二次創作小説(紙ほか)
- ピース9:リベンジ ( No.17 )
- 日時: 2014/10/29 07:05
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)
「ねえ、ライガ。1つだけ困ったことがあるのよ」
臨戦状態になったところで話しかけられて少しびっくりした。
いやいや何が困ったんだって話だ。あのラクライをジャノビーで倒して、マクノシタをミルマで倒す。エモの方が良いかも知れないけど、さっきミオが言ったようにこの洞窟の岩はかなり鋭利でしかも崩れやすいらしい。
万が一エモに降りかかってきたらアボンだよね。何かさっきも俺の頭に振ってきてぐさり。
怪我したところにまた穴が開いちまったって訳。包帯を二重に巻いてる。ああ哀れ、また病院行き。
後はラクライの特性って避雷針と静電気のどっちかだから不用意に電気技を撃ったらまずいからな。
というわけで鍛えておきたいミルマにした。用心棒ならもうちょい心強くしたいよね。電気技はジャノビーを盾に……ゲフンゲフン。
いや、話を戻そうか。
「とりあえず、ラクライはジャノビーで伸したら何とかなるの。ただ、問題はマクノシタ。特性が厚い脂肪か、状態異常で攻撃力が上がる根性のどちらかだけど、その判別がつかない。もし厚い脂肪なら蛇睨みで麻痺させることができるんだけど、そこらへん頼むわよ」
「サンクス」
にしてもカラーリング的にどっからどう見てもピカチュウの変種に見えるんだけどね、俺は。
「おいおいテメーら。チキって、そっちから来ないんだったらこっちから行くぜ! マクノシタ、ジャノビーにバレットパンチ!」
くそったれ、来やがった!
つーか誰がチキンだっつーの。
「ミルマ、間に入ってシェルブレードを食らわせろ!」
とはいっても流石に弾丸拳に追いつくわけないよね。弾き飛ばされてそのままアボン……と思ったら、体勢を立て直した。
まあそれも考えての突撃だよ。
水タイプに鋼タイプの技は効果いまひとつ、んでもってこっちからも打点はある!
「ミルマ、もう一回シェルブレード!」
「ラクライ、雷の牙!」
うおっと、横からラクライが来やがった。やっぱこいつだすのはあれだったかなー、うん。
でもさ、仲間なら時には無茶な戦いにも何とやら、って言うじゃん?
それにさ、何の策もなしに突っ張らせないんだよな!
「ホタチで守れ!」
ラクライの牙はホタチに突き立てられたが、生憎ホタチは電気を通さない。
ホタチで攻め、ホタチで守る。どうだ、これこそ最強の戦法--------
「マクノシタ、叩き落とす」
バシン、とマクノシタの平手が炸裂した。
ギャース、何てことするんだ。ホタチを地面に落としちまったじゃねーかぁぁぁ。
ああ、どーしよー、どーしよー、終わりだー、世界の終わりだー。
「全く、隙が多すぎよ。ジャノビー、グラスミキサー!」
木の葉の旋風がラクライとマクノシタを吹き飛ばした。
おお、すげえ威力だ。
さすが、エリート自称してるだけはあるね。
「ホタチに頼りすぎよ」
「わりぃわりぃ……」
やれやれ、とジャノビーもミルマに呆れたようなそんな感じの視線を送ってる。
一方のミルマは……あれ、何かおかしい。
目の形ハートになってない?
惚れた? もしかして惚れたのか!?
そういやタマゴグループが両方共陸上だったような……。
「あー、もうっ、イライラするわねえええ! ラクライ、放電!」
「マクノシタ、突っ張りだっ!」
2匹が襲い掛かる。
ああ、でもさ。イライラしたらいかんよ?
ゴリ押しはいつか自分の身を滅ぼしますぜ?
「ミルマ、マクノシタにシェルブレード!」
「ジャノビー、ラクライに叩き付ける攻撃!」
マクノシタの体にミルマがシェルブレードを叩き付ける。
が---------ぶよぶよした脂肪に阻まれて攻撃が通らない。
「げぇっ!?」
「へははは、やぁーっと気づいたか! 俺様のマクノシタの特性は”厚い脂肪”! ぶよぶよとした脂肪に阻まれて攻撃が通らないだろう!」
「ジャノビー、”蛇睨み”」
え、という気が抜けた隊員の声と共にジャノビーが恐ろしい眼でマクノシタを睨み付けた。
ぞくっ、とマクノシタは怯えただけでなく、ビリビリと痙攣したかと思うと跪いてしまった。
「そっちから特性をバラしてくれて良かったわ。根性なら攻撃力アップでアボンだもの」
「こ、このクソガキィ、舐めた真似を!!」
ナイスだぜ、ミオ!
マクノシタは動けなくなったが、今度はラクライが飛び出してくる。電気タイプはマヒ状態にはならないのが厄介だ。だけど、今度はこちらから奇襲を仕掛ける!
「さっきまでの”お返し”キッチリ返させて貰うぜ! 100万倍返しにしてな!」
「ラクライ、放電攻撃---------!!」
女の隊員は慌てて指示を出す。だけど遅い。”さっきの攻撃の分”、きっちりこいつにぶつけてやるぜ!!
「ミルマ、リベンジ!!」
ドゴッ、と気持ちの良い音が響いてラクライの体が傾いた。
ミルマが思いっきりラクライに頭突きを噛ましたからな。
それも、”リベンジ”でさっきの攻撃の恨み込みで特大ダメージを食らわせてある。
案の定、紙耐久のラクライはそこで伸びていた。
「マ、マクノシタ、突っ張り-------!!」
「ジャノビー、メガドレイン!」
プッ、とジャノビーの口から種が飛んでいき、そこから蔓が延びてジャノビーの右手に巻き付いた。
そのまま、マクノシタの体から体力を吸い取っていく。
とうとう力尽きたのか、デブチュウならぬマクノシタはばったり倒れたね。うん。
「あ、あばばば」
隊員たちは後ずさってポケモンをボールに戻すと、洞窟の奥へと逃げていった。
全く、さっきまでの威勢はどこに行ったのかね。
「さて、あの穴の奥に連中がいるのは間違いないな」
「セキュリティー・イッシュに連絡を入れておくわ。洞窟の奥からでも無線連絡ができるE・ナビって本当に便利ね」
***
ヤーコンロード、奥深く。
1つは鋼の像。
もう1つは氷の像。
岩像の目覚めに呼応したのか、奇妙な電子音と共に動き出した。
ピロロロ……レジ……レジスチ……ル……
ピロロロ……レジ……レジアイ……ス……
そしてその更に奥深く眠る巨大な像。
ピコーン、と複眼のような目が光り、巨大な腕が動き出した----------