二次創作小説(紙ほか)
- ピース2:海の凶暴王 ( No.4 )
- 日時: 2014/10/19 08:03
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)
『みなさーん、逃げてくださーい!! 今、浜辺にギャラドスが出現しています、逃げてくださーい!!』
というアナウンスまで掛かってきた。
いや、ヤバいよね? 仕方が無い、情けない気がしないでもないがこの騒ぎに便乗して逃げ-------------
「ライガ君、だったわね! 何とかあのギャラドスを追っ払いましょう!」
いや、ストップ! シロナさん、あんたそんなこと言ってるけど俺嫌だからね? マジで嫌だからね?
今すぐ逃げるんだよォォォしたいからね?
何てことを現チャンピオンの目の前で言う事も出来ない。
ああ、畜生。まことに不幸である。
しかもあのギャラドス、もう既に火炎放射のモーション入っちゃったけどね?
避けます。
んでもって、ボールに指掛けます。
そして、投げるっと!!
「頼むぜ、エモ! お前ならこいつを倒せるはずだ!」
投げられたボールからはモモンガ型のネズミ系ポケモンの一種、電磁波、静電気で道中歩むトレーナーからはうざがられているポケモン、エモンガである
『ポケモンDETA
エモンガ:モモンガポケモン
概要:薄い皮膜で滑空する。愛らしい姿で愛玩用としての人気も高いと思いきや、特性:静電気の所為でなかなか人気は伸びないのだとか。
体力:C 攻撃力:C 防御:C 特防:C 素早さ:A
要注意技:電磁波、アクロバット
危険度2』
でも可愛い。可愛いといったら有りはしない。
ニックネームは”エモ”。安直なかんじのニックネームが多い気がするんだよな、俺。
その円らな瞳、愛らしい尻尾、嗚呼こいつをポケモンセンターの宿泊個室の中で撫でまくる(そして静電気で痺れる)のが俺の数少ない楽しみなのに……。しかも運よく手に入ったのは♀だったからね? 余計愛着が沸くに決まってらい。
ごめんね、エモちゃーん、そんな冷めたような白い目で見ないで、うん。
ゲホン、少し語りすぎた。
とりあえず、此処は電磁波で……とやってる間にシロナさんは新雪ポケモンのグレイシアを繰り出してる。
俺がモタ付いてる間に冷凍ビームがガツンとギャラドスに炸裂。
倒せるまでには至ってないけど、これは痛いはず……。
……いや、これは全然効いてないパターンじゃないですか?
「エモ、10万ボルトで痺れさせろ!」
「グレイシア、目覚めるパワーよ!」
一撃。集中放火を喰らったギャラドスは倒れ……てない!?
どうやら、こちらの攻撃がヌル過ぎるらしい。
そんなこと言ってる間に向こうは火炎放射撃ってきたし。
浜辺が一気に抉れて……咄嗟に避けるけどこれは辛い。
「ッ---------!! エモ、電磁波で麻痺させろ!」
微弱な電気がギャラドスに流れる。
よし、これでやつの動きはある程度封じたはずだ。
麻痺状態になれば、素早さも下がる。
つまり、今のギャラドスと俺のエモの素早さの差は圧倒的!!
よし、ガブリアスをも超える俺のエモの素早さ、その目に焼き付けろ!!
「エモ、止めだ! エレキボール!」
「グレイシア、冷凍ビーム!」
電撃の玉とピンポイントに放たれた冷凍ビームがギャラドスを直撃した。
これやったよね?
一撃必殺。うん、良い感じだ。流石俺のポケモン。後でぎゅーって抱きしめてあげるか。
何とか終わったって感じだ。
よし、これで一件落着っと……。
***
「見ていたわよ、さっきの戦い!」
「は?」
俺は若干機嫌が悪そうに、目の前の少女に言った。
さっきまでの戦いを見ていたと言う事か。
場所はポケモンセンター。とっとと宿泊個室に行って休もうと思っていた矢先だった。
「あたしはミオ。P・ユニオンっていう組織の一員よ」
「P・ユニオン?」
「そう! イッシュ地方のポケモンの生態系を調査することから、それらを乱すポケモンを捕獲することまで、何でも請け負う何でも屋みたいなもの」
はぁ、興味がねえ。
「帰るわ」
「ライガ君……貴方結構有名なのご存知?」
「はい?」
足をふと止める。結構俺は有名らしい。最近、トレーナー戦での賞金や大会での副賞でやりくりしていたからな。
「幻のポケモンを追い求める、物好きとして」
「放っとけやい」
へっ、物好きで悪かったな! アバヨ! 俺そろそろ次の町に行って……何しようか?
そういえば、次やろうと思っていたことまだ決めてなかったんだよな。
あ、でも1つやりたいことは定まった。俺はさっき貰ったこの腕輪についての謎も解き明かしたい。
だけどアテがあるわけでもないしな。
「P・ユニオンは上層部が請け負った仕事を会員達にやらせて報酬を分配するというシステムだけど、それゆえに色んな所に行く機会があるわね。そしてあなたが追い求めているミュウに近づくチャンスも……」
「ミュウ!?」
図星だ。それこそ、俺が求めているポケモンで、全てのポケモンの始祖と呼ばれるポケモン。
たった1度だけ、迷った森の中で見た事があった。似たような光を。
その日から、俺はそれを目的に旅を始めることにしたんだ。
「つーか、何でそのことを!?」
「あんたが旅先で色々そういうのを聞きまわってるってのはもう有名な話よ」
仕方があるまい。やりたいことが定まったというのはある意味収穫だし、彼らに付いていけばミュウにも近づけるかもしれない。
「それじゃあ決定ね。まず、初仕事も兼ねてあんたの腕を試させてもらうわよ---------」
***
そして今に至る。後から聞けば、あのギャラドスはこの少女のポケモンだったらしく、本当に性根が悪い。
だけど一度やると決めてしまったのだから仕方があるまい。
それに、ミュウの件だ。珍しいポケモンの情報を掴むことができるなら、なんだってやってやる。
……はい、すみません。こんなこと言った俺が悪うござんした。まさかこんな危ないやつと戦わされるだなんて微塵も思いもしなかったんだ、うん。
「リオ、はっけい!!」
気合を込めた拳がガブリアスに炸裂。しかし、全く堪えていないように見える。
ふと----------ヤツの首に目が行った。
それに何だ? こいつの首に付いてるチョーカーは。明らかに自然の物じゃねえな。
はぁ、鬱。先が思いやられるぜ。
そうこうしているうちに、洞窟の出口が見えてきた。相手は追ってくるだろうが、広い場所、つまり外に戦場を移せば何とかなるはずだ。
そう思った矢先、
「ひゃあっ?!」
と甲高い悲鳴がする。
見れば、飛翔したガブリアスの尾に服が引っかかったミオが、そのまま連れ去られていく構図が。
まずい。洞窟の奥に逃げてしまったか。
つーか足手纏いになってるんじゃねえよ、おい!!
ちっ、どうするかなぁー?
どうするもこうするも、と言う話だがとにかくこれは……追うしかないか。
いや、でも元はと言えばこいつが悪いんだし……。
帰るか。
痛い痛い痛い、耳引っ張るな。流石リオ、女が攫われたにも関わらず目の前から逃げるのは理に反すと身をもって説きますか。
「行くぞ、リオ!」
ともかく、こんなことになってしまったんだ、最後までやるっきゃないだろう。
というわけで、俺は早速ガブリアスが逃げた方向にダッシュすることにしたのだった。
はぁ、できればこれに懲りてほしいところだが。