二次創作小説(紙ほか)

Act5:格の差 ( No.93 )
日時: 2015/06/09 18:52
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 現れたのは、まるで樹木のような身体に亀裂が入った何かだった。しかし、直後。そこからオーラが溢れ出し、亀裂は口となり、目となり、鼻となり、龍としての姿へと変貌していく。
 いや、これはただの龍だとかドラゴンだとかそういう類ではなかった。
 ”恐竜”だ。
 目の前の敵は、恐竜そのものなのだ。
 しかし、レンにとって最大の不幸は、星芒武装を知らなかったことだろう。目の前で起こっていることに理解が出来ないのだ。
 ----------どういう、ことだっ!? 何もかもが全くわからん!! 

『星芒武装は、この俺が居た世界で開発された技術-----------!! 気に食わんことに、誰かデュエリストの力を借りねば、この世界では出来なくなってしまったがな、そんなことは今となっては、どうでもいい!! 前世で俺が受けた仕打ちに比べればなぁぁぁぁぁーっ!!』

 次の瞬間、《リンクス=ガルザード》が吠えた。
 その身体が、更に巨大化する。

『武装前の《タスク・ニャンクス》の効果で、パワー、シールドのブレイク数が上がっている場合、それらは全て武装後に引き継がれる! よって、今の《ガルザード》のパワーは22000のT・ブレイカーとなっているのだぁぁぁ!!』
「お楽しみは次のターンに取っておいてやる。ターンエンドだ」

 くっ、とレンは息を漏らした。目の前の敵のパワーは恐ろしい程に高くなっていた。
 対処するのは、無理かと思われる。

「くっ、まだだ!! 僕のターン、《ブラッドレイン》を進化!!」

 しかし、まだレンは諦めない。まだ勝利への可能性は残っているのだ。
 《ブラッドレイン》の脳天へ黒き稲妻が降り注ぐ。そこから、巨大で黒く禍々しい邪悪な悪魔龍王が顕現するのだ。
 

「殲滅せよ、魔界の王よ!! その眼に醜き悪を映し出し、滅ぼしたまえ!! 
《悪魔龍王 キラー・ザ・キル》!!」

 
 その邪眼に睨まれしものは死ぬしかない。破壊の限りを尽くす悪魔の中の悪魔なのだ。

「《キラー・ザ・キル》の効果発動!! 相手のクリーチャーを1体破壊する!!」

 そして、《リンクス=ガルザード》を睨もうとするが、それは《ブオン》によって阻まれた。
 セイバー:ドラゴンだ。
 ----------だが、次のターンを凌げば問題は全く無い。相手のマナは武装? の時に破壊し3枚しかないからな。厄介な大型は出てこられない!
 
「そして、《キラー・ザ・キル》でシールドをT・ブレイク!! 《ダースレイン》でW・ブレイク!!」

 敵にシールド・トリガーは無いようで安堵の息をつくレン。これで、一先ずは大丈夫だ------------と思われた。
 相手の男が尚、余裕の笑みを浮かべているのである。

「お前、調子に乗りすぎだ------------!! 俺のターン! マナをチャージし、マナゾーンから”4マナ”で《永遠のリュウセイ・カイザー》を召喚する!!」

 次の瞬間だった。男のマナゾーンの残る4マナが虹色に輝く。そして、それらのマナ数字が全て、「2」に書き換えられたのだ。
 この事態に、とうとうレンは疑念を口に出してしまった。

「な、マナゾーンからだと!? しかも、どういうことだ!? 4マナでどうやって8マナの《リュウセイ》を出せるというんだ!!」
「《リンクス=ガルザード》は1ターンに1度、マナゾーンからクリーチャーを召喚することが出来る、がそれだけじゃあない。俺のマナゾーンのカードは全ての色を得る上に、マナの数字を2か3に書き換えることができるのさぁ!!」

 まずい。一番恐れていた事態が発生してしまった。
 《リンク=ガルザード》の能力をまとめれば、マナの数字と文明を書き換えられること、そして1ターンに1度、マナからクリーチャーを召喚できるということ。これらの能力は非常にシナジーしており、1ターンに1度、好きなクリーチャーをマナゾーンから出すことができるということなのだ。
 次の瞬間、《キラー・ザ・キル》は《リンクス=ガルザード》に、《ダースレイン》は《リュウセイ・カイザー》に破壊されてしまう。
 さらに、レンのクリーチャーは出る度にタップしてバトルゾーンに出なければならないのだ。
 しかも、敵のクリーチャーは全てスピード・アタッカーになっている。

「くはははは、ターンエンドだぁぁぁ!!」

 今のレンの手札では、どうにもならない。
 絶望。これが本当の絶望なのか、とレンは思い知らされる。
 -----------生きたカードが無くとも、僕は勝てると言った。

「《爆弾団 ボンバク・タイガ》を召喚、ターンエンドだ……!」

 -----------だが、それは間違いだったのかもしれない。
 男が嫌な笑みを浮かべた。
 -----------僕は、何か間違っていたのだろうか。スミスが居なくとも勝てると思っていたのは全部間違っていたのだろうか。
 

「俺のターン。お前のおかげで手札も一杯だぜ! 4マナで《界王類邪龍目 ザ=デッド・ブラッキオ》を召喚!!」


界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ SR 自然文明 (8)
クリーチャー:ジュラシック・コマンド・ドラゴン 9000
多色マナ武装 5:このカードが自分の手札にあり、自分のマナゾーンにカードが5枚以上あって5文明がそろっていれば、このクリーチャーは「スーパーS・バック」を得る。(カードを自分のシールドゾーンから手札に加える時、そのカードを捨ててもよい。そうした場合、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚する)
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置く。
相手のドラグハートは龍解できない。
W・ブレイカー


「効果により、《ボンバク・タイガ》をマナ送りにする!! そして-----------!!」


 シールドが割られていくのがレンは感じた。
 破片がシャワーとなって、身体に襲い掛かる。肉が裂け、血が吹き出た。
 しかし、頭が朦朧として何も考えられなかった。

「《リンクス=ガルザード》でシールドをT・ブレイク!!」

 気づけば、シールドはもう無くなっていた。

「は、はは……」

 ----------皮肉だな-----------、無色ばっかり使っていたからか、こんなところで自分のシールドの枚数を”ゼロ”枚にしてしまうとは-------------
 S・トリガーは、無い。最早、彼に希望など残されていなかった。
 ----------くそっ。僕に力が……!! どんなものでも構わない、目の前のこいつを倒せる力があれば------------!!


「《界王類邪龍目 ザ=デッド・ブラッキオ》でダイレクトアタック」


 ----------これが、”格の差”か---------------!!
 剥き出しのレンの身体に、邪悪なる龍が全てを破壊するブレスを吹き付けた----------