二次創作小説(紙ほか)
- ピース1:トチ狂い ( No.1 )
- 日時: 2014/10/19 11:25
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)
ポケモントレーナー。ポケモンを使役し、育てる今ではすっかり人気の職業……。
この俺、ライガも正しくそれだ。今では癖の強いポケモンばっか揃えてる。まあ、色々楽しくやってるよ、一応。
最近は珍しいポケモンを探して、ここイッシュ地方の各地を歩き続ける毎日……。
何か知んないけど、プラズマ団とかいう黒服のふざけた連中は2年前に完全消滅したらしいし、安心してイッシュ一周旅行ができるというわけですよ。
いや、正確に言えば今歩んでいるのはイッシュ南方の離島なんだけど。
おっと刃が迫る。ヒラリとな。ふー、危なかった。まさか、こんな目に会うなんて少し前までは予測し得なかった。つーか、ヤバくね? 目の前にあった鍾乳石、まとめてポッキリ逝っちゃったけどね?
もーヤダなぁ、せんぱーい、鍾乳洞の鍾乳石は大事になさいってあれほど言ったじゃないですかヤダー。
……やっぱり、これ喰らったら死ぬくね? つーか、死ぬくね? 冗談抜きで死ぬくね? 大事なことなんで三回言いました、ハイ。
え? こんなときこそポケモン使えとな? 馬鹿いってんじゃないよお客さん。
んな暇あるかボケエエエ!!!
ふざけんなよ!? ふざけんなよ!? 確かに、俺だって一端だ。そこら辺のトレーナーに勝つ自身はあるよ? だって俺のポケモン強いもん!
でもね、でもね、一端のトレーナーだからこそ、勝てない相手も分かるのであって。普通のノーマルイズノーマルトレーナーの俺が勝てるわけ無いじゃん。
だって目の前に居るのは、”あの”ガブリアスさんですぜ? そう! 悪名名高いガブリアス。
攻撃高し、耐久高し、特筆すべきはその素早さ。
しかもそれが洞窟で出てくるとか、色々ふざけてんだろこの島はよ!
ボール投げるより、避けないと死ぬんだって俺!
ポケモンってのは、味方に回ってるときは頼もしいけど敵に回るとどうしてこうも厄介なヤツばっかなんだ?
何? こいつを捕まえるのが目的? 島の生態系を乱したポケモン? どっかの馬鹿トレーナーが、手ェ付けられなくなって逃がしたんだと?
ああ、それで本当なら野生じゃ出てこないポケモンが何食わぬ顔で出てきたわけね、納得だ。
知るかコラァ!! んなこたぁ、当の昔に分かりきってんだよ!!
はっきり言って、逃げ出したい。帰って、自分のポケモンを愛でまくって癒されたい。
だけど、横に着いてるこの青髪の女(アマ)がそれを許してくれない。
「ちょっとー、何逃げてばっかいんのよ、あんた。とっととポケモン出しなさいよ」
「るっせぇ!! お前も結局逃げてるんだろうが!」
バイザーつけた青髪の少女は、俺がこんな目に遭っているというのに、心配するどころか更に煽ってくる。
ああ、言わせて貰うよ? 同じポケモントレーナーとして物申させて貰うよ? ちったぁ助けろボケェ! あれ? 無視? だんまり? その耳は飾りか、畜生!!
この洞窟内を、2人して駆け巡ることになっちゃったんだから仕方が無い。何故ならこの女、P・ユニオンのミオとか言ってイッシュ地方のポケモンの生態を調べる組織の一員だと。
女っつっても、俺とそんなに変わらない年頃の少女だ。だけどな、少々自分勝手が過ぎる。俺をいきなり、「初仕事」とか言ってこんなところに連れてきたんだから。
確かに最近目立ちすぎた気がしなくもない。あらゆる大会に出ては優勝しまくって、その賞金でやりくりしていたからな。ジム? 興味ないな。
嗚呼、恨みますぜ? お父様。アンタが俺がチビの頃からポケモン教えた所為で、こんな”そこそこ有名な”トレーナーになっちまったんだ。
俺はポケモンバトル極めるんじゃなくて、ゆる〜く冒険できたらそれで良かったんだよ! 悔しいです! いや、此処は……何て日だ! か?
『ターゲット:ガブリアス
概要:トレーナーがあまりの凶暴さに手を付けられなくなって、この島に離したものと思われる。その刃から放たれる一閃は避けなければ最後、真っ二つ。速やかに捕獲してもらいたい。
危険度:7(最大7)』
ああ、哀しくなってくる。さっき渡された端末の情報を見る度に。まさか、人生盛り上げるためにやってきたつもりが、逆に三途の川の船に乗せられることになるとは。
いきなりスカウトされて、報酬美味しそうだとか、珍しいポケモンをまたゲットできる、とか微塵でも思った俺が馬鹿でしたよ、はいサーセン!
