二次創作小説(紙ほか)

ピース3:洞窟の戦闘 ( No.5 )
日時: 2014/09/17 18:00
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)

 にゃろう、どこに逃げやがった? ガブリアスには特性:砂隠れが備わっている。この砂嵐吹き荒れる洞窟内では格好の隠れ場と言うわけだが。
 というのも、洞窟にはところどころから穴が開いており、そこから吹き抜けてくる潮風が洞窟内の砂を巻き上げて砂嵐を起こす-------------といった具合だ。

「やつの波動を感じろ! あぶりだすんだ!」

 リオが目を閉じて敵の生命エネルギー、つまり波動を感じている間に、俺も防塵用のゴーグルをつけて(ある地方ではポケモンの道具なんだとか)やつがどこにいったかを探す。
 来いよ、ガブリアス。人質なんか捨てて掛かってこい!
 ----------ふと、そこに影が見えた。
 あれだな?
 しゃぁ、やったぜ!
 
「これで、シメェだ! リオ、はっけい!!」

 え? マジ? アレやっちゃっていいの? みたいな顔でリオが振り向いたものだから、「とっととやれぇ!!」と怒鳴っておく。
 ふと映った影に拳を打ち込む------------ドガッ! バキッ! 主人公は今のバトルで確かな手ごたえをかんじた。レベルがアップした。
 うん、任務完了。後はあのガブリアスをおっ捕まえるだけ……。
 
 ***

 とりあえず、俺はとんでもないことをやらかしてしまったことに気付いた。
 おっさんが倒れていた。
 以上。
 帰るか。

 ……。

 いやいやいやいや、これヤバくね? ガブリアスと間違えて一般市民やっちゃった的な?
 おいバカ、リオ。お前の所為……え? 指示を出したお前が悪いみたいな顔された。あー、確かにそうだよな。
 ちょっとやめて、マジでその主人を見限ったみたいな顔。
 つーかこのおっさん、なんかどっかで見たような制服を着てる。

「おい、大丈夫か!?」

 あれ、なんかツレみたいな同じ服装の人がやってきた。いや、本当申し訳ないんで俺はここでさいならー……あれ? この人の後ろにまた誰かいる。
 何か寝てるっぽい? 傍にはキノコみてぇなポケモンの影が見えるな。

「う、うぐぐ酷ぇ、ブライトさんにも殴られたことないのに……」
「おいおい敵か?」
「あー、でも砂嵐の所為でよく見えないぜ。やっぱ石ころとか岩とかが壁が崩れて飛んできたんだろうよ、痛ッ……」

 今まで倒れてた方が起き上がった。
 いや、ブライトさんに殴られたやつのほうが少ないから。
 こいつら何言ってるんだ? 俺に突っ込んで欲しいのか?
 だけどこっちに気付かれていねえのは不幸中の幸いだぜ。
 
「しっかしよぉ、P・ユニオンの小娘をひっとらえたのは良いとして、どうすんだ? ”あいつ”の正体でも吐いてもらうか? 確かこいつ、ミオっていってかなりの有力人物らしいが大したことなかったな」
「ああ、それに連れてたポケモンはなかなかの上玉だ。ポケモン出される前に俺様のモロバレルのキノコの胞子で眠らせておかないと、あのギャラドスに俺ァやられてたところだったぜ」
「しかしあのガブリアスがあそこまで大人しく俺らの言う事を聞くなんてよ、流石幹部様の作った”輪”は強力だぜ」

 よく見れば、倒れている人影はミオだ。ガブリアスに攫われた後でどうしてこんなところにいるんだ?
 その辺の経緯がちょっと分からんな。
 それに話によると、野生のはずのあのガブリアスはこいつらの言う事をほいほい聞いてしまっている--------------まさかあのチョーカーか?
 だとすればだんだん飲み込めてきたぞ。
 とりあえず、やつらが悪党ってのは分かった。後はやつらの目的が謎なだけ……。

「とりあえず、ギャラドスやその他諸々のボールは回収するか」
「まぁそうだな。ボスに献上するには十分すぎる」
「確かに強いっすからねー、ギャラドス」
「ああ、そう思うだろ? よく分かってるじゃねえか」
「でもこんな危険生物がそこらの池で泳ぎまわっているこの世界ってどうなってるんすかね」
「確かに。シンオウ地方というところではそこらへんの池とかに生息してるらしいからな。進化前の生存能力が強いからだろうけどよ……って」

 -------------お前、誰?

