二次創作小説(紙ほか)
- Act5:格の差 ( No.92 )
- 日時: 2015/06/13 21:14
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
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決闘空間。クリーチャーが命を持ち、具現化する謎の空間。
「俺のターン。《霞み妖精 ジャスミン》召喚。効果で自身を破壊!」
序盤からマナを加速していく男。マナゾーンには自然文明のカードを中心におかれていた。
一方のレンだが、負けじと準備を進めていく。自然文明中心のデッキが相手ならば、自分の闇文明中心のデッキは有利なはずだ。
「《一撃奪取 ブラッドレイン》召喚! ターン終了だ」
闇文明のクリーチャーのコストを下げる役割を持つ《ブラッドレイン》を召喚したレンは自分の手札を見て、改めて自身の優勢を確信する。
手札のカードは揃っている。後は繋げていくだけだ。
「俺のターン! 《エコ・アイニー》を召喚! ガキが、調子に乗りやがって……てめぇは次のターンでお仕舞いだ!!」
エコ・アイニーの効果で山札の一番上が捲られた。捲られた《永遠のリュウセイ・カイザー》はマナゾーンへ。しかし同時に、もう1枚のカードがマナゾーンへ送られる。
「《エコ・アイニー》の効果で2枚目のカードをマナゾーンへ置くぜ。ターンエンドだ」
相手のマナゾーンのカードは、これで6枚。次のターンには7枚に達する。
その前に相手を消耗させ、切札が出ないようにしなければならない。手札さえ破壊してしまえば、こちらのものなのだ。
「《解体人形 ジェニー》をブラッドレインでコストを1下げ、3マナで召喚! 効果により、貴様の手札を見て、一枚カードを墓地へ落とす!」
「ちっ」
『うろたえるにゃ。お前には俺様がついているのにゃ』
「は、はは、そーだな」
公開される手札。そこには、
《永遠のリュウセイ・カイザー》、《地堀類蛇蝎目 ディグルピオン》、《龍覇 サソリス》の3枚。
チッ、と舌打ちをして《サソリス》をレンは破壊した。手札から墓地に落とした瞬間、バトルゾーンへ現れる強力なクリーチャー、《リュウセイ・カイザー》が居たからだ。男のマナはかなり溜まっている。余り、もたもたできない。
「……まずいな。奴の存在を確認できたのは幸か不幸か……」
しかし、此処で足踏みしても居られない。迅速に処理すれば良い話だ。
「俺のターン」
まずい、と男は早速焦りを覚えていた。本性が腰抜けのこの男は、リュウセイが手札にあるとはいえ、心の落ち着きを失っていた。
-----------闇文明ということは、出しても即刻破壊される可能性が高い! とはいえ、殴らなければ何も始まらないし----------
『リュウセイをマナに置くのにゃ』
「……何?」
『デュエリストであるお前が居るから、今回は”100%”の状態で戦えるにゃ。まずは手始めに、目の前のガキを葬ってやるのにゃ。だから、《リュウセイ》をマナに置くのにゃ-----------!!』
「……そうか」
引いたカードを見た男は、ニャンクスの言葉の意味を解した。
藁にもすがる思いの男は、リュウセイを早速マナに置く。
「は、はははは、お前はこれで終わりだ! 行け、《従順の山猫星 タスク・ニャンクス》!」
次の瞬間だった。
男の掲げたカードより、《ニャンクス》が現れる。
「ふー、やっぱりデュエリストから力を供給すれば、安定するのにゃー。まあ良い。俺様の効果で超次元ゾーンから、ステラアームド・クリーチャーを呼び出すのにゃ!」
「へへ、ガキが。これが格の差だ!」
----------何だと?
レンは懐疑的になった。聞き覚えの無いカードタイプであったからだ。
さらに、それだけではない。
本当に空間が裂し、そこからクリーチャーが現れる。恐竜のようなクリーチャーだった。
それも、古代の時代に繁栄した獣脚類の恐竜に似ている。
「ステラアームド・クリーチャー、《邪帝類逆襲目 アクロガンドラー》を超次元ゾーンより召喚!」
《タスク・ニャンクス》の効果によって呼び出された《アクロガンドラー》が一度吠えれば、大地は虹色に染まっていく。
---------こいつの効果、まさか-----------!!
「《アクロガンドラー》の第一の効果。それは、俺のマナゾーンのカードの文明をオールレインボー、つまり五色にすることだ。ターン終了」
「《リュウセイ》をマナに捨ててまで出しただけはあるクリーチャーだな。しかし、それがどうした! その程度では動じないぞ!」
ぞくり、とした悪寒を隠し、強気にレンは自身のターンに移る。そして、自らが引いたカードを見て、一気に攻めへと転じた。
「僕のターン! 行け、《ジェニー》を進化! その刃、靄を払い、正義を貫き、そして美しくあれ! 《夢幻騎士 ダースレイン》、顕現せよ!」
効果により、自らの山札を3枚墓地へ送り込み、そしてクリーチャーを1枚回収する。回収したのは-------------新たな切札《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》であった。
「宣言してやろう。貴様は次のターンでジ・エンドだ」
「舐めるなよ」
にやり、と男は自信満々の笑みを浮かべた。
「”星芒武装”を使えば、お前ごとき簡単に叩き潰せるのにな----------!!」
そのときであった。ターンの初め、《タスク・ニャンクス》の身体が膨れ上がる。
「マナ武装5発動……俺様のパワーは2倍の8000となり、W・ブレイカーになるにゃ」
従順の山猫星 タスク・ニャンクス 自然文明 (7)
クリーチャー:ビースト・コマンド・ドラゴン 4000+
R・コア
このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、超次元ゾーンからR・コアを持つステラアームド・クリーチャーをバトルゾーンに出す。
マナ武装7--ターンの初めに自分のマナゾーンに自然文明のカードが7枚以上あるとき、このクリーチャーのパワーは2倍になり、シールドをブレイクする数が1枚増える(武装後にこの効果によって増えたパワーとシールドをブレイクする数は引き継がれる)
パワーと同時に、打点も増やしたニャンクス。元は非力であるが、自らの丸薬で肉体を強化したのである。
「《アクロガンドラー》とのコンボで、俺のマナゾーンのカードは全て、全文明になっている。よって、マナ武装も発動する。そして、《結界の面 ブオン》召喚! 貴様がさっき《キラー・ザ・キル》を手札に戻したのは当然、俺も分かっているからなぁぁぁ!!」
「くそっ!」
そして、と男は付け加えた。
《アクロガンドラー》が自らを奮い立たせるように咆哮する。
「《アクロガンドラー》で攻撃!! しかし、その攻撃を中止させ----------」
「--------何だと!?」
「代わりに、マナゾーンからカードを5枚墓地へ送り込み、《ニャンクス》へ星芒武装させる!!」
次の瞬間、岩のような《アクロガンドラー》の身体がバラバラになり、ニャンクスへ纏わりついていく。
そして、それとまるで融合するように《ニャンクス》の身体がどんどん恐竜のような姿へとなっていく------------
成す術もなく、レンはそれを見つめるだけであった。戦慄が襲い掛かる。
「武装完了!! 《恐竜皇帝 リンクス=ガルザード》!!」