二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.15 )
日時: 2014/10/18 19:33
名前: 紫苑有栖 (ID: y.72PaHC)
プロフ: つきからこぼれるしずく

第3話「月から零れる雫」

「見れば見るほど不気味な月だね」

ハッピーは窓から月を見上げていた。
ルーシィは月の光を浴びすぎるとあたし達まで悪魔になってしまうのよ、
と窓を閉めさせる。

ナツと服を脱いだグレイはさすがに月を壊せってのもなぁ、と悩む。

「そういえばリンは?」

ルーシィがリンがいない事に気付き問いかけた。
グレイが言うには何か村長に聞きたいことがある、と言って出て行ったらしい。


「グレイにだけ行き先を言うなんてねー…
ホント、ナツと違ってリンとは仲良いわね」

「当たり前だろ?幼馴染みみたいなもんだからな」

「へー、そうなんだぁ」

と、ルーシィは納得する。
その時ちょうどリンが帰って来た。


「おかえり、リン!何を聞きに言ってたの?」

今までに心を奪われた人数と何年前からそんな姿になってしまったか。
リンはそう答える。

「さすがに月を壊せってのはちょっとな…無理があるし」

取り敢えず情報を集めよう、と聞き出していたのだ。
今までに心を奪われたのは船乗りのボボのみ。
姿が変わってしまったのは3年前から。


「まだ情報は全然足りなそうね…」

「よし!だったら明日は島を探検だ!!」

今日は寝るぞ、とハッピーとナツが布団の中へ潜り込む。
グレイやリンも同じく寝るようだ。

部屋にはイビキが響く。グレイに至っては全裸。
リンとフェーリは隅っこの方で静かに眠っていた。


ただ1人、ルーシィは寝付けないみたいだが…。


翌朝。
太陽がまだ登ったばかりという時間にナツ達は起こされていた。
早い、と文句を言う2人。
グレイは服を着なおしている。

門番へ月を壊す前に島を調査したい、と門を開けて貰う。

「何だよォ!昨日あれだけ月を壊すのは無理とか言ってたのによォ!!」

「無理だよ。村の人の手前、壊すって言ったんだよ」


それに壊せるとしても壊さない。
月見など月関係のイベントが出来なくなってしまうからだ。

ルーシィは時計座の星霊、ホロロギウムの中に入り大声を出すなと注意した。

「相手は“呪い”なのよ。実体がないものって怖いじゃない!
………と申しております」

そんなことも気にせず前向きに考える3人。


「さすがS級クエスト!燃えてきたぞ!!」

「呪いなんか凍らせてやる。ビビる事ァねぇ」

「本当に呪いかどうかも怪しくなってきたしな」


「ホンット、アンタらバカね…と申しております」

ハッピーもホロロギウムの中に入りたいの声でハッピーも中へ。
その時、“ガサガサ”と何かが近付いて来る音が聞こえた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.16 )
日時: 2014/10/18 19:32
名前: 紫苑有栖 (ID: y.72PaHC)

「チュー」

出てきたのは巨大なネズミ。
巨大ネズミは何かを吐き出すつもりなのか口を膨らます。
グレイが盾で防ごうとするが吐き出したものは臭い息。
ホロロギウムも倒れてしまった。

