二次創作小説(紙ほか)

Act4:リターンオブ・サバイバー ( No.88 )
日時: 2015/05/23 19:19
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***


 場所変わり、ヒナタとブレイズザウルスαのデュエル。
 現在、ヒナタの場には懐かしのアウトレイジ、《一撃奪取 トップギア》が1体。一方のブレイズサウルスαは、自分自身・《ブレイズザウルスα》に加え、《威嚇するスマッシュ・ホーンα》を出していた。地味にパンプアップが(以下略)
 
「とりあえず、俺は《ジェット・ポルカ》を召喚! ターン終了だ!」


ジェット・ポルカ UC 火文明 (4)
クリーチャー:ファイアー・バード炎 2000
自分の進化クリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーをアンタップする。


 《ジェット・ポルカ》は、このままではスペックの低い唯の焼き鳥だ。
 そして、パンプアップ効果で殴り合いにもこのままでは不利。
 このままでは、だが。

「ギッシャアアアアアアアアア!!」

 知能は低いのか、叫びを上げるのみの《ブレイズサウルスα》。
 しかし、カードゲームできるだけの知能はあるってどういうことだよ。
 それはともかく、《フェアリー・ライフ》でマナを加速したのみに留まったのが幸いか。

『ゲホッ、ゲホッ』
「無理すんな、白陽」
『だが、気をつけろ……私でも何が来るか、さっぱり分からん』
「オーケー、気をつけるぜ」

 落ち着いた態度でデュエマに臨むヒナタ。そのまま、新たにカードを1枚手札に加えた。
 が、しかし。あまりよろしくはないようだ。
 ----------ちっ、肝心のあいつが来ないと、全く意味がねぇじゃねえか。まあ良い、ここはコイツで決める。

「俺は《鬼切丸》を召喚! 効果で、パワーは4000になるぜ!」

 それだけではない。召喚酔いをしない、スピードアタッカーだ。何をするか分からないなら、何かされる前に止めを刺す。それだけだった。

「行け! 《鬼切丸》でシールドブレイク!」

 そう思い、迂闊に手を出したのが運の尽き。
 割られたシールドが光の束となって集束する。
 S・トリガーに見事に当たってしまったようだった。
 次の瞬間、《鬼切丸》と《トップギア》は一瞬で炎に包まれ、燃えカスとなって消滅する。
 《めった切り・スクラッパー》。敵の合計コスト6以下になるように破壊する呪文だ。恐らく、現時点で手が付けられない《鬼切丸》と、システムクリーチャーである《トップギア》を狙い、破壊したのだろう。

『場には非力な《ジェット・ポルカ》のみ、か』
「くそっ、確実に殺せる奴だけ残してきたか」

 しかし、《ジェット・ポルカ》を出しているのに意味が無いわけではない。このデッキに組み込まれた、とあるギミックのために入れているのだから。

「ターン終了だ」

 さて、ヒナタはサバイバーについての知識は、ある程度あった。
 デュエル・マスターズが始まった頃、第四弾に収録されたのが始まりで、味方と自分の能力を共有し、強くなっていくのが特徴だということ。
 つまり、数を並べられるのが非常に厄介だということだ。
 いや、そんなことは分かりきっている。
 問題は、更に”根底”に存在するのだ。単純明快な問題である。

「ギッシャアアアアア」

 叫びを上げた《ブレイズサウルスα》。そのとき、新たなサバイバーが現れる。
 次の瞬間、要塞のようなクリーチャーが空中に現れた。
 これは、先ほど目にしたものと全く同じだ。ブレイズザウルスの手札に、山札から《ギガリングα》が加えられる。
 《シェル・ファクトリーγ》。その効果は、バトルゾーンに出た際に山札からサバイバーをサーチすることができるというもの。
 そして、最も恐ろしいのは、それをサバイバー全体で共有することができるということだ。
 クリーチャーを出したら、普通手札が1枚減る。が、しかし。これによって、手札は減らなくなるのである。
 お分かりだと思うが、その際の展開力はマナ尽きぬ限り、だ。並べてナンボのサバイバーに、これ以上増殖されたのでは溜まったモンではないのである。

「くそったれ! 自分が出てきた要塞まで使うのかよ、こいつら!」

 悪態を付くヒナタ。既に、先ほどのスクラッパーを食らって、クリーチャーは全滅状態だというのに。
 しかし、これだけ展開したにも関わらず。ブレイズザウルスは自らターンを終えるのだった。

「……あまり殴ることには積極的じゃねえみたいだな」

 単なるビートダウンではないのか。確かに、此処までのクリーチャーは、殴ったらすぐに返しのターンで死んでしまいそうなほど、貧弱であった。
 殴りあうのには向いていないのだろう。

「なら、こっちも好きなだけやらせて貰うぜ! 俺は《エヴォル・メラッチ》召喚!」

 今回、ヒナタは今までのデッキに更なる改良を加えた。
 その要因が、”ファイアーバード炎”であった。
 今までの大型を出すことも出来るデッキは魅力的ではある。しかし、大火力を”手軽”に、もっと”早く”使えないものか、と模索した結果。
 新たなる種族に行き着いたのだ。

「《エヴォル・メラッチ》の効果で山札から4枚を見て、その中から進化クリーチャーを選んで手札に加えるぜ」

 カードを4枚捲り、その中から目当てのカードを選ぶ。
 ---------来た!

「俺は、《ゴウ・ブレイクドラゴン》を手札に加える!」


エヴォル・メラッチ P 火文明 (3)
クリーチャー:ファイアー・バード炎 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から4枚を見る。その中から進化クリーチャーを1体、相手に見せてから自分の手札に加えてもよい。その後、残りを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。


 新たなる熱血の炎を宿す龍。それが、《ゴウ・ブレイクドラゴン》だった。しかし、このターンはこれ以上、動くことは出来ない。
 そのくせ、まだ相手は秘密兵器を隠しているやもしれないのだ。油断はならない。
 見えない敵に警戒を向けつつ、ヒナタはターンを終えた。
 ブレイズザウルスのターン。手札を引いたブレイズザウルスは、先ほどと同様、クリーチャーを並べると思われた。


「ギッシャアアアア!!」


 次の瞬間だった。
 場にある《ブレイズザウルスα》の体が光り輝く。
 それは、まさしく----------
 
『---------あれは、進化か!?』
「おいおい、うそだろ、冗談じゃねえぜ!!」

 ベキベキ、と音を鳴らし、現れたクリーチャーの名を幸か不幸か、ヒナタは知っていた。



「あいつは------------《シグマ・トゥレイト》!?」