二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.113 )
日時: 2015/03/17 23:00
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第39話「重ねた絆と恐怖」

止めるとはいいつつもどうやって止めるのかが分からない。

「私…ちょっと心当たりがあるから探してきます」

「ウェンディ!待ちなさい!!」

「あ、俺も行くから!」

バタバタと出ていくウェンディ、シャルル、イル。
何だろうと思っていると突然聞こえてきたリチャードの声。
ミッドナイトは倒せなかった。彼らの力でミッドナイトを倒せ、と。
彼は王の間の真下。
それを聞いた一同は走り出す。

「…おい、リンどうしたんだよ?」

ただリンだけはそこから動かなかった。

「いや、先に行っててくれ。考えたいことがある。気をつけてな…」

「分かった」



グレイの姿が見えなくなるとリンは1つ溜息を吐いた。

「なぁ、フェーリ。あいつらは本当にオレの事に気付いていないと思うか?」

「そうですね…少なくともブレインとミッドナイト以外には気付かれてなさそうですよ」

本当はこの作戦に参加なんてしたくなかった。
リンの正体がバレるかも知れないから、だ。
六魔将軍オラシオンセイスと対面するのはこれが初めてとはいえ幼い頃の顔は割れている。
新聞にも載っていた。
調べればすぐに“スイレン”だと言う事がバレるだろう。

「もう…全て話して楽になってしまいたい。だけど怖いんだ。今の関係がなくなる事が。
妖精の尻尾フェアリーテイルから追い出される事を覚悟に入ってるのに…オレは……」



弱い奴だよ、と呟いた。

その時、いきなり地下の方から爆発音が聞こえてくる。
真下にはグレイ達が向かったハズだ。
あれはやはり罠だったのか、とフェーリはリンを掴み地下へと急ぐ。


その頃、地下では傷だらけになり倒れるジュラの姿。
罠からグレイ達を守る為に1人、盾となったのだろう。

「やれやれ…」


そんな彼らの元に、また新たな刺客。

「ブレインめ…最後の力をふりしぼってたった1人しかしとめられんとは……」

それはブレインが持っていた杖だった。
どうやら喋る事が出来るらしい。
クロドアと名乗った彼が言うには、自分は七人目の六魔将軍。
連合軍を片付けるために眠りから覚めたらしい。


「そろそろ奴等のギルドが見えてくる」

「それって化猫の宿!?」

「その通り。まずはそこを潰さん事には始まらん」

化猫の宿を狙う理由…それは……
その昔、戦争を止めるためニルヴァーナを作った一族がいた。
それが、ニルビット族。
しかし、ニルヴァーナは彼らの想像を遥かに越えるほどに危険な魔法であったために
自分達で封印を施したという。

ニルヴァーナが悪用されないためにと、彼らは何十、何百年と封印を見守り続けた。


「そのニルビット族の末裔のみで形成されたギルドこそが、化猫の宿」


奴らは再びニルヴァーナを封じる力を持っている。
だから滅ばさねばならんのだと、クロドアは言った。

全て話終えるとクロドアはいきなり攻撃を仕掛けてくる。
たかが棒切れ、と油断していた一同がすぐに体勢を立て直す。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.114 )
日時: 2015/03/19 16:55
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