ネズミは笑い、それぞれが鼻を塞ぐ。


「くっせ…」

リンに限っては臭さのあまり、涙が出て来てしまっているようだ。
更にネズミは突然追い掛けて来て逃げ出す一同。


「フェーリ、大丈夫かお前」

「何とか」

それを聞いて安心したリンは上だ、と声を上げる。
フェーリはリンを掴み空へ。

「アイスメイク……岩石ブロック


複数の岩の形どった氷がネズミの動きを止める。

「よし!ナイスだリン!」

「今のうちにボコるんだ」


2人でネズミを襲い気絶。
リンはナツ達の所へと降り立つ。

そのまま進むと建物を発見しその中へ。

「うわー広いね…」

「ボロボロじゃねぇか」

「いつの時代のモンだコリャ」

建物には月みたいな紋章が掘られていた。
ハッピーは骨を見つけて喜んでいるようだ。

それにしてはボロいな、とナツが“ガン”と地面を蹴る。
ベコンと音がして床が壊れ下へと落ちて行く。


「貴方は一体こんな時に何を飲み込んだんですか!?」

「ふごふご」

ハッピーはさきほど見つけた骨を飲み込み喉に詰まったらしい。
それをフェーリが取り出そうと頑張っていた。

そのまま何も出来ずに落下。
しかしそれほど高いという訳でもなく、みんな無事のようだ。

「取れましたよ…、」

「神ッ!」

ハッピーの骨も無事に取れ、ナツはさっそく探検しようぜと舞い上がる。
しかし、すぐにナツの動きは止まり目を見開いた。

その姿に全員がナツの視線の先を追う。

「でけえ怪物が凍りついてる!!!」


それは悪魔。

リンとグレイがその姿に動揺する。
どうして“デリオラ”がここにいるのか、と。

「ねぇ…何なのコイツは!?」

「デリオラ…厄災の悪魔だよ……」

ルーシィの問にリンはそう答えた。
すると奥から近付いてくる足音。
岩陰に隠れて待つと現れたのは青年が2人。
侵入者を探しに来たようだ。


「オマエ、月のムーンドリップ浴びてね?」

「浴びてねえよっ!」

“月の雫”という言葉に反応するルーシィとリン。
奥からまた1人、近付いてくるそれはシェリーと呼んだ。


「アンジェリカが何者かの手によっていたぶられました…」

「ネズミだよっ!!」

「ネズミじゃありません…アンジェリカは闇の中を駆ける狩人なのです。
そして愛」

侵入者か、とユウカと呼ばれた青年は呟いた。
もうすぐ月の光が集まるというのに何と言うことだとシェリーは言う。


「零帝様のお耳に入る前に駆逐いたしましょう。
そう…お月様が姿を表す前に……」

そう言ってその場を去っていく3人。
姿が見えなくなったのを確認し、リン達は岩陰から出る。

「くそ…あいつ等デリオラを何のためにこんな所に持ってきやがった」


リンはそっと凍りついてるデリオラの近くへ寄り、手を添えて目を閉じた。

デリオラは北の大陸の氷山に封印されていた。
10年前、イスバン地方を荒らし回った不死身の悪魔。


「俺とリンに魔法を教えてくれた師匠。
ウルが命をかけて封じた悪魔だ」

この島の呪いとどう関係しているのかは分からない。
これはこんなところにあってはいけないもの。

「零帝…何者だ…ウルの名を汚す気ならただじゃおかねぇぞ!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.17 )
日時: 2014/10/22 18:10
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)

ウルが封じた悪魔。
元々北の大陸にあったものがここに運ばれた。
島の呪いはこの悪魔の影響なのか。
それも考えられない訳じゃない。

この悪魔はまだ生きているのだから。

「そーゆー事ならこの悪魔をぶっ倒してみっか」

「あんたは何で力でしか解決策を思いつかないのよ」

ナツは氷へと近付く。
その瞬間にグレイはナツを火の魔道士が近づくな殴りつける。


それに驚きリンは閉じていた目を開けて振り返る。

「氷が溶けてデリオラが動き出したら誰にも止められねぇんだぞ」

「グレイ、落ち着け。これはそんな簡単に溶けるものじゃないだろ?」


溜め息をつき、呆れるリン。
グレイははっとして下を俯いた。

凶暴な奴だな、とナツは言うが言える立場ではないだろう。

「…ウルさんはこの悪魔に絶対氷結アイスドシエルって魔法をかけた」


それはいかなる爆炎の魔法をもってしても溶けることのない氷。

「溶かせないと知っててなぜこれを持ち出した…?」

「月の島…ガルナ島。ここなら条件が揃ってる。
“月の雫”、それこそが絶対氷結を溶かせる唯一の方法」


「バカな!?だって絶対氷結は…!」

「月の魔力はどんな魔法でも解除する力を持っている。
詳しくは知らないけどな」


「! …くそっ」

「でも一体、何のために溶かしているのかしら?」

分からない、と答えるリン。
するとさっきの奴らを追えばいいとナツは言う。
だけどグレイは月が出るまで待つらしい。


「その月の雫ってのがどんなもんなのか。
呪いに関わってくるのか確かめてえ」

ナツは夜まで待つなんて死ぬ、
と言葉にだすがしばらく経つとすぐに寝てしまった。

ルーシィは暇だと琴座の扉、リラを呼び出す。
リラは適当に歌う、と琴を奏で始める。



“生まれる言葉…消えゆく言葉…”
“あなたの中に 生き続ける言葉”
“立ち止まりそうな時 勇気へと変わる”
“さあ 歩きだそう”
“あの時よりあなたは 強くなっているから”
“もう 迷わないで”
“あの時の言葉を… 信じて…”

その歌に何かを感じたのか、グレイが涙を流す。
それを誤魔化すように誰か来たらどうすんだ、と怒鳴った。


+++

“ゴゴゴ”と音がする。
天井を見上げるとそこは開いていく。

開いた天井から差し込むのは紫色の月の光。
それはデリオラへと当たる。


偶然なんかじゃないんだと一同は光の元を探しに走り始めた。

光の元にいたのはたくさんの人々。
何かの儀式を行っているようだ。
ベリア語の呪文、月の雫を唱える。

この島の人が呪いだと思っているのは恐らく月の雫の影響だろう。
1つに集まった月の魔力は人体も汚染するほど強力な魔力。


「あいつ等ァ……」

ナツが乗り込もうとしたのをルーシィが止める。
誰かが儀式の方へ近付いていったからだ。

昼間にみた3人組みと零帝と呼ばれ、仮面を付けた男。
シェリーは侵入者の存在を零帝に報告していた。


「デリオラの復活はまだなのか」

「この調子だと今日か明日には…と」




「いよいよなのだな……」

零帝の声にグレイとリンは驚いた顔をする。
ルーシィとナツは気付いていないようだ。

零帝は侵入者には邪魔されたくないな、と呟く。
この島には小さな村が1つだけ。
村を消して来い、と零帝が命令すると3人組は動き出す。


「血は好まんのだがな……」



「この声…オイ……ウソだろ…」

「……あの仮面の下は…、」