 2人してこちらを向いてぽかんとしている。
 あ、どーもおっさん方、ちっすちっす。ようやく気付いたっぽい? ナチュラルに会話に入りすぎたのか、こいつらがアホなのか。
 あ、後者か圧倒的に。
 こいつらが悪党なのは分かったけど、いまどきこんなアホな悪党もいねぇよ。

「な、ななななななな!?」
「落ち着け、こういうときは素数を数えろ! 2、4、6、8、10……」
「バカヤロー、それは全部偶数だ! あのガキにアホだって感づかれるだろうが!」

 いや、今までのやりとりでてめーらがアホだって気付かないやつのほうがアホだろうが、ドアホう。
 帰っていいですか、本当マジで、冗談抜きで。
 違った。もうこの間にやっちゃっていいですか。

「リオ、はっけい」
「へぶし!!」

 よし、1人撃破、と。確かに頭にヒットした。倒れました。ひくひく、と痙攣しながらそこに倒れたまま動かない。
 おーい、生きてますかー、と言って踏みつけてみる。あ、呻いた。生きてるわ。

「お、おいぃぃぃ!! ダイレクトアタック!? ダイレクトアタック!? まさかのトレーナーのタブーやっちゃったよ、こいつ」
「悪党に外道と言われる筋合いはねェな、ああん!? こちとらその女のツレなんだよ、とっとと返せやゴルァ」
 
 わめくもう1人のおっさんにブルーな声で返しておき、とりあえず次の目標に狙いを定める。
 何か俺のほうがよっぽど悪役に向いてると思う。気の所為か。
 先手を打ったのは「も、もういい! モロバレル、キノコの胞子!」と言う声と共に動いた敵のモロバレルだった。



『ポケモンDETA
モロバレル:きのこポケモン
概要:アイテムに擬態する能力を持っているが、大きさ的に無理があるのはご愛嬌。しかし、カサから放たれた胞子はどんな敵も眠らせてしまうため、非常に危険。
体力:S 攻撃力:C 防御:B 特攻:B 特防:B 素早さ:E
要注意技:キノコの胞子、どくどく、ギガドレイン
危険度3 』



 わっさあ、と大量の胞子がリオを包み込む。それを思いっきり吸ってしまう前に地面を蹴って飛び上がった。
 ナイス回避! こっから反撃だ!

「よし、そのままメタルクローで畳み掛けろ!」

 鋼の爪でモロバレルを空中から切り裂かんとばかりに襲い掛かる。
 刹那、何も感じさせず、何もさせないまま--------------切り込んだ。

「------------!?」

 おっさんは呻き声も上げられない様子だった。
 まだまだここからだ。
 メタルクローは攻撃するたびに攻撃力が上がる! ここはもう一発食らわせる!!

「リオ、シャドークローだ!!」

 今度は影の爪が伸びた。
 そのまま地面を再びけり、向き直ったモロバレルを振り向きざまに--------------抜き去った。
 相手は呆気に取られていたままだ。
 一瞬でリオがモロバレルの後ろに回りこんでしまったからだろう。
 そしてモロバレルは前のめりになって----------倒れた。

「あ、な、ななな!?」

 うろたえるおっさん。だが、まだ残っている。
 あいつが!
 その証拠に、さっきから何かがこの辺りを徘徊している。
 まだ、終わりじゃねえってことか。

「格なる上は……!! おいガブリアス、で、出て来い!!」

 ギャオオオ、と咆哮が響くと共に、ザンッと何かがこの場所に踏み込んだ。
 肌があわ立ち、唇が乾く。ゾクッと首筋に二本のフシデが走る。
 とうとうボスのおでましってか!!



『ポケモンDETA
ガブリアス:マッハポケモン
概要:身体を折りたたむことでジェット機のような飛行が可能となる。さらに、飛ぶ際の圧に耐えられるように身体は軽いだけでなく、非常に頑丈である。加えて陸上での戦いにおいても比類なき強さを誇るポケモンだ。
体力:A 攻撃力:S 防御:A 特攻:B 特防:A 素早さ:A
要注意技:ドラゴンダイブ、砂嵐、穴を掘る
危険度7』



 対となる細い両腕を振り上げたガブリアスは、再び咆哮を上げた。首に取り付けられたチョーカー。
 あれがお前を縛っているっていうなら、俺がぶち壊してお前に自由をくれてやる!!
 あ、でも自由をあいつにやったらこっちの都合的にまずいか。依頼。
 だけど、俺は目の前で苦しんでいるポケモンから目を背けて逃げるほど、薄情じゃねえってことだ!!

「構えろ、リオ!」

 ヤツをキッと目で捉える。
 緊張感のようなものが走った。
 そして-------------手を振るう。
 ”行け”の合図だ。
 瞬間、リオと目の前のヤツは地面を蹴り、飛び出していた。