「もう、何やってんのよ。早くしないと、殺られるわよ! 私と、その前に来た相方なんて、手も足も出なくって、おっと危ない」
喋る途中に、ガブリアスが迫ってきたので、彼女は咄嗟に避けた。全く、逃避本能だけはハンパないらしい。
ああ、くそっ俺の方にまで刃が飛んできやがった! 流線形の滑らかなボディラインと両腕の刃が特徴的なドラゴン。
相手にとって、不足なし……だなんて言っていられない。
「ととと、やばいやばいやばい! ふぅ、で自分が手におえないようなヤツを俺に押し付けたのかよ!」
「請け負ってもらった、の間違いよ。現に私もこうして同行してるわけだし」
「おい、ところで俺が来る前に此処に来たやつってどうなった?」
「お空のスピードスターになりました☆」
ああ、なるほど。若干遠まわしだけど、お馬鹿の俺でも理解できたよ。お空の星ってことだね? ここじゃあ、全然見えないけど、きーらーきーらーひーかーるー♪ のアレだね? つまりは、今この地上にはいないってことだね?
ああ、星が見えてきた。何でだろう。ここ、洞窟の中なのに。何かチカチカする。
って、馬鹿野郎ォー!! 本格的に俺を殺す気か!! ああ、やばい。おかしい、この女明らかにおかしいよ。だって俺をこんなところにまでワザワザ連れてきたんだもん。
イカれてらい、超音波でも浴びすぎたんかね? すると、その女---------ミオが悪びれずに言う。
「嘘よ嘘、今は病院に入院してるわ」
「ねえ、やめてくんない? ホント冗談悪いよ君?」
「ま、このガブリアスは本格的に冗談抜きで強いってコトだけは理解していただけたかしら?」
理解したよ、理解したともさ。好い加減、縛った後に置き去りにされてえのか、この女は!
仕方があるまい。こうなったら、一か八かで投げるか。
「行け! ”リオ”!」
掛け声と同時に、腰につけていたモンスターボールの1つを投げた。スイカ状に割れたそれは、いつものように白いビームを射出する。
ビームはだんだん、形を作っていき、青い獣人を象った。来たよ来た。俺の相棒、波動ポケモンのルカリオ。ニックネームはリオにしてる。
性格は勇敢(意地っ張りとも言う)、忠実、まさしく犬をそのまま表したような感じだ。
よし、これで何とか対等に戦えるはずだ。
……ったく、本当にドコでトチ狂っちまったんだ!?
***
事のきっかけは、3時間前のサザナミタウンのバトル大会だった。
会場は大盛り上がり。何故って、北の地であるシンオウ地方のチャンピオン、シロナさんが主催なんだもの。
名づけて、”シロナカップ”!!
まんますぎる安直なネーミングだが、逆にその分かりやすい大会名に釣られてホイホイトレーナー達がやってくる。
まあ、ジム巡りすらせずポケモン収集を主にやっていた俺は、用心棒のポケモンで参加してみることにした。
……はっきり言って、拍子抜けだった。
どいつもこいつも、弱いやつばっか。サザンドラにバンギラスにマリルリ……いや、よく考えてみたら逆にこの面子相手に勝ちあがってこれた俺が凄いんじゃない?
「おめでとうございます! 優勝商品は、”神秘の腕輪
”です!」
神秘の腕輪、かあ。シロナさんも同じような腕輪をしていたな。
優勝商品とかぶっちゃけどうでもいいんだけど、受け取らないのもあれだ。一応。
見れば、その腕輪は黒くスポーティなデザインで、神秘なんかどこにも感じられなかったが妙な点が1つあった。
腕輪に妙な宝石が埋め込まれているのだ。
「シロナさん、この腕輪って?」
「さぁ、私も知らないわ」
とのこと。考古学者のシロナさんが知らないのだから、何か重要な秘密が隠されていたりとかそんなのは無さそうだな。
別にいいか。付けていて目立つものでもあるまい。デザインはこれでも結構気に入っている。
というわけで腕輪を腕に嵌め、とっととポケモンセンターに戻ろうかと思った----------そのときだった。
突然、浜辺の波が一気に高くなる。高波かと思ったが、違う。水面が高くなる、というより盛り上がっているのだ。
そして----------水が全て海へ還元された頃には、その元凶が姿を現す。
俺は一瞬、汗さえかくことも忘れていた。
顔には青いラインが何本も引かれていたことだろう。
何故かって?
目の前に脈絡もなく現われたのは、海の化物とも名高い凶暴なポケモン、ギャラドスだったからだ。
「って、おいいいい!?」
咆哮を上げた”化物”は、それこそ脈絡なしに襲い掛かってきたのだった。
『ポケモンDETA
ギャラドス:凶暴ポケモン
概要:分類に違わない乱暴な性格で、一度怒れば四方八方を全部焼き尽す。だが、いずれも野生のギャラドスが怒る理由は人間であるという……
体力:A 攻撃力:S 防御:B 特攻:C 特防:A 素早さ:B
要注意技:アクアテール、暴れる、竜の舞
危険度7』