんまり外に出して貰えなかったからさ』
「……珍しいな。お前から、お前の昔の事を聞くなんて」
『退屈っていうかさ、何ていうか……縛られた生活を送ってた気がするなあ。思い出したくもないよ』
「お前らしいよ」
活発な性格の彼女にとって、管理された生活は拷問にも等しかっただろう。
それこそ、勝手に抜け出して白陽と会っていたくらいなのだから。
『思い出したく、ない……』
「? どした?」
『う、ううん! 何でもない!』
えへへ、と笑顔で誤魔化す彼女。
ぴょんぴょん、と耳も跳ねている。
無理に元気に振舞おうとしているのがバレバレだった。
——昔の事、か……何でだろ。今まで、あんまり意識しなかった……楽しい事とか、白陽と一緒に居た事は鮮明なのは、当たり前、だよね……。
ぼんやり、とした感情が彼女を包む。
それは次第に、妙な不安感を覚えさせていく。
その時だった。
ぴくん、と自分の感覚に何かが引っかかった。
『……!!』
「どうした!?」
『反応……何か、妙な物が街に近づいてる……!』
「何だって!? ヒナタ先輩に連絡しないと——」
スマホを取り出そうとしたその時だった。
背後から、ぽん、と手を置かれる。
見れば、それは警官のようだ。筋骨隆々の、大柄な男性だ。ポリス、と英語で書かれた制服を羽織っている。
低いしゃがれた声で、割と年配そうな彼は話しかけてくる。
「君ィ。そこで何をしているんだ?」
「え、いや、これはその、仲間と連絡をちょっと……此処、スマホ禁止だったりしました?」
そんな覚えはないのだが、確認を取る。
が、しかし。
「いや、その前に何をしていたんだと聞いてるんだよ」
「はあ。普通にこの辺りを散策してただけっすけど」
「そうか? 本当に? Really?」
「い、Yes……」
——いや、いや……職質されるような事した覚えないんだけどなあ……。カードに喋りかけてたから? 変人臭かった? いや、いやいやいや……。
うんざりしながら、彼は受け応える。
何故? という疑問を膨らませ——そして、妙な違和感を感じながら。
「間違っても悪い事はしてないんだね?」
「いえす……」
「神に誓って?」
「そうだって言ってるじゃないすか」
「そうか——」
にこにこ、と人のよさそうな笑顔を浮かべ、警官は続けた。
「——間違っても、クリーチャーなんか探そうとしているわけじゃないんだね?」
ぞくり、とノゾムは背筋に悪寒を覚える。
次の瞬間、周囲の空間が一変した——