「六魔が…全滅!!?」

しかし、いきなり怯えだすクロドアの姿。

「いかん!いかんぞ!!あの方が…来る!」

「何だっていうんだよ」


ブレインにはもう1つの人格がある。
知識を好み、"ブレイン"のコードネームを持つ表の顔と、
破壊を好み"ゼロ"のコードネームを持つ裏の顔。

その裏の顔があまりに凶悪で強大な魔力の為に、ブレインはその存在を6つの鍵で封じたのだという。

それこそが、六魔将軍。

「生体リンク魔法により、六つの"魔"が崩れる時…"無"の人格は再び蘇る…」


瞬間、クロドアは地面にひれ伏した。

「お…おかえりなさい!マスターゼロ!!」

「ずいぶん面白ェ事になってるな、クロドア。あのミッドナイトまでやられたのか?」

「申し訳ありません!」


歩いてきたのは六魔将軍のマスター。
ゼロ。
その魔力の大きさに誰もが危険人物だと分かった。

「マスターとして、俺がケジメをとらしてもらうぜ」

彼が倒れるジュラを攻撃しようとする。
形あるものを壊すのが楽しいのだと。

グレイがすぐに盾を展開するがあっさりと貫通されてしまう。
次々とやられていく仲間達。

手の出しようがなかった。
既に意識のない彼らに攻撃を繰り返すゼロ。

「グレイ!ナツ!ルーシィ!!…ハッピーとジュラも…どうなってやがる、お前は……」

そこに現れるはリンとフェーリの姿。



「ほぅ…何処かで感じた事のある魔力だ。誰だったかな」

「ゼロ……」

「ガハハハッ関係ないか!どうせ壊れるものだ」

「フェーリは離れてろ!」

氷を造形しリンは彼へと立ち向かう。


+++


「ジェラール!!」

「エルザちゃんも一緒みたいだよ」

ミッドナイトを倒した後のエルザ達に近寄るウェンディ達。
ジェラールなら止める方法が分かるかも知れない、とここまで探しに来たが…。
これ以上、打つ手がないと彼は言った。

「それじゃ私たちのギルドはどうなるのよ!もう…すぐそこにあるのよ!!」

“ゴゴゴ”と音がするとニルヴァーナの発射口は光りだす。
そこから魔法を化猫の宿ケット・シェルターに打つつもりなのだろう。
それは数秒もしない内に魔力が溜まり、発射される。
誰もが覚悟していたその時、いきなりニルヴァーナの足が攻撃され魔法がハズれる。

上空を見上げればそこには魔導爆撃艇、天馬クリスティーナの姿。

「“聞こえるかい!?誰か…無事なら返事してくれ!!!”」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.115 )
日時: 2015/03/21 18:45
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


突然聞こえてきたのはヒビキの声だ。
それに、エルザ、ウェンディ、イル、一夜が無事だとそれぞれ伝える。
1度、撃墜された天馬の翼はリオンの魔法で補い、シェリーとレンの魔法で操っている。
さっきの一撃はイヴの雪魔法だ。

しかし彼らも魔力の限界。船からの攻撃はもう出来ない。
力を失った天馬は地へと落ちていく。


「“僕たちの事はいい!最後にこれだけ聞いてくれ!”」

時間はかかったがようやく“古文書アーカイブ”の中から見つけたのだ。
ニルヴァーナの止める方法を。


ニルヴァーナの足のようなものが8本。
その足は地面から魔力を吸収するパイプのようになっている。
その魔力供給を制御する魔水晶ラクリマが各足の付け根部分に。
その8つを同時に破壊する事でニルヴァーナの全機能が停止。
1つずつでは他の魔水晶によって修復されてしまう。

「同時にだと!?どうやって!?」

「“僕がタイミングを計ってあげたいけどもう……念話がもちそうにない”」

天馬が完全に地面へと墜落したのか、ヒビキの呻く声が聞こえた。


「“君たちの頭にタイミングをアップロードした。君たちならきっとできる!信じてるよ”」

その時間は20分。
次のニルヴァーナが装填完了する直前だ。

「“無駄なことを…”」

急に入って来たのはゼロの声。


「“聞くがいい!光の魔導士よ!俺はこれより全てのものを破壊する!
手始めに仲間を3人破壊した。

滅竜魔導士ドラゴンスレイヤーに氷の造形魔導士、星霊魔導士それと猫もか。
もう1人の氷の造形魔導士は壊し損ねたがしばらく動けんだろう”」

「“ナツくんたちが…!?”」

「………」「そんなのウソよ!!」


「“っ…それが、嘘じゃねー…んだ、ウェンディ……”」

途切れ途切れに聞こえて来るはリンの声。
息切れも激しく喋っているのもやっとなのだろう。

「「リンさん!/セーちゃん!」」

「“気を、付けろ…あいつ…ゼロは……その魔水晶ラクリマの…どれか、1つにいる…”」

「“ワハハハ!その通り!俺がいるかぎり同時に壊すことは不可能だ!!”」


それだけ聞こえると、彼の声はプツリと途切れてしまった。
ゼロと当たる確率は1/8だ。
このメンバーだと怪我の少ないエルザではないと勝負にならない。

「待って!8人もいない……!?魔水晶を壊せる魔導士が8人もいないわ!!」

シャルルの言葉で急ぎ、数を確認する。
エルザ、ジェラール、イルで3人。一夜とリンも行ける、と5人だ。
残り、3人。



「“グレイ…立ち上がれ……おまえは誇り高きウルの弟子だ。こんな奴等に負けるんじゃない”」

「“私…ルーシィなんて大嫌い……いつも一生懸命になっちゃってさ…
死んだら嫌いになれませんわ。後味悪いから返事しなさいよ”」


「ナツさん…」「オスネコ…」「ナツ…」


「“僕たちの…声が…”」


「“聞こえてる!!!”」