二次創作小説(紙ほか)
- Act1:記憶×触発 ( No.76 )
- 日時: 2014/12/05 01:55
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「《陰陽超技 炎熱乱舞》ッ! 効果発動だぜ!」
その直後、白陽が炎を纏った陰陽玉の弾幕を飛ばし《レジル=エウル=ブッカ》とそして《マリニャン》を業火に包み込む。まさにそれは地獄絵図。
2体は間もなく断末魔と共に消滅した。
「こいつの効果で、自分の場にあるカードの合計以下のコストを持つクリーチャーを2体まで破壊する! 俺の場にはフォートレス2つ、3+4でコスト7以下を2体破壊だぜ!」
『そして、マナ武装7によりこの私、または火文明のコスト9以上のカードを山札から手札に加えることができる!』
「加えるのはこいつだ!」
ヒナタの手札には、灼熱の赤に輝く龍のカードがあった。
「前にキイチとのデュエマでも手札に来なくて使えなかった、こいつを! 今、お披露目するぜ! 《暴龍事変 ガイグレン》をな!」
「にゃ、にゃにぃーっ!?」
そして、ニャンクスの場にはもうクリーチャーがいない。
一方、ヒナタは度重なるマナ封殺をクリーチャーに食らわされ、マナはこのターンで10枚になる。もう、十分に準備は整った。
そして、マナを9枚タップする。
「数多の大地を喰らい、武装する。現れろ、紅蓮の暴走龍よ、《暴龍事変 ガイグレン》を召喚だ!!」
空間を裂き、現れたのは無限の力を持つ勝利の暴走龍。その力は一度暴走し始めたら2度と止まらない。そう、まるでかつてのヒナタの切札、《暴走龍 5000GT》のように。
銀河の大剣を振り下ろし、《ガイグレン》はニャンクスの前に降り立った。
「てめぇが増やしたマナがてめぇの首を絞めることになるぜ。よくも白陽をやってくれたな。これは白陽の弔い合戦だ」
『いや、私一応生きてるんだけど』
「つー訳で、てめぇはムカついた。このままトドメを刺す」
その言葉を聞いてニャンクスは笑い出す。
「にゃはははーっ!! お前は馬鹿にゃ? お前の場には《ガイグレン》1体しかいないにゃ! 俺様のシールドは3枚! W・ブレイカーのそいつ1体だけじゃトドメは愚か、シールドを全部割ることさえままならないにゃ!」
「馬鹿はてめーだ。こいつのマナ武装をよく見やがれってんだい」
轟! と《ガイグレン》が剣を振り上げた途端に、ヒナタのマナゾーンのカードがすべて赤い血潮のように光った。その光が《ガイグレン》に集まっていく。その姿は貪るかのように大地の魔力(マナ)を貪欲に食らっていく化け物。
「マナ武装9。こいつが攻撃するとき、こいつは無条件でアンタップ……つまり、無限の回数だけ攻撃ができる」
「にゃ、にゃんだってぇーっ!? ば、馬鹿な! そんなチート効果があって堪る--------」
「それがあるんだなぁ、今此処によォ!!」
ヒナタは怒りに満ちた目で高らかに叫んだ。
暴龍事変 ガイグレン ≡V≡ 火文明 (9)
クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン/ヒューマノイド爆/ドラグナー 11000+
スピードアタッカー
マナ武装 9:このクリーチャーが攻撃する時、自分のマナゾーンに火のカードが9枚以上あれば、そのターン、このクリーチャーをアンタップしてパワー+3000する。
W・ブレイカー
相手がこのクリーチャーを選んだ時、このクリーチャーのパワー以下のパワーを持つ相手のクリーチャーをすべて破壊する。
《ガイグレン》はマナ武装9という破格の能力を持つ。条件は非常に達成しにくいが、うまく決まれば最早勝利確定といってもいいほど強力なカードだ。殴るたびにパワーも上がる。
正に、”暴龍”。
ふつふつと沸いてくる怒り。
---------こいつを、絶対にぶった斬る!!
「微塵になるまでまで俺の代わりに、こいつがテメェをぶった斬る!! せいぜい、後悔してるこったな!!」
「あ、あばばばーっ許してください、許してください、悪いことしましたにゃぁーっ!!」
「「誰が許すかテメェーッ!!」」
ヒナタと白陽、2人の声が被った。
「白陽が此処まで繋げてくれたんだ! S・トリガーなんか踏むんじゃねぇぞ、《ガイグレン》! 行け、シールドをW・ブレイク!」
剣が振り下ろされ、シールドを切り裂いた。
その破片がシャワーとなってニャンクスに降りかかる。
目が潰れたようだ。血まみれになって顔を抑えている。
「マナ武装9発動! アンタップ! そして、最後のシールドをブレイク!」
2撃目。最後のシールドを切り裂く。
S・トリガーは無い。
「マナ武装9発動! アンタップ、そしてダイレクトアタックだ!!」
ざくり、と巨大な剣がニャンクスを切り裂いた-----------
そして、そのまま空間は--------閉じなかった。
「あ、あり? まだ終わらないのかにゃ!?」
ニャンクスは驚いて息も絶え絶えに辺りを見回す。
しかし、空間は未だ閉じない。何故だか考える余裕などニャンクスには無かった。
「てめぇは俺を怒らせた--------千回ぶった切っても足りねぇくらいだぜぇーっ!! マナ武装9発動、《ガイグレン》アンタップだ!」
起き上がる《ガイグレン》。再び剣を振り上げる。
ニャンクスは血まみれの姿で青ざめた顔をした。
尻餅をつき、後ずさる。
「にゃ、にゃんでぇーっ!? や、やめてくれにゃぁーっ!! ほら、もう体の骨とか殆ど折れちゃって、体とかズタボロの雑巾みたいにゃ、これ以上やったら死んじゃうにゃぁー!!」
「今更、命乞いかテメェ。まあ良いぜ、教えてやるよ」
カードに手を掛けるヒナタの顔は最早、怒りを通り越して無表情だった。
「俺の幼馴染は事故で死んだ、それも歩道に突っ込んできたトラックにぶつかってな!! 死体はぐっちゃぐちゃで面影なんか無かったって聞いたぜ。俺は悔しいんだよ、あんときデュエマの大会なんかに行かず、一緒に居てやれたら俺はあいつを助けられたかもしれねぇのに!!」
気がつけば、ヒナタは熱い線が頬に流れていることに気付いた。
しかし、それでも構わずまくし立てるように叫ぶ。
「だからっ!! テメェのやったことは絶対に許さねぇ。この星の邪気に当てられたとか関係無しにな! 人をクスリで暴走させて事故を起こさせた、それも何度もだ!!」
「わ、分かったにゃ、この通りにゃぁーっ!! 悪いことしましたにゃ、全力で謝るにゃ!! 靴の裏だって舐めますにゃぁーッ!! だから、これ以上痛いのは嫌にゃぁーッ!!」
「チッ、その場しのぎの謝罪で俺がこいつの攻撃を止めると思ったか?」
ため息をついたヒナタは続けた。
「哀れすぎて、他に何もいえねぇ。やっぱテメェ。史上最低最悪の下衆クリーチャーだぜ」
ぐっ、親指を下に向けてヒナタは言い放った。
ピンッ、と指を鳴らす。次の瞬間、再び《ガイグレン》が動き出す。
剣を振り下ろし、その衝撃で波紋が起こった。それがニャンクスを吹っ飛ばす。
しかし、英雄と呼ばれるほどのクリーチャーはそう簡単には死なない。
「マナ武装9発動、《ガイグレン》アンタップ!!」
再び起き上がる《ガイグレン》。剣を振り上げた。
そして、ニャンクスへ剣を払うように振るうと、波紋が出来てそれがカッターとなり切り裂いた。
「うげっ、げぼぇ、おげばぁ」
血を吐き出すニャンクス。
しかし、容赦なくヒナタは言った。その瞳には慈悲など無い。
「さあ、次はどこをぶった切ってほしい? 腕か? 脚か? おっと首はダメだぜ。てめぇはもっと痛めつけてやらねぇとなぁーっ!!」
彼の目は血走っていた。再び、《ガイグレン》のカードに手を掛ける---------
『好い加減にしろ、ヒナタ! やりすぎだ!』
その声で、ヒナタは我に帰った。白陽だ。
そして、目の前を見た。
--------俺は、何をやってるんだ。
目の前には《ガイグレン》、そしてずたずたになって倒れているニャンクスの姿があった。
--------俺は、俺は-----------!!
『お前の余りの怒りに《ガイグレン》の凄まじい力が反応したのだろう。いまだここは閉じない。もう止めろ、不器用なりにも優しいお前らしくない』
「……くっ」
喉から絞るように彼は言った。
ようやく落ち着いたのかヒナタは手を引っ込め、カードを片付けた。次の瞬間、空間も閉じていた-----------