二次創作小説(紙ほか)

ピース8:切り裂く刃 ( No.16 )
日時: 2014/10/26 15:39
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)

 イワークは突然咆哮をあげると吼えて襲い掛かってきた。すぐさま、頭突きを避けて岩陰に隠れる。
 小石が飛び散って顔に当たった。痛い。

「そーだ、ギャラドス出せば良いじゃんお前」
「馬鹿ね、こんな天然のステルスロックのたまり場なんかに体が大きいギャラドスを出したら、すぐに傷だらけになっておしまいよ! それにイワークはとても防御力が高いから、物理攻撃が主体のギャラドスじゃどの道返り討ち!」
「仕方ねーな、また俺がやんのか?」
「私もそこまで薄情じゃないわよ」

 そういってミオはボールを放った。中からは直立歩行のカナヘビのようなポケモンが現れた。
 それも先ほど見たばかりのツタージャより一回り大きい。


『ポケモンDETA
ジャノビー:草蛇ポケモン
概要:地面をすべるように走る。素早さは一級品で、相手を翻弄し、攻撃を次々に当てていき、確実にしとめる。体が汚れると光合成ができなくなるため、綺麗好き。
体力:C 攻撃力:C 防御:B 特攻:C 特防:B 素早さ:B
要注意技:蔓の鞭、グラスミキサー
危険度:3』


「島での借りはこれで返させて貰うわよ! ジャノビー、グラスミキサー!」

 おお、これはすげぇ。ジャノビーが体を回転させてエネルギーによって作った木の葉を飛ばしていく。
 イワークにこれが炸裂。
 まあ、一撃必殺だよな----------と思ったそのときだった。

「グォォォォ!!」

 あれ、まだ動いてる。どゆこと。
 草タイプの技はイワークにとっては致命傷なんじゃないの?

「あ、あはは……イワークの特性って確か石頭と……頑丈だった気がする」

 いや、笑い事じゃないよね。頑丈って確か、どんな攻撃食らっても絶対に一度は耐える特性じゃありませんでしたっけ?
 何かヤバい。イワークの体が突然ボロボロと崩れ落ちたと思えば、無駄な角が取れて綺麗になって-------つまりロックカット--------すごい動きが機敏になってるし。
 んでもってイワークの尻尾が銀色に輝いているし。洞窟の壁を抉り取るついでにジャノビーへそれをぶつけた。吹っ飛びます。ホームラン。
 ああ、こりゃジャノビー戦闘不能だね、うん。

「ロックカットで素早さを底上げした状態からのアイアンテール、だな。今の」
「うう〜、ジャノビー戻って!」
「何晒してんだお前。てっきりこのまま勝つ流れかと思ったじゃねえかよ。一面ボスに手間取ってる暇じゃねえんだけど?」
「んなこと言ったって、今のあたしの手持ちはギャラドス、スワンナ、ジャノビーの3匹だけだし!」
「何その編成、偏りまくりじゃねえか! 岩と電気がぶっ刺さりだよ!」
「っさいわね! そのためのジャノビーだったの! たった今やられちゃったけど」

 ああ、とりあえずリオを投げれば倒せる……けどあいつはロックカットでさらに速くなっている上に地面タイプだ。真空波を撃とうとしても障害物だらけのこのヤーコンロードで当たるか分からんし、地面に潜られたらアウト。
 なら、こっちも新入りを使わせてもらおうか!

「ミルマ! お前の出番だぜ!」

 ミルマ、そう昨日貰ったミジュマルに付けた名前だ。ミジュマルからジュを抜いて並び替えただけだな、うん。
 それはさておき、この戦線。こいつで勝たせて貰うぜ。
 
「頼むわよ。ここでアンタまでやられたら洒落にならないわ」
「バーロー、こいつなんかリオの手を煩わせる程でもねえってことだ」

 本当は地面技が怖くてチキっただけなんだけどな。

「つーわけでミルマ! 水鉄砲だ!」

 口から高圧の水を噴出し、イワークへぶつけようとするも、とても速い動きで地面に潜り、そのまま足元から再び現れる。
 流石、元々地中に生息してるだけあって地面の中に潜る速さはガブリアスの比じゃないな。
 けど、甘い!

「ミルマ、シェルブレード!」

 相手は頑丈でぎりぎり耐え残っているだけ。
 だが、ミジュマルの体内のカルシウムでできた貝状の武器、その名もホタチ! この切れ味は並の岩くらいすぐに通しちまう、つまり体のどこでもいいからこれをブチ当てれば良いってことだ!
 水を纏ったホタチがイワークの胴を切り裂く! いや、もう本当に言葉通り。スパン、と斬れました。
 ホタチから溶け出した成分が研磨剤となっているからシェルブレードの威力は申し分ない。
 この通り、岩はおろか鋼でも切断できるとな。
 バランスを崩した巨体が転げ落ちて、頭を地面にぶつけたかと思うと動かなくなった。
 ま、気絶してるだけだし、岩食ったら体を再生させるらしいからとっとと行くか。

「一丁あがり、と」
「うぐぐ、また借りができちゃったわね」
「馬鹿いうな、俺らは仲間だぜ? 迷惑掛けあうもんだろーが」

 お、我ながら良いこと言った?
 ……あれ、ミオさんもう先に行っちゃったぽい? 待ってくれー、道に迷うから。
 おーい、ちょっと待って、おーい。

 ***

「これは……」

 ミオは思わず声を上げた。それは何とも酷い惨状だった。作業員たちはうつぶせになって何人も倒れており、ポケモン達も怪我をして倒れていた。
 ああ、酷い。本当に酷いとしか言い様が無い。ふつふつと怒りさえ沸いてくる。
 こんなこと、一体全体誰がやったんだって話だが、目の前に後から掘られたと思われる穴があること、そして----------

「おいおいガキ共、何しに来た?」
「まさか入り口のイワークぶっ倒してここまで来たんじゃあるまいね」

 男女だ。それも見覚えのある服装に、黒い翼のエンブレム。
 直感したね、こいつら黒き翼軍の面子だって。

「それはこっちの台詞よ。大の大人が揃いも揃って探検ごっこしに来たんじゃないわよね」
「ああ? こちとら仕事で来てんだよ、バーロー! んでもって、我らがボスの崇高な目的をてめぇら雑魚に教えるまでもねえってこった!」

 男が吐き捨てるように言った後、モンスターボールを投げた。
 ああ、またこれですか。まあそうなるよね。
 中からはポケモンが現れる。

「やっちまいな、マクノシタ!」
「出番よ。ラクライ!」

 中から現れたのは確か……根性ポケモンのマクノシタ、そして稲妻ポケモンのラクライだった。どっかの本で見たことがある。
 俺の記憶が正しければ、2匹とも、このイッシュ地方には生息していないポケモンだ。
 しかし、E・ナビは今までのポケモン図鑑と一線を超えるのは、インターネットを使うことによってさまざまな地方のポケモンも調べられることらしい。
 即座に目の前の2匹をスキャンして情報を集める。すると---------


『ポケモンDETA
マクノシタ:根性ポケモン
概要:どんな稽古にでも耐える不屈の精神を持つ。大木にぶつかって、鋼のように丈夫な肉体を作り上げていく。筋肉は分厚い脂肪に覆われている。
体力:C 攻撃力:C 防御:E 特攻:E 特防:E 素早さ:E
危険度:3
要注意技:突っ張り、当て身投げ』



『ポケモンDETA
ラクライ:稲妻ポケモン
概要:長い体毛に電気をためている。電流で足の筋肉を刺激して、爆発的な瞬発力を生む。
体力:D 攻撃力:D 防御力:D 特攻:C 特防:D 素早さ:C
危険度:3
要注意技:電気ショック、電光石火』

 
 おー、出てきた。流石、文明の利器ってのは凄いね。惚れ惚れするよ。どうやら電波を感知する範囲がとても広いらしい。
 さて、ぱっと見、能力だけならマクノシタが見劣りしている。だが、特性云々を考えると何してくるか分からんからな。

「外の地方から密輸されたポケモン……か」

 見ればミオも既に臨戦態勢に入っていた。ここはもうやるしかないだろう。

「頼むぜ、ミルマ! もう一回、出番だ!」
「今度こそ頼むわよ、ジャノビー!」

 2対2のタッグバトルという構図。やつらが何を考えているか知らねえが、こいつらと幹部とやらをぶっ飛ばして今度こそ目にモン見せてやる!