二次創作小説(紙ほか)
- Act1:接触・アヴィオール ( No.53 )
- 日時: 2014/11/12 19:24
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)
墓地には--------魔方陣が見えた。そこから1枚のカードがアヴィオールの手札へ。
それだけではない。アヴィオールのマナゾーンのカードが5枚光っている。
---------これは、マナ武装!?
ノゾムは少なくとも戦慄を覚えた。この呪文にはまだ、効果が残っていたのか。
「《煉獄超技・骸骨方陣》の最大の効果ッ! それは、マナ武装5で墓地に落ちた《アヴィオール》と名のつくクリーチャーを1体、このカードを墓地から山札の一番下に置く代わりに--------」
そして、カードがアヴィオールの手へ。
「僕の手札に持ってくることが可能なのです」
煉獄超技・髑髏方陣 闇文明 (7)
呪文
自分の手札を全て捨てても良い。そうした場合、捨てたカードの合計コスト以下のクリーチャー1体のパワーを0にする。
その後、手札を5枚引く。
マナ武装5--このカードと《アヴィオール》と名のつくクリーチャーが墓地に居るとき、マナゾーンに闇のカードが5枚以上あれば、自分の墓地にある《アヴィオール》と名のつくクリーチャーを1体、墓地から手札に加えても良い。その後、このカードを山札の一番下に戻す。
ようやく紐解けた。
この呪文には万が一、手札のアヴィオールを捨ててしまっていても、または何らかの手段で墓地に落ちてもそれを回収できるようにサポートできる効果があった。当然、アヴィオールがそれを知らないわけが無い。
そしてこのターン--------
「悪夢再び。《死英雄 竜骨のアヴィオール》を出します」
マナゾーンのカードが再び光った。今度は7枚。あの効果が発動する。
ひっ、とクレセントの瞳が恐怖で染められた。
ガタン、と鉄槌を捨ててその場に崩れ落ちる。
ノゾムは、彼女がここまで怯えたのを始めて見た。
そしてノゾム自身もそれは同じだった。
「怖がることはありません」
クク、とアヴィオールはその鎌を彼女に向けた。
優しく、甘い声で囁く。
そして、その切っ先で顎をくいっ、と優しく上に向けた。
だが、恐怖の感情がそれで収まるわけが無い。
「私と友達になりましょう」
「い、嫌……!!」
膝を付いているクレセントの赤い瞳から涙が零れ落ちた。
恐怖によるものだ。
恐怖でどうしようもないのだ。
「そうですか-----------死ね」
ザクンッ、と鎌がクレセントの胸を抉り取る。
鮮血が迸った。
次の瞬間、彼女の体は爆ぜて跡形もなくなり、後には墓地に置かれたカードのみ。
『うう、ごめん……ノゾム』
ひっく、ひっく、と彼女の嗚咽交じりの鳴き声がカードから聞こえた。
「いや、お前の所為じゃねえ。あれだけ奴が余裕ぶってたんだ、何か手があってもおかしくなかったのに、オレは……!」
ふつふつと怒りが湧き上がる。
「最悪だぜ、テメェ。女を泣かせるなんてな……!!」
それは自分と、目の前に居る骨龍に向けられた怒り。
「”ぶっ潰す”」
アヴィオールのターンはこれで終わりだ。
ノゾムは怒りに満ちた眼差しを骨龍に向けたまま、カードを引いた。
「誰をぶっ潰すのでしょう、フフ」
「”ツイてる”ぜ、お前」
ニヤァーッ、とノゾムの口角が上がった。
「オレの持っている”兵器”の中でも一番火力のある空母に跡形もなく消されるんだからよ」
「何を今更」
「ああ、今更後悔しても遅いぜーッ!!」
バァン、と1枚のカードをバトルゾーンに叩き付けた。
同時にマナゾーンのカードが6枚、確かにタップされる。
「《龍覇 M・A・S》召喚! その能力により、コスト4以下のドラグハートをバトルゾーンに出すぜ!」
「……ドラグナー、ですか」
忌々しい、とアヴィオールは呟いた。
が、それも束の間。
超次元ゾーンから、1つの空母が転送された。
「その空母、強気を挫き、弱きを助ける盾となれ! 《龍波動空母 エビデゴラス》、降臨!」
龍覇 M・A・S(メタルアベンジャーソリッド) R 水文明 (6)
クリーチャー:リキッド・ピープル閃/ドラグナー 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト4以下の水のドラグハートを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それがウエポンであれば、このクリーチャーに装備して出す)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のコスト6以下のクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
龍波動空母 エビデゴラス ≡V≡ 水文明 (4)
ドラグハート・フォートレス
自分のターンのはじめに、カードを1枚引いてもよい。
龍解:自分がカードを引いた時、それがそのターンに引く5枚目のカードであれば、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。(ゲーム開始時、ドラグハートは自身の超次元ゾーンに置き、バトルゾーンを離れた場合、そこに戻す)
流石のアヴィオールもこれには驚いたようだった。
ドラグハート・フォートレス。それは決して沈まない不沈艦。
そして鉄壁、つまり無敵の究極要塞。
これをどかすことができるカードは限られており、除去することは非常に困難なカードである。
「ですが、それでどうすると!」
「甘いな。《M・A・S》の能力はドラグハートを出すだけじゃねえ。効果で《ブラッディ・メアリー》をバウンス! さらに《ザ・ストロング・スパイラル》で《アヴィオール》、お前をバウンス!」
《M・A・S》が両肩に装備した双砲から光線が射出され、そのまま《ブラッディ・メアリー》の体を打ち貫いた。
さらに激流が骨龍の体を飲み込んだ。
ビキビキ、とアヴィオールの分身体にヒビが入る。
「おのれ……!」
バキィン、と体は砕け散り、そのままカードの姿へ。
「よくも僕の体を……!」
「ドラグハート・フォートレスは不沈艦。次のターンにテメェの能力で、果たして破壊することができるかな?」
「この、この汚らしい小僧がァァァーッ!!」
アヴィオールはまくし立てる様に叫ぶと、カードを引いた。
「呪文、《ロスト・ソウル》!! 貴方の手札を全て破壊します!」
「手札から捨てられたとき、その能力で《電脳提督 アクア・ジーニアス》召喚」
マッドネス。手札から何らかの効果で捨てられた時に発動する効果だ。
その中でも、登場したときに指定された種族のカードを手札に加えることができる効果を持つもの、それが提督だ。
「んでもって効果で、《アクア操縦士 ニュートン》に《アクア・ハルカス》を手札に加えるぜ」
「ぐ、むぐぐ……!!」
明らかに焦りの色が表情に見えてきたアヴィオール。
そして、ノゾムは仕上げと言わんばかりに一手を打つ。
「オレのターン。《エビデゴラス》の効果で1枚カードを引き、さらにドロー!! そして、《アクア操縦士 ニュートン》召喚! マナ武装で1枚ドローするぜ!」
ここまでで引いたカードは3枚。龍解条件は残り2枚を引くことである。
「そして呪文、もう1発《ザ・ストロング・スパイラル》! 効果で《ブラッドレイン》をバウンス! そして、パワー6000以上のクリーチャーがいるから1枚ドローする。最後に《アクア・ハルカス》召喚だ!」
カードを3枚引き、《ロスト・ソウル》で落とされたはずの手札は既に5枚。
そしてこの瞬間、《エビデゴラス》の龍解条件が揃った。
空母が姿を変える。
体を折りたたみ、そして龍本来の姿を現した。
巨大な2門の砲台が煌いたとき、龍は咆哮した。
「弱き者の盾となれ! そして未来へ羽ばたけ、蒼き龍王よ! 最後の龍解を成し遂げろ!! 《最終龍理 Q.E.D+》ッ!!」
ごおっ、と強い風が吹き抜けた。
今度は爽やかな風だ。
しかし、アヴィオールは不愉快そうな表情を見せる。
「《Q.E.D+》でシールドをW・ブレイクッ!!」
全ての砲台が大きく開き、最大火力でシールドを破壊し尽くした。
アヴィオール、残りシールド、0枚。
「《M・A・S》でダイレクトアタック!!」
しかし、そのときだった。
「もう、手は抜きません……!! S・トリガー、《地獄門 デス・ゲート》で《アクア・ジーニアス》を破壊! 効果で《爆弾魔 タイガマイト》召喚です。そして《インフェルノ・サイン》で《狼虎 サンダーブレード》を墓地から召喚。効果で《Q.E.D+》を破壊!! さらにニンジャ・ストライクで《威牙の幻 ハンゾウ》も出して《A・M・S》を破壊!」
クリーチャーが一瞬で、ほぼ全滅した。
まず、《タイガマイト》のマナ武装でノゾムの手札が1枚捨てられた。
さらに墓地からここぞとばかりに現れた《サンダーブレード》が《Q.E.D+》を巨剣で一気に切り裂いた。
ビキビキ、と機械が割れる音がする--------と思いきや。
「龍回避発動! こいつは破壊されてもフォートレス面に裏返るだけでバトルゾーンを離れないぜ」
元の空母の姿へと戻ったのみ。これが鉄壁のドラグハート・フォートレスの醍醐味である。
最終龍理 Q.E.D.+ ≡V≡ 水文明 (7)
ドラグハート・クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン 11000
自分のターンのはじめに自分の山札の上から5枚を見る。そのうちの1枚を山札の上に戻し、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。その後、カードを1枚引いてもよい。
自分の水のドラゴンはブロックされない。
W・ブレイカー
龍回避−このクリーチャーがバトルゾーンを離れるとき、バトルゾーンを離れるかわりに、フォートレス側に裏返す。
龍解後に破壊されても龍解前に戻るのみ。しかもサイキック・クリーチャーの解除とは違って、2連続で除去されることは少ない。
しかし。
「どうですかねえ! ならば次のターンに決めてしまえばいいだけの話!」
アヴィオールの顔が怒りに歪んでいるのが分かる。
「僕のターン、墓地進化GVで《大邪眼 B・ロマノフ》召喚! ははは、遅かったですねぇー!! 死ね、十六夜ノゾム、そしてクレセントォーッ!!」
現れたのは闇の貴族、《B・ロマノフ》。進化クリーチャーのため、召喚酔いしない。そして、《B・ロマノフ》はT・ブレイカー。一撃でシールドを3枚持っていかれる。
さらに奴の場には《タイガマイト》、《サンダーブレード》もいる。このまま止めに持っていかれてしまうだろう。
「《ロマノフ》でシールドをT・ブレイク!! メテオバーンで進化元を3枚山札の一番下に戻し、貴方の手札も3枚、山札の一番下へ! 同じ失敗は踏みませんよ!」
ノゾムの手札はあっという間に2枚に。
そして。
「《サンダーブレード》で残り2枚のシールドをブレイクしますよ!!」
巨大な剣が振るわれ、シールドを切り裂いた。
「ガハッ」
---------く、くそったれ!!
真空波で何かが切れる感覚を持った。
『ノゾムーッ!! 血が、血がー!!』
クレセントの悲痛な声が聞こえた。
ふと、胸を手で触ると、学生服越しに血がにじみ出ている。横一文字に胸が斬られているのだ。
ずきり、と鋭い痛みが迸った。
手には真っ赤な液体がぬるぬると染み付いている。
傷口こそ浅いからまだ良かったが。
「さあ、《タイガマイト》でダイレクトアタック!!」
二足歩行の虎が大量の爆弾を抱えてノゾムに投げつける。
しかし、その瞬間だった。
激流が、《タイガマイト》を押し流した。
血で塗れた胸を押さえ、ノゾムは力の限り声を絞り出す。
「ぜえ、はぁ……まだだ」
その手には1枚のカードが握られていた。
「--------S・トリガー発動。逆転させて貰うぜ。たった今、テメェの攻撃でシールドから手に入れたこのカードでな! 《月光超技・ムーンサルトスタンプ》!!」