二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.18 )
日時: 2014/10/25 08:22
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)
プロフ: こおりからながれたなみだ

第4話「氷から流れた涙」

「邪魔をしに来たのは俺たちだァ!!」

ナツが前に出て侵入者はここだと教える。
しかし零帝は村を消してこいという命令は撤回しなかった。


「邪魔をする者、それを企てた者。全て敵だ」

全員が戦闘態勢になる中、一番始めに動いたのはグレイだった。
グレイは零帝へまっすぐに向かい、氷の魔法を。
また、零帝も氷の魔法で攻撃を相殺する。

「リオン…てめえ自分が何やってるのか?」

「ふふ、久しいなグレイ、リン」


零帝リオン。
かつて同じ師の元で育った1人。

「早く行け、ここは俺1人で十分だ」

3人は村人を消しに走って行く。
行かせるかと走り出すナツだがグレイは動くなと叫んだ。
ナツは冷気に包まれていく。

「ハッピー!ルーシィを頼む!!」

「フェーリ!ナツを持てるか!?」


「あい!」「やってみます」

2匹はすぐに翼を出し、それぞれを掴み空へ。
しかしフェーリはナツと氷の分の重さもあるのか少しフラついていた。

「やっぱり無理があるか……あ」


ナツを掴んでいたフェーリは、
重さに耐えきれなかったのかナツを落としてしまう。
一緒に飛んでいたハッピーやルーシィが驚いている姿が目に見えた。

フェーリは落下したナツをすぐに追い掛ける。


「スキをつくって奴らを逃がしたか…
まあいい…奴らごときじゃシェリーたちは止められんだろう」


「妖精の尻尾フェアリーテイルの魔道士、甘く見るなよ?リオン」

パキ、と音を立て背後から向かってきていた攻撃を壊したリン。

「相変わらず反応が素早いな、リン」

「リン、お前はフェーリの所に行ってろ」


グレイの言葉に少し間をあけて頷き山を降りて行く。

「1人で俺に勝てると思ってるのか?
いつだってお前らは一緒だったじゃねーか」

「…いい加減、先輩ヅラすんのやめてくんねえかなリオン。
おまえはもうウルの弟子じゃねえ」

「おまえもそうだろ?
ウルはもうこの世にはいないのだからな」

リオンは仮面を外す。


「デリオラを封じる為に命を落としたんだ!!
ウルの残したものをてめえは壊そうとしてるんだぞ!」

「記憶をすりかえるな…ウルはおまえが殺したんだ。グレイ。
よくおめおめと生きていられたものだな」

+++



「すみませんナツさん、追いつけなくて」

山を降りてすぐの所に2人はいたらしい。
体の氷を溶かそうとしているナツにフェーリは謝っていた。

「いや、気にすんな。
しっかし火で溶けねえってのはどうなってんだ!この氷!!」


「ナツ!フェーリ!!」

山から降りて来るはリンの姿。
ナツの氷へ手を当てるリン。
フェーリにハッピー達の事を聞くと村に先に行かせた、との声。

「ほらよ、ナツ」

その声でナツにまとわりついていた氷が砕ける。

「ぅお!?炎でも溶けなかったんだぞ!!」

「あいつの氷を砕くのなんざ簡単な事だよ、魔力の差がありすぎるんだ」

下を俯き暗い顔をする。

「……リン?」

「何でもねぇ、ルーシィが心配だし先に行ってるぞ。フェーリ!」


はい、と返事をしたフェーリがリンを掴みナツを置いて村へ飛んで行った。
ナツから逃げるように…


ちょうどその時、ガルナ島へ向かう1人の女性。

「掟を破った者どもへ仕置きに行く。それだけだ」

エルザが連れ戻しに来ようとしていた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.19 )
日時: 2014/10/27 07:45
名前: 紫苑有栖 (ID: 8AM/ywGU)

「ウルを殺したのはおまえだ、グレイ。
名前を口に出すのもおこがましい」

リオンは手を前に出し攻撃を仕掛ける。
受身を取れなかったグレイは瓦礫へとぶつかる。

「どうした?うしろめたくて手を出せんか?
ならば邪魔をしないでほしいな。俺はデリオラを復活させる」


グレイは一度俯いたあと、覚悟を決める。

「させねえよ」

「それでいい。久しぶりに手合わせをしよう」


仮面を投げ捨てたリオンは片手を前に出し構えた。

「アイスメイク“大鷹イーグル”!」

「アイスメイク“シールド”!」

リオンの放つ鷹はグレイの盾をあっさり避け、
盾の無い場所からグレイを襲う。

グレイは物質の造形が得意な“静”のアイスメイク。
リオンは生物の造形が得意な“動”のアイスメイク。

「動き回る氷だと忘れたか」

容赦ないリオンの攻撃を受けたグレイは重ねた両手をリオンに向ける。


「アイスメイク・大槌兵ハンマー!」

巨大なハンマーがリオンに襲いかかる。
しかしリオンは全く焦る様子もなく、片手を上へ上げた。

「アイスメイク・大猿エイプ!」

氷の猿は、グレイのハンマーを打ち壊した。


「話にならん。造形魔法に両手を使うのも相変わらずだ」

「ウルの教えだろう!片手の造形は不完全でバランスも良くねぇ」

俺は特別だ、ウルの力も昔に越えてしまった、
とリオンが言うとグレイは自惚れるなと言う。


「その言葉…そっくりお前に返そう…。
一度でも1人で俺に攻撃を当てた事があったかな」

「あの頃と一緒にするんじゃねェ!!氷欠泉アイスゲイザー!!!」


大量の氷がリオンに襲いかかる。
しかしリオンは防ぐどころか避けようともしない。

次の瞬間、グレイの氷は無惨にも砕け散る。
そこには無傷のリオンの姿。


「俺はお前の兄弟子であり、お前より強かった。
俺は片手で造形魔法を使えたが、お前には出来なかった…。

何も変わらん…互いの道は違えど、俺達の時間はあの頃のまま凍りついている」



リオンが右手をグレイに向けると、グレイの足元から氷の龍が襲いかかる。

「だから俺は氷を溶かす…塞がれた道を歩き出すために」

ウルはリオンの目標。
ウルを越える事がリオンの夢。
しかしその夢はグレイに奪われた。
もう二度とウルを越える事は出来ない。
そう思っていたが1つだけ方法があった。



「ウルでさえ倒せなかったあのデリオラを倒す事が出来たら……
俺はウルを越えられる!夢の続きを見られるんだよ!!」

「そんな事が目的だったのか!?
デリオラの…恐ろしさはお前もよく知ってるハズだ!」

リオンの攻撃に堪え、なんとか立ち上がったグレイが叫ぶ。

「や…やめろ……無理だ…!」

その言葉にリオンの顔は一変する。

「"やめろ""無理だ"…だと?」

攻撃が再び開始され、リオンの氷が再びグレイを襲う。


「あの時…俺達はお前に同じ言葉をかけた。忘れたわけではあるまいな!」

消えろ、とリオンはとどめをさしその場を離れていった。
グレイは地面へと倒れる。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.20 )
日時: 2014/10/31 16:42
名前: 紫苑有栖 (ID: RadbGpGW)

しばらくすると彼へ影が差し掛かる。
そこに立つのはナツの姿。

「だせえな……ハデにやられやがって」

「ナツ…お前……何で……ここに……氷は…?」

ナツはグレイの服を掴みながらおぶる。


「リンに置いていかれて、
村の方向が分かんなかったから高いトコまで戻ったんだよ。

氷はリンが砕いてくれたぞ」

「! リンはリオンより魔力が弱かったんじゃなかったのか…」

「知らねーよ、ほらあっちだ!行くぞ」


山を降りながらナツは言う。
グレイはリオンのことを思い出したのかナツに聞くが
誰もいなかったと答えるナツ。

「くそっ!ルーシィ達がいじめられてたら俺達のせいだぞ!」

怪我のせいで動けないのかグレイはおとなしいまま過去を少しだけ思い出す。

“デリオラに勝てるわけがない、無理だ”
“実力じゃ無理な仕事だからS級って言うんだよ”

ウルがグレイに言った言葉とグレイがナツに言った言葉を重ねていたのだ。
彼はお前のこと、何も言えない、と涙を流す。


「負けたぐれぇでぐじぐじしてんじゃねえ!!
俺たちは妖精の尻尾フェアリーテイルだ!

止まる事を知らねえギルドだ!


走り続けなきゃ生きられねえんだよ!!!」



ルーシィ、リン達。

ルーシィは村人に“呪い”の説明をしていた。
村人たちはまだ分かり切れていないような様子だ。

「本当に月のムーンドロップの影響かも分からねーけどな」

「何か引っ掛かることでもあるんですか?リン」


フェーリが考え込むリンへと問う。

「ここガルナ島は3年前から“悪魔の島”と呼ばれた訳ではないだろ?」

「!! …それもそう、ですね……」

悪魔の島と呼ばれていたのは昔から。
3年前から呼ばれていた訳ではない。
それにリンは気付いたらしい。

「捕まえるって言ってもあの3人、たぶん魔道士だ。簡単にはいかないよ」

「そうね…こっちの方が人数が多い。
とはいえ……魔道士は1」


「ルーシィは戦わないのか?」

「あ、あたしはほら!弱いから……」

「(自分で言うか?それ…)」

リンは呆れてため息をつく。
そんな時、“ぱん”といい音をたててルーシィが手を叩く。

「いー作戦思いついちゃった!」