二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.26 )
日時: 2014/11/12 07:40
名前: 紫苑有栖 (ID: kcj49vWg)
プロフ: しのおしえとことば

第7話「師の教えと言葉」

(ふわふわと白い雪が舞う。私はこの雪が好き)

雪が降っては毎日のように外に出て眺めていた。
手を開き、落ちてくる雪をすくう。
それは溶けずに手の上に残った。


「まずは氷魔法の基礎からだ」

ウルは言う。
私の修行は厳しい、ついてこれるかと。
デリオラが去った後に残った生存者、グレイは何だってやってやると言った。
するとウルはいきなり服を脱ぎ始める。

その場にいたリオンもだ。
他にもリンやフェーリもいるがリンは服を脱ごうとはしない。

手の上に積もる雪を見てじっとしていた。

「お前も服を脱げ。冷気を操りたくば冷気と1つになれ」

「こ、こいつはいいのかよ!」


「ん?あぁ、リンの事か。
リンは体の傷を見せたくない、と言う事を聞かないんだ。

それに、どうゆう訳か既に冷気と1つになっているみたいだしな」


グレイもリオンも、リンの手の上に積もる雪を見て納得する。
渋々ながらもグレイは服を脱ぎ、体を震わせた。

「来い、走るぞ」

「オイ!魔法教えろよ!!」

「いいから走れよ。俺たちまで基礎につきあってんだぞ」


ウルが先頭を走り、リオン、グレイと続く。
その後をリンとフェーリも追い掛けた。




“いいか。数ある魔法の中でも造形魔法は『自由』の魔法だ。

作り出す形は十人十色。術者の個性が最も出る魔法だ。

精進せよ。そして己の『形』を見つけ出せ”

最初はぎこちなかったグレイの造形もまともな形になっていった。
リオンは片手で造形出来るまでになったが片手での造形はバランスが悪い。
そう言われても直そうとはしなかった。

弟子同士での手合わせでは、基本的にリオンが勝っていた。
リオンに勝ててもグレイとリンが一緒になってやっと勝てた程度。


「リン、たまには本気を出してもいいんじゃないのか?」

ある日、夜中に外で座って雪を眺めるリンへ声を掛けたウル。

「お前ほどの奴が本気を出したらリオンに1人でも勝てるじゃないか」

「……でも本気を出したらそいつを殺してしまいそうで怖いんだ。
だからこのままでいい。

2人には“オレはリオンには絶対勝てない程弱い”って事でいいんだ」



その言葉にウルはただ、「そうか」と答えるだけだった。






「何で溶けず手の上に積もるんだよ、
リオンだってまだ出来てねーのに……」

朝早く、外に出て雪を手に積もらせていたリンに後ろから声を掛けたグレイ。

「オレの体温が異常に低いからだよ」

「何だよ、それ」

グレイは頭にクエスチョンマークを浮かべるが、
それ以上、リンは話そうとはしなかった。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.27 )
日時: 2014/11/16 22:03
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)

「なぁグレイ、リン。
俺たちはあとどれくらいでウルを追い越せるかな?」

ウルが買い物中、グレイ、リン、リオンの3人は石垣に腰掛け、
彼女の帰りを待っていた。

「興味がない」

「オレも…興味ないかな……」

2人は言うがリオンはそれを無視するように続けた。


「ウルは俺の目標なんだ。
いつかウルに勝つ事が俺の夢なんだ」

「興味がねえって言ってんだろ。それに聞きあきた。

俺はデリオラを倒せればそれでいい。
力さえ手に入れたらあのクソ女ともおさらばだ」


「ウルさんのこと、クソ女とか言うなよ」

タイミング悪く、話の輪に入ってきたウルは、
誰がクソ女だ、とグレイの頭を殴る。


「いつになったら強い魔法教えてくれんだよ」

造形魔法は自由の魔法。
己の形を見つけた時、それはいくらでも強くなる。
そうウルはいつも言っていたがグレイは認める気がないようだ。


「てか何でこんなところで脱いでんのよ!」

「な……くそっ!おまえのせいで変な癖ついた!!」

周りで見ていた街の人々がクスクスと笑う。
一方でリン達はただ呆れていた。


その時、街の人がデリオラの噂をする。
北の大陸、ブラーコあたりに移動した、と。
グレイはその噂を耳に入れていた。

家に戻り、吹雪が強くなってきた頃にグレイが1人、荷物を背負い出て行く。
デリオラを倒しに行くと。
ウルがお前には無理だと止めるが彼は止まらなかった。



「俺は父ちゃんと母ちゃんの仇をとるんだ!
何か文句あんのかよ!!」

「出ていけば破門にする!!!」


「ああ…せいせいするよ!
俺が死んだらもっと強い魔法を教えてくれなかったアンタを恨む」

ただ、それだけ言って出て行ってしまった。


+++

「遺跡が傾いて……る?」

「どうなってんだー!?」

「ナツだな」


どうやったかは知らないがこんなデタラメするのはナツしかいない。
狙ったのか偶然か。どちらにせよこれで月の光はデリオラに当たらない。


“ガサガサ”

周りの茂みから誰かが来るような音。

「見つけたぞ、妖精の尻尾フェアリーテイル!!」

出てきたのは月のムーンドリップの儀式をしていた奴ら。
エルザはグレイとリンに行け、と道を作る。
フェーリもまたエルザ達と奴等の相手をするらしい。

「リオンとの決着をつけてこい」


2人は頷き走り出した。


Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.28 )
日時: 2014/11/29 15:14
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)


+++

「まいったな。ここまで強いとは……」

ウルはデリオラの前に立ち、息を切らしていた。
体も大分、傷だらけだ。


「…どうすんだよ、ウル。
オレだって足止めくらいしか出来ねーぞ」

デリオラの様子を見に行っていたリンとフェーリがウルの所へ戻ってきて言う。
リンやフェーリもまた戦闘をしていたのか傷だらけだった。

「それくらい出来るなら十分さ…ただ……」

問題は後ろに倒れ、気絶しているグレイとリオンの姿。
もし、無抵抗のままデリオラの攻撃が当たってしまったら…

起きてくれればまだ戦いやすくなるものの、
2人の存在が大きく戦況を不利にしていた。
しかし、見捨てる訳にもいかないのだ。


デリオラはこちらへと咆哮を放つ。
ウルは2人の元へ駆け寄り、リンはフェーリと共に上へと飛び避ける。

「うぁあああっ!!」

グレイの意識が戻り、叫び声を上げる。
それをウルは大丈夫だと落ち着かせながらぎゅっと抱き締めた。


「ウル…!?え……?何で…?」

「いいからリオンをつれて離れろ…
かばいながらじゃ戦いづらくてしょうがない」

「リオン…?」


「ダウンしてるがな」

その時、リンとフェーリも地へと降りて来る。
グレイはデリオラを見た途端に腰を抜かし転けてしまう。
そこにウルは倒してやるからさっさと行け、と怒鳴った。


「な…なんで…き……来たんだ。
オ…俺……破門…だろ?」

グレイはリオンを背負い、体を恐怖で震わせながらも問う。


「以前…友人に自分の幸せについて考えろと言われたんだ。
そんなに不幸そうなツラしてる覚えはないんだけどね。

だってそうだろ?
かわいい弟子が3人もいて日に日に成長しにぎやかな毎日。


十分幸せだ。

その幸せを取り戻す為に来た」

少し歩きづらそうにしながらウルが移動すると、
グレイが彼女の足が氷で造られているのに気付いた。



「もっていかれたが気にする事はない。
素晴らしいだろ?造形魔法は。

あの怪物がおまえの闇ならば私にも戦う理由があるという事だ」





*更新サボリすみませんっ!