二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.5 )
日時: 2014/10/01 20:48
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)
プロフ: だんそうのきっかけ

第1話「男装のきっかけ」

「逃がすなよ!さっさと捕まえろッ!!」


さんさんと暗闇に雪が降り積もる中、幼い1人と1匹は走っていた。

「リン魔法は…!」

「もう使えない。これ以上は…、」

1匹は後ろを1度振り向き覚悟した上で伝える。



「私が囮になりましょう。リンはその間に…」

「…フェーリだってもう魔力は少ないでしょ!!」

「っ…」

1人と1匹を追いかける者は多数。
それらを捕まえる為にそれぞれが魔法を繰り出す。

リンと呼ばれた1人とフェーリと呼ばれた1匹は、
魔法をギリギリ避けながらも走り続けていた。


「大丈夫だよ、フェーリ。
すぐに…すぐにあいつらから逃げられる」

「…、リン?」

「フェーリ、エーラは?」


「…使えても10分程度でしょう……」

「十分だよ、合図をしたら飛んで」

しかし、こんな状況で飛んでも逆に的にされるだけ。
それを伝えようとしたフェーリだが
瞬間、後ろから聞こえてきたのは爆発音。

追い掛けて来ていた者たちはその突然の爆発に巻き込まれ足止めをくらう。

「フェーリッ」

呼ばれたフェーリはすぐに翼を出し、リンを掴み飛び出した。


「あれは…?」

「“ギルド”の倉庫から爆弾をすってきた」

「! …いつの間に……」

「でもあれは最終手段。いつまで足止め出来るか分からないよ」

「分かりました。急ぎましょう」


フェーリは先ほどよりもスピードを上げた。


+++

“「毒花の住処(プラントテ-ナメント)」活動激減。
世間を騒がせていた闇ギルド、毒花の住処の活動の勢いが減った。
評議員はメンバーが減った為、と推測し近々乗り込むつもりでいるらしい。
なお、以降の写真に心当たりがある者はすぐに評議員へ連絡を”

記事にはそんなことが書かれていた。
そこには幼い少女の姿。
前々から毒花の住処(プラントテ-ナメント)では有名な少女だ。
マスターを抜いてギルド最強だ、という噂も。


一番下の方には「毒花の住処(プラントテ-ナメント)」の紋章が描かれている。


「こんな幼い少女がね…殺人か……」

闇ギルドにしては珍しく正式なギルド並に知名度がある。
知名度があるということはそれほど評議員に勝てるという自信があるのだ。

実際、今まで捕まっていないということは連勝している、
ということなのだが。


「ウル!助けてくれよ!!」

扉越しに聞こえて来た声。
ウルと呼ばれた女性は読んでいた記事を机に置き、立ち上がった。

「どうしたんだ、リオン」

扉を開けると目の前にいたのは幼い少年、リオンの姿。

リオンは幼い少女…それこそついさっき記事で見た少女、リンをおぶっていた。
意識はないが息はしているようだ。


「そこのネコが助けてくれって…」

リオンの後ろにいるのは1匹のトラ模様のネコ、フェーリの姿。
助けるか否か。
意識はないようだしこのまま評議員へ送りつけるのだって可能なこと。

でもウルはそうしなかった。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.6 )
日時: 2014/09/26 20:07
名前: みすず (ID: QCyKwm9.)

コンバンハ☆
紫苑有栖さん

何度か私の書いてる小説にコメントをして下さって有難う御座いますm(__)m

小説応援しています
頑張ってください☆

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.7 )
日時: 2014/09/26 20:53
名前: マリネ (ID: FLOPlHzm)

応援してますよ♪

なんかオリジナル感がたっぷりで
続き楽しみです(*^◯^*)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.8 )
日時: 2014/09/26 21:05
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)

みすずさん
こんばんは!
いえいえ、応援ありがとうございます!
頑張りますね!!

マリネさん
応援ありがとうございます!
第2話から原作沿いのつもりなので、
オリジナルが減ってしまうかも知れませんが、
なるべくオリジナル多めになるように頑張ります!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.9 )
日時: 2014/09/28 19:08
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)

「すぐに私のベットに運んでくれるか?体が異様に冷たい」

リンのおでこを触り、
普通の人より体温が低いと分かりすぐにリオンにベットへ運ばせる。

「リオン。今日はお前が夕食の準備頼めるか?
この子が起きるか分からないが3人分頼む」

リオンは頷き部屋から出ていく。
それを見送るとウルは手当てを始めた。

「…私も手伝います。」

フェーリはそう言ってリンに近付く。
その後にそっとウルに話しかけた。


「……どうして助けてくれるんですか?」

「それを聞くってことはやっぱりこいつは毒花の住処の人間か」

「………」

ウルは手当てする手を止めずに話す。

「怪我してる奴を放ってはおけない。
それにお前が私達に攻撃してこないってことはそうゆうことだろ?」


フェーリはその言葉に口を閉じた。
攻撃をしないのは、
単に“魔力がないから”なのか“殺す気がないから”のどちらか。
しかし2人はそのどちらも当てはまっていた。

「………そうですね、ありがとうございます。
リンが目覚めたらすぐに何処かへ行きますから…」

「宛がないならここにいればいい」


「いつあいつらにバレるか分かりませんし、
迷惑をかける訳にはいかないでしょう」

「…あいつらから逃げてるのか?」

ウルの問いかけにフェーリは静かに頷ずく。


「だったらあいつらにバレない格好をすればいい」

「どうゆう……ことです?」





「男装、すればいいんだ」

「!!」

そんなの無理です、とフェーリは否定した。
リオンにハッキリと女だということを知られてしまっているはずだ、と。

「そんなのまだ子供何だからどうとでもいえば誤魔化せる。
髪切って男物の服を着て男のフリをしてればいい」

しかしフェーリはそれでも万が一、と答えを変えない。


「もしこの子がここに残る、と言ったら?」

「それは……」

リンに忠実であるフェーリはいいとどまった。


「ん…、フェー…リ?」

話し声で目が覚めたのかゆっくりと起き上がるリン。
ウルの姿を見てすぐに身構えた。

「落ち着いて下さい、リン。この方は大丈夫です」

「! フェーリ…」

フェーリの言葉に構えていた体をそっと元に戻す。
それでも警戒心は抜けていないようだ。
しかしそれは自身の体が手当てされているのに気付きすぐに解けた。


「助けて…くれたんですか?」

リンの問いにウルは頷く。
それを見たリンはベットから降り、お礼を言ってからすぐに家を出ようとする。

すぐにウルに止められたが。

「話は聞いたよ、それでひとつ提案がある」

ウルがさっきフェーリに話していたことを同じように説明。
それを聞いたリンは考え込んでいた。


バレないように過ごせればこの先、逃げなくても堂々としていられる。
あまり有名になりすぎるのも問題だが。

ここでなら評議員からもギルドからもかくまって貰えるし安全性は高い。

それに少女とネコ1匹で生活出来るかといったら無理に近いだろう。









「………迷惑を掛けるかも知れないけど…貴女がよければ……」




そのリンの言葉にウルは優しく笑った。


「大丈夫だ、歓迎しよう。私はウル。
他にはリオンという弟子がいるだけだ。君は?」



「リンって呼んで下さい。こっちはフェーリです。


これからよろしくお願いします」





「あぁ、よろしくな。リン、フェーリ」








*オリキャラ紹介。
名前、フェーリ
年齢、?歳
魔法、翼(エ-ラ)、変身魔法
好きなもの、リン
嫌いなもの、花
トラ模様のネコ。
常に敬語で接し物心ついた時からずっとリンと一緒にいる。
仮にもハッピーより年上である。
ストレスで人間の髪が白くなるように、
フェーリの翼は黒く変色してしまっている。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.10 )
日時: 2014/10/04 15:16
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)
プロフ: あくまのしまがるな

第2話「悪魔の島ガルナ」

妖精の尻尾フェアリーテイルギルド。
そこではいつものように賑わっていた。
その中で席に座り、グレイと一緒にくつろいでるリンとフェーリの姿。

グレイが妖精の尻尾へ入る時、一緒に入ったのだ。

2人の体にはそれぞれの場所に妖精の尻尾の紋章が描かれていた。


「たいへーん!!!」

そんな時看板娘、ミラの声がギルドに響く。
2階の依頼書、つまりS級クエストの書類がなくなっている、と。
マスターマカロフは思わず飲んでいたものを噴き出した。

それを聞いていた人物、ラクサスは言う。

「オウ…それなら昨日の夜どろぼう猫がちぎっていったのを見たぞ」

「!!」

彼は煙草を吸いながら話を続けた。


「羽のはえた…な」

「フェーリはここにいるし…ハッピー!!」

ということはナツやルーシィと一緒かとギルドがざわめく。
勝手にS級クエストに行ってしまった、これはルール違反。
奴等は帰り次第、破門だよなとラクサスは言った。


「ラクサス!知ってて何で止めなかったの?」

「俺にはどろぼう猫が紙キレくわえて
逃げてった風にしか見えなかったんだよ」

ミラの言葉にまさかあれがハッピーでナツが
S級行っちまったなんて思いもよらなかとラクサスは言う。
消えた紙は呪われた島、ガルナ。

マカロフはラクサスに連れ戻して来いというが仕事があるからと言って聞かない。


「だったらリン!行ってくれるか!?」


「急な話だな、じぃさん。
でもあいつらがいなかったらつまらないし、行ってやる」

「俺も行くぜ、リン」

リンが立ち上がった後にグレイも立ち上がる。
そして「任せとけ」と言ってギルドを出て港へと向かった。
フェーリも一緒だ。


+++

ナツ達はまだ船を探していたらしく港にいた。
後ろからグレイが2人の肩を叩く。

「グレイ、リン!!?」「何でここに!!?」

「連れ戻して来いってじぃさんから。
今ならまだ破門をまぬがれるかもしれねぇよ?」

ルーシィはリンの破門、という言葉に動揺しナツは行くんだ、と聞かない。
それにグレイはこの事がエルザに知られたら…と言葉を漏らす。

ハッピーはリンの後ろに隠れ、2人を裏切る。
リンは半ば呆れていた。


「俺はエルザを見返してやるんだ!こんな所で引き下がれねぇ!!」

「マスター直命だ!!ひきずってでも連れ戻してやらァッ!」

グレイとナツはそれぞれの魔法を出しケンカを始めようとする。
それにリンは混ざろうとしてルーシィが止めようとした。


「あんたら……魔道士だったのか…?」

その言葉にリン達は驚く。
船乗りは島の呪いを解くために、と聞くとナツとルーシィは頷いた。
グレイとリンの「行かせねーよ!」という言葉がハモる。

「乗りなさい」

船乗りがそう言うとナツがすぐに反応しグレイを蹴っ飛ばす。
リンに関しては船乗りにどうゆうつもりだと
近付こうとしたが、ナツに転ばせられる。

その後すぐにどこから出したのか、ロープで手を縛り上げ、船へと乗せられた。
グレイも同様に、だ。

「S級の島へ出発だ!!」


数秒もしない内にナツは乗り物酔い。
その間にリンは縛られたロープを解こうと手を動かしていた。

「はぁ…まさかこんな事になるとはなぁ」

「ほんとだぜったく…オッサン!何で急に船を出したんだ」


俺の名はボボ、とあの島について語り出す。
あの忌まわしき呪いの島から逃げ出したと。

わざわいはナツ達にもふりかかる。
あの島へ行くとはそうゆうことだ。
本当に君たちにこの呪いが解けるか、悪魔の呪いを…

とボボは人間ではないその手を見せる。


「悪魔の、呪い…?」

リンはボソッと1人、呟いた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.11 )
日時: 2014/10/05 22:31
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)

ガルナ島が見えてきた、とボボが言うとそれぞれが彼から目を離す。
すぐに戻したがそこにボボの姿はなかった。

落ちたか、とハッピーが海の中へ探しに行くがいないことを確認する。
更に後ろからは大波が迫ってきていた。

「よし、解けた」

「リン!?いつの間に…」


「今から戻んのも無理っぽそうだしな、やるぞグレイ」

「は?何を…てか俺、動けねーし……!?」

グレイを拘束していたものは、すでに解かれていた。
その後ろで「感謝して下さい」とフェーリが言う。
船に乗った時にフェーリはグレイの縄を解くようにリンに言われていたのだ。


「アイスメイク…」

リンは両手で構え、大波を見据える。


氷結フリージング!!」

海の中へ手だけを突っ込み近くから氷らせて行く。
グレイは何をするのかを察してすぐに行動を起こした。


「「こおれーッ!!!」」

「まさか海ごと氷らせて……」

2人の魔力の高さに唖然とするルーシィ。
大波とその周辺の海は氷と化しなんとか危機を逃れた。

「あ゛ぁーづがれだー」

「お前は一気に魔力を使い過ぎだっつの」


グレイはリンに呆れながらも同じように息切れしていた。
ハッピーやフェーリの力で船を押して、島へと漂着。
船は壊れず無事に島にたどり着いたが、
ボボは何処を探しても見当たらなかった。


「おおっ!!着いたのか!?ガルナ島!!」

陸に上がるとすぐに元気になるナツ。
2人は村を目指す、と歩き始めた。
グレイとリンは顔を見合わせ1度笑う。
「待ちな」と声をかけたのはグレイだ。


「何だよ!ここまで来たらもう連れ戻せねーぞ!!!」


「いや、俺達も行く。そうだろ?リン」

「あぁ。お前らだけ破門になられてもつまんねーしな」

そう2人が言うとナツやルーシィ、ハッピーも笑った。

村の門前まで行くとそこには“KEEP OUT”つまり立ち入り禁止と書かれていた。

ナツが壊すか、ということを言い出すがルーシィが止める。
待っていると誰かがこちらへと声を掛けて来た。

依頼を受けに来た魔道士ギルド、妖精の尻尾だ、と名乗る。
それぞれ紋章を見せると中へと入れてくれた。


「よくぞ来てくださった。魔道士の方々…」

村の者は全員、体を布で隠していた。
それを取りなさい、と村長が言うとみんなが布を取り外す。
その下に隠れていたのはボボと同じような腕や足。

犬や鳥、例外なくこの呪いにかかっていると。

「言葉を返すようだが何を根拠に“呪い”だと?
はやり病とは考えねぇのか?」


何10人という医者に見てもらったがこのような病気はないとのことで。
それにこのような姿になったのは月の魔力が関係している、と言う。

元々、この島は古代からの月の光を蓄積し島全体が月のように輝く美しい島。
しかし何年か前に突然、月の光が紫色に変わり始めた。

そして同時に村の人達の姿も変わりだした。


「これは月の魔力の呪いなのです」

出て来た月は本当に紫色の月。

カッと変わりだす村の人々の姿。
それに誰しもが驚く。


それは悪魔の姿。



「驚かして申し訳ない……。」

それを呪いと言わずなんと呼べばいいのだろうか。
村人はそう泣き喚いた。

月が出ている間だけしかこの姿にはならない。
心を失い、魔物と化してしまった者は殺すことに決めた。
牢屋など幽閉しても放っておくと壊して村人が殺される。


「だから…ワシも息子を殺しました。
心まで悪魔になってしまった息子を……」

村長が出してきた写真にはあの船乗りの顔。
グレイやリンはそれに気付いたようだ。

“幽霊”

「さぞ高名な魔道士方とお見受けします。
どうかこの島を救ってください……



このままでは全員……心が奪われ…悪魔に……」

そこまで言ってリンは顔を歪ませる。
ナツはそんなことにはならねぇと叫んだ。




「私たちの呪いを解く方法は1つ…






月を破壊して下さい」

紫の月の魔力で村人は悪魔のような姿になってしまう。
そして、やがては心まで奪われてしまうのだ。







月を破壊するしかない。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.12 )
日時: 2014/10/06 07:35
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: cLFhTSrh)

リン……カッコいいですね!!
好きになりそ((殴

黒髪短髪………
なんとなく自分ではカツラだと思ってました……←
切っちゃったんですね
髪伸ばしたら完璧なる美少女なのでしょうか?

更新楽しみにしてます!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.13 )
日時: 2014/10/06 07:45
名前: みすず (ID: QCyKwm9.)  

すごい魔力ですね............。
海を凍らせるとは! ! !
引き続き更新頑張ってください
また来ますっ☆

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.14 )
日時: 2014/10/06 19:32
名前: 紫苑有栖 (ID: NFbvEd0b)

ドロップさん

ぜひ、好きになってやってください←
ここからどう恋愛フラグを成立させるか難しいところです。
もう完全に男男しいというかw

最初はカツラの設定で行こうかな、とも考えてたんですけどね。
いろいろありバッサリと。
髪伸ばしたら。うーん、どうなんでしょうねw
ちょっと胸がとぼs(以下略。

ありがとうございます!
亀更新になりますが頑張りますね!!



みすずさん

雪の滅神魔法おぼえてるのだからそれくらいできるだろう、とw
グレイはまぁ…補助みたいなもんですし…?←
あ、別にグレイが弱いという訳ではないですよ?w

応援、ありがとうございます!
亀更新になりますがまた来ていただけるなんて嬉しいです。
頑張ります!!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.15 )
日時: 2014/10/18 19:33
名前: 紫苑有栖 (ID: y.72PaHC)
プロフ: つきからこぼれるしずく

第3話「月から零れる雫」

「見れば見るほど不気味な月だね」

ハッピーは窓から月を見上げていた。
ルーシィは月の光を浴びすぎるとあたし達まで悪魔になってしまうのよ、
と窓を閉めさせる。

ナツと服を脱いだグレイはさすがに月を壊せってのもなぁ、と悩む。

「そういえばリンは?」

ルーシィがリンがいない事に気付き問いかけた。
グレイが言うには何か村長に聞きたいことがある、と言って出て行ったらしい。


「グレイにだけ行き先を言うなんてねー…
ホント、ナツと違ってリンとは仲良いわね」

「当たり前だろ?幼馴染みみたいなもんだからな」

「へー、そうなんだぁ」

と、ルーシィは納得する。
その時ちょうどリンが帰って来た。


「おかえり、リン!何を聞きに言ってたの?」

今までに心を奪われた人数と何年前からそんな姿になってしまったか。
リンはそう答える。

「さすがに月を壊せってのはちょっとな…無理があるし」

取り敢えず情報を集めよう、と聞き出していたのだ。
今までに心を奪われたのは船乗りのボボのみ。
姿が変わってしまったのは3年前から。


「まだ情報は全然足りなそうね…」

「よし!だったら明日は島を探検だ!!」

今日は寝るぞ、とハッピーとナツが布団の中へ潜り込む。
グレイやリンも同じく寝るようだ。

部屋にはイビキが響く。グレイに至っては全裸。
リンとフェーリは隅っこの方で静かに眠っていた。


ただ1人、ルーシィは寝付けないみたいだが…。


翌朝。
太陽がまだ登ったばかりという時間にナツ達は起こされていた。
早い、と文句を言う2人。
グレイは服を着なおしている。

門番へ月を壊す前に島を調査したい、と門を開けて貰う。

「何だよォ!昨日あれだけ月を壊すのは無理とか言ってたのによォ!!」

「無理だよ。村の人の手前、壊すって言ったんだよ」


それに壊せるとしても壊さない。
月見など月関係のイベントが出来なくなってしまうからだ。

ルーシィは時計座の星霊、ホロロギウムの中に入り大声を出すなと注意した。

「相手は“呪い”なのよ。実体がないものって怖いじゃない!
………と申しております」

そんなことも気にせず前向きに考える3人。


「さすがS級クエスト!燃えてきたぞ!!」

「呪いなんか凍らせてやる。ビビる事ァねぇ」

「本当に呪いかどうかも怪しくなってきたしな」


「ホンット、アンタらバカね…と申しております」

ハッピーもホロロギウムの中に入りたいの声でハッピーも中へ。
その時、“ガサガサ”と何かが近付いて来る音が聞こえた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.16 )
日時: 2014/10/18 19:32
名前: 紫苑有栖 (ID: y.72PaHC)

「チュー」

出てきたのは巨大なネズミ。
巨大ネズミは何かを吐き出すつもりなのか口を膨らます。
グレイが盾で防ごうとするが吐き出したものは臭い息。
ホロロギウムも倒れてしまった。

ネズミは笑い、それぞれが鼻を塞ぐ。


「くっせ…」

リンに限っては臭さのあまり、涙が出て来てしまっているようだ。
更にネズミは突然追い掛けて来て逃げ出す一同。


「フェーリ、大丈夫かお前」

「何とか」

それを聞いて安心したリンは上だ、と声を上げる。
フェーリはリンを掴み空へ。

「アイスメイク……岩石ブロック


複数の岩の形どった氷がネズミの動きを止める。

「よし!ナイスだリン!」

「今のうちにボコるんだ」


2人でネズミを襲い気絶。
リンはナツ達の所へと降り立つ。

そのまま進むと建物を発見しその中へ。

「うわー広いね…」

「ボロボロじゃねぇか」

「いつの時代のモンだコリャ」

建物には月みたいな紋章が掘られていた。
ハッピーは骨を見つけて喜んでいるようだ。

それにしてはボロいな、とナツが“ガン”と地面を蹴る。
ベコンと音がして床が壊れ下へと落ちて行く。


「貴方は一体こんな時に何を飲み込んだんですか!?」

「ふごふご」

ハッピーはさきほど見つけた骨を飲み込み喉に詰まったらしい。
それをフェーリが取り出そうと頑張っていた。

そのまま何も出来ずに落下。
しかしそれほど高いという訳でもなく、みんな無事のようだ。

「取れましたよ…、」

「神ッ!」

ハッピーの骨も無事に取れ、ナツはさっそく探検しようぜと舞い上がる。
しかし、すぐにナツの動きは止まり目を見開いた。

その姿に全員がナツの視線の先を追う。

「でけえ怪物が凍りついてる!!!」


それは悪魔。

リンとグレイがその姿に動揺する。
どうして“デリオラ”がここにいるのか、と。

「ねぇ…何なのコイツは!?」

「デリオラ…厄災の悪魔だよ……」

ルーシィの問にリンはそう答えた。
すると奥から近付いてくる足音。
岩陰に隠れて待つと現れたのは青年が2人。
侵入者を探しに来たようだ。


「オマエ、月のムーンドリップ浴びてね?」

「浴びてねえよっ!」

“月の雫”という言葉に反応するルーシィとリン。
奥からまた1人、近付いてくるそれはシェリーと呼んだ。


「アンジェリカが何者かの手によっていたぶられました…」

「ネズミだよっ!!」

「ネズミじゃありません…アンジェリカは闇の中を駆ける狩人なのです。
そして愛」

侵入者か、とユウカと呼ばれた青年は呟いた。
もうすぐ月の光が集まるというのに何と言うことだとシェリーは言う。


「零帝様のお耳に入る前に駆逐いたしましょう。
そう…お月様が姿を表す前に……」

そう言ってその場を去っていく3人。
姿が見えなくなったのを確認し、リン達は岩陰から出る。

「くそ…あいつ等デリオラを何のためにこんな所に持ってきやがった」


リンはそっと凍りついてるデリオラの近くへ寄り、手を添えて目を閉じた。

デリオラは北の大陸の氷山に封印されていた。
10年前、イスバン地方を荒らし回った不死身の悪魔。


「俺とリンに魔法を教えてくれた師匠。
ウルが命をかけて封じた悪魔だ」

この島の呪いとどう関係しているのかは分からない。
これはこんなところにあってはいけないもの。

「零帝…何者だ…ウルの名を汚す気ならただじゃおかねぇぞ!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.17 )
日時: 2014/10/22 18:10
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)

ウルが封じた悪魔。
元々北の大陸にあったものがここに運ばれた。
島の呪いはこの悪魔の影響なのか。
それも考えられない訳じゃない。

この悪魔はまだ生きているのだから。

「そーゆー事ならこの悪魔をぶっ倒してみっか」

「あんたは何で力でしか解決策を思いつかないのよ」

ナツは氷へと近付く。
その瞬間にグレイはナツを火の魔道士が近づくな殴りつける。


それに驚きリンは閉じていた目を開けて振り返る。

「氷が溶けてデリオラが動き出したら誰にも止められねぇんだぞ」

「グレイ、落ち着け。これはそんな簡単に溶けるものじゃないだろ?」


溜め息をつき、呆れるリン。
グレイははっとして下を俯いた。

凶暴な奴だな、とナツは言うが言える立場ではないだろう。

「…ウルさんはこの悪魔に絶対氷結アイスドシエルって魔法をかけた」


それはいかなる爆炎の魔法をもってしても溶けることのない氷。

「溶かせないと知っててなぜこれを持ち出した…?」

「月の島…ガルナ島。ここなら条件が揃ってる。
“月の雫”、それこそが絶対氷結を溶かせる唯一の方法」


「バカな!?だって絶対氷結は…!」

「月の魔力はどんな魔法でも解除する力を持っている。
詳しくは知らないけどな」


「! …くそっ」

「でも一体、何のために溶かしているのかしら?」

分からない、と答えるリン。
するとさっきの奴らを追えばいいとナツは言う。
だけどグレイは月が出るまで待つらしい。


「その月の雫ってのがどんなもんなのか。
呪いに関わってくるのか確かめてえ」

ナツは夜まで待つなんて死ぬ、
と言葉にだすがしばらく経つとすぐに寝てしまった。

ルーシィは暇だと琴座の扉、リラを呼び出す。
リラは適当に歌う、と琴を奏で始める。



“生まれる言葉…消えゆく言葉…”
“あなたの中に 生き続ける言葉”
“立ち止まりそうな時 勇気へと変わる”
“さあ 歩きだそう”
“あの時よりあなたは 強くなっているから”
“もう 迷わないで”
“あの時の言葉を… 信じて…”

その歌に何かを感じたのか、グレイが涙を流す。
それを誤魔化すように誰か来たらどうすんだ、と怒鳴った。


+++

“ゴゴゴ”と音がする。
天井を見上げるとそこは開いていく。

開いた天井から差し込むのは紫色の月の光。
それはデリオラへと当たる。


偶然なんかじゃないんだと一同は光の元を探しに走り始めた。

光の元にいたのはたくさんの人々。
何かの儀式を行っているようだ。
ベリア語の呪文、月の雫を唱える。

この島の人が呪いだと思っているのは恐らく月の雫の影響だろう。
1つに集まった月の魔力は人体も汚染するほど強力な魔力。


「あいつ等ァ……」

ナツが乗り込もうとしたのをルーシィが止める。
誰かが儀式の方へ近付いていったからだ。

昼間にみた3人組みと零帝と呼ばれ、仮面を付けた男。
シェリーは侵入者の存在を零帝に報告していた。


「デリオラの復活はまだなのか」

「この調子だと今日か明日には…と」




「いよいよなのだな……」

零帝の声にグレイとリンは驚いた顔をする。
ルーシィとナツは気付いていないようだ。

零帝は侵入者には邪魔されたくないな、と呟く。
この島には小さな村が1つだけ。
村を消して来い、と零帝が命令すると3人組は動き出す。


「血は好まんのだがな……」



「この声…オイ……ウソだろ…」

「……あの仮面の下は…、」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.18 )
日時: 2014/10/25 08:22
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)
プロフ: こおりからながれたなみだ

第4話「氷から流れた涙」

「邪魔をしに来たのは俺たちだァ!!」

ナツが前に出て侵入者はここだと教える。
しかし零帝は村を消してこいという命令は撤回しなかった。


「邪魔をする者、それを企てた者。全て敵だ」

全員が戦闘態勢になる中、一番始めに動いたのはグレイだった。
グレイは零帝へまっすぐに向かい、氷の魔法を。
また、零帝も氷の魔法で攻撃を相殺する。

「リオン…てめえ自分が何やってるのか?」

「ふふ、久しいなグレイ、リン」


零帝リオン。
かつて同じ師の元で育った1人。

「早く行け、ここは俺1人で十分だ」

3人は村人を消しに走って行く。
行かせるかと走り出すナツだがグレイは動くなと叫んだ。
ナツは冷気に包まれていく。

「ハッピー!ルーシィを頼む!!」

「フェーリ!ナツを持てるか!?」


「あい!」「やってみます」

2匹はすぐに翼を出し、それぞれを掴み空へ。
しかしフェーリはナツと氷の分の重さもあるのか少しフラついていた。

「やっぱり無理があるか……あ」


ナツを掴んでいたフェーリは、
重さに耐えきれなかったのかナツを落としてしまう。
一緒に飛んでいたハッピーやルーシィが驚いている姿が目に見えた。

フェーリは落下したナツをすぐに追い掛ける。


「スキをつくって奴らを逃がしたか…
まあいい…奴らごときじゃシェリーたちは止められんだろう」


「妖精の尻尾フェアリーテイルの魔道士、甘く見るなよ?リオン」

パキ、と音を立て背後から向かってきていた攻撃を壊したリン。

「相変わらず反応が素早いな、リン」

「リン、お前はフェーリの所に行ってろ」


グレイの言葉に少し間をあけて頷き山を降りて行く。

「1人で俺に勝てると思ってるのか?
いつだってお前らは一緒だったじゃねーか」

「…いい加減、先輩ヅラすんのやめてくんねえかなリオン。
おまえはもうウルの弟子じゃねえ」

「おまえもそうだろ?
ウルはもうこの世にはいないのだからな」

リオンは仮面を外す。


「デリオラを封じる為に命を落としたんだ!!
ウルの残したものをてめえは壊そうとしてるんだぞ!」

「記憶をすりかえるな…ウルはおまえが殺したんだ。グレイ。
よくおめおめと生きていられたものだな」

+++



「すみませんナツさん、追いつけなくて」

山を降りてすぐの所に2人はいたらしい。
体の氷を溶かそうとしているナツにフェーリは謝っていた。

「いや、気にすんな。
しっかし火で溶けねえってのはどうなってんだ!この氷!!」


「ナツ!フェーリ!!」

山から降りて来るはリンの姿。
ナツの氷へ手を当てるリン。
フェーリにハッピー達の事を聞くと村に先に行かせた、との声。

「ほらよ、ナツ」

その声でナツにまとわりついていた氷が砕ける。

「ぅお!?炎でも溶けなかったんだぞ!!」

「あいつの氷を砕くのなんざ簡単な事だよ、魔力の差がありすぎるんだ」

下を俯き暗い顔をする。

「……リン?」

「何でもねぇ、ルーシィが心配だし先に行ってるぞ。フェーリ!」


はい、と返事をしたフェーリがリンを掴みナツを置いて村へ飛んで行った。
ナツから逃げるように…


ちょうどその時、ガルナ島へ向かう1人の女性。

「掟を破った者どもへ仕置きに行く。それだけだ」

エルザが連れ戻しに来ようとしていた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.19 )
日時: 2014/10/27 07:45
名前: 紫苑有栖 (ID: 8AM/ywGU)

「ウルを殺したのはおまえだ、グレイ。
名前を口に出すのもおこがましい」

リオンは手を前に出し攻撃を仕掛ける。
受身を取れなかったグレイは瓦礫へとぶつかる。

「どうした?うしろめたくて手を出せんか?
ならば邪魔をしないでほしいな。俺はデリオラを復活させる」


グレイは一度俯いたあと、覚悟を決める。

「させねえよ」

「それでいい。久しぶりに手合わせをしよう」


仮面を投げ捨てたリオンは片手を前に出し構えた。

「アイスメイク“大鷹イーグル”!」

「アイスメイク“シールド”!」

リオンの放つ鷹はグレイの盾をあっさり避け、
盾の無い場所からグレイを襲う。

グレイは物質の造形が得意な“静”のアイスメイク。
リオンは生物の造形が得意な“動”のアイスメイク。

「動き回る氷だと忘れたか」

容赦ないリオンの攻撃を受けたグレイは重ねた両手をリオンに向ける。


「アイスメイク・大槌兵ハンマー!」

巨大なハンマーがリオンに襲いかかる。
しかしリオンは全く焦る様子もなく、片手を上へ上げた。

「アイスメイク・大猿エイプ!」

氷の猿は、グレイのハンマーを打ち壊した。


「話にならん。造形魔法に両手を使うのも相変わらずだ」

「ウルの教えだろう!片手の造形は不完全でバランスも良くねぇ」

俺は特別だ、ウルの力も昔に越えてしまった、
とリオンが言うとグレイは自惚れるなと言う。


「その言葉…そっくりお前に返そう…。
一度でも1人で俺に攻撃を当てた事があったかな」

「あの頃と一緒にするんじゃねェ!!氷欠泉アイスゲイザー!!!」


大量の氷がリオンに襲いかかる。
しかしリオンは防ぐどころか避けようともしない。

次の瞬間、グレイの氷は無惨にも砕け散る。
そこには無傷のリオンの姿。


「俺はお前の兄弟子であり、お前より強かった。
俺は片手で造形魔法を使えたが、お前には出来なかった…。

何も変わらん…互いの道は違えど、俺達の時間はあの頃のまま凍りついている」



リオンが右手をグレイに向けると、グレイの足元から氷の龍が襲いかかる。

「だから俺は氷を溶かす…塞がれた道を歩き出すために」

ウルはリオンの目標。
ウルを越える事がリオンの夢。
しかしその夢はグレイに奪われた。
もう二度とウルを越える事は出来ない。
そう思っていたが1つだけ方法があった。



「ウルでさえ倒せなかったあのデリオラを倒す事が出来たら……
俺はウルを越えられる!夢の続きを見られるんだよ!!」

「そんな事が目的だったのか!?
デリオラの…恐ろしさはお前もよく知ってるハズだ!」

リオンの攻撃に堪え、なんとか立ち上がったグレイが叫ぶ。

「や…やめろ……無理だ…!」

その言葉にリオンの顔は一変する。

「"やめろ""無理だ"…だと?」

攻撃が再び開始され、リオンの氷が再びグレイを襲う。


「あの時…俺達はお前に同じ言葉をかけた。忘れたわけではあるまいな!」

消えろ、とリオンはとどめをさしその場を離れていった。
グレイは地面へと倒れる。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.20 )
日時: 2014/10/31 16:42
名前: 紫苑有栖 (ID: RadbGpGW)

しばらくすると彼へ影が差し掛かる。
そこに立つのはナツの姿。

「だせえな……ハデにやられやがって」

「ナツ…お前……何で……ここに……氷は…?」

ナツはグレイの服を掴みながらおぶる。


「リンに置いていかれて、
村の方向が分かんなかったから高いトコまで戻ったんだよ。

氷はリンが砕いてくれたぞ」

「! リンはリオンより魔力が弱かったんじゃなかったのか…」

「知らねーよ、ほらあっちだ!行くぞ」


山を降りながらナツは言う。
グレイはリオンのことを思い出したのかナツに聞くが
誰もいなかったと答えるナツ。

「くそっ!ルーシィ達がいじめられてたら俺達のせいだぞ!」

怪我のせいで動けないのかグレイはおとなしいまま過去を少しだけ思い出す。

“デリオラに勝てるわけがない、無理だ”
“実力じゃ無理な仕事だからS級って言うんだよ”

ウルがグレイに言った言葉とグレイがナツに言った言葉を重ねていたのだ。
彼はお前のこと、何も言えない、と涙を流す。


「負けたぐれぇでぐじぐじしてんじゃねえ!!
俺たちは妖精の尻尾フェアリーテイルだ!

止まる事を知らねえギルドだ!


走り続けなきゃ生きられねえんだよ!!!」



ルーシィ、リン達。

ルーシィは村人に“呪い”の説明をしていた。
村人たちはまだ分かり切れていないような様子だ。

「本当に月のムーンドロップの影響かも分からねーけどな」

「何か引っ掛かることでもあるんですか?リン」


フェーリが考え込むリンへと問う。

「ここガルナ島は3年前から“悪魔の島”と呼ばれた訳ではないだろ?」

「!! …それもそう、ですね……」

悪魔の島と呼ばれていたのは昔から。
3年前から呼ばれていた訳ではない。
それにリンは気付いたらしい。

「捕まえるって言ってもあの3人、たぶん魔道士だ。簡単にはいかないよ」

「そうね…こっちの方が人数が多い。
とはいえ……魔道士は1」


「ルーシィは戦わないのか?」

「あ、あたしはほら!弱いから……」

「(自分で言うか?それ…)」

リンは呆れてため息をつく。
そんな時、“ぱん”といい音をたててルーシィが手を叩く。

「いー作戦思いついちゃった!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.21 )
日時: 2014/10/31 20:39
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)

ハロウィンですね。
せっかくだから、と番外編の方を作らせて頂きました。
本来ならば作者視点でお送りしなければいけないんですが…。

個人視点になれてしまい、物足りないというかなんというか。
まぁつまるところ、主人公ちゃんの感情が書けなくて寂しいのですよー!!


なので番外編等では個人視点で行きたいと思ってます。
あと、ついでに本編で書けそうにないので言っときます。
グレイとリンは住処一緒です。
私としてはナツみたいに一軒家を想像してます。

それでは Happy Halloween!



ハロウィンの日。
それは魔道士ギルド、妖精の尻尾フェアリーテイルでも盛り上がっていた。

ナツなんかお菓子くれーってうるさいし。
あげなかったらあげなかったで悪戯(攻撃)してくるし。
今なんか、ミラがギルドのみんなに…
と作ってきてくれたお菓子の争奪戦になっている。


その中にグレイも入っているのだから子供っぽいと思ってしまった。
でも…ミラの手作りお菓子だから、なのかな。
そう考え出すと何かがモヤモヤし出して仕方がないんだ。

「オレもミラのお菓子食べたいなー…」

気を紛らわす為にそう呟いた。
その言葉にすぐに反応してきたのはフェーリ。

「だったらあの中に入ってくればいいじゃないですか」

簡単に言ってくれる。
確かに入ればミラのお菓子、ゲット出来るかもしれないけど…。

「姉ちゃんのお菓子は俺のものだー!」
「何だと!俺によこせ!!」
「ミラちゃんのお菓子は俺が貰うんだよ!!!」

ハロウィンなのにバレンタインみたいだ。
特にエルフマン、ナツ、グレイの声が目立つ。

「はぁ…(あの中に入るのはなぁ……)」

「Trick or Treat!」

ため息をつく私に誰かがそう言ってくる。
私は適当にストックしてあった飴玉を渡した。


「用意してあったのねー」

「何だよ、悪戯する気満々で聞いてきたのか?」

飴玉を渡した相手を見るとそこにはルーシィの姿。
「もちろん」というルーシィに思わず距離を取る。
彼女なら本当にやりそうだ。

「何よー!貰ったんだから何もしないわよ」

「ならいいけど」

そう言った私の前に座ってくるルーシィ。
ナツが争奪戦に参加しているからか、彼女も暇らしい。

「冷た!てか甘すぎでしょ!何コレ?」

私があげた飴玉を食べたのか唐突に言う。


「オレ手作り。シロップを冷やして氷にしただけ」

「それは甘くなるよね…」

「でも気分はカキ氷気分になる」


「ならないからっ!」

まぁ普通にクッキーなんかもあったりするんだけど。
ちなみに“飴玉”をナツにあげたら思い切り殴られそうになった。


「いろんな味あるぞー。
イチゴ、ブルーハワイ、メロン、レモン」

「いや、いらないわよ…?
それにしてもよくそんなに作ったわねー…」

「グレイが争奪戦に夢中になってて暇だったから」

「なるほど…って今日作ったの?」

それに頷くと「あんたも暇な人ね」と言われた。
仕方ない。暇になってしまったんだから。

「んー。ねぇルーシィ。あの中に入ってミラのお菓子ゲトってこいよ」

「嫌よ。自分で行きなさい」

「だよなぁ…」

再びため息をつくとナツが叫ぶ。
喧嘩に勝ったのはナツらしい。
はいはい、おめでとう。


「くっそー、負けちまったぜ」

そう愚痴りながらグレイが私の座る席の近くへ。
もはや定位置とかしている。

「オツカレー。あーあ、勝ったら貰おうかと思ってたのに」

「あげねーよ」

「じゃあいいよ。奪うから」

「どうやって?」

どうやらグレイは奪われない自信があるようだ。


「こうやって隙を作って」

袋から出した飴玉を無理矢理、グレイの口の中に突っ込んだ。

「な、なんだよコレ…お前特性のあの飴じゃ……ってまっずッ!!!」

何で飴玉作ってたの知ってんだよ。
まぁ、グレイの口の中に突っ込んだ奴は違う奴なんだけど。


「生姜味」

ミラに水を貰い、紙と一緒にグレイに渡す。
彼はすぐに飴玉を紙に吐き出し水を一気に飲み込んだ。

「んでそんなもん作ってんだよッ」

「作ってねーよ。隣のおばちゃんから貰ったんだ。
今日は子供にはお菓子をあげなきゃねとか言って」

いつも隣のおばちゃんには優しくしてもらってるので断る訳にはいかず。

「あぁ…あのばあさんか。でも俺は貰ってねーぞ?」

「だってオレがグレイの分も貰ってるもん」

「そうゆうことか…、」


絶対に吐くよな。まずいもん。
おばちゃんには失礼だけど。

ちなみに私もすぐに吐き出した。
口直しの為に“飴玉”を作ったといっても間違いではない。

「そういえばリン。お前、朝何か作ってたなかったか?」


「………?確かに今日のご飯はオレ担当だし朝食なら作ったが」

「それじゃねーよ」

朝作ってたもの…か。
私は心当たりがあるものをテーブルの上にだす。

「これ?クッキーのこと?何、欲しいの?」

「そう思ったが随分と綺麗にラッピングされてるんだな…
誰かにあげるつもりだったのか?」

そうだね。誰かにあげるつもりだったよ。
ミラのお菓子争奪戦に参加してたから渡す気失せてたんだけど。

「ちょっと気になる人に…ね。でもいいよ。それ、あげる」

「へー、気になる人ってのも気になるが。
本当にいいのか?」

「どーぞ」


口直しにはなるだろうよ。

「元々、お前にあげるものだったしな(ボソッ」

小さくそう呟けば何か言ったかと聞かれたけどなんでもない、と返した。
少しだけ心のもやもやが晴れた気がしたんだ…。


何なんだろうな、この感情は。

フェーリはクスリと笑う。











「Trick yet Treat
お菓子いらないから悪戯させろよ?」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.22 )
日時: 2014/11/02 09:29
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)
プロフ: もとらみあすけいるしょぞく

第5話「元蛇姫の鱗所属」

「この騒ぎは何事かねっ!!」

「聞いてください。もうすぐここに敵が攻めてきます。
そいつらは森の遺跡に住みついてて、
みんなの体をそんな姿にした犯人たちなんです」


ルーシィは丁寧に説明するが村長は月を壊せとの一点張り。
何よりも息子であるボボを殺してしまったことを根にもっているのだ。

「姫、準備が整いました」

そんな時、ルーシィに声がかかる。
声をかけたのは星霊であるバルゴだ。
バルゴの言う準備とはつまり落とし穴を作ること。

ほとんどの人はそんなの引っ掛からないだろうと思っていた。
リンも例外ではない。

「ルーシィさん!何か近づいてきますよ!!」

門を開けると、遠くから見えてきたのはグレイをおぶるナツの姿。
ルーシィはすぐに来ては駄目、と言う。
それで何とか止まったナツに安心するが…

「何だこれ」


「! アイスメイク、フロア!!」

作った落とし穴を踏んでしまうナツ。
落下を防ぐ為にリンはすぐに穴に床を作った。

「あっぶねーな!こんな時にオチャメした奴ァ誰だコラァ…」

「ルーシィだよ…、」「ちょ、リン!」

「やっぱりか!」


「違うのよーっ!!」

リンは氷の床で滑り転んだナツを起き上がらせる。


「置いていって悪かったな、ナツ。……グレイはダウンか」

「あぁ……」

リンはそっとグレイを地面へ下ろす。
そういえばあいつらはまだ来ないのか、とナツは言った。

道が分からなくなったナツは一度、山に登って居るために遅くなった。
それでも来ない、というのは少しおかしい。


「な…何だアレは!!?」

村人の1人が空を指す。
そこに飛んでいたのはあのネズミ。
手には何かゼリーのようなものが入ったバケツを持っている。

バケツから少しこぼれたゼリーが村へ落ちるとそれは地面を溶かしてしまった。

村人たちが騒ぐ中でネズミは思いっきりバケツの中身をバラまいた。
ナツは村の中心へ集まれ、と集合を掛ける。


「右手と…左手の炎を合わせて…火竜の…煌炎!!」

中心を爆散させ、何とか村の人達は全員、無事。

「村は大変なことになっちまったけど…村人はみんな助かったな」

「そうですね」


その時、降りてきた3人の影。

「零帝様の敵は全て駆逐せねばなりません。

せめてもの慈悲に一瞬の死を与えてやろうとしたのに……
どうやら大量の血を見る事になりそうですわ」

シェリー、トビー、ユウカの3人だった。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.23 )
日時: 2014/11/06 07:49
名前: 紫苑有栖 (ID: Z6QTFmvl)


「村人約50、魔道士3。20分ってとこか」

「オイラもいるぞ!魔道士4だ!!」
「私もいることをお忘れなく。魔道士は5です」


村人はグレイを背負ってこの場から逃げて行く。
それをシェリーとネズミは追い掛けて行った。
どうやらルーシィも一緒のようだ。

ハッピーは見に行く、とルーシィの方へ飛んで行った。


「こっちは俺が…かたづけとく!」

「じゃあオレはこっちをやろうか」

ナツがトビーへ。リンがユウカへ向かう。
それぞれ魔法を当てる。
しかしトビーは魔法は当たったものの、すぐに起き上がり、
ユウカは魔法そのものを打ち消す。

「なんて冷たい氷だ。もしかすると零帝様より冷たいか?」

相手を睨みつける2人。

「だが俺たちもかつては名のあるギルドにいた魔道士。
そう簡単にはいかんよ」

魔道士ギルド、蛇姫のラミアスケイル
あの岩鉄のジュラがいるギルドの元メンバー。


「うるさいよ」「知らねーな」

ほぼ2人同時に攻撃を仕掛ける。
依頼人を狙う邪魔者、つまり妖精の尻尾フェアリーテイルの敵。
戦う理由はそれだけ。

トビーとナツも戦闘を始める。

「波動」

「アイスメイク…!」


波動の性質に気付き、シールドを出す前に避ける。
リンの攻撃の合間に波動を打ち出す。

ユウカの作り出す振動は全ての魔法を中和する。
つまり魔法を通さない魔法。


「全ての魔道士は俺の前では無力だ!」

「そんなことないと思うが?」

ユウカの波動を上へ避けた後に彼の後ろへと回る。

「無駄だ」

しかし彼はすぐに振り返り波動の盾を作る。
リンはバックして距離を取った。


「この短時間でオレはテメェの攻撃の仕草、癖。
そして“弱点”を全て見破ったと言ったら?」

「そ、そんなこと…!波動!!」

「ほら、まただ。テメェは必ず魔法を出す前に同じ動作をする」

向かってくる波動を避けながら再びユウカへ近づいて行く。


「そんな癖など!」

「ほら、まただ」

「くそっ!!何でだ!」

焦りを見せ始める彼にリンは不敵に笑う。

「アイスメイク…氷華アイスフラワー

氷の塊はユウカへと近付くが波動の盾を展開。
しかしそれは波動で中和される前に爆発。


「囮!」

「残念、もう遅いぜ?アイスメイク…針雨シャワー

上から降る氷の礫に防御を取ろうとしたユウカだが、
間に合わずに針雨の餌食となった。


「そんな短時間で全て分かる訳ねーだろ?ばーか」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.24 )
日時: 2014/11/08 10:07
名前: 紫苑有栖 (ID: axyUFRPa)
プロフ: せいれいとあやつりにんぎょう

第6話「星霊と操り人形」

ルーシィ。
何とか、ネズミには潰されずにすみこちらでも戦闘は既に始まっていた。
一度シェリーの魔法、人形劇に星霊を操られたが
強制閉門することができたルーシィ。

強くなっている、と思ったルーシィは調子に乗って来ていた。

子犬座のプルーを召喚しわざと操られる。
そのすきにムチで攻撃をするルーシィ。
シェリーはすぐに避け操り解除をした後、次に岩を操る。


岩なんて壊せる星霊なんていたか、と考えながらルーシィは走り逃げる。
逃げた先にあったのは海。

何かを思い付いたルーシィはアクエリアスを呼び出した。
シェリーはすぐにアクエリアスを操る。


「フフ…これでアクエリアスは使えませんわ。
とっとと帰らせなさい」

「いやよ。これ…あたしの切り札なんだから」

その言葉を聞いたあと、攻撃は再開される。
しかしアクエリアスはシェリーを巻き込み両者ともフラフラにした。


ルーシィは最後に一撃を食らわせる。

「アンジェリカ。私の仇を討って…」

そう言うと森から出てきたネズミ。
ネズミは魔力を使い過ぎたのか、足が動かないルーシィを襲う。


“ザン”

ただネズミは、エルザの剣によりぶっ倒れた。


「エルザ!」

名前を読んだルーシィをエルザは睨みつける。

「………さん」


「私がなぜここにいるかわかっているな」

「あ…いや…その……連れ戻しに……ですよね?」

ガクガクと震えるルーシィへ向かう1匹の猫。
ハッピーはエルザの姿をみるなり逃げ出す。
しかし呆気なく捕まった。

ルーシィがこの島を救ってあげたい、というがエルザは興味がない、と。


「貴様等はマスターを裏切った。ただですむと思うなよ」

剣先をルーシィに向け、言い放った。

「(こ……怖い…)」


+++

「…こっちも終わったし、ルーシィのトコ行くか。フェーリ」

「はい。ナツさんはどうするんですか?」


「俺は遺跡に向かうぜ!」

「分かりました。行きましょう、リン」

それぞれ行く場所へと向かう。
フェーリとリンは空からルーシィを探す。

ネズミが倒れているのを見つけて降りてみたが、
シェリーが倒れているだけで誰もいないのを確認し再び探しに行く。


「何処に行ったんだ…ハッピーもいねーし……」

「そろそろ暗くなって来ましたね……」

「仕方無い。今日は野宿か」

暗闇での探索は危険だと判断したリンは安全そうな場所を見つけ休む。
遺跡の方に見えるのは月から届く紫の光。

その光を見ている内にリンの目は閉じていく。





「では取り敢えず村の皆様が避難した場所を探して見ますか?」

「……あぁ、そうすっか(グレイの様子も気になるし)」

翌朝。
ひと通り探索しいないのを確認して目的を変える。

村人が避難した場所、資材置き場は見つけるのに時間はかからなかった。
すぐに降りて村人から話を聞くリン。

テントへ来い、と。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.25 )
日時: 2014/11/09 12:14
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)

「………エルザ」

テントの中に入り、出迎えたのはエルザの姿。
後ろではハッピーとルーシィが縄で縛られている。

「(見つからない訳だ…)」

「大体の事情は聞いた。
おまえはナツたちを止める側ではなかったのか?リン」

リンはエルザの顔を見て黙る。


「あきれて物も言えんぞ。ナツは一緒じゃないのか?」

「ナツは遺跡に向かった」

「分かった、遺跡だな。見つけ次第ギルドに戻る」

その言葉にエルザを睨み付けるリン。


「事情を聞いたならこの島で何が起こっているのか知ってるだろ?」

「それが何だ?私はギルドの掟を破った者を連れ戻しに来ただけだ。
それ以外の事には一切興味ない」

この島の人達の姿も見ている。
しかしエルザは正式に受理したギルドの魔道士に任せるのが筋だ、
と言って帰るという選択肢を変えない。

「そうだな、お前はそんな奴だった。でもオレは帰らねーぞ」

「何だと?お前までギルドの掟を破るつもりか」

エルザは換装で取り出した険をリンの首元に突きつけた。
しかしリンはそれを予想していたのか、何も動じず目を閉じる。


「ギルドの掟…か。
別に妖精の尻尾フェアリーテイルに恩を仇で返す気はない。

妖精の尻尾には感謝してるんだ。だけど…」

テントの中に静寂が訪れる。
リンは目を開きエルザの目を見て言った。

「もう時間がないかも知れないんだ。
オレのやりたいようにやらせてもらう」

エルザの目が見開かれる。

「……殺したければ殺せばいい。オレも、この島の村人も」

「エルザ!!?」

そんな雰囲気の中に入って来るグレイ。
リンがテントから出て行く中、エルザが剣先をグレイに向けた。


「グレイ!リンを止めろ」

リンとナツを連れ戻し、すぐにギルドに帰るんだ、とエルザは言う。
その言葉で全てを悟ったのかグレイはその剣先を握り締めた。

「リンが断ったんだろ?だったら俺だって最後までやらせてもらう」

握り締めた手から流れ出る血。
それでもグレイは握る手を強くする。

「斬るなりなんなり勝手にしやがれ!
これは俺が…俺達がやらなきゃなんねぇ事なんだ!!」


エルザが剣を降ろすとグレイはリンの後を追うようにテントの外へ。
今までより怒っているらしいエルザがルーシィ達の方を向く。

ルーシィ達は斬られると思ったのかいろいろと言うが、
エルザが斬ったのは拘束していた縄。

「これでは話にならん。まずは仕事を片付けてからだ」


その言葉にルーシィもハッピーも笑う。
もちろん、帰ったら罰は受けて貰う、と。

「行くぞ」

そして5人は遺跡へと走り出した。


グレイは走りながら昔のことを話す。

リオンは昔からウルを超える事だけを目標としてきた。
だからそのウルがいなくなった今、彼女の倒せなかった、
デリオラを倒すことでウルを超えようとしているのだ。

「そっか…死んだ人を追い越すにはその方法しか………」

ルーシィは悲しみ、そう言った。

「いや…あいつは知らないんだ。
確かにウルは俺たちの前からいなくなった。


だけど…ウルはまだ生きている」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.26 )
日時: 2014/11/12 07:40
名前: 紫苑有栖 (ID: kcj49vWg)
プロフ: しのおしえとことば

第7話「師の教えと言葉」

(ふわふわと白い雪が舞う。私はこの雪が好き)

雪が降っては毎日のように外に出て眺めていた。
手を開き、落ちてくる雪をすくう。
それは溶けずに手の上に残った。


「まずは氷魔法の基礎からだ」

ウルは言う。
私の修行は厳しい、ついてこれるかと。
デリオラが去った後に残った生存者、グレイは何だってやってやると言った。
するとウルはいきなり服を脱ぎ始める。

その場にいたリオンもだ。
他にもリンやフェーリもいるがリンは服を脱ごうとはしない。

手の上に積もる雪を見てじっとしていた。

「お前も服を脱げ。冷気を操りたくば冷気と1つになれ」

「こ、こいつはいいのかよ!」


「ん?あぁ、リンの事か。
リンは体の傷を見せたくない、と言う事を聞かないんだ。

それに、どうゆう訳か既に冷気と1つになっているみたいだしな」


グレイもリオンも、リンの手の上に積もる雪を見て納得する。
渋々ながらもグレイは服を脱ぎ、体を震わせた。

「来い、走るぞ」

「オイ!魔法教えろよ!!」

「いいから走れよ。俺たちまで基礎につきあってんだぞ」


ウルが先頭を走り、リオン、グレイと続く。
その後をリンとフェーリも追い掛けた。




“いいか。数ある魔法の中でも造形魔法は『自由』の魔法だ。

作り出す形は十人十色。術者の個性が最も出る魔法だ。

精進せよ。そして己の『形』を見つけ出せ”

最初はぎこちなかったグレイの造形もまともな形になっていった。
リオンは片手で造形出来るまでになったが片手での造形はバランスが悪い。
そう言われても直そうとはしなかった。

弟子同士での手合わせでは、基本的にリオンが勝っていた。
リオンに勝ててもグレイとリンが一緒になってやっと勝てた程度。


「リン、たまには本気を出してもいいんじゃないのか?」

ある日、夜中に外で座って雪を眺めるリンへ声を掛けたウル。

「お前ほどの奴が本気を出したらリオンに1人でも勝てるじゃないか」

「……でも本気を出したらそいつを殺してしまいそうで怖いんだ。
だからこのままでいい。

2人には“オレはリオンには絶対勝てない程弱い”って事でいいんだ」



その言葉にウルはただ、「そうか」と答えるだけだった。






「何で溶けず手の上に積もるんだよ、
リオンだってまだ出来てねーのに……」

朝早く、外に出て雪を手に積もらせていたリンに後ろから声を掛けたグレイ。

「オレの体温が異常に低いからだよ」

「何だよ、それ」

グレイは頭にクエスチョンマークを浮かべるが、
それ以上、リンは話そうとはしなかった。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.27 )
日時: 2014/11/16 22:03
名前: 紫苑有栖 (ID: 4lMk69pY)

「なぁグレイ、リン。
俺たちはあとどれくらいでウルを追い越せるかな?」

ウルが買い物中、グレイ、リン、リオンの3人は石垣に腰掛け、
彼女の帰りを待っていた。

「興味がない」

「オレも…興味ないかな……」

2人は言うがリオンはそれを無視するように続けた。


「ウルは俺の目標なんだ。
いつかウルに勝つ事が俺の夢なんだ」

「興味がねえって言ってんだろ。それに聞きあきた。

俺はデリオラを倒せればそれでいい。
力さえ手に入れたらあのクソ女ともおさらばだ」


「ウルさんのこと、クソ女とか言うなよ」

タイミング悪く、話の輪に入ってきたウルは、
誰がクソ女だ、とグレイの頭を殴る。


「いつになったら強い魔法教えてくれんだよ」

造形魔法は自由の魔法。
己の形を見つけた時、それはいくらでも強くなる。
そうウルはいつも言っていたがグレイは認める気がないようだ。


「てか何でこんなところで脱いでんのよ!」

「な……くそっ!おまえのせいで変な癖ついた!!」

周りで見ていた街の人々がクスクスと笑う。
一方でリン達はただ呆れていた。


その時、街の人がデリオラの噂をする。
北の大陸、ブラーコあたりに移動した、と。
グレイはその噂を耳に入れていた。

家に戻り、吹雪が強くなってきた頃にグレイが1人、荷物を背負い出て行く。
デリオラを倒しに行くと。
ウルがお前には無理だと止めるが彼は止まらなかった。



「俺は父ちゃんと母ちゃんの仇をとるんだ!
何か文句あんのかよ!!」

「出ていけば破門にする!!!」


「ああ…せいせいするよ!
俺が死んだらもっと強い魔法を教えてくれなかったアンタを恨む」

ただ、それだけ言って出て行ってしまった。


+++

「遺跡が傾いて……る?」

「どうなってんだー!?」

「ナツだな」


どうやったかは知らないがこんなデタラメするのはナツしかいない。
狙ったのか偶然か。どちらにせよこれで月の光はデリオラに当たらない。


“ガサガサ”

周りの茂みから誰かが来るような音。

「見つけたぞ、妖精の尻尾フェアリーテイル!!」

出てきたのは月のムーンドリップの儀式をしていた奴ら。
エルザはグレイとリンに行け、と道を作る。
フェーリもまたエルザ達と奴等の相手をするらしい。

「リオンとの決着をつけてこい」


2人は頷き走り出した。


Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.28 )
日時: 2014/11/29 15:14
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)


+++

「まいったな。ここまで強いとは……」

ウルはデリオラの前に立ち、息を切らしていた。
体も大分、傷だらけだ。


「…どうすんだよ、ウル。
オレだって足止めくらいしか出来ねーぞ」

デリオラの様子を見に行っていたリンとフェーリがウルの所へ戻ってきて言う。
リンやフェーリもまた戦闘をしていたのか傷だらけだった。

「それくらい出来るなら十分さ…ただ……」

問題は後ろに倒れ、気絶しているグレイとリオンの姿。
もし、無抵抗のままデリオラの攻撃が当たってしまったら…

起きてくれればまだ戦いやすくなるものの、
2人の存在が大きく戦況を不利にしていた。
しかし、見捨てる訳にもいかないのだ。


デリオラはこちらへと咆哮を放つ。
ウルは2人の元へ駆け寄り、リンはフェーリと共に上へと飛び避ける。

「うぁあああっ!!」

グレイの意識が戻り、叫び声を上げる。
それをウルは大丈夫だと落ち着かせながらぎゅっと抱き締めた。


「ウル…!?え……?何で…?」

「いいからリオンをつれて離れろ…
かばいながらじゃ戦いづらくてしょうがない」

「リオン…?」


「ダウンしてるがな」

その時、リンとフェーリも地へと降りて来る。
グレイはデリオラを見た途端に腰を抜かし転けてしまう。
そこにウルは倒してやるからさっさと行け、と怒鳴った。


「な…なんで…き……来たんだ。
オ…俺……破門…だろ?」

グレイはリオンを背負い、体を恐怖で震わせながらも問う。


「以前…友人に自分の幸せについて考えろと言われたんだ。
そんなに不幸そうなツラしてる覚えはないんだけどね。

だってそうだろ?
かわいい弟子が3人もいて日に日に成長しにぎやかな毎日。


十分幸せだ。

その幸せを取り戻す為に来た」

少し歩きづらそうにしながらウルが移動すると、
グレイが彼女の足が氷で造られているのに気付いた。



「もっていかれたが気にする事はない。
素晴らしいだろ?造形魔法は。

あの怪物がおまえの闇ならば私にも戦う理由があるという事だ」





*更新サボリすみませんっ!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.29 )
日時: 2015/02/13 12:24
名前: 紫苑有栖 (ID: 8y9cmuB3)
プロフ: しへとにげたみち

第8話「死へと逃げた道」

「行け、アレは私が倒す。リンはまだ手伝えるか?」

リンはウルの目を見て頷く。
でもグレイはこんな事になったのは俺のせいだと動かなかった。

「誰のせいでもない。幸せを取り戻す為の試練だ」



「ウル…本気でやってるの?」

リオンの意識が戻りウルに近付いて行く。
ウルは最強の魔道士。
あんな怪物ごときに勝てないはずがない。

「リオン…前にも言っただろ?上には上がいる。
西の国に行けば私より強い魔道士は山ほどいる」


そう言うがリオンには聞く気はなかった。
ウルが最強だ。

「アンタが本気を出さないなら俺がやる」

「その構え……!!」


ウルの前に出て来て絶対氷結アイスドシェルの構えをする。
彼女は止めようとするがその大き過ぎる魔力に吹っ飛ばされてしまう。
デリオラにも見つかってしまった。

デリオラにはどんな魔法も効かない。
だったらこの魔法で永遠に氷に閉じ込めると言った。

「その魔法を使ってはならん!」

ウルがリオンを氷漬けにする。
絶対氷結アイスドシェルは使った者の身を滅ぼす。


「しかし…あいつを倒すにはこれしかないのも事実…
まさか…私がやろうとしていた事をリオンがやろうとするとはな…

さすがは弟子だ」

前に出てリオンと同じ構えをするウル。


「私の弟子たちには近づかせないっ!
これで終わりだ!バケモノォ!!!


絶対氷結アイスドシェル!!!」

「ウルー!!」

膨大な魔力とヒビが入る体。
この魔法は自らの肉体を氷へと変える魔法。



「グレイ…頼みがある。リオンには私は死んだと伝えてくれ。
あいつの事だ。

私が氷となったことを知ればこの魔法を解く為に人生を棒にふるだろう」

彼女の体は分解されて行く。
グレイは涙を流した。
リンはただその様子を棒立ちで見守る。


「リオンにはもっと世界を見てもらいたい。
グレイ、リン…もちろんおまえたちにもだ。

悲しむ事はない。
私は生きている。氷となって永遠に生きている。


歩きだせ、未来へ」




“おまえの闇は私が封じよう”

最後にウルは、そう告げた。




デリオラは完全に体を凍らせる。
それをずっと静かに見守っていたリンはデリオラを凍らす氷に近付き、
手を氷に当て、目を閉じた。

しばらくそうしているとリンはそのまま地面へへたりこむ。
そっと悔しそうに涙を流した。



翌朝まで4人は凍り付いたデリオラの近くで過ごしていた。

「な…デリオラが!ウルは!?ウルはどうした!!?」

リオンが目を覚まし、グレイが死んだと答えると
リオンは嘘だと叫びグレイの胸ぐらを掴む。
それに気付いたリンがリオンを後ろから掴み、2人の距離を離す。


「落ち着けよ!リオンッ」

「離せよッ!くそっおまえさえ…おまえさえデリオラに挑まなければ…
おまえのせいだ!!グレイ!!!」

グレイもリオンも涙を流す。
せめて一発殴りつけてやろうの勢いでリンから離れようとするリオン。


「おまえがウルを殺したんだ!!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.30 )
日時: 2014/11/30 19:30
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)


“パキィ”

そんな音を立て、氷を割った。
中にいたのはリオンとナツの姿。
どうやら戦闘中だったらしい。

氷を割った所からグレイは入って行く。
リンもその後ろにいた。

「…こいつとのケジメは俺につけさせてくれ」

「!」

「てめえ!1回負けてんじゃねーか!!!」


「次はねえからよ。これで決着だ」

たいした自信だな、とリオンは言う。
10年前、ウルが死んだのはグレイのせい。
だが、仲間を傷つけ村を傷つけ、
あの氷を溶かそうとするリオンだけは許さないとグレイが言う。


「共に“罰”を受けるんだ、リオン」

グレイは手を交差させて構えを取る。
その構えにその場にいる全員は目を見開いた。

「き…貴様……血迷ったか!!?」

「今すぐ島の人の姿を元に戻す戻せ…そして仲間をつれて出ていけ」


リオンはその言葉に脅しか、くだらんと吐きすてる。
だがグレイは本気らしくドッと大きな魔力が漏れ出した。

ナツはその魔力に吹っ飛ばされ、リンが何とかその場で耐える。

「この先、何年経とうが…俺のせいでウルが死んだという事実は変わらねぇ。
どこかで責任をとらなきゃいけなかったんだ。

それをここにした。死ぬ覚悟は出来ている」



「本気…なのか…!!?」

「答えろリオン!共に死ぬか生きるかだ!!!」

リオンはやれよ、と答えた。
その時にナツは魔力に抗おうと立ち上がる。


「これで全て終わりだ!!アイスド…」

「グレイッ!!!」

「!!!」

氷が床を伝いグレイを凍らす。
それはすぐに砕けたが絶対氷結は止まった。

絶対氷結を止めるために予想以上に魔力を使ったのか、
息切れをし自分に驚くリン。

「(危ない…加減を忘れてた……)」

「リン…なんで……何で止めた」


グレイの言葉にリンは彼を睨みつけた。

「リンが止めなくても俺も止めてたぜ」


ナツもそう言い放つ。

「ナツ…てめぇ……ケジメつけさせてくれって言っただろ!」

「“はい、了解しました”って俺が言ったかよ」

グレイがナツを睨みつけた時、リンはグレイの名前を呼ぶ。


「“死ぬ覚悟”って何だよ…
死ぬ事が責任なのかよ?それが罰なのかよ?ケジメなのかよ!!

それはただの逃げなんかじゃないのか!?グレイ!!!」

リンの言葉に黙るグレイ。
その時、遺跡が“ゴゴゴ”と音を立てる。

しばらくしてそれは収まったが、傾いていた遺跡は元に戻っていた。
お取り込み中失礼、と入ってきたのはザルティと呼ばれた男。
遺跡を元に戻したのはザルティの魔法。


「俺があれだけ苦労して傾かせたのに…
どうやって元に戻した!?」

「ほっほっほっ」

「どうやって元に戻したーっ!!!」


「さて…月のムーンドリップの儀式を始めに行きますかな」

ナツの言葉を無視して去ろうとするザルティ。
それにムカついたのか、ナツはザルティを追い掛けた。

「ナツ、オレも行く」

ついていこうとするリンにグレイは声をかけた。


「…きっとナツがあいつを何万回もぶっ飛ばす。
オレもあいつをぶっ倒しに行く。

ケジメをつけるんだろ」

グレイは頷いた。
その会話が聞こえていたのかナツは走りながら大声で叫ぶ。

「オメーのじゃねえぞ」


「妖精の尻尾フェアリーテイルのだ!」と3人は声をハモらせる。
それだけ行ってリンもナツもグレイの視界から消えていった。

リオンはその様子を見て騒がしい奴等だと言う。

「おまえ…さっき俺が絶対氷結を使おうとした時、
リンが止めるのを計算にいれてやがったのか」


「いや…まさかリンがあの魔力を止めるとは想像もしてなかった。

あいつはそこまで強くなかったはずだ」

「…じゃあ本気でくらう気だったのか」

リオンはそうだ、と答えた。
たとえ、絶対氷結で氷に閉じ込められようがリオンには仲間がいる。
更に、ここは月の雫で絶対氷結を溶かせる島。

この島で絶対氷結は無力だ。



「それでもこの俺との決着を望むと?」

おまえは俺には勝てないというリオンの言葉を遮り、
もうやめよう、とグレイが言う。
デリオラは諦めるんだと。

「脅しの次は説得だと?
貴様のギルドは牙を抜く優秀な歯医者でもいるのか?」

「リオン…よく聞いてくれ。ウルは生きてるんだ」

絶対氷結は自らの体を氷に変える魔法。
あの時、デリオラを封じた氷。
つまりリオンが今溶かそうとしている氷はウル。


「ウルは…氷となって…氷と今も生きている………」

今まで黙っていたのは悪かった。
ウルとの約束だったんだとグレイは言った。
リオンは静かにグレイの近くへ寄る。

「リオン…だからもうこんな事は…やっ」

グレイの口から血が吐き出される。


「知ってるさ。そんなくだらん事。
あれはもはやウルではない。ただの氷クズだ」

リオンの手には造形された氷のつるぎ
それはグレイの脇腹あたりを思い切り突き刺していた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.31 )
日時: 2014/12/01 21:47
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)
プロフ: “でりおら”

第9話「“災厄の悪魔”」

腹を刺されたグレイはそのまま床へと倒れ込む。

「お…おまえ…し…知って……た…のか………」

「おまえだって本気で信じてる訳ではなかろう。
ウルが生きてるなどと。早く大人になることだ」


グレイは苦しいのか、呻き声を出した。
体中に走る痛みを堪えて言葉を吐き出す。

「知ってて…こ…こんな事を……」

ぐっと力を入れ立ち上がり油断しているリオンをぶん殴る。

「な…!バカな!!そのキズでなぜ動ける!!?」

「限界だ…助けてやりたかったがもう限界だ」


グレイは両手で造形し弓と矢を造り出し、リオンへと当てる。
リオンはもろに矢があたり倒れかける。
すぐに体勢を戻そうとしたリオンだが、
グレイに顔面を蹴られ吹っ飛ばされた。

その後も、グレイの攻撃は続く。
本気の殴り合い。
いや、リオンは手も出せないでいる為に殴り合いとは言わないかもしれない。


リオンはその攻撃に絶えず何度か血を吐き出していた。

「がっ…はァ!この俺がグレイごときに血を流すなど…」

グレイから距離を取ったリオンはヨロめきながら壁に手を付ける。


「あってはならんのだ!!!


アイスメイク“白竜スノードラゴン”!」

片手で造形された白竜がグレイを襲う。

「無駄な魔力は使わせんでほしいな…
俺はこの後、デリオラとの1戦が控えてるんでな」

互いに息を切らしながら会話をする。


「させる…かよ…」

「どうあがいたところでデリオラは間もなく復活する。
もう誰にも止められんぞ…」

絶対に止めてやるんだとグレイは再び立ち上がろうとする。
この間にもザルティは月のムーンドリップの儀式をしているんだ、
とリオンは言うが。


「リンとナツをナメんなよ」



リン、ナツ。
2人は1度、見失ったザルティを再び見つけていた。
ナツが取り敢えず燃えとけ、とザルティに突っ込んで行く。

「なぜここがおわかりに?」

ザルティは儀式の場所ではなく、デリオラの前へ来ていた。


「俺は鼻がいいんだよ。ちなみにオマエは女の香水のニオイだ」

ザルティはデリオラを復活させなければならないんだ、と言う。
それに対してナツは自信を持って無理だと言った。
グレイがリオンをぶっ飛ばし、ナツとリンがザルティをぶっ飛ばすからだ、と。


「そうでしょうかねぇ?」

ザルティがチラッとデリオラの方を向く。
それに釣られ、リンやナツもデリオラの方を向くと
紫色の光がデリオラを照らしていた。

「誰かが上で儀式やってんのか!?」

たった1人では月の雫の効果は弱い。
だが実はすでに十分な量の月の光が集まっていた。

「後はキッカケさえ与えてあげれば……ホラ…」


“ビチャ”と音をたて、デリオラが溶けて行く。
リンはそれをただ冷静に見つめていた。

ナツが頂上へ向かおうとするとザルティが足元を崩し転ばせる。

「私を追ってきたのはミスでしたね、火竜サラマンダーくん」



「……そうだな。きっと今から行っても間に合わねぇ。
こいつぶっ倒すぞ、ナツ!」

「おまえに言われるまでもねぇよ、リン!!」

2人はザルティを見据えてから動き出す。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.32 )
日時: 2014/12/01 21:49
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)


ナツが始めに殴りに行き、後ろによけたザルティをリンが狙う。

「よいのですかな?こんな状態で火の魔法など」

ザルティはリンの攻撃を防いだ。


「火の魔法で氷が溶けたら苦労しねーだろ?」

「はやいとこ、おまえぶっ倒さないとな」


「ほっほぉーぅ。戦場での頭の回転の早さと柔軟さには驚かされますなぁ」



リオン、グレイ。
こちらでは“ゴゴゴ”と言う音をたて遺跡が震えているのに気付いていた。
リオンはデリオラの氷が溶けはじめている、と答える。

「俺はこの時をどれだけ待っていた事か。
10年間、仲間を集め知識を集めのうやくこの島のことを知った」


月の光を集める島、ガルナ。
リオンが片手を上へ上げる動作をするとグレイの足元から、
氷の刃が飛び出しグレイにもろに当たる。

リオン達はブラーゴからデリオラを運び出した。
それが3年前。

グレイはその氷を相殺してから言う。
こんなくだらない事を3年間もやっていたのか、と。


「この10年間ギルドで道楽してた奴がよく言えたものだな!!!」

次に手を下へ下げる動作をするリオン。
グレイの頭上から氷の塊が現れグレイを攻撃する。

グレイはウルの言葉を信じただけだと言い放つ。
西へ行けばウルより強い魔導師は山ほどいる。
そこでたどり着いたのが妖精の尻尾だ。
確かにすごい魔導師が山ほどいた。

マスターマカロフに出会い、絶対氷結は溶かすことの出来ない氷だと教わる。
1つだけ手がないことはない。
しかしそれはウルを殺すに等しい行為。

「まさかそんなウルを殺すような事を兄弟子がやってたと思うとガッカリだよ」

「何とでも言うがいい…俺はこの日の為に生きてきた」

ウルが死んだ今、どうすればウルを超えられるのか。
答えは簡単だった。
彼女が唯一倒せなかったデリオラを倒すことで超えることが出来る。


リオンは狼を造形しグレイへ突進させる。
彼はそれをギリギリで避けた。

「何も見えてねえ奴がウルに勝つだと?
100年早ェよ出直してこい!」

グレイが氷の剣を造形し、目の前のリオンを切る。
だがそれは身代わり。
本物は彼の背後に立っていた。


「アイスメイク…“白虎スノータイガー”!!」

グレイはそれに気付き、彼を襲おうとする白虎を牢獄プリズンに閉じ込める。

「これはおまえの姿か、リオン。世界を知らない哀れな猛獣だ」

リオンが牢獄を壊そうとするがその牢獄は壊れない。
片手での造形はバランスが悪い。だから肝心な時に力が出ない。


氷雪砲スノー・キャノン!!」

両手で造り出したグレイのそれはリオンに命中した。

「ウルの教えだろ」


リオンはそのまま床へと倒れる。
グレイが一息すると脇腹の刺された場所から血が溢れ、
急いで氷で固めて止血をする。

その時、“オオオオオ”と言う声が遺跡に響きわたる。


デリオラ近くにいたリンとナツは耳を塞ぎ、
もう半分も溶けてしまったデリオラを見る。

「(ウルさん…)」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.33 )
日時: 2014/12/04 07:50
名前: 紫苑有栖 (ID: CqswN94u)
プロフ: うるがのこしたもの

第10話「師匠が残した物」

「くっそーもたもたしてらんねぇ」

「もう遅いだろうけどな」


「うるせぇ!止める価値はあんだろ。一気にいくぞ、リン!!!」

はいはい、とリンは言うとザルティを見る。
その近くに浮かんでいた水晶がナツに向かって行くのをみてそれを砕く。
が、すぐに再生し水晶はリンを狙う。

リンは何とか体勢を保ち向かってくる水晶を凍らした。

ザルティがニヤリと笑うと水晶を凍らせてた氷は溶けて水になり蒸発。
それに驚き、現れた水晶に思い切り当たる。


“彼”の魔法は物体の時を操る。
水晶を壊れる前の時間に戻し、リンの氷を蒸発する先の時間へ進めたのだ。

「時!?ありえねぇ!!」

「“時のアーク”は失われた魔法ロストマジックの一種ですからね」

「これじゃあオレの出番、ねーじゃん」


次は水晶の時を未来へ進めましょう、といきなり水晶の早さが上がる。
それはリンとナツを襲い続けた。

ナツは何とか水晶を壊すがすぐに元に戻ってしまう。
再生した水晶を再び壊そうとすると水晶はいきなり止まる。 

「それ…人間には効かねーみてーだな」

正確には生物には効かない。
だからこそウルである絶対氷結アイスドシェルの氷も元には戻せない。

ハッキリいってお前らよく分からないとナツは話し出す。
デリオラを復活させてリオンが倒す。
リオンはそれでいいかもしれないが他の奴等には何の得があるのか。

ザルティは最近仲間になったばかりで分からないと言う。

「んじゃオマエでいいよ。本当の目的は何だよ」


ザルティはただ自分のものにしたい、と答えた。
たとえ不死身の怪物であろうと操る術は存在する。
あれほどの力が我がものにできたら楽しそうだと。

ナツは燃えるような目的があるんだと思ったと聞いて損している。

「あなたにはまだわかりますまい。
“力”が必要な時は必ず来るという事が…」


「そん時は自分と仲間の力を信じる。
妖精の尻尾フェアリーテイルの力をな」

「言うねー、ナツ。
オレも…その期待に答えられるようになりたいよ」


「十分答えてんじゃねーか。どうゆう意味だ?」

「何でもねえよ、」

ザルティが手を天井にかざすとボロボロと瓦礫が落ちてくる。
ナツは足と手に炎をまとい、ザルティに突っ込んで行く。
すぐにザルティの背後を取り、思い切りぶん殴った。

しかしデリオラは復活してしまう。
そのデリオラの声にリンとナツは1度全速力で離れる。
離れた場所にはグレイが立っていた。

「こうなったらやるしかねえ!あいつぶっ倒すぞ!!」

その時、クククと笑い声が聞こえた。
声の元には地面に這いつくばりながら移動するリオンの姿。
ウルを超えるために俺が倒す、と立ち上がろうとする。


「俺は…今…アンタを……超え…る……」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.34 )
日時: 2014/12/04 07:51
名前: 紫苑有栖 (ID: CqswN94u)


だが立ち上がったリオンを手刀で倒れさせたグレイ。
もういいよ、と前に出てきたグレイは絶対氷結アイスドシェルの構えを取る。

リンがそっと目を閉じてナツがグレイの前に立つ。

「俺はアイツと戦う」

「どけっ邪魔だよ」


「死んでほしくねえからあの時、リンは止めたんだろ。

そのリンの言葉がお前には届かなかったのか?」

やりたきゃやれよ、その魔法。
ナツがそう言うとグレイは魔法を止める。
そしてデリオラは腕を振り上げた。



「よけろォオォー!!!」

「俺は最後まであきらめねェぞ!!!」

そんな状況下でリンは目を開けて一言呟いた。


「もうそろそろ…かな……」

デリオラの腕は振り上げた状態でピタリと止まる。
それから腕や体、顔にヒビが入りデリオラは崩れていく。

「バ…バカな…そんなまさか…デリオラは…すでに死んで…」

ガラガラと崩れていくデリオラ。


「10年間…ウルの氷の中で命を徐々に奪われ……
俺たちは…その最後の瞬間を見ているというのか……」

ガン、と拳を地面に叩きつけるリオン。


「かなわん…俺にはウルを超えられない」



「す…すげーなおまえらの師匠!!」

「あぁ…ウルさんは……命の恩人だから」


“おまえの闇は私が封じよう”

「ありがとうございます…師匠……」

片手で顔を覆い、涙を流すグレイ。
そんなグレイをリンは後ろで笑いながら見守っていた。


ウルの氷は溶けて水になってしまった。
そして海へと流れて行く。
それでもウルは生きているんだとグレイは言った。



エルザ達も遺跡に入ってきて合流する。
フェーリはリンに近付き、欠片となってしまったデリオラを見つめた。

「一時はどうなるかと思いましたけど…
やっぱりデリオラはもう死んでいたんですね」


「あぁ…師匠ウルさんが残したものが無くなってしまったのは残念だけど。
でも…これのおかげで2人は和解したと思うんだ。

やっぱりすげえよ、」

リオンへ肩を貸すグレイを見ながらリンはそう言った。


「そ、そうだよ!リン!!
てめぇデリオラが既に死んでる事いつから知ってたんだ!?」

エルザから逃げようとしてるのか、ナツは聞いてくる。

「最初にこいつを発見して氷に手をあてた時だ」

「な!それだけで分かったのかよ!」


「………オレを誰だと思ってる?
これでも氷の造形魔道士、ウルさんの弟子だぜ?」

「うっわー何ソレ。すっげえムカつく」

本当にイラついてそうな顔をしているナツにリンは思わず笑う。
エルザ達はその様子を見て呆れていた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.35 )
日時: 2015/02/13 12:26
名前: 紫苑有栖 (ID: 8y9cmuB3)
プロフ: こわされしぎるど

第11話「壊されしギルド」

「いあー!!終わった終わったーっ!!!」

これでS級クエスト達成だと喜ぶナツ。
しかしリンとエルザがまだ終わってないと声をハモらせる。


「やめてくれよ…エルザと声が被るなんて……」

「どうゆう意味だ?」


「いや、何でもない。気にしないでくれ」

ルーシィは、デリオラは倒したし解決したんじゃないかと言う。
だがそれは呪いとはまったく関係ない。

月のムーンドロップの膨大な魔力が人々に害を及ぼしただけ。
デリオラが崩壊したといって事態が改善する訳がない。


「んじゃとっとと治してやっかー!」

「あいさー!!!」

ナツは前向きにそう言うがどうすれば呪いが解けるかはハッキリしない。
リオンなら分かるかも知れないと思ったがそれもはずれた。
村には一切関係することはなく、遺跡に来ることもなかった、と。

人体の影響にも少し疑問が残る。
3年間、彼も同じ光を浴び続けていたのだ。


「気を付けな。奴等は何かを隠してる。
ま…ここからはギルドの仕事だろ」

行くぞ、とエルザの声に遺跡から出ていく一同。
去り際にグレイがリオンにどこかのギルドに入れよと勧誘していた。


「そうだ、リン!」

リオンがリンの名前を呼ぶ。
それにリンは振り返った。


「前よりずっと、感情豊かになったな」


「!! ………そりゃどうも」

ふっとリンが笑う。


村の資材置き場

「あれ?誰もいない」


資材置き場には人の様子はなく。
フェーリとハッピーが資材置き場を見渡して来るが誰もいなかったらしい。

「皆さん!戻りましたか!?た…大変なんです!!
と…とにかく村まで急いでください!!!」

村人の言う通り、村まで行くとそこは元通りになっていた。
昨日までボロボロだったのがすっかりなおっているのだ。
リンとフェーリはあたりを歩き見る。

「……そうか、ボボの墓も戻ったんだな」

墓の前に座る村長の姿を見てリンは呟いた。
それに気付いたのか、村長はリンを睨む。


「村を元に戻してくれたのはあなた方ですかな?」

「いや…」


「それについては感謝します。
しかし!!!魔道士どの!

一体…いつになったら月を壊してくれるんですかな!!!」

その村長の喧騒に押されながらもリンは答える。


「もうこの際だから言うがエルザがいるなら月を壊すのは簡単だ」

「オイ…リンが滅茶苦茶な事言ってねーか?」

「あい!」

会話を聞いていたのか、グレイがそう言うとハッピーが返事をした。

「ただ、その前に確認したいことがあるんだ。
皆を集めてくれるか」

「! …分かったんですか?リン」


「あぁ。ほぼ確定だと思うぜ。エルザ、説明は任せたからな。
お前も分かってんだろ?」

突然近くにいたエルザに話を振るリン。

「大体分かってはいるが…何故私なんだ?
リンが説明すればいいじゃないか」


「…めんどくさい。何よりオレ、説明下手だから!」

ぐっと親指を立て、全てをエルザに託したリン。
その様子にエルザは他には何も言わないでいた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.36 )
日時: 2014/12/06 16:55
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)


皆が集まったのは門前。
その先頭にエルザは立ち、情報の整理から始めた。

村人たちは紫の月が出てから悪魔の姿になってしまった。
話をまとめるとそれは3年前から。

しかしこの島では3年間、
毎日月のムーンドリップが行われていた。
遺跡には一筋の光が毎日のように見えていたはず。
つまり、この島で一番怪しい場所だ。


ルーシィが作った落とし穴まで復活していたらしく、
その穴に「きゃあ」と声を出し落ちるエルザ。
グレイとナツ、ハッピーは顔を赤らめさせ、ルーシィは耳を塞ぐ。
リンがそれを見て笑い、フェーリがただ呆然と見る。


「なぜ調査しなかったのだ」

何事もなかったかのように、落とし穴からはい上がってきたエルザ。

「そ…それは村の言い伝えであの遺跡には近付いてはならんと…」

でもそんなこと言っている場合ではない。
死人も出てるしギルドへの報酬も高いのだ。

「本当のことを話してくれないか?」

村長は何かを決心して言う。
正直、あの遺跡は何度も調査しようとした。
しかし遺跡に向かって歩いても気がつけば村の門。


「我々は遺跡に近づけないのです」



「やはり…か」

「予想通りだな」

エルザは換装し、ナツについてこいと言う。


「今からあの月を破壊する。そして皆を元に戻そう」

高い所へ登ったエルザとナツは月を見上げる。
エルザが換装しているのは巨人の鎧。
投擲力を上げる効果を持つ。
次に闇を退ける破邪の槍を出した。

ナツが石突きを思い切り殴り、その火力で月まで届かせるというのだ。


エルザは槍を月に向け、名前を呼ぶ。
名前を呼ばれたナツはすぐさま拳に炎を灯し石突きを殴った。

それは見事、月へと激突する。

“パキィン”と音をたて、割れたのは月ではなく膜。
膜が壊れた向こうの月は元の色に戻っていた。

膜の欠片がキラキラと舞い落ちる。
しかし、村人達の姿は元に戻らない。


「元に戻らねえのか……?」

グレイの疑問にリンが答える。

「これで元通りだよ。
あの膜は姿ではなく記憶をおかしくしていたんだ」

「記憶?」


「あぁ。“夜になると悪魔になってしまう”そういった間違った記憶」

まさか、とルーシィに悪寒が走る。

「村の人達は元々、悪魔だったんだよ」

答えが分かっていなかったグレイ達が驚く。
村人たちは人間に化ける能力を持っていた。
その化けてる姿を本来の姿だと勘違いしたのだ。


リオン達に影響がなかったのは人間だから。

「さすがだ…君たちにまかせてよかった。
魔導士さん。ありがとう」

出て来たのはあの船乗り、ボボの姿だ。
自分たちが人間だと思い込んでいる彼らが怖くて村を逃げ出した、と。
船から突然、姿を消したのは彼には羽があったから。

村長が涙を流し息子の名前を呼び、宙へ飛んだボボに飛びよる。
そのあとに続き、他の村人も空へ飛んで行く。

「ふふ…悪魔の島……か」

エルザが空を見上げそう言う。
後にナツやルーシィ達も上空を見上げ笑う。


「でもよ…みんなの顔見てっと…悪魔ってより天使みてーだな」


+++

翌日、リン達はエルザが用意したという海賊船にてガルナ島を後にした。
今回の件は正式に受理された依頼ではない。
その為、報酬は黄道十二門の鍵が1つだけ。
得したのはルーシィのみ。


今回貰ったのは人馬宮のサジタリウスらしい。

「さて…さっそくだがギルドに戻っておまえたちの処分を決定する」

エルザは今回の件、概ね海容してもいいと思っている。
しかし判断を下すのはマスターマカロフ。

「私は弁護するつもりはない。それなりの罰は覚悟しておけ」



「まさか“アレ”をやらされるんじゃ!!?」

「ちょっと待て!“アレ”だけはもう二度とやりたくねえ!!!」

「“アレ”をオレもくらう事になる日が来るなんて…」

「“アレ”って何ー!!?」

ハッピー、グレイ、リン、ルーシィがそれぞれの反応を示す。
ナツはルーシィにポジティブに話かけるがエルザの「ほぼ決定だろう」、
の言葉に逃げ出そうとするがすぐに捕まり、引きずられて行く。

その時、リン達の姿を見るなり周りの人らがひそひそと話し出す。

「何だ…?ギルドの様子がおかしい……」


妖精の尻尾フェアリーテイルギルド。
そこにはいくつもの鉄柱が刺さり、ズタボロにされてた。

「何があったというのだ…」



「ファントム。
悔しいけど……やられちゃったの………」

ギルドから出てきたミラはそう言った。




やっとデリオラ編終了ですね。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.37 )
日時: 2014/12/07 11:49
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)
プロフ: いためつけられる

第12話「痛めつけられる」

1人の少女が泣いている。
それを見たもう1人の少女も泣き出した。

「うるせえ!!!泣くんじゃねーよ、黙ってろ!」

男性の声が家中に響く。

荒れる音。


瓶が割れる、男性が少女を殴った。

「てめえらがいるから俺はずっと幸せになれねえんだ!」

そんな理由で少女を痛めつける。
少女の身体は、精神はもう既にボロボロだった。



助けは誰も来ない。




誰も助けてくれる人はいない。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.38 )
日時: 2014/12/07 22:00
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)
プロフ: はーとふぃりあ

第13話「ハートフィリア」

妖精の尻尾(フェアリ-テイル)、地下1階。
そこにギルドのみんなは集まっていた。

「よっおかえり」

呑気に酒を呑み、リン達を迎えるマスターマカロフ。
酒なんて呑んでる場合じゃないだろ、とツナはつっかかった。


「おーそうじゃった。
おまえたち!!勝手にS級クエストになんか行きおってからにー!!!」

言っているのはそれじゃない、とそれぞれ驚き顔になる。
だがマカロフは罰だとS級クエストに行った者を叩いてく。

エルザとナツがどんな事態か分かっているのか、と怒鳴ると、
マカロフは騒ぐほどでもないだろと落ち着かせる。
どうやら誰もいないギルド…夜中に襲ったらしい。
幸い、ケガ人は誰もいない。


「ふいうちしかできんような奴等にめくじら立てる事はねえ。放っておけ」


「なっとくいかねえよ!!!俺はあいつら潰さなきゃ気がすまねえ!!」

この話は終わり。
上が直るまで仕事の受注は地下でやると話を切り上げた。
マカロフはトイレへと向かう。

「何で平気なんだよ…じっちゃん……」

「ナツ…悔しいのはマスターも一緒なのよ。
だけどギルド間の武力抗争は評議会で禁止されてるの」

マスターの考えがそうであるなら仕方ない。
そのエルザの言葉に、それぞれが悔しい顔をして解散した。


+++

解散後、ルーシィ家。
そこにみんなは集まっていた。

ファントムがマグノリアまで来たという事は、
妖精の尻尾の住所まで調べられているかもしれない。
もしかすると1人の時を狙ってくるかも知れないのだ。
だから、しばらくはみんなでいた方が安心だと。


今日はみんなお泊り会をしているらしい。

「おまえも年ごろの娘だしな…
ナツとグレイ、リンだけここに泊まらせるのは私としても気がひける。

だから同席する事にしたという訳だ」

「ナツとグレイとリンは泊まるの確定なんだ」


「すまねえ、ルーシィ。オレは帰って来るまで外で待とうとしたんだけど」

「ううん、大丈夫よ。構わないわ。
それにしても清々しいほど人ん家エンジョイしてるわね」

2人が会話している間にも家の中を漁る人達。
もはや自分家のようにくつろいでいた。


「それにしてもおまえたち…汗くさいな。
同じ部屋で寝るんだ。風呂くらい入れ」


「やだよ、めんどくせ」

「俺は眠ーんだよ」

「オレはもう入って来たし」


「お前、いつの間に…」

「いや……普通じゃね?」

「仕方ないな…昔みたいに一緒に入ってやってもいいが……
リンもたまには一緒にどうだ?」

「遠慮」

「アンタらどんな関係よ!!!」

これだからエルザは嫌いなんだと小言で愚痴るリン。
それを聞いていたらしいフェーリはまぁまぁと押さえつけていた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.39 )
日時: 2014/12/07 22:37
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: 07Anwjr8)

更新のペースはやいですね!!
尊敬しますっ

相変わらずナツたちはマイペースだなぁなんて思いました〜
リンのぶっきらぼうなとこも可愛いです(*´∀`)
リンが女の子ってバレる日は来るんでしょうかね
どうなるか気になります

私は原作に沿って話を進めているわけではないので、とても新鮮です
今度こういうふうに書いてみたいなって思いました!

では、これからも楽しみにしてます(*´ω`*)
お邪魔しました〜

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.40 )
日時: 2014/12/08 07:58
名前: 紫苑有栖 (ID: fExWvc7P)

ドロップさん


作り置きしてる分が溜まってたりしますからねw

たまにリンのキャラが崩れてないか心配になります←
女ってバレる日…。
ふふっリンの態度次第ですかねw

おぉ!私は完全オリジナルにするとネタが…
となってしまうので。
最近、皆様の小説が読めてないのですが時間がある時に読ませて頂きますよー!

ありがとうございます!
更新等々、頑張ります。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.41 )
日時: 2014/12/08 13:34
名前: 紫苑有栖 (ID: 06in9.NX)

それから結局、風呂は1人ずつ入りルーシィが
ファントムは何で急に襲ってきたのかと聞く。


エルザは分からない…と答えた。
今まで小競り合いはよくあったが直接的な攻撃は初めて。

ナツはじっちゃんもビビってないでガツンとやってしまえばいい、
と言うがグレイは、ビビってる訳じゃないだろうと答える。


聖十大魔道の1人だ。
魔法評議会議長が定めた大陸で最も優れた魔導士10人につけられた称号。
ファントムのマスターもまた聖十大魔道の1人。

「ビビってんだよ!!ファントムって数が多いしさ!!!」

「だから違ーだろ」

マカロフもミラも2つのギルドが争えばどうなるかを
分かってるから戦いを避けている。
魔法界全体の秩序の為に。

「そんなにすごいの?ファントムって」

「そうだな…争えば潰し合いは必至。戦力は均衡している」

そう答えたリン。
マスターマカロフと互角の魔力を持つと言われているマスタージョゼ。
そして向こうでS級魔導士にあたるエレメント4。
一番、やっかいだとされるのが鉄竜くろがねのガジル。
今回のギルド強襲の犯人と思われる男。


「鉄の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤ-)」

「滅竜魔導士!!?
ナ…ナツ以外にもいたんだ…じゃ…じゃあそいつ…鉄とか食べちゃう訳!!?」

「…どうなんだろうな。見たことはないけど食べるんじゃね?鉄」

そういうと、面白いほどに震え上がるルーシィ。
その姿にリンは笑っていた。




マグノリアの街、南口公園。
その大木には、レビィ、ジェット、ドロイが貼り付けにされていた。

後からやってきたマカロフは3人の姿を見て、怒りに震える。
手に力をいれたマカロフは持っていた杖を折った。

「戦争じゃ」




マグノリア病院。

ルーシィとリン、フェーリは3人の様子を見に来ていた。
他のギルドの人達は、ファントムへ乗り込んでいるだろう。

「ヒドイ事するんだなぁ…ファントムって……
許せないよ、あいつら………」

「……どうして今更、襲って来たんだろうな」

ぼそっと呟くリン。


「(でも妖精の尻尾を狙ったのがファントムで安堵してる。まだバレてない)」

「(リン……)」

考え事をするリンをフェーリは悲しげに見つめる。


「……行くか、幽鬼の支配者(ファントムロ-ド)へ。
多分だが、ナツ達はもう着いてると思う」

「! え、あたし達、置いていかれたの?」

そうだ、とリンが答える。
ルーシィは一緒に行きたかったとしょんぼりしながら病院を出た。
その後をついて行くリンとフェーリ。


しばらく歩いていると降ってきた天気雨。
遠くから歩いてくるのは傘をささずに歩いてくる1人の女。

「そう…ジュビアは雨女。しんしんと…
あなたは何女?」

リンはジュビアと名乗ったそいつを見据え、
ルーシィは手で頭を覆う。

「あの…誰ですか?」

「楽しかったわ。ごきげんよう」


ジュビアは傘をさし、さろうとする。
しかしまた、聞こえてきた声。それは地面から現れた。

「私の眼鏡がささやいておりますぞ。
その金髪ブロンドのお嬢さん(マドモアゼル)こそが
愛しの標的シブルだとねーえ」

「あら…この娘だったの?」



















フランス語混じりで話すそいつはルーシィのことをさす。
リンは咄嗟に戦闘態勢へと入った。


「気を付けろ、こいつらファントムだぞ!」

「ファントム!!?あ…あんたたちがレビィちゃんたちを!」

ルーシィも戦闘態勢へと入る。


「ノンノンノン。3つのNO(ノン)で誤解を解きたい。
ギルドを壊したのもレビィ様を襲ったのと全てはガジル様」

しかしルーシィは水の塊の中へ。
リンも同様に中に入ってしまっていた。
しかし、リンはすぐにそれを凍らせて脱出。
ルーシィのも同じようにして助け出す。


「ジュビアの水流拘束(ウォ-タ-ロック)が!」

「ノンノンノン。
こちらのお嬢さんはやり手のようです。
ジュビア様、共闘と行きましょう」


「逃げろ!ルーシィ。狙いはお前だ!!!」

「でも…、相手はS級魔導士と同じ強さ何でしょ?私も……」

「ルーシィ!!!」

「!」

リンの迫力にルーシィが押し黙る。


「フェーリ!ルーシィを連れて行け。
ぜってえ捕まんなよ、」

「大丈夫ですよ、リン。逃げるのは得意でしょう?」

「! ……っふ、そうだったな」

フェーリはルーシィを掴み、人に見えないスピードで飛びさって行く。




「行かせねーぞ、ファントム。オレが相手だ」

その言葉に2人は、余裕そうな笑みでリンを見据えた。

「1人で何が出来ると言うの?」

「出来るさ。オレだって弱い訳じゃない。
(それに、今は時間が稼げればそれでいい)


アイスメイク…針雨(シャワ-)!」


上から降り注ぐは氷の雨。
だけどそれは大地のエレメント、ソルはやすやすと防御を取り、
大海のエレメント、ジュビアは体が崩れただけで無傷。

「ジュビアの体は水でできているの」

「そんな氷、簡単に防げますよ」


リンはすぐにソルの後ろへと周り、攻撃しようとする。
だが、地面から現れる土の壁により防がれてしまった。
更にジュビアの攻撃がリンを襲う。

「っ…」

ぎりぎりで避けたそれは建物にぶつかり破壊。
たかが水とは思ってはいけない。

「アイスメイク…結晶(フロ-ズン)」


宙に舞った氷の結晶は2人を襲う。

「これはっ…!」

「零からの攻撃。体にくっついたらもう防げないぜ?」

ソルへ大量にくっついた結晶は数秒もせずに爆発する。
一方、ジュビアにくっついた結晶はくっついた所から凍り始めていた。

「くっ……」

「お前らに聞く。何故、妖精の尻尾を襲う?」

氷の剣を造形したリンはソルの首元へ刃を向ける。

「妖精の尻尾を襲ったのはついで、ですよ」

「ジュビア達の本当の目的はある人物を手に入れること」


「ルーシィの事か。じゃあ何故、ルーシィを狙う?」

ソルはニヤリと不適に笑う。
その瞬間、動き出したのを見てリンは咄嗟に剣を振りかぶった。

「! 偽物ッ」

切ったのは土で作られた偽物。
本物はリンのすぐ後ろへ。


「ハートフィリア財閥コンツェルン令嬢、ルーシィ様。
といえば分かりますかね?」

「がはっ!?」

土の拳がリンの背中を襲った。
それに気を取られ、ジュビアが開放される。


「っ…ハートフィリア財閥だと?ルーシィが?
どちらにせよ、誘拐ってこと、かよ、」

体勢を立て直し、リンが聞く。


「いいえ、人聞きの悪い…。
連れ戻せとの依頼が来たのですよ」

「へー、連れ戻せ…ねぇ。そうはさせねえよ。
ルーシィは妖精の尻尾の仲間なんだから」

「ルーシィ様が戻りたいと言っても?」




「それはその時の話だっ!!!」

リンが走り出し、戦闘は再開された。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.42 )
日時: 2014/12/09 18:06
名前: 紫苑有栖 (ID: 0Q45BTb3)
プロフ: かくしごととひみつごと

第14話「隠し事と秘密事」

幽鬼の支配者(ファントムロ-ド)、ギルド。

一言で表すなら戦争。
数々の人達が争い、傷つけあっていた。


「エルザ!ここはおまえたちにまかせる。
ジョゼはおそらく最上階。息の根を止めてくる」

「お気をつけて」

マスターマカロフは、最上階へと向かう。
それを見ていたガジルは厄介なのが消えた、と戦争に参加する。

ナブとウォーレン、そして仲間数人を倒す。
仲間まで倒すのかと言う中、ガジルに向かったのはエルフマンだ。

しかし、よそ見をしてしまいエルフマンは吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばされたエルフマンを足場にして向かったナツ。


滅竜魔導士同士の戦闘が始まった。

その時、ギルド中が震え出す。
それはマカロフの怒り。巨人の逆鱗。
もはや誰にも止められない。

「覚悟しろよ。マスターがいる限り、俺達に負けはない」


一方、マカロフ。
最上階にて怒りを震わせ近くにあるもの。
扉や花瓶、窓を次々と破壊していく。

「あれは何のマネじゃ…お?」

「これはこれは…お久しぶりです。マカロフさん」

マスタージョゼは世間話をしようとする。
マカロフは腕を巨人化させて思い切り殴った。
だがそれは思念体。


「聖十大魔道同士の戦いは天変地異さえ起こしかねない。
私はただ、合理的な勝利を好むものでしてね」

「どこにおる!!正々堂々と来んかい!!!」

その時、ジョゼの足元にぼやぁ…と現れたのは縛られたルーシィの姿。
そのルーシィへジョゼはナイフを向ける。


「よせぇっ!!!」

そう叫んだマカロフのすぐ後ろには大空のエレメント、アリアの姿。


「(しまった!!こやつ…気配が無い!!!)」

「かっか…か…悲しい!」

涙を流し、マカロフを攻撃した。


「ほほほ…まぁこれはただの人形、ですがね」

ストッとルーシィに刺さるナイフ。
そこから血が流れ出す訳ではなく、ヒビが入るのみ。

マカロフは床を壊し、戦争をする皆の所へ落ちて行く。

「あ…あ…う、あ…ワ、ワシの…魔力が……」


アリアの魔法は相手の魔力を“から”に。
すなわち、“無”にする魔法。

魔力がなくなったマカロフを見て、妖精の尻尾(フェアリ-テイル)が動揺する。
そのスキを狙われ、ファントムは一気に攻撃を仕掛けた。


「撤退だー!!!全員、ギルドへ戻れー!」

エルザは撤退を命じる。
誰もが引かない、と反抗するがマカロフなしではジョゼには勝てない。
これは命令だと、大声でエルザは叫んだ。

ガジルは組み木の部分へと座る。
隣に立つのはアリアの姿。

「よくあのじじいをやれたな」

「すべてはマスター・ジョゼの作戦。素晴らしい!!!」


「いちいち泣くな。
で……ルーシィとやらは捕まえたのかい?」

「どうやら失敗したようだ。
何者かに邪魔され、怪我をして帰ってきた」


「っは、やっぱ俺が行くべきだったんじゃねーの?」

撤退だー、とエルザが騒ぐ中、ナツがガジルの名を叫ぶ。

「いずれ決着をつけようぜ。火竜(サラマンダ-)」


それだけ言って、アリアとともに消えていった。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.43 )
日時: 2014/12/10 07:41
名前: 紫苑有栖 (ID: y36L2xkt)


妖精の尻尾、ギルド。

ルーシィとフェーリが待っているとぞくぞくと
戦争に行ったみんなが帰ってくる。
それぞれ、いたるところに怪我をしていた。

そして、ルーシィの姿を見たナツは真っ先にルーシィの所へ。

「ルーシィ!無事だったか!!!」

「え、な、何?どうしたの?」

「あいつらがルーシィの事を狙ってるみたいな事を言ってて…」


「!(…どうして、あたし……)…リンはまだ帰って来てないの?」

「そういえばいねえな…」

リンの姿が見えないのに気付くナツ。
その時、入口の方でざわざわと声が聞こえた。


「リン!お前、どうしたんだよ。その怪我」

「戦争、参加してなかったよな……?
俺達よりひどい傷って…」

リンの姿に誰もが疑問を持つ。

「2人の、エレメントと…戦闘があった…、
ルーシィ…お前に、話があるんだ……」


2人のエレメントとの戦闘。
その言葉に一層、ギルド中はざわめく。

「それよりリンの手当てをしなきゃ」

と、急いでミラはリンの近くに寄って手当てを始めた。

+++

手当ても終わり、リンはルーシィにファントムに言われたことを話した。
ギルドの隅っこ。2人の会話を聞いてる人は誰もいない。

「別にオレはお前を責めたい訳じゃない。
お前を責める権利なんてオレにはないし。

ただ、確認したかっただけだ。
これを聞いてお前がどうしたいのか、をさ」

家に戻るというならばそれもよし。
ここに残りたいと言うならば守るのみ。
ただそれだけのことだ。

話を聞いていたルーシィは俯き、考える。
今回、戦争を引き起こしたきっかけはルーシィが妖精の尻尾にいたから。
元はといえばルーシィがいなければこんなことにはなっていなかった。
そうやって自分を責める。


「えっと…まぁ、なんだよ……オレもさ…隠し事とかあるんだ。
未だにそれは言えてない。

だからその“事情”を隠してここにいたいならそれでもいいと思う。
オレは誰にも話さない」

ルーシィは顔を上げる。

「………ううん、ありがとう。でもあたし…ちゃんとに皆に話すよ」

「そっか。分かった」



「でも…でもあたし……ここにいたいよ、
家に帰りたくない。


妖精の尻尾に…いたいよ……、」

そう言って泣きだすルーシィにリンはどうしていいか分からず動揺する。


「だ、だからいればいいって!
オレは責めてる訳じゃないって言ったろ?」

それに気付いたグレイがリンに近付く。


「なんだよ、リン。泣かせてんじゃねーよ」

「だって、まさか泣くとは思ってなくて…
ご、ごめんルーシィ!だから、ほら……泣くなよ…」



「ってお前まで貰い泣きしてんじゃねーよ!!」

「いや、でも、だって、グレイが……」

「俺のせいかよ!!!」

何だかんだと言い争う2人。
リンは貰い泣きしてしまった涙を拭いてルーシィと向き合う。




「ほら、ルーシィ。“だいじょうぶ”だから。
みんな、お前を受け入れるから」


ルーシィは皆に事情を話した。
それでも責める人は誰1人としておらず。
そんなルーシィを受け止めた。

「“お嬢様”ってのも似合わねぇ響きだよな。

この汚ねー酒場で笑ってさ…
騒ぎながら冒険してる方がルーシィって感じだ。

ここにいたいって言ったよな。
戻りたくねえ場所に戻って何があんの?


妖精の尻尾のルーシィだろ。ここがおまえの帰る場所だ」

そう、ナツは言う。
ルーシィがその言葉にまた涙を浮かべた。
それを見守るはロキの姿。

その時、“ズゥン”と音をたてながら何かが近付いて来る音が聞こえた。
外だとアルザックが叫びそれぞれが外へと飛び出す。


そこにあったのは幽鬼の支配者本部。
六足歩行ギルド。

「想定外だ…こんな方法で責めてくるとは……
ど…どうする!?」

シャワーを浴びたすぐ後なのか、タオル1枚だけ巻いたエルザも出て来て言う。
ギルドから出てきたのは魔導収束砲。

先端が光を持ちエルザがまずい、と振り返る。


「全員ふせろォオォ!!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.44 )
日時: 2015/02/13 12:27
名前: 紫苑有栖 (ID: 8y9cmuB3)
プロフ: そらのえれめんと

第15話「空のエレメント」

ギルドはやらせん、と前に出たエルザ。
換装したのは金剛の鎧。超防御力を誇る鎧だ。

「ふせろォオ!!!」

ナツがエルザを止めようと走り出すがグレイが止める。
そして、ジュピターは発射された。
なんとか防ぎきったエルザだが、鎧はボロボロ。
体にもかなりの傷を追ってしまった。


「“マカロフ…そしてエルザも戦闘不能。
もう貴様らに凱歌がいかはあがらねえ

ルーシィ・ハートフィリアを渡せ、今すぐだ”」

ふざけるな、仲間を敵に差し出すギルドがどこにあると声があがる。
ルーシィは渡さない…と。

「“渡せ”」


「あたし…」

「仲間を売るくらいなら死んだ方がマシだっ!!!」

「俺達の答えは何があっても変わらねえっ!!
お前らをぶっ潰してやる!!!」


エルザとナツの言葉に“オオオオ”とギルドの皆が歓声をあげる。
ルーシィはその言葉に涙を流す。


「“ならばさらに特大のジュピターをくらわせてやる!!!
装填までの15分、恐怖の中であがけ!!!」

ギルドから出てくる数々の兵士。
それらは人間じゃない。
ジョゼの造り出した幽鬼の兵士、“幽兵シェイド

止めるにはジュピターをなんとかしなければいけない。

「俺がぶっ壊してくる!15分だろ?やってやる」

ナツはハッピーとともにギルドへ乗り込む。
そのあとに、グレイとエルフマンも続いて行った。


「こっちは私とロキ、リンで守りをかためる!いいね!!!」

「あぁ」「構わない」

そんな中、ミラがルーシィを連れて行く。
リーダスは馬車を実体化させ、ルーシィを乗せて隠れ家へ。

ミラは変身して顔だけルーシィの姿に変わる。
何体もの幽兵はこちらへと向かってくる。
それらを撃破していく残った人達。


丁度15分後、ジュピターは破壊された。

しかし、ファントムのギルドは変形を始める。
完成したのは、まさに巨人。
それは魔法陣を宙に描き始めた。

煉獄砕破アビスブレイク、禁忌魔法のひとつだ。
巨人がつくるそのサイズは、カルディア大聖堂まで届くだろう。


あの魔法が発動するまで残り10分。

「カナ!オレもファントム乗り込むからな!!」

「分かった、気を付けなよ!!」


「フェーリ!」「はいっ」

リンはフェーリを呼んですぐにファントムへと乗り込む。
火のエレメントが倒されているのを見てから更に奥へ。

「グレイやエルフマン…ナツも奥か?」

「そうでしょうね。急ぎましょう」


奥へ進んで行くと見つけたのは大空のアリア。
ナツもいるようだ。

「リン!お前も来たのか」

「当たり前だろ。人数は多い方がいい」


エレメント4の長である彼。
マカロフをやった張本人でもある。

他の2人、エルフマンやグレイもエレメントと遭遇。
戦いはそれぞれ始まりを告げた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.45 )
日時: 2014/12/16 12:26
名前: 紫苑有栖 (ID: MHTXF2/b)





「いくぞナツ」

「氷と炎…相性は悪い」


アリアはそう言うがナツはそんなのお構いなしのようだ。

「相性何てどうでもいいんだよ!」

「言うねえ。目を開ける前に決着つけてやる」


先に動いたのはリン。
背後から攻撃を仕掛けるが見えない何かに阻まれる。
暇を与えず、ナツも向かうが次は見えない攻撃がナツをくらう。

「空気…」

一言呟いたリンは目を閉じる。両手には造形された2つの剣。
アリアはそんな彼女に攻撃を与えようとする。


「空域“絶”」

しかしそれは全て避けられアリアの目の前へ。
咄嗟に防御を取ろうとするが間に合わずリンは剣を振りかぶる。

「ナツ!」


「火竜の…鉄拳!!!」

攻撃を与え、アリアが一歩後ろへ下がったそこを狙い、
ナツが思い切り彼をぶん殴る。

アリアは遠くへ吹っ飛ばされた。

「甘かったな、アリア。攻撃さえ“感じられれば”こっちのもんだ」

目は閉じたまま。
アリアがいる方向へ話しかけるリン。
この空間は少し肌寒かった。

「なるほど。
部屋中を冷気で覆いつくしその冷気の流れで攻撃を読み取る…。

さすがエレメント2人を同時に大怪我させた男。
少し、甘く見過ぎたようだ」

そう言って、アリアは目を隠している布へ手を添える。


+++

エルフマンvs大地のエレメント、ソル。

大怪我を負っているソル。
だがそれを思わせないほど、彼は強かった。
一方的にエルフマンがやられている。

「もう終わり(フィナーレ)ですかな?」

やるしかない、とエルフマンは片腕だけでなく、
全身接収テイクオーバーに挑戦する。
だが脳裏に写ったリサーナの姿にそれは失敗してしまった。

「んーっ!できない事はやるもんではありませんなぁ」

今のでエルフマンの魔力は大幅に減ってしまった。

「そうれ(ヴォワラ)っ!!!」

ソルはエルフマンの腹へ蹴りを入れる。


「んー…紳士たるものとどめは最大の魔法でさしてあげましょう。
石膏の奏鳴曲プラトールソナート!!!」

エルフマンはソルの魔法にて壁まで吹っ飛ばされた。
壁は壊れ、外の景色が見える。
そこで見えたのはミラが巨人の手に潰されそうになっている姿。


「姉ちゃん!!!」

逃げて、とミラは必死に訴える。
それに対してエルフマンはその場で動かず、ソルの攻撃を受ける。

「もう姉ちゃんの涙は見ねぇって誓ったのに何で泣いてんだよ!!!」

「エルフマン…」


「誰が泣かしたんだ!!!」

立ち上がったエルフマンは再び、全身接収に挑戦する。
俺が弱かったからリサーナは死んだ。
あんな想いは二度としたくない、姉を守る強い男になりたい。

「姉ちゃんを放せぇぇぇっ!!!」

片腕から体へ。
接収を完成させて行く。

そしてエルフマンは全身接収、獣王のビーストソウルに成功した。
彼はそのままソルへと、何度も、何度も攻撃を繰り返す。
ボコ殴りにした後に彼はすぐにミラの方へと走り向かった。

ミラはその姿に怯える。

「あなた…まさかまた理性を失くして……」

エルフマンはミラを抱きしめ、救出する。


「ごめんな姉ちゃん…こんな姿二度と見たくなかっただろ?
こいつをうまく操れなかったせいでリサーナは……」

ミラが笑う。
リサーナはあなたのせいで死んだんじゃない。
あの時だって彼は必死にミラ達を守ろうとしていた。
リサーナは死んでしまったけどミラは生きている。


エルフマンは無事でよかったと涙を流した。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.46 )
日時: 2014/12/18 08:00
名前: 紫苑有栖 (ID: kXLxxwrM)


グレイvs大海のエレメント、ジュビア。

ジュビアは、ルーシィのことを恋敵だと勘違いして嫉妬をしていた。
雨は水から熱湯へと変わる。

熱湯に変わったジュビアは、グレイへと向かう。
グレイは、シールドを展開しようとするが間に合わず避ける。
とにかく時間を稼ごうと窓から中へと飛び降りる。


「アイスメイク…シールド!」

次こそ間に合ったものの、熱湯は氷を溶かす。
熱湯がグレイをつつみ、皮膚を焼く。
再び、外へ押し出されグレイは何とか熱湯を凍らせていった。

「そ…そんな……ジュビアの熱湯が…凍りつくなんて…」

「へっ」

しかも、とジュビアは続ける。
気付いていなかったのか、グレイは彼女の胸から凍らせていたらしい。
すぐに仕切り直しだと氷から開放する。

「ダメよ…ジュビアにはあなたをキズつける事は出来ない」


勝ち目はない、と認めるのかとグレイは問う。
だが彼女はルーシィより強い。
ジュビアはあなたを守ってあげられると俯き言った。

「守る?何で俺を」

「そ、それは…あの…あ、あなたの事が…す、す……」

じれったくなる度にだんだんと強くなる雨。
グレイはうっとうしい雨だなと呟いた。

その瞬間、怒りだすジュビア。
さっきより温度が上がった熱湯がグレイを襲う。

「負けられねえんだよ!!!ファントムなんかによォ!」


熱湯を凍らせ、雨までも凍らせる。

氷欠泉アイスゲイザー!!!」

地から湧き出る数々の氷がジュビアに当たる。
彼女は地面に仰向けになって倒れた。

「ジュビアは…負けた!?」


「どーよ?熱は冷めたかい?」

「あれ…?雨が…やんでる……」


「お!やっと晴れたか」


「(これが…青空……。きれい…)」

初めてみた青空にジュビアは涙を流す。

「で……まだやんのかい?」


その掛けた言葉にジュビアは気絶した。
煉獄砕破の発動まであと3分。残るエレメント4はあと1人。


+++

ナツ、リンvs大空のエレメント、アリア。

本気を出し、目を開けた彼に2人は息を切らす。

「よくぞそこまで立っていられる。たいしたものだ」


「(何だコイツ…こんな一方的にやられてるナツは初めてみるぞ…)」

「(エレメント2人に受けた攻撃も完治していないのに…リン)」


アリアから攻撃を受けてまだ立ち上がる2人。


「(こいつに、本気を出していいのかよ?私はっ)」

「さぁ止めと行きましょう。
死の空域、“零”発動。この空域は全ての命を喰いつくす」


ビリビリと空気が震える。
その時、奥からエルザが走ってくる。
空域を切り裂き、アリアの元へ。

「天輪・繚乱のブルーメンブラット

ほぼ一瞬のうちに決着はついた。



「マスターが貴様ごときにやられるハズがない…
今すぐ己の武勇伝から抹消しておけ」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.47 )
日時: 2015/02/13 12:29
名前: 紫苑有栖 (ID: 8y9cmuB3)
プロフ: まもるいしのつよさ

第16話「守る意思の強さ」

煉獄砕破アビスブレイクは消滅。
巨人も動きが停止する。
アリアと戦闘したエルザはフラつき、そのまま倒れそうになり、ナツが受け止めた。

「まさか数秒で倒すとはな…負けてらんねえ」

リンがふっ、と笑う。
その時、ギルド全体と外に放送がかかる。

「“妖精の尻尾フェアリーテイルのみなさん。
我々はルーシィを捕獲しました。

1つ目の目的は達成されたのです”」


聞こえてくるのはルーシィの叫び声。

「“我々に残された目的はあと1つ。貴様等の皆殺しだ、クソガキども”」

「っち、あいつら……」

エルザは少し目を開けて、力を開放しろとナツに告げる。
ルーシィを守るんだ、と。


「行けぇっナツ!おまえは私を越えていく男だっ!!!」

それを聞いたナツは、エルザを壁に寄りかかせ立ち上がり、どこかへと走り去って行く。
ハッピーも一緒だ。

「……後はジョゼだけだ、フェーリ」

「…やるんですか?」


「じいさんがいないんだ。やるしかないだろ?
マスター・ジョゼ…、聖十大魔道の1人。耐えてくれるさ」

「………私は……リンに従いますよ」

何か言いたそうにするフェーリだが、それを全て押し込んで言った。
リンが頷いてそっと手から冷気を出す。

「大丈夫、行ける。この状態だと持って5分か?それまでに終わらせる」

奥からエルザとリンの名を呼んで走ってくる3人。
ミラ、エルフマン、グレイだ。
その後に来た寒気と拍手をする音。

「まさかここまで楽しませてくれるとは正直思っていませんでしたよ」


マスター・ジョゼ。
その邪悪な魔力は向かいあっているだけでも吐き気がする、と。

「さて…楽しませていただいたお礼をしませんとなァ。たっぷりとね」

ミラ達を守ろうとエルフマンとグレイが前に出る。
リンは急いで2人の元へと走った。


「よけろォ!!!」

魔力の渦が2人を襲おうとする。


「アイスメイク…氷結フリージング!」

リンから溢れる冷気は魔力の渦を凍らせた。


「お前らは下がってろよ、」

「リン!お前だって俺らよりひどい怪我してんじゃねーか!!!」

グレイはそう叫んだ。
だけどリンは聞く耳持たず。

ジョゼを睨み付ける。


拳に冷気を纏わせ、真っ直ぐに向かう。
しかし、それは地面を割いた魔法にて阻まれ一歩後ろへ。

「雪神ノ吹雪スノーテンペスト

両手から溢れ出たその黒い雪は吹雪となり、ジョゼを包みゆく。


「おまっそんな魔法いつ…!?」

「黒い雪…?」

グレイもエルフマンも初めてみる魔法を疑問を浮かべた。
ナツの魔法と似ているようで少し違う。

魔力の高さと質の違い。


黒い雪に包まれたジョゼは動かない。
ギュッと拳を握り締めると黒雪は圧縮され、爆発した。

たが、中にいたジョゼは少しの怪我を追ったのみ。


「貴様、3人のエレメントと戦い魔力なんてそうそう残ってないハズ。
なぜまだ余裕そうにいられる!?」

「残念ながらオレには、
この魔法を使う為の魔力が残るように体がなってるんでね」



「ほぅ。おもしろいことを言う奴だ。
だがそれもいつまで耐えられるでしょうねえ…」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.48 )
日時: 2014/12/24 22:13
名前: マリネ (ID: Rn9Xbmu5)

やっとコメできたぁ!!
一気読みしました!更新頑張ってください(‾^‾)ゞ

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.49 )
日時: 2014/12/25 17:37
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

マリネさん

コメント、一気読みありがとうございます!
更新頑張ります!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.50 )
日時: 2014/12/28 09:06
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


+++

ナツとガジルの戦いが終わったのか、ファントムのギルドが半壊する。

こちらは未だ倒せずにいた。
だが、悪いことばかりではない。ジョゼの方が押されている。

「クク…よく暴れ回るドラゴンだ」

「ざまぁねーな、ジョゼ……これでお前の兵士は全滅だ」


「時期にそちらの兵士もいなくなりますよ」


ジョゼは余裕そうに笑う。

「確かに君の魔力は素晴らしい。

現にこの私と戦い……ここまでもちこたえた魔道士ははじめてだ」

「そりゃどーも…」


「そんな強大な魔道士がねぇ…

マカロフのギルドに他にもいたとあっては気にくわんのですよ!!!」


ジョゼは魔力を打ち出し攻撃を仕掛けてくる。
その魔力ごとリンは凍らすが勢いには耐えられず壁へと吹っ飛ばされた。

「なぜ私がマカロフを殺さなかったかおわかりです?」


次にきた攻撃を咄嗟によけ、ジョゼへと真っ直ぐに向かう。

「……雪神ノ足枷あしかせ

足に黒雪を纏わせ、ジョゼを蹴り上げる。


「なぜ殺さなかったか…?それは絶望を与える為か?」


しかし蹴りあげた足は避けられ、掴まれて地面へ叩きつけようとする。
リンはすぐに受身をとり、ジョゼから距離をとった。

「その通りです!

目が覚めた時、愛するギルドと愛する仲間が全滅していたらどうでしょう。

くくく……悲しむでしょうねぇ」


ジョゼは休む暇なく攻撃を与えてくる。


「絶望と悲しみを与え、苦しんでる所を殺すのか…下劣だな」

「幽鬼の支配者ファントムロードはずっと一番だった…」


この国で一番の魔力と一番の人材と一番の金があった。
それは間違えようのない事実。
が、ここ数年で妖精の尻尾フェアリーテイルは急激に力をつけた。
エルザやラクサス。ミストガンやギルダーツの名は、
我が町にまで届き火竜の噂は国中に広がる。


いつしか幽鬼の支配者と妖精の尻尾はこの国を代表する2つのギルドになった。

それがジョゼには気に入らなかったらしい。
この戦争を起こしたのは妬みではない。


ものの優劣をハッキリさせたかったからだ。


「下らない。
そんなんだからオレはここ(ファントム)の雰囲気が嫌いなんだ」

“ブァ”

「ぐっ…(体が動かないっ)」


体がグラつき、そのスキに魔力に体の自由を奪われた。
ジョゼは一歩一歩、近付いてくる。

「前から気に食わんギルドだったが…戦争の引き金は些細な事だった…」


ジョゼは話し続ける。
戦争の引き金はハートフィリア財閥の娘を連れ戻してくれという依頼。

この国有数の資産家の娘が妖精の尻尾にいる。

「貴様らはどこまで大きくなれば気が済むんだ!!」


ハートフィリアの金が使えたとしたら、
間違いなく強大な力を手に入れることが出来るだろう。

それだけは許しておけない、と叫ぶ。

「かわいそうな奴らだな」

「何だと?」

ルーシィは家出をしていている。
家の金なんて使えない。

「戦争の引き金にされるルーシィの事を考えた事があるか?

親のせいで…おまえらのせいで多数の犠牲が出た。
ルーシィは自分のせいだってずっと責め続けてんだよ、」


花が咲く場所を選べないように親だって子を選べない。

「お前らに涙を流し続けるルーシィが分かるかよッ!?」


「これから知っていくさ。

ただで父親に引き渡すと思うか?金がなくなるまで買い続けてやる。


ハートフィリアの財産は全て私の手に渡るのだ」

拘束されたリンの目の前まで来たジョゼはリンへと攻撃を仕掛けた。

「ぅあっ!!?」

「リン!」


グレイがリンの元へ走り出そうとする時、魔力は一気に消え去った。
拘束の取れたリンは地面へ落下。

倒れる前にグレイは受け止める。

「魔法が…!?誰だ…!」



「いくつもの血が流れた……子供の血じゃ。
できの悪ィ親のせいで子は痛み涙を流した。

互いにな…もう十分じゃ……終わらせねばならん!!!」


そこにマスターは立っていた。


「天変地異を望むというのか」


「それが家族ギルドの為ならば」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.51 )
日時: 2014/12/29 22:56
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

第17話「絶対に言えない」

「マスター!!?」「何でここに!!?」

「じいさん…」「マスター…」

エルフマン、グレイ、リン、エルザがマカロフが立つ姿に驚く。
魔力は元に戻っていた。


「全員この場を離れよ」

マカロフの言葉にハッとエルザが立ち上がる。

「言われた通りにするんだ」

そう言って、エルザはエルフマンとミラの元へ。
リンはグレイの肩を借りて何とか立ち上がる。

「大丈夫か?リン」

「ごめん、グレイ…動けそうにない」


「ったく、無理しすぎだっての。…仕方ねーな」

グレイはリンの事をおぶり、マカロフから離れて行く。
フェーリはその後に続いた。

「こうして直接会うのは6年ぶりですね。
その間に妖精の尻尾がここまで大きなギルドになっていようとは。

ふふ、もう潰れちゃいましたがね」


ジョゼとマカロフが対峙する。

「ギルドは形などではない。人と人との和じゃ」

マカロフは宙へ魔法陣を描き始めた。


「しかし嬉しいですねえ…
聖十大魔道同士がこうして優劣をつけあえるなんて」

「全てのガキどもに感謝する。よくやった。
妖精の尻尾フェアリーテイルである事を誇れ!!!」

ゴゴゴ、と雲が渦をまきはじめ地震を起こす。
その時、マカロフの魔法がジョゼの肩を貫いた。
すぐに反撃をするジョゼ。

マカロフの肩からも鮮血が舞う。

「デッドウェイブ!」

すぐに防御をとり、ジョゼの攻撃を防ぐマカロフ。
たいしたものだ、と彼を称える。


「その魔力を正しい事に使い、さらに若い世代の儀表となっておれば
魔法界の発展へとつながっていたであろう」

「説教…ですかな?」

「妖精の尻尾審判のしきたりにより、貴様に3つ数えるまでの猶予を与える。


ひざまずけ」

1つ、マカロフは巨人へと変わりカウントを始めた。
彼の手の間に光の球が集まってゆく。

しかしジョゼはひざまずこうとはしない。


王国一のギルドが彼に屈する。冗談ではない。互角に戦える。
むしろ非情になれる分、私の方が強い。

そう喚き抗うジョゼ。



とうとうカウントは3へ。


「ひざまずくのは貴様らの方だ!消えろ!!チリとなって歴史上から消滅しろ!
フェアリィィティィル!!!」

「そこまで」

パン、とマカロフは球を潰した。



「妖精の法律フェアリーロウ、発動」


幽鬼の支配者ファントムロードを中心に暖かい光が広がる。
その光は幽兵シェイドのみを倒して行った。

妖精の法律。
聖なる光をもって闇を討つ。
術者が敵と認識したものだけを討つ。
もはや伝説の1つに数えられる超魔法。

決着はついた。幽鬼の支配者の負け。

マカロフを先頭にみんながギルドの前に立った。
壊れてしまったギルドの前へ。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.52 )
日時: 2014/12/29 23:12
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: 2PmCSfE.)

参照500おめでとうございます!!!
私が見たときピッタリでした!

リンとグレイ……ラブラブだなあ、このこのっ((
ニヤニヤしながら読んでますww
リン強いですね、これからも楽しみ!!
さあグレイ、さっさと告白しなさ((殴
はい、今告白したらBLです、はい←
リンが女装する話とか見てみたいなあ、なんて
ま、女装とは言いませんけどね、本当は女の子ですしw

これからも楽しみにしてます♪
頑張ってください(*´∀`)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.53 )
日時: 2014/12/29 23:32
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

ドロップさん

有難うございます!!
無事に500突破嬉しいです。

少しラブラブし過ぎなんじゃねーかとか思ってたり思ってなかったり…
おぶるくらいならナツもグレイにしてやってたし…(デリオラ編あたり)
セーフ…かな?だなんて…w

リンは一応、強めの設定にしております(`・ω・´)
今、告白するとグレイがホモォになって大変なことにww

女装(?)ですか!考えてみます!
ちょっとニヤニヤしながら脳内妄想を…←
考えるの楽しいです。


楽しみにして頂き有難うございます!
更新、頑張りますね!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.54 )
日時: 2015/01/01 20:18
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


「こりぁまた…ハデにやられたのう……」

「あ…あの…マスター……」

ルーシィはマスターへ近付き話し掛ける。

「んー?おまえもずいぶん大変な目にあったのう」


その言葉に顔を俯かせる。
そんなルーシィに声をかける声。

それはレビィのものだった。
意識が戻り、ジェットとドロイ、リーダスとともに歩いてきたのだろう。
心配かけてごめん、とレビィは謝る。

ルーシィは自分のせいだと言うが。

「話は聞いたけど誰もルーちゃんのせいだなんて思ってないんだよ」

「俺…役に立てなくて…あの、あの……ゴメン…」

リーダスの言葉にルーシィは顔を横に振る。
マカロフは彼女の名前を呼んだ。

楽しい事も悲しい事も全てとまではいかないが。
ある程度は共有できる。それがギルド。

1人の幸せはみんなの幸せ。
1人の怒りはみんなの怒り。
そして1人の涙はみんなの涙。

自責の念にかられる必要はない。
君にはみんなの心が届いてるハズ。

「顔をあげなさい。君は妖精の尻尾の一員なんだから」

ルーシィは顔を上げ、泣き声をあげて涙を流す。
それを見守るようにみんなは笑っていた。


ファントムとの戦いが終わって1週間。

評議院の軍隊であるルーンナイトに取り囲まれ、
事情聴取の為、軍の駐屯地に連行されたりはあったが大分落ち着いてきた。

妖精の尻尾に対する処分は評議会の後、後日下されるらしい。




リン、グレイの家。

そろそろ外へ出ようとするリンをグレイは引き留めた。

「なぁリン。ここ1週間、忙しくて聞けなかったけど…
マスター・ジョゼと戦った時に使ったあの魔法……」

フェーリがハッとしてリンを見上げる。
リンは振り返らずに黙る。
伝えられる言葉を探していた。

「それに軍の事情聴取の時、変に気ィ張ってたろ?
何かやばいモンでも隠してるてか…そんな感じでさ」


「(グレイは勘が鋭いからな…)」

ため息を1つついて目を閉じるリン

「…そうだな。オレはたくさんの隠し事してる。
だけどまだ話せそうにない…ごめん」


「まぁ、気にしねーけど…」

「だけどいつか話さなきゃいけないと思ってる。
その時まで待ってて欲しいんだよ、グレイ」

目を開けてグレイの方へ向き直り、ふっと笑う。
その笑顔に彼は思わず固まった。


リンはこれだけは話といてやる、と思い出したように話始める。

あのジョゼに使った魔法。
副作用付きで使い過ぎると体が氷みたいに固まって動けなくなるんだよ、と。

「って聞いてるか?グレイ」

「! お、おぅ!」


「?」

「なんでもねーよ!ほ、ほらギルドの修復手伝いに行こうぜ」

キョドっているグレイを不思議に思いながら2人と1匹は外に出た。


「(一瞬、女に見えたなんてゼッテー言えねぇ)」

グレイの後ろを歩くフェーリは、何かを察したのかクスリと笑う。



**
フェーリはきっと読心術の持ち主です。
みなさま、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.55 )
日時: 2015/01/01 20:41
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: OBZwk3oo)

あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします(*´∀`)♪

グレイ……きゅんときたのかなー?ニヤニヤ
だったら告りなよ((ホモじゃねーか
はい、前と同じようなこと言っております
フェーリ、凄いですねーw
ちょっとその能力貸してほし((能力じゃねーし

では!
今年も楽しみにしています(*´ω`*)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.56 )
日時: 2015/01/02 10:58
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

ドロップさん

こちらこそ宜しくお願いします!

キュンとしたんですね!きっと!
しかしまぁグレイは恋愛に関して鈍そうな感じするのでしばらく告白はない…?←

読心術使えたら最高ですよね、ホント。
私も欲しいですw

楽しみにして頂き嬉しいです!
頑張りますね!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.57 )
日時: 2015/01/02 13:32
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: るーしぃとかぎ

第18話「星霊魔導士と鍵」

人気のない路地。
リンとフェーリは鍵を探しに来ていた。
エレメント2人と戦った場所だ。

「落としたとしたらここだよな、フェーリ」

「そうですね…。何処にも見当たらないようですが」


「誰かに拾われたかなー。風で吹き飛ばされるはずはねーし」

一通り、探してみるが見つかる気配はない。
あの鍵は契約者以外使えないから大丈夫だろう、とリンは言う。


「ギルド戻るか、」

「そうですね」



ギルド前。
グレイ達は材料を運ぶのを手伝っていた。
ナツはギルドをはやく治そうとはりきっているのか、木材を持つ量が多い。

それに対抗し、グレイはナツの持つ倍の量を持ち上げる。
そこをちょうど通りかかるリン。

「無理して持ってんじゃねーよ、落とすぞ」

「そ、そんな…ことは……しねえ…」

影から見守る1人の女性…ジュビアがパチパチと拍手をする。


「「ん?/?」」

グレイとリンはそれに気付き拍手の聞こえる方を向く。
が、2人が向いたときには既に隠れてしまった。

「ぐほぉっ!!!」

気がそれた為か、持っていた木材を全て落としたグレイ。
それを見てナツは大笑いする。

「おいおまえたち。遊んでるヒマがあったらさっさと運ばんか」

エルザは土木作業着に換装し気合いが入っていた。


「ハラ減ったぁ」

「そういや俺もハラ減ってきたな」

グレイがそう呟くと一目散に誰かが走って来て弁当箱を彼の手の上へ。
走っていったのはジュビアだ。フェーリとリンはそれに気付く。

彼は弁当箱を開けるとそこには綺麗に詰められていたおかずの数々。
ナツが美味そうじゃねーかと騒ぐ。


「冗談じゃねえ。こんな得体のしれねェモン食えるかよ」

「んじゃ俺もらっていい?」

「いーよ」

「いただきまーす」

ぱくっとナツは食べた。どうやら美味しいらしい。
グレイはさっきから視線を感じる所を眺める。


「……なあフェーリ」

「どうされました?リン」

「あいつは一体、何をしてんだ?」


「そうですね…きっと“恋”をしているんですよ」

「…?」

「リンにもその内、分かるようになります」

何だそれ、とリンは疑問に思いながら話を切り上げる。
ロキが入ってきたからだ。
鍵を持ってルーシィに返してくれと頼む。

「何だ、お前も鍵探してたのか」

彼の顔には隈が出来ており、ずっと鍵を探していたことを察する。

一言、声かければ手伝ったのに…とハッピー。

「そ、それよりルーシィはどうしてる……かな?」

たぶん家にいる。
たまには遊びに行くか、とナツが言うとそれぞれ賛成した。

ナツが走り出し、みんなついていく。
そのあとにエルザが働けと追いかけて来て走り出した。


ルーシィ家。

なんだかんだと言ってエルザもついてきて結局おなじみのメンバーに。
ルーシィは家にいる気配がなかった。

ハッピーがルーシィの名を呼びながら戸棚を開けると
溢れ出てきたたくさんの手紙の数々。


グレイは拾い集めようとするがナツが手紙を開き読んでしまう。
それは全て母への手紙。
その時、エルザが机の上に置いてある置き手紙を見つける。

そこには家に帰る、と書かれていた。
まだ責任を感じているのかと一同はルーシィの家へと向かう。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.58 )
日時: 2015/01/03 12:35
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


だけどルーシィは母の墓参りに来ただけだという。
その言葉にみんなは安心していた。
それから数日後、妖精の尻尾フェアリーテイルは無実という判決が下された。
仮設のカウンターも作られ、今日から仕事の受注が始まる。

ラクサスが帰って来て好き放題言っていたが、
エルザはあいつに関わると疲れるとナツをチームに誘う。


もちろんグレイやルーシィ、リンも一緒だ。
ハッピーやフェーリも入り数は6人。
ギルドのみんなは妖精の尻尾、最強チーム結成だと盛り上がっていた。

早速、仕事へと向かうが街を半壊。
他にもいくつか仕事を受けたがある意味で失敗し報酬額を減らされていた。



鳳仙花村。

破壊した物もほとんどなく、仕事は無事に終わる。


「宿はあと1日とってあるしな。のんびりした村だ、一泊して帰ろう」

「何言ってんだ。早く帰って次の仕事行こーぜ」

そこへロキを見掛ける。
彼もここら辺で仕事らしい。
ルーシィが話し掛けるとすぐに逃げさってしまったが。



鳳仙花村、宿にて。

「リン!風呂入りに行こうぜ!!露天風呂だぞ、露天風呂!!!」

ナツが早く入りに行きたいと騒ぎ立てる。


「いや…オレは後でいいよ。みんなで先に入ってくれば?」


「そっかー。でも暇じゃねーの?」

「大丈夫だ。外に散歩でもしてるから」

何かと理由を付けてナツの誘いをことごとく断っていくリン。
それもそうだろう、一緒に入れる訳がないのだ。
性別の問題で。

「ふーん、もったいねーの」

そう言いながら部屋を出て行くナツ達。
それを見送ってリンは1つため息をついた。

+++

数十分して部屋に戻って来たナツ達。
それぞれおもいおもいの行動を取り、ゆっくりしているとナツは突然騒ぎ出す。

「なんだよやかましいな。俺ぁ眠ーんだよ」


ナツは両腕に枕を抱えていた。

「オイ!見ろよ!旅館だぞ、旅館!!!旅館の夜っつったら枕なぐりだろーが!」

「枕なげだよ」

いつ動いたのか、エルザは質のいい枕は全て押さえていた。
勝ち目はないと2つ3つほどの枕を持つエルザ。
グレイやリンがその姿に呆れ、ナツはエルザに向かって枕を投げる。
しかしエルザは上へ飛び退き枕を避け、投げられた枕はグレイに当たる。

グレイも参加し、部屋の中が一層騒がしくなった。

「よーしあたしもまざるかなっ」

「やめたほうがいいと思うぞ」

ルーシィの言葉にリンは忠告するが、彼女は枕投げへ参加。
でもルーシィに飛んできた枕は勢いよく吹っ飛んできて彼女はそのまま外へ。

「や…やっぱやめとこーかな…死んじゃう」

「だから言っただろ…」


リンはルーシィを起き上がらせに行った。

+++

翌日、午後過ぎ。
ギルドは騒がしかった。

それもロキが急に出て行ってしまったからだ。
それぞれがロキを探している中でリンはフェーリと2人、家に残っていた。


「リンは行かないんですか?」

「あぁ…今回、オレには解決出来ない気がするんだ」

それはどうゆうことだとフェーリが問う。
もし、ロキを見つけたとしても出て行った理由がはっきりしない。
連れ戻せる気もしないし、説得出来る気もしないから、とリンは言った。

「…そうですね、リン」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.59 )
日時: 2015/01/04 19:10
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: うられてしまう

第19話「売られてしまう」


2人の少女が籠の中で怯えている。
外からはたくさんの人々の声が聞こえていた。

「さぁ!今回最後の目玉商品へと移りましょう!!」

布が取られたくさんの人々に見られる。

歓声の音。


歓声が鳴りやみ、オークショニアは声を荒らげた。

「スタート価格は何とセットで20万J(ジュエル)から!!双子なんて珍しいですよ!!!」

そう言った彼の後から次々と手があがる。
訳が分からず2人の少女は薄着で震え上がっていた。



それに気付く人はいない。




ここに心優しき人など誰もいない。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.60 )
日時: 2015/01/04 23:23
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: ZoJzIaOM)

う、売られるって……怖ッッ!!!
双子ちゃん、逃げてッ!←

突然暴走しだしました、毎度お馴染みドロップです((何がだよ
私には思い付くことができない展開です……
凄いですね!!
ま、私の頭がショボいのもあるんですけどw

更新のペースを見習わなくては!
では! 失礼します

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.61 )
日時: 2015/01/05 16:50
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

ドロップさん

人身売買ですよー!
果たして双子ちゃんは誰に買われるんでしょうかね←

いやはや、毎度感想送ってくれて嬉しいです!
実は最近思い浮かんだネタだったりするんですけどねw


早く書きたい場面があるのでそこまではきっと早めになるかと…!(タブン)
ありがとうございます!頑張ります(`・ω・´)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.62 )
日時: 2015/01/06 09:34
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

第20話「かつての仲間達」


「星霊だぁ?」

翌日、ロキはギルドへと戻って来た。
ルーシィの星霊、獅子宮のレオとして。

「つーかお前、今まで通りで大丈夫なのか?」

「これからはそうはいかないね」


するとナツが「俺も星霊欲しい」と言い出す。
ドラゴンの星霊を持って滅竜魔法を試すんだとか。
ルーシィは、星霊はそんなことに使うものじゃない
と怒るとロキ…レオは彼女を姫抱きにする。

「そーゆう訳で、二人の今後について話し合おうか」

ルーシィは自分を姫抱きにするレオを止めた。


「あんたもう帰りなさい。まだ体調、完全じゃないんでしょ」

「ちょっとまって」

レオはゴソゴソとポケットを漁ってチケットを取り出す。
出てきたのはリゾートホテルのチケットだ。
色々と世話になったからとリン達にそれぞれ渡す。

「オレ、お前に何かした覚えはないけど…」

レオがリンにチケットを渡す時、彼女は言う。
彼はニコりと笑うだけで何も言わなかった。


「エルザにもさっき渡しておいた。楽しんでおいで」

それだけ言って帰ってしまう。
リンはその笑みが何を意味するのか分からずただそれを見送る。

「貴様等、何をモタモタしている。置いていかれたいのか」

そこには大荷物を持って、行く気満々のエルザがいた。

+++


早速、リゾート地へと来たリン達は楽しんでいた。
ナツとグレイ、ハッピーは海へ。
ルーシィ、エルザ、フェーリはスイカ割りの準備を。
リンはその様子を木の木陰で見ていた。

それに気付いたルーシィが近付いて来る。

「あんたも着替えて海へ入ってくれば?」

完全に泳ぐ気がないのか私服のまま。
それも理由があってのことなのだけど。


「行かない」

「せっかくのビーチなのに?」

「そうだな…、でもいい。傷とか見られたくないから」


「ふーん…?」

疑問に思いながらもルーシィはナツとグレイを呼びに行く。
スイカは適当に置かれていてエルザがよさげな棒を見つけたらしい。

スイカを割る係りはルーシィに。
ただ、ナツが嘘の情報を教えるので
振りおろした棒はスイカではなく、強面の男の人に当たってしまった。
その人に怒られたルーシィはお返しにとナツを乗り物に乗せて走る。


その間にエルザ、リン、グレイ、フェーリはビーチバレーへ。
ハッピーは木陰で捕まえた魚を食べている。

フェーリが人間の姿へ変身しエルザ側につく。

その闘いはいつも通りというか一般の人は入れないような白熱した闘いに。
最終的に引き分けで陽も落ちてくる頃にそれぞれ解散。


水着から着替えたグレイ達は地下にあるカジノへ遊びに行った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.63 )
日時: 2015/01/08 17:59
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

フェーリとともにカジノを遊び尽くして行ったリンはグレイの姿を見てふと立ち止まる。
バーでカクテルを飲んでいるのであろう彼の隣にいる1人の女性。
元ファントムであったジュビアだ。

何故、彼女がここにいるのかと疑問は出たが。



「あぁ、くそっ意味分かんねぇ。(もやもやする)」

2人が話している姿にもやついていた。
その2人から目を離した時、いきなり体の動きが止まる。

「リン?どうしました?」

急に立ち止まった彼女にフェーリは話かけた。

「気をつけろ、フェーリ。オレの動きは魔法で止められてる」

「!!!」


“エルザは何処にいるの?”

頭の中に直接聞こえてくる声。
それは念話と似ている。

「……エルザが狙いか。知らねぇよ、あんな奴」

“お願いなの…、教えてなの”


「(! ……まさかこの魔法とその口癖…)」

しばらく答えないでいるといきなり部屋が暗くなる。
闇系の魔法。
停電とかではなく、魔法で暗くなっているみたいだ。

“そう…見つかったみたいなのね……私は貴方を連れていく”


ダンッと言う銃声。
それと同時にリンの意識も遠のいていた。




ルーシィ、エルザ。

2人の元にエルザを探す仲間がいた。
闇の系譜の魔法、“闇刹那”が発動した後。
カジノにいたディーラーや客は全員カードの中へ。

ルーシィは猫耳をつけた1人の女性にチューブで拘束されていた。
エルザの元に集まるかつての仲間たち。


エルザには睡眠弾を撃たれ、連れていかれる。

「姉さん…帰ってきてくれるんだね。“楽園の塔”へ。きっとジェラールも喜ぶよ」

そんな仲間たちへ近付くリンを背負う目隠しをした女性。
彼女に猫耳をつけた女性が話し掛ける。


「みゃー、遅かったね。探し者は見つかった?」

「うん。ありがとうなの、ミリアーナ。その猫は…?」

ミリアーナと呼ばれた女性の腕には青い猫、ハッピーがいた。

「貰った!」

「そ、そうなの……。あ!じゃあこの子も…」


彼女の後ろを不満ながらに一緒に歩くフェーリの姿にミリアーナは喜ぶ。
両腕に猫を抱きかかえ嬉しそうだ。
フェーリは嫌そうにしていたが。





オリキャラ登場なの←
詳しい説明は3話くらい先(`・ω・´)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.64 )
日時: 2015/01/07 16:54
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: HOE8nich)

呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!((呼んでねぇよ
はい! 呼ばれてなくても出てくるドロップです((

新しいオリキャラ登場でますます面白そうなの((殴
『〜なの』って口癖可愛いですね♪
リン……ヤキモチかぁ ニヤニヤ←
可愛い奴めっ よしよし((

楽園の塔!! これ好きなんですよ〜
楽しみにしてます(^^♪

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.65 )
日時: 2015/01/08 17:42
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

ドロップさん

呼ばれなくても飛び出て来てくださるなんてっ(←


ふふふ、つい真似したくなっちゃうの←w
口癖は可愛いけど年齢が…おっと。
リンはこの楽園の塔編から恋に気付き始めますよー!(`・ω・´)
グレイは…。

そうなんですか!面白く出来るように頑張らねば…。
ありがとうございます。頑張ります!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.66 )
日時: 2015/01/08 18:58
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: ずっとしんじてた

>>63の「リンを背負う女性」を「リンを背負う目隠しをした女性」に変更致しました。
申し訳ない。


第21話「ずっと信じてた」

「ナツー!グレーイ!!」

ミリアーナのチューブから脱出したルーシィが2人を探す。



やっとグレイの姿を見つけたルーシィだが、体は冷たく棒のようなものが胸に突き刺さっていた。

どうしようと焦るルーシィが彼の体を起こそうとすると、
彼は“パキパキ”と音を立てて氷のように粉々に。

「きゃあああっ!!!」

「安心してください」

「あ…あんたは!?」

床から出てきたのはジュビアの姿。
水となって床と同化していたらしい。グレイも一緒だ。

「突然の暗闇だったからな。身代わり造って様子を見ようと思ったんだが…」

「敵にバレないようにジュビアが水流拘束ウォーターロックでグレイ様をお守りしたのです」

「余計な事しやがって!逃がしちまったじゃねーか」

喜んで貰えると思ってとった行動が否定され落ち込むジュビア。


「それよりリンとナツ、エルザは?」

「ナツは分かんない。エルザとリンは……」

その時、ドゴォと炎の渦が巻上がる。
飛び出してきたのはナツだ。
口の中に思い切り鉛玉をぶちこまれたらしい。

「あんの四角野郎ォオ、逃がすかコラァアアー!!!」

ナツが走り出しそのあとをグレイ達が着いていく。
勢いに任せて海の上。
運良く小舟が用意してあったらしい。


それに乗って来てみたはいいがナツは乗り物酔いでダウン。
本当にこっちであってるのかと不安になる一同。


「くそっ俺たちがのされている間にリンとフェーリ、
エルザとハッピーまで連れていかれるなんてヨ。

まったく…情けねぇ話だ」

「本当ですね…
エルザさんやリン様ほどの魔道士がやられてしまうなんて…」

「やられてねえよ、エルザの事知りもしねえくせに…俺の幼馴染みもなめんなよ」

声を荒らげるグレイにジュビアは思わず怯む。
ルーシィは落ち着いて、と声を掛けた。


「あいつらエルザの昔の仲間って言ってた。
あたしたちだってエルザの事、ぜんぜん分かってないよ…

それにリンも連れていかれたなら無関係じゃないと思うんだ……」

みんなが何かを考える中、遠くに塔が見えて来た。
それこそ“楽園の塔”
エルザ達が連れていかれた所で間違いないだろう。

何とか塔の地下までたどり着いたのはいいがすぐに敵に見つかってしまった。
その敵を全滅させ、1階への扉が開く。
罠かとも思ったが今は進むしかない。
もう侵入しているのがバレていると考え進む。

侵入者だと走ってくる敵。
一掃しようとするグレイ達だが、逆に誰かに倒されてゆく。
倒していったのはエルザだった。


「お…おまえたちがなぜ、ここに………」

あの四角野郎だけは逃がしておけねぇとナツは言う。
エルザは帰れと突き放した。

だが、ハッピーやフェーリ。
リンまでもが捕まっている。今ここで帰る訳には行かない。


「リンとハッピー達が?もしかするとハッピー達はミリアーナが…
しかし、リンは?(生け贄は私だけで十分なはずだ…何故)」

「そいつはどこだ!!!」

エルザはさあな、と答える。
ナツはそれだけで分かった、とすぐに駆けていく。
その後をルーシィ達も追おうとしたがエルザは止めた。
4人は責任を持って連れて帰る。今すぐここを離れろ、と。

これは私の問題。
グレイ達も巻き込みたくないという。しかし、もう十分に巻き込まれている。
ルーシィがどんな時でもエルザの味方だと言うが帰れと維持を張る。

「俺たちは、力を貸す。
おまえにだってたまには怖ぇと思う時があってもいいじゃねーか」

そう言ったグレイに向き直るエルザ。
彼女の目には涙が溜まっていた。

「この戦い…勝とうが負けようが私は表の世界から姿を消す事になる……
これは抗う事のできない未来。だから…


だから私が存在しているうちにすべてを話しておこう」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.67 )
日時: 2015/01/09 21:18
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

この塔の名は楽園の塔。別名、“Rシステム”
10年以上前。
黒魔術を信仰する魔法教団が“死者を蘇らす魔法”の塔を建設しようとしていた。
政府も魔法評議会も非公認の建設だった為、
各地からさらってきた人々を奴隷としてこの塔の建設にあたらせた。

幼かったエルザもここで働かされていた1人。
その時、ジェラールと知り合った。


過去のことを話し出すエルザ。
ジェラールが独房へ入れられ、何度も痛めつけられていた。
彼を助けようとエルザを筆頭に立ち上がり、塔の人を倒して行く。

犠牲者は出たが、エルザは魔法を使えるようになり闘いに勝った。
だが…ジェラールを助け、島から逃げ出そうとする時…まるで人が変わっていた。


楽園の塔を完成させ、ゼレフを蘇らせると。
逃げたければ逃げればいい。エルザだけで。

他の仲間たちは全員、塔の建設をさせる。

ジェラールは、そう言ってエルザだけを逃がしたのだ。
楽園の塔に近付けば1人ずつ殺して行く、と。




「私は……ジェラールと戦うんだ…」

「ちょっと待てよエルザ…話しの中に出てきたゼレフって…」

魔法界の歴史上、最凶最悪と言われた伝説の黒魔道士。
呪歌ララバイやデリオラもゼレフ書の悪魔の一体。
ゼレフとはそれほど恐ろしい魔物を、簡単に造り出すことが出来るほどの魔力を持っている。
ジェラールはそのゼレフを復活させようとしているのだ。


動機は分からない。
かつての仲間たちの話ではゼレフ復活の暁には、
“楽園”にて支配者になれるとか。

ルーシィはそのかつての仲間たちのことについてふに落ちない、と言う。
あいつらはエルザのことを裏切り者と言っていたけど、
裏切ったのはジェラールなんじゃないのかと。

「私は8年も彼等を放置した。裏切ったことに変わりはない」

エルザは私がジェラールを倒せば終わるんだ、と言う。
その時、近づいてくる1人の男性…ショウだ。

その話は本当のことなのか、と。
俺にはジェラールの言葉だけが救いだった。
だから楽園の塔を完成させた。


「正しいのは姉さんで間違っているのはジェラールだと言うのか!!?」

そうだ、と言ったのはシモンだった。
シモンは初めからずっとエルザの事を信じていた、と。



「ずっとこの時を待っていたんだ。強大な魔道士がここに集うこの時を。
ジェラールと戦うんだ。俺たちの力を合わせて。

まずは火竜サラマンダーとウォーリー達が激突するのを防がねば」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.68 )
日時: 2015/01/09 21:31
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: http://t.co/f7ZIBhyRKM

本作の主人公、リンを描いてみたものです。
初めてのデジタル…。
また、自分の想像しているリンのイメージを壊したくない場合は見ない方がよろしいです。
ただでさえ下手なので…

あぁ、下書きの時点ではまだ女の子らしさがまだあったのに一体全体どうしてしまったのか。
ビバ男装\(´・∀・`)/


※主人公は女の子です。




P.S.
参照600突破ありがとうございます!
これからも更新していく予定なのでぜひ読んでいってくれると嬉しいです。
よろしくお願いします!!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.69 )
日時: 2015/01/10 09:39
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: りんのますたー

第22話「睡蓮のマスター」


「! リンはどうなってる!?」

グレイがシモンに問いかける。


「リンは確かメイデルと一緒だったな…」

「シモン、そのメイデルというのは…?」

エルザの知らない新しい仲間。



「エルザが逃げた数年後だ。海に流れ着いていたのをミリアーナが拾った子。

俺も詳しくは分からない。もしあいつの所に行くなら地下にいるはずだぞ」

「分かった。リンの所には俺が行く」

「それなら私も…」

グレイの後をついていこうとするジュビアを止める。
1人で十分だ、と。


+++

目をあけた時、シンプルな部屋へ連れ込まれていたリン。
漂うのは薬品の香り。
よく見ればテーブルの上には様々な薬品が散らばっていた。
体は壁に貼り付けにされたように縛られてもいないのに動かない。

その状況に昔のコトを思い出し、心臓が跳ね上がっていた。

リンに1つの影が迫る。
魔法を打ち出そうとして集中するが影はそれに気付く。


「魔法は使うなよ?“スイレン”」

「っ!!」

その声に、言葉にリンは集中をやめて、影を怯えたように見た。
昔の名前。毒花の住処プラントテーナメントにいた頃のコードネーム。

「いい子だ、スイレン。それにしてもお前が恋愛感情を持つなんてね」

顎を持ち上げられ、彼女へ顔を近付ける。

「俺がいつ許可をした?」

「ごめん、なさ、い…ごめんなさい、“マス…ター”」


毒花の住処、ギルドマスター。その姿がリンの目に映っていた。
ニヤリと笑う彼に涙を流す。

「今、ここでお前に“キス”したらどうする…?」

「っ! や、やめ…」

「“スイレンは俺に逆らえないよな?”」

更に顔を近付ける彼にリンはぎゅっと目を閉じた。



その時、扉を開ける音。
ハッとして扉の方を向く。

「リン!!」

入ってきたのはグレイ。
彼はその状況を見て目を見開く。

「んなっ、おま…男同士だろ?何してンだよ!」

グレイが声を掛けたのはマスターの方だ。
マスターはキョトンとしながらグレイを見やる。

「“リンは女の子だよね…?”」

「!!! お前っ」

リンが叫んだ言葉に彼はパチンと指を鳴らす。
拘束は外れ、リンが床に立ち彼の姿も変わる。

マゼンダ色の長い髪に黒い布で目隠しする彼…いや彼女。
身長はリンより少し高いくらいだ。
彼女の周りには白いピンポン玉みたいなのが2つ浮かんでいる。


「メイデル! 何故、その幻覚を見せた!?」

「幻…覚?てか女って……」

グレイが来ているにも関わらずリンは彼女に掴みかかる。
ごめんなさい、と謝る彼女はメイデル・アメイリス。
リンと同じかつての毒花の住処での仲間。

「あれをネタにしたら嫌でも、マスターに逆らうことが出来るんじゃないかって思ったの」

「! ……どう転んでもそれはねぇよ、メイデル」

溜め息を吐いてメイデルを離す。

「マスターって?じいさんの事じゃねーよな。
一体どうゆうことだ?」

話についていけないグレイは何をしたらいいのか分からず。
そういえばグレイがいたんだ、とリンは申し訳なさそうにごめんと謝った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.70 )
日時: 2015/01/11 09:38
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


「まだだ、まだ…話せない」

リンは言った。
メイデルはテーブルの上の薬品を片付けながら2人を見守る。

「…分かったよ。じゃあこれだけはハッキリさせてくれ。


お前は女…なのか?本当に?」

「(そうだ、事情を知らないメイデルが言ってしまったんだっけ)
あぁ、こいつの言う通りオレは女だ」

そうだったのか、とグレイは納得する。
あまり驚く様子のない彼に不思議な顔をするリン。
薄々そうなんじゃないかと思う日が何度かあったとグレイは言う。

「…でもギルドの皆には言うなよ?」

「あぁ、分かってる」

「それで…メイデル、お前はどっちにつくんだ?
敵側なのか、味方なのか」



メイデルは手元を止めて笑う。

「そんなの最初から決まってるの。私は味方だよ、リン」

その言葉にリンは頷き、2人に今の状況を聞く。
エルザのこと、今起きていること、これからの目的。
ジェラールを倒すこと。


「なるほど、な…」

「…ちょっと待ってなの。今、塔の様子を確かめる……開眼オープン

メイデルの近くで浮いている白い玉が模様を変える。
いや、正しくは目を開いた。
それはピンポン玉ではなくメイデル自身の目玉。
その為にメイデルの顔には目玉は付いていない。

2つの目玉はそれぞれ部屋を出て行く。


「これは…」

「メイデルの魔法だ。“視線会話アイコンタクト”」

その名の通り、目玉を通じて会話をすることの出来る魔法。
また、目玉だけを移動させることによって遠くの景色を見ることも出来る。
目玉が見ている相手に幻覚を見せたり、体の動きを止めることも可能。

目線を合わせることで、相手の心を読み取れることも。

「目玉単体で動くってグロイ魔法だな…」

「そうゆう魔法も存在するんだよ…、」


+++


「ひぃ」

ルーシィは小さく悲鳴を上げた。
すぐ横を目玉が1つ、通り過ぎたからだ。

“シモン”

その場の全員に聞こえた声。

「メイデルか。グレイと合流したのか?」

“うん、いるよ。グレイから話は聞いたの。…私も味方だよ”

「分かった。ウォーリー達の事だが…」

“今もう1つが向かってる。戦闘が始まってると見ていいかもなの”

「なるべく急いでくれよ…通信を遮断してるみたいなんだ」

了解、と聞こえてから目玉は閉じてその場から消える。
持ち主の所へ帰ったのだろう。


ミリアーナ、ウォーリー達。

銃をナツに向かって撃とうとしているウォーリーの前に目玉は飛び出した。
それを見てミリアーナとウォーリーの動きが止まる。
ナツはミリアーナのチューブに捕まったままだ。

「みゃー!メイデル、邪魔しないでよ」

“ごめんなの、ミリアーナ。今から話す事を聞いて欲しいの”

2人の動きを止めたまま、メイデルはあったことを話す。
話を聞いた2人は納得して戦闘を中止する。

“そうゆうことなの。ナツ、今の敵はジェラールただ1人”

ミリアーナの拘束から取れたナツはいきなりのことに驚きながらも納得する。
しかし、ハッピーは何処にいるんだと聞いてきた。

そのちょうどいいタイミングでハッピーとフェーリが部屋へ。
再開を果たす。


“倒される前に止められてよかったの。それじゃあ、また。閉眼クローズ

+++



「取り敢えず、みんなそれぞれジェラールの所に向かってるみたいなの」

メイデルの部屋にて。彼女はそう、報告した。
その時…もこっと部屋中に口が現れる。



「“ようこそみなさん。楽園の塔へ。オレはジェラール、この塔の支配者だ。
互いの駒はそろった、そろそろ始めようじゃないか。楽園ゲームを”」

そこから聞こえてきたのはジェラールの声。






*主人公、オリキャラ情報追加。
「セイシル・リンメリー」
コードネーム「スイレン(睡蓮)」
花言葉、純粋な心・信仰

「フェーリ」
コードネーム「カランコエ」
花言葉、たくさんの小さな思い出・あなたを守る

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.71 )
日時: 2015/01/11 10:33
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: wGslLelu)

り、リンが女の子ってこと教えちゃったんですか……!!
でも、これでラブラブモード突入オッケーに((殴蹴叩
ふたりの秘密……ですよね、ニヤニヤ←
目玉が動く……グロ((殴
可愛い口調して目玉ないんですね(((

フェーリのコードネームの花言葉が……!
うう、いいやつめ←

では、これからも楽しみにしてます!!(’-’*)♪

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.72 )
日時: 2015/01/11 18:58
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

ドロップさん

教えちゃったんですよー!
そうなんです!ラブラブおーけーになったんです!
これで多少の焦らしもなくなるかも…?
2人だけの秘密です(`・ω・´)仲良し!

むしろグロい魔法だからこそ可愛く振舞っているのかも…。
なんて事はないですよぅ(おい。
ただの癖ですw

花言葉、探してたらピッタリなのを見つけたので!
ただカランコエって毒花なんですよねw


ありがとたいございます!
更新頑張ります。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.73 )
日時: 2015/01/12 18:26
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: エルザとのかこ

第23話「鎧戦士との過去」

ジェラールと3人の戦士。そしてもう一つの特別ルール。
評議院がここを究極の破壊魔法、エーテリオンで攻撃してくる可能性がある。
何分後に落ちてくるかは分からない。

「“さぁ、楽しもう”」


それだけ言って口は消えてしまった。

「3人の戦士ってのがどんなのかは知らないが。とにかく行くしかないか」

「おぅ」

3人は、メイデルを先頭に走り出す。
ジェラールは最上階にいるはずだ、と。
メイデルの目玉はリンに気付かれないようにグレイへと近付く。


“グレイ…ヒガンバナって知ってる?”

その声はグレイだけに聞こえている声。
それを察したのかグレイはリンに気付かれないように首を振った。



“ヒガンバナってね、花と葉が一緒に咲かないの。
だから一生出会うことはないんだよ。

……私ね、好きな人がいるの。それも手に届かない場所に。
グレイ。貴方には少し頑張って欲しいの”

イマイチ話の意味がピンと来ないのか不思議な顔をする。
だが、話したいことはそれだけのようでそれ以上は何も聞こえてこなかった。

「後でエルザに伝えて欲しいの」

唐突にメイデルが言う。
何を伝えて欲しいのか、それはジェラールが何者かに操られているということ。

「数年間ずっといてハッキリしてることなの。あれは自分の意思のようであってそうじゃない」

「…分かった、伝えとく」

「嬉しいの」

そのまま走り続けるとシモンと誰かが戦闘している所へ遭遇する。
その相手がジェラール側の3人の戦士の1人…だろう。


「シモン!おまえ、エルザと一緒だったんじゃねーのか!?」

あの放送のあと、ショウが暴走しエルザをカードにしてしまい、
1人でジェラールの所へ向かってしまったらしい。
ショウに全て話す時期をあやまった…と後悔するシモン。


「ナツがあいつに食べられちゃったんだ…」

黒焦げで倒れていたハッピーが言う。


「何だと?てめぇがそんなんでどうすんだョ!クソ炎!!!」

ガンッと壁を思い切り殴りつけたグレイ。
目の前の戦士、ふくろうはあと10分もすれば火竜の体は溶けてなくなる、
そうすれば彼の魔法は完全に私のものになると言った。

「オレが片付けてやる!!!下がってろ!」

グレイが前に立ち、梟との戦闘を開始。
リンとメイデル達はそれぞれシモンとハッピーの所へ。


グレイは戦闘中、エルザとの過去を思い出していた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.74 )
日時: 2015/01/13 08:27
名前: 紫苑有栖 (ID: kaY8Y1HD)


ガヤガヤと騒がしいギルドの中。
たった1人、誰との輪にも入らないエルザの姿があった。

「あの子いつも1人ね」

カナはエルザの方を見て言った。
反対側の席に座るリンとグレイがだったら話かけてやればいいじゃないか、という。
リンの隣にはフェーリも座っている。

「思いっきりシカトされたんだけどね」

はぁ、と溜め息をついたカナ。
グレイは偉そうに俺に挨拶なしっていうのは気に入らない…と彼女に向かって行く。
その様子を2人は見守る。

「オイ、おまえ」

だけど聞こえていないのか分からないが反応を返さないエルザ。
そんな彼女にグレイは「聞いてんのか鎧女」と暴言を吐いてイスを蹴りあげた。
そのグレイの様子にリンが呆れながらも近付く。

「無視されたくらいでキレてんじゃねーよ、グレイ。かっこわりぃ」

「無視するそっちがわりぃんだよ、」


「はいはい。おい、大丈夫か?」

リンはエルザへと手を差し出す。
しかし彼女はリンの手を取ることはなく立ち上がった。

「構わん」

「………」

その態度に少しイラついたリンだがその手を引っ込め笑みを浮かべる。

「大丈夫なようでよかったよ。鎧女魔道士さん?」

少し怒気を含めながら言うがエルザはお構いなしらしい。

「魔道士のくせに…鎧なんか着てんじゃねーよ!」


「そうゆう貴様は何か来たらどうだ?ここは変態のギルドか?」



そのエルザの言葉に聞いていたギルドのみんなが笑う。
笑いものにされたグレイは本格的に頭に来たらしい。

「てめぇ…」

「私にかまうな」


そう言ってエルザはギルドから出て行ってしまった。

「雰囲気わりぃな、あいつ…オレ嫌いかも」

「俺だって気に入らねぇよ。今度、決闘申込んでやる」


「…へぇ、やるならぜってぇ勝てよ」

「当たり前だ。女に負けてたまるかよ!」

それからというもの、グレイはエルザに挑み、ことごとくやられていた。
エルザと挑んだ後に帰ってくるといつも傷だらけだ。

「バカか。お前は」

「くっそー、次こそは絶対に勝つ!」

「次はオレも行く。あいつがどれだけ強いのか見てみたい」


その言葉にグレイが頷く。
翌日の夕暮れ、川辺で1人で蹲るエルザを見つけた。

「見つけたぞエルザァ…」

真っ先に彼女の元へ走って行くグレイ。
その後をリンとフェーリが追う。

「今日こそおまえを倒して…」

エルザはグレイ達に気付いて振り返る。
その瞳には涙が溜まっていた。
その姿に驚き、2人がその場で固まる。

「おまえか…まったく…こりない奴だな……」

涙を拭いて立ち上がるエルザ。

「今日はそいつも一緒なのか。まぁいい…かかってこい」

「あ…いや………」

「どうした?もう降参か?」



「お…おまえ……何でいつも1人なんだよ」

「…1人が好きなんだ。人といると逆に不安になる」





「じゃあ何で1人で泣いてんだよ」








*新オリキャラ紹介
名前、メイデル・アメイリス
年齢、20
魔法、視線会話アイコンタクト
好きなもの、亡くなってしまったあの人
嫌いなもの、くじけること
コードネーム「ヒガンバナ(彼岸花)」
花言葉、独立・想うはあなた1人。

マゼンダ色の長い髪に黒い布で目隠しをしている。
身長はリンより少し高いくらい。
彼女の周りにはいつも白いピンポン玉みたいなのが2つ浮かんでいる。

「アイコンタクト」
目玉を通じて会話をすることの出来る魔法。
また、目玉だけを移動させることによって遠くの景色を見ることも出来る。
目玉が見ている相手に幻覚を見せたり、体の動きを止めることも可能。
目線を合わせることで、相手の心を読み取れることも。



ついでにこれからも3、4人くらいオリキャラでますん。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.75 )
日時: 2015/01/14 18:59
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: えるざのいくさ

第24話「鎧女魔道士の戦」

「氷刃・七連舞!!!」

グレイの体からつきでる氷の刃が敵を攻撃する。


「(あいつはいつも孤独で…心に鎧をまとい…泣いていたんだ)」

おかげで梟は、ナツを吐き出して倒れた。


「エルザは妖精の尻尾にいなきゃいけねぇんだ。涙を流さない為に」

しかしグレイは魔力を使い過ぎたのか体をフラつかせる。
リンは彼に近付き支えた。



「く…早く……エルザをみ…見つけねぇと」

「……そんな体で何が出来るってんだよ、オレが探しに行く。お前は休んでろよ、バカ」

「でも…お前、エルザの事嫌いだろ…?」

グレイのその言葉に少し考えこんでからリンは言う。


「今はそんなの関係ねぇだろ。
“妖精の尻尾フェアリーテイル”の仲間なんだから。
メイデル、グレイを外に連れ出してくれるか?」

「いいの?」

メイデルの問いにリンが頷いた。
彼女にグレイを外に連れ出して貰ったその時、シモンに通信が入る。

どうやらウォーリーとミリアーナからの通信みたいだ。
倒れているルーシィとジュビア、そして三羽鴉トリニティレイブンの1人を見つけた、と。
シモンは彼女達を外へ連れ出してくれと指示を出す。

「そうだ、フェーリは何処にいる?」

「! ……どうやらミリアーナと一緒みたいだ」

「それは良かった。フェーリも一緒に外に出てくれって伝えて欲しい」

「分かった」

シモンがリンの言った言葉を伝えると通信を切った。
その後に続けて来たのはショウからだ。
三羽鴉を1人、倒したという報告とエーテリオンが後15分で落ちてくるという報告。

ジェラール側の3人の戦士は全て倒した。
後はエルザを連れ戻すだけ。

シモンはナツを背負い一度、リンと顔を見合わせてから走り出した。


それから数分後、ナツが目覚める。
シモンが彼に事情を説明をしエルザを助けて欲しいと頼んだが、ナツは断った。

「貴様…仲間を…エルザを助けないというのか……」

「エルザの敵はエルザが決着をつければいい。俺が口をはさむ問題じゃねぇな」


「エルザではジェラールに勝てない!!!」

「アイツをバカにすんなよコノヤロウ!!!」

そんなナツにシモンは彼のマフラーを掴みあげ怒鳴る。
あいつは未だにジェラールを救おうとしてるんだと。

ジェラールは狡猾な男。
エルザのそうゆう感情をも利用してくる。
状況は更に悪く、評議院がここにエーテリオンを落とそうとしている。
あともう10分程度だ。


エルザはエーテリオンを利用してジェラールを道連れに死ぬ気かも知れない。

「何でそれを先に…エルザはどこにいるんだァ!!!」

そう言ったナツはすぐに走り出す。


「ナツ!」

「俺の事はいい、先に行け」

シモンの体を心配してナツの後を追うのを戸惑ったリンだが、その言葉を聞いて駆け出した。


2人が走り出し、10分。建物の中に光が差し込む。
それはエーテリオンが落ちてくる合図だ。

「……ッチ、間に合わねぇか」

「エルザ!!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.76 )
日時: 2015/01/16 23:25
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

楽園の塔は光に包まれた後、真の姿を表す。
外壁が崩れてでてきたのは水晶で造られた塔。

「いってぇ…何がどうなってやがる」

「無事だったか、ナツ」

「リン!どうなってんだよ、コレ!!!」

天井から落ちてきた瓦礫を氷の盾で防いだリンはあくまで冷静だった。


「楽園の塔……Rシステムが作動した。
元々、完全なる完成ではなかったんだよナツ。これが完成した姿だ」

27億イデア以上の魔力があってやっと作動される。
この魔力を蓄積した魔水晶に生贄を捧げれば死者が復活する。

「! じゃあエルザもまだ無事なんだな!?」

「魔水晶に飲み込まれていなければな。急ぐぞ」

そして再び走り出す。
ジェラールがいるところまで着いた頃には、もう既にエルザは飲み込まれようとしていた。
それを見てナツが急いで救出する。

リンはジェラールを見据えた。


「ナツ…リン……今すぐここを離れるんだ…」

「やだね、オマエが無理なら代わりに俺達がやってやっからさ」

「よせ…相手が悪い……おまえらはあいつを知らなすぎる」

エルザは言うことを聞いてくれ、と涙を流す。
それを見たナツが彼女を立ち上がらせ腹を思い切り殴った。
殴られたエルザはそのまま気絶し、床へと倒れこむ。


「リン。エルザを頼む」

「オレ、エルザの事嫌い何だけど…」

そう言いながらもナツの横を通りエルザの近くに寄る。
そんな様子を見ていたジェラールが口を開いた。

「噂以上の傍若無人ぶりだな。身動きできねー仲間を痛めつけて満足か」





「………エルザが泣いてた。弱音をはいて声を震わせていた。
そんなエルザは見たくねぇ、エルザは強くて凶暴でいいじゃねーか。


目が覚めた時、いつものエルザでいてほしいから俺が戦うんだ」

「おもしろい、見せてもらおうか。ドラゴンの魔道士の力を」

ナツはすぐにジェラールの元へと走る。
怒涛の攻撃を繰り返すが彼には効いておらず。
彼の使う魔法、“天体魔法”でチリにしてやるとジェラールは言う。

流星ミーティア

光に包まれたジェラールはほぼ一瞬のうちにしてナツの背後に周り攻撃する。
ナツも攻撃しようとするがその速さには追いつけず逆にやられてしまうのみ。
臭い、感覚、音…動きの予測に集中するナツ。

「そこだ!!!」

しかしその攻撃は外してしまい、ジェラールはもっとはやくなる。
おまえの攻撃など二度とあたらないと彼はナツに何度も攻撃を与えた。


「七つの星に裁かれよ、七星剣グランシャリオ!!!」

宙からいくつもの魔力の塊が降り始めナツを襲った。
Rシステムは一部分が破壊される。
隕石にも相当する破壊力なんだとジェラールは言うが、ナツの体は残っていた。

「少しハデにやりすぎたか。これ以上Rシステムにダメージを与えるのはまずいな」


溜め込んだエーテリオンの魔力は液体となって漏洩し始める。

「…へぇ、壊れるのはマズイってか」

「! そうか、お前がまだ残っていたな」


リンはニヤリと笑い、足元の結晶を壊す。

「何を!!?」

「知ってたか?妖精の尻尾フェアリーテイルの魔道士は壊すのが得意なんだ。そうだろ?ナツ」



「!」

「……へへ、そうだなリン」

リンに呼ばれ、ゆっくりと立ち上がるナツの姿。
“ゴッ”と音を立て、ナツもまた足元を壊す。



「燃えてきたぞ、今までで最高にだ!!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.77 )
日時: 2015/01/17 18:07
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: きずきあげたもの

第25話「築き上げたもの」

ジェラールは大きな魔力をナツへと当てる。
彼はその攻撃を弾いた。

「どうした?塔が壊れんのビビって本気だせねえのか?」

ぜんぜん効かないとナツは強がる。
傷は深く、息切れも激しい。
ジェラールは再びナツへと攻撃をあてる。

「ナツ!!」

「っと、目が覚めたのかエルザ」

ナツはジェラールに攻撃を与えず、塔を壊してゆく。


「俺が8年もかけて築き上げてきたものを……貴様ァ…!!!許さんぞォ!」

ジェラールは手を上に上げて交差させる。
感じるのは気持ち悪い魔力の流れ。
リン達の影は光源と逆に伸びていた。

「あ、おい!エルザ!!!」

“ばっ”と咄嗟にナツの目の前に庇うように立ち上がった。
貴様に私を殺せるか、と。
ジェラールは言う。今となっては別にエルザではなくていいんだと。

「2人そろって砕け散れ!」


「(っち、こっからじゃ間に合わねー)」

「天体魔法…暗黒の楽園アルテアリス!!!」


大きな黒い塊が2人を襲おうとする。
その時、誰かが前へ出ていくのをリンは見つけた。

「! お前…まだいたのか……」

前に出ていった彼…シモンは身代わりになってその魔法を受け止める。
その魔力を受け止めたシモンは耐えきれずその場に倒れてしまった。
その姿にエルザが涙し叫び声を上げる。


「くだらん!実にくだらんよ!!そうゆうのを無駄死にって言うんだぜ!シィモォォーン。
大局は変わらん!!どの道、誰も生きてこの塔は出られんのだからなァ!!!」





「黙れえぇ!!!」


ナツが怒りに任せてジェラールを殴り、水晶の欠片をかじる。
壊れた所から漏洩してしまったエーテルナノを口に含むがすぐに吐き出してしまう。
苦しむナツだが、次に見たのはドラゴンの形をした炎。

エーテリオンの魔力を自分のものにした彼は迷わずジェラールへ突っ込んで行く。
完全にジェラールが押されていた。


「世界を変えようとする意思だけが歴史を動かす事ができる。
貴様らにはなぜそれがわからんのだァ!!!」

煉獄砕破アビスブレイクを作り出したジェラールだが、やられた傷が痛み魔法陣が消える。
そこを狙ったナツが彼へ止めをさした。

魔力を使い果たしたのか、ナツもその場で気を失ってしまう。
それをエルザは支えた。


「何だ…?」

今までの戦闘でRシステムを破壊し過ぎたらしい。
行き場をなくした魔力の渦がはじけて大爆発を起こそうとしていた。

「…まずいな、何とかなんねーのか」

「急いで外に出るぞ、リン!」

エルザはナツを背負い、リンの前を走り出す。
しかし塔の形が何度も変形され脱出することすら難しい。
外に出る事が出来ても暴発に巻き込まれる。


「くそっ!ここまでか!!!」

変形された床のせいで転んでしまい、床を思い切り殴るエルザ。

「(いや……かなりの無茶振りにはなるが手がない訳じゃない)…! おい、エルザ!?」

考え事をしていたリンはエルザの行動に気付かず、それを許してしまう。
エルザは魔水晶へ手を突っ込んでいた。

「エルザ…」

ナツも起き上がり、今の状況を確認する。
私がエーテリオンと融合し、暴発を抑えることができれば…とエルザは言った。
リンもナツも彼女がエーテリオンの中に取り込まれるのに間に合わず。


「私にとっておまえたちはそれほどに大きな存在なのだ。
私が皆を救えるのなら何も迷う事はない。この体など…くれてやる!!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.78 )
日時: 2015/01/18 18:17
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


「っちぃ、ふざけたことしやがって…あのあま!!!
ナツ!合図したらすぐにエルザを助け出せ!!考えてなんからんねぇ。



完全に融合する前に暴発を止めてやる!」

「出来んのか!?」


漏洩しているエーテルナノに両手を当てる。
両手を当てたそこは一部が凍り、エーテリオンの魔力を吸い上げていく。

「がはっ!? っ〜おまえ、こんなの食ってたのかよ、くそ、」

「リン!?お前一体何を…」

リンは口から大量の血を吐き出す。
その血の量と比例するように周りも凍り始めた。


「ナツ!今だ、水晶を、砕け!!渦の、中に…エルザはッ」

「わ、分かった!」

吐血により最後まで言えなかったがナツには伝わったらしい。
ナツが魔水晶を砕くと魔力がそこから溢れだす。
しかしそれはすぐに凍り、漏れるのを防いだ。
その渦の中にナツは入って行く。


「ぜってぇ、見つけろよ…ナツ……ぐっ」

さっきより倍に血液を吐き出すリンは更に凍らす範囲を広げ、最終的に塔全体を凍らした。



+++

「暴発したーーー!!!」

「きゃああああ」

先に逃げ出していた人達がそのエーテリオンの姿に驚きをあげる。


「い…いや!違うぞ!!!あれは…エーテリオンが凍って………(…リン?)」

エーテリオンを全て包みこんだ凍りは直後、粉々に割れる。
勢いよく、魔力を含んだ風が吹く。

風が止み、塔があった場所には3人の影。
その姿に気付いたグレイ達が急いでそちらへと向かう。


「エルザーーー!!!よかったぁ!無事だった!」

「どんだけ心配したと思ってんだよ」

その影が間違いなくエルザ達だと分かると涙を浮かべ走りよる。
ナツは、エルザを姫抱きにして立ち上がっていた。
その隣でリンが仰向けになって空を見上げている。
吐血は止まっているみたいだ。

「ど……どうなってるんだ?生きてるのか?私は…」


姫抱きにされているのに気付いたエルザがナツへ話し掛けた。

「ナツ…おまえが私を…?でも…どうやっ……」

ナツは耐え切れずしゃがみこむ。

「同じだ…俺たちだって同じなんだ……二度とこんな事するな…」


「ナツ…」

「するな!!!」





「うん。ナツ…ありがとう」




「あ゛ぁ、ぎもぢわる……視界がぐるぐるする………
口の中で鉄の味がする、マズ…やべ」

嘔吐感に襲われたリンが急いで手で口を抑える。

「! リン、お前は大丈夫なのか?」

そんなリンに気付くエルザ。

「………うるせ……喋らせんな、吐くぞ…」

「悪い…。だが、リンもありがとう…」


泣き笑いしてお礼を言うエルザにリンはそっぽを向く。
そして、ナツとエルザが立ち上がるとグレイ達も3人の元に辿りついたようだ。


「リン!無茶し過ぎなの!!私は全部見てたの!」

「(何だよ、見てたのかコイツ……)」

一番にリンに駆け寄ったのはメイデルで。
次にフェーリが近寄り彼女が生きていた事に笑う。


グレイは近付く事はしなくてもメイデルの後ろで安堵の息を着いていた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.79 )
日時: 2015/01/19 07:37
名前: 紫苑有栖 (ID: 9AGFDH0G)

第26話「世界への旅立ち」

エルザも無事に助け出した後、リン達は宿を取って休んでいた。
ナツはエーテリオンを食べたせいなのか、3日間ずっと眠っている。

妖精の尻尾フェアリーテイルに入りたいと言っていたジュビアは、
いちはやくギルドの方へ向かったらしい。


「つーかエルザ…オマエは寝てなくていいんかよ?」

「ん…見かけほどたいしたケガではない。
エーテリオンの渦の中で組織レベルに分解される前にリンに助けられたみたいだからな」

そのリンはベットの上にてうつ伏せになっていた。

「リンはまだ気持ち悪いの治らないの?」


そんなリンにルーシィは聞く。

「いや、もう大分よくなったぜ?」

「確かメイデルって奴が言うにはその行き場を亡くしたエーテリオンの魔力を、
自分のトコに行くよう仕向けたんだっけ?」

「そんな感じ」



「しかしまぁ、いつからそんなことが出来るようになったんだよ。リン」

「(最初から…とはいえねぇよなぁ……)」


「同じような事してんのにくたばってるマヌケとはエライ違いだ」

グレイがそう言うとナツがいきなり起き上がる。
だが、からむことより眠気が勝ったのかすぐ寝てしまった。
そんな様子のナツに部屋中に笑いが木霊する。







「そうだ、エルザ。メイデルから聞いたんだが。
ジェラールは何者かに操られていたのかも知れない、だと」

夕食を食べに移動する前の事だ。
みんなの後ろを歩くエルザにリンは言う。
ナツもやっとまともに起きている。

「そうか…やっぱりそんな気はしていたんだ」

「………ふーん。まぁそれだけだから。あー、腹減った。メイデル達も呼んであるんだっけ?」


腕を頭の上で組み、少し足を早め歩いていくリン。
食事の会場には既にメイデル達は集まっていて。
リンがすぐにメイデルの隣へ座る。

「リン達遅いの!」

「ごめんごめん、メイデル」


その日の夜は盛り上がった。
誰もがはしゃぎハメをはずしていた。



+++

「外の世界ってすごいな…夜だってのにこんなに人が出歩いているのか」

「今日はきっと特別な日…お祭りの日なの」

ショウの隣で歩くメイデルは言う。


「お祭り…?」

「なにしてやがる!!てめぇ!!!」

怒声が聞こえてそちらを見る2人。
そこにはミリアーナが屋台の食べ物を食べてしまった姿があった。
ショウは急いで走りミリアーナの手を握り逃げ出す。
その後をメイデルたちも追った。

「追いかけてくる!私の魔法で…」

「駄目なの、ミリアーナ。外の世界で生きていくなら無闇に魔法を使っちゃ駄目なの」


ミリアーナとウォーリーがかなしげな顔をする。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.80 )
日時: 2015/01/20 18:44
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


浜辺についた4人は用意してある小舟に近付いた。



「本当に俺達やっていけるのかナ。外の世界でヨ」

「みゃあ」

「やっていけるかじゃないよ!やっていかなきゃ」

「私も教えられる範囲で教えるの。大丈夫」

そう言ったメイデルにミリアーナが顔を覗く。


「メイデルはせっかく再開した友達と一緒じゃなくていいの?」

「! …大丈夫なの。私はミリアーナに着いていく」


「よし、行こう!姉さんたちが俺たちに気付く前に出発するんだ」

ミリアーナとメイデルが小舟に乗り込み、ショウとウォーリーがその小舟を船へと押し出す。
だけど出発する前にエルザは来てしまった。


ウォーリーはこれは自分達で決めた事だから止めても無駄だという。
その言葉にショウは続ける。

分からない事や不安な事でいっぱいだけど自分たちの目でこの外の世界を見てみたい。
もう誰かの為に生きていくのはイヤだし、誰かの為に生きていくのもごめんだ。
これからは自分自身の為に生きてやりたい事は自分の手で見つけたい。


「それが俺たちの自由なんだ」

エルザはそれを聞いて安心した、と笑う。

「だが妖精の尻尾を抜ける者には3つの掟を伝えねばならない。心して聞け」


鎧へと換装し、4人へ伝える。

「1つ!妖精の尻尾の不利益になる情報は生涯他言してはならない!

2つ!過去の依頼者に濫りに接触し個人的な利益を生んではならない!

3つ!!たとえ道は違えど強く……力のかぎり生きなければならない!!
決して自らの命を小さなものとして見てはならない!!!」

エルザが本当に伝えたかったのはきっと最後の言葉なのだろう。
涙を流して最後の言葉を叫ぶ。

「愛した友の事を生涯忘れてはならない!!!」

その言葉に、またウォーリー達3人が涙を流す。
メイデルの口元はにわかに笑っていた。


「妖精の尻尾式壮行会!始めェ!!!」

エルザの合図がかかりナツを最初に炎の魔法で花火を打ち上げる。
その後に続き、グレイ、リン、ルーシィも空へ花を咲かせた。



「リン!次に会える日を楽しみにしてるの」


「あぁ…。次に会うときは普通に会おうな、メイデル」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.81 )
日時: 2015/01/21 07:51
名前: 紫苑有栖 (ID: XnbZDj7O)
プロフ: にげられるかな

第27話「逃げられるかな」


2人の少女が走り出す。
誰もいない夜の道を双子の姉妹はひたすらに走った。

「**!怖い…怖いよ、**」

幼い少女の声が少女に届く。

地踏みの音。


リズムが崩れ、少女は立ち止まった。

「ほら、**。安心のおまじない、“だいじょうぶ”だから」

そう笑った少女はまた走り出す。
片割れが“だいじょうぶ”と言ってくれたから少女は安心していた。



後ろには誰もいない。



姉妹を追いかける者は今はいない。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.82 )
日時: 2015/01/23 07:01
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

第28話「包むは不穏な雷」

「完成したのか!?新しい妖精の尻尾フェアリーテイル!!!」

5人と2匹の目の前には前よりも大きくなった妖精の尻尾ギルド。
入口にはオープンカフェがあったりグッズショップがあったり。
中も少し広くなり綺麗になっている。

更には酒場の奥にプール、地下には遊戯場、そして1番変わったのは2階だ。
誰でも2階に上がってもいいことになったのだ。


「へぇ、じゃあオレも上がれるんだ」

「そうよ」

リンの呟きにカナが答える。
その時、疑問に思ったルーシィがリンに問う。

「? リンはS級魔道士なんじゃないの?」


「オレなんかがS級だったらグレイ達もそうだろ?」

「でