二次創作小説(紙ほか)

Act5:武装・星の力 ( No.69 )
日時: 2015/06/07 17:58
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「な、何だこれはぁー!?」

 いきなり姿を変えたアヴィオールを前に、ノゾムは驚いて声が出てしまった。星芒武装にステラアームド・クリーチャー。
 聞いたことも無い単語が頭の中を駆け巡る。



悪夢喰種ドリームイーター アルゴリズム 闇文明(5)
ステラアームド・クリーチャー:ファンキー・ナイトメア
K(カノープス)・コア
星芒武装:自分のターンに相手のクリーチャーを2体破壊しており、「アヴィオール」とあるクリーチャーがバトルゾーンに居る場合、このカードを裏返し、そのクリーチャーに重ねる。
相手のクリーチャーのパワーは-2000される。
自分のK・コアを持つクリーチャーは相手の呪文、クリーチャーの効果で選ばれない。



 ノゾムはもはや、声も出なかった。恐怖が襲い掛かる。またあの感覚だ。

「《アルゴリズム》の”星芒武装”……それは《アルゴリズム》が”鎧”となってこの私の体に纏われることにより、更なる進化を私の体に促すのです!」

 カードが2枚、アヴィオールのバトルゾーンに重なっているのが見える。

「これにより、私は最終形態のスターダスト・クリーチャー、《悪夢骸骨(ダーティ・アルゴリズム) アヴィオール・ゼノン》となることができました」

 -----------悪夢骸骨、アヴィオール・ゼノン!?
 これが奴の本来の姿、いやそれをさらに星の鎧で強化した姿と言ったところか。
 しかし何度見ても禍々しい姿である。
 死神というデュエマではありふれた言葉が此処までしっくりくるクリーチャーもそうそういないだろう。

「効果により、まず貴方の手札を拝見させていただきます」

 くるり、とノゾムの手札が裏返る。
 げっ、と顔を真っ青にした彼の表情も気にせず、アヴィオールはさらに巨大化した鎌で手札から何枚かを叩き落とした。

「やはり、持っていましたか、《アクア・ジーニアス》。ですが、僕の能力は相手の手札を見て、そこから好きなカードだけを落とせるというもの。マッドネスは踏みません」
「くそっ、何つー能力だ……!」

 《M・A・S》、《ブレイン・チャージャー》など必要なカードがすべて墓地へ。それでもまだ、クレセントが手札に居なかったのは幸運だろう。

「ターン終了」

 ごくり、と唾を飲んだ。
 カードを引く。そして、そのカードを見て口角が上がった。
 -----------やっぱオレはツイてるぜ!!

「呪文、《エナジー・ライト》でカードを2枚引くぜ!」
「ち、折角消し飛ばした手札が。流石水文明の使い手ですね」
「さらに、《ジャバ・キッド》を召喚! 効果で山札の上を捲ってそれがリキッド・ピープルならば手札に加えられる! 《クリスタル・ブレイダー》を手札に!」

 一度、ターンを終える。手札はこれで十分だ。しかし。相手だって馬鹿ではない。
 と、そのときだった。《ジャバ・キッド》の体が砕け散る。

「すみませんねぇ。僕の効果で永続的に相手のクリーチャー全員のパワーを-4000されるのですよ」

 とんでもない効果である。
 手札を消しにかかるだろうか、それとも-----------

「僕のターン。《超次元 ミカド・ホール》で《時空の封殺 ディアスZ》をバトルゾーンに!」



時空の封殺ディアスZ(ゼータ) SR(SSR) 闇文明 (8)
サイキック・クリーチャー:デーモン・コマンド/ドラゴン・ゾンビ 7000
E・ソウル
殲滅返霊4(このクリーチャーが攻撃する時、自分または相手の墓地からカードを4枚選んでもよい。あるいは両方の墓地からカードを4枚ずつ選んでもよい。選んだカードを好きな順序で持ち主の山札の一番下に置く。こうして選んだカード4枚につきこのクリーチャーの返霊能力を使う)
返霊−相手は、バトルゾーンまたは手札から自身のカードを1枚選び、山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
覚醒−自分のターンの終わりに、そのターン、相手のクリーチャーが3体以上バトルゾーンを離れていた場合、このクリーチャーをコストの大きい方に裏返す。



 現れたのは、闇文明軍の総大将。龍と融合した悪魔だった。超次元のその先へ干渉したことにより、凶悪な力を手に入れたのである。

「では、攻撃させていただきますよ! 僕でシールドをT・ブレイク!!」

 アヴィオールの鎌から衝撃波が放たれてノゾムのシールドを3枚、叩き割る。

「ターン終了ですよ」

 まずい。《ディアスZ》の殲滅返霊が発動すれば、ノゾムの手札かバトルゾーンから最大で3枚が山札の一番下へ送られてしまう。
 
「オレのターン-----------」

 引けるのか? と自分に疑問を抱いた。
 ここで、この状況を一気にひっくり返せるような切り札は持っていない。
 だが、こんな修羅場はデュエマを続けていて何度もあった。 
 逃げてはいけない。
 もう、十六夜ノゾムは逃げない。
 カードを引いた。自分の右手には、クレセントのカードがあった。

「ノゾム、来たよ」

 彼女の笑顔がカードから伝わった。

「ノゾム……あたしさ、小さい頃からずっとがんじがらめの生活で、友達なんかいなかったんだ。時々部屋を抜け出して白陽と会っていたくらい」

 彼女は続けた。

「あたしはもっと友達がほしかった……、この星で1人は寂しかった……! ノゾムは……いっぱい優しくしてくれた。白陽と同じようにあたしを受け入れてくれたから」
「もう良い、クレセント」

 ノゾムは彼女の言葉を絶つ。


「オレはお前の友達だ。もう一回言う。あんなことは二度と言わねぇ」


 うん、と彼女は頷いた。

「だったらあたしも全力で友達を守る!!」

 カッ、とクレセントのカードが光った。今宵は三日月。決闘空間には無いはずのその光が差し込む。
 三日月の紋章がノゾムの額に浮かんだ。
 同時に、クレセントのカードも激しく輝き、もう1つの光が超次元ゾーンへ飛んだ。

「これは……!」
「ノゾム、あたしを召喚して!」

 こくり、と頷き、マナを7枚タップした。そして相棒をバトルゾーンへ繰り出す。
 投げたそのカードは、眩い光を放って次の瞬間にはクリーチャーへと変化していた。
 それは兎の獣人であることには変わりなかったが、装甲は全身についており、さらに羽のような巨大なパーツが背中についており、空中に浮いていた。
 そして、ルビーのようだった瞳は黄金に光り輝いていた。
 
「《上弦の玉兎星 クレセント・ニハル》召喚!」
 
 鉄槌が空中から現れ、彼女の手に。

「どういうことだ……僕があれほど苦労して手に入れた能力が、こんな連中にあっさりと……!」
「所詮、てめぇが集めていた多くの欲望だの負のエネルギーはオレ達たった2人だけの”絆”の力にすら敵わなかったってことだ。超次元ゾーンより、碧き鎧、《月影機構 ルーン・ツールS(ストライク)》を召喚する!」

 現れたのは、不恰好な姿をしたロボットのようなクリーチャーだった。
 しかし、ライトのように不気味に光る目玉が突如、赤いレーザーを発し、アヴィオールの手札を焼いた。

「お返しだ。こいつの効果で、お前の手札を1枚、山札の一番下に送らせてもらったぜ」
「お、おのれ……!」
「オレの手札の枚数がお前の手札の枚数を上回っている時、条件を満たしているため、星芒武装発動!!」

 《ルーン・ツールS》の体がばらばらになって空中に浮いた。それがクレセントの体に鎧となって纏われる。パーツはさらに大きく変形していく。
 そして、その姿は巨大な龍となった。
 まるで、ロボットのような人型の龍だ。例えるならば、《Q.E.D.+》などに近いところだが、兎のような耳のパーツがついており、さらに右手には鉄槌が握られていた。しかも、それも更に巨大なものとなっている。原型の影響か、若干スマートにも見える。
 胸と額のパーツには三日月のコアが刻まれていた。

「その鉄槌で悪を砕け。正義を胸に今、ここに武装完了!!」

 そして、その切り札の名を叫んだ。


「《循環月影エンドレス・ルーン クレセント・ベクトル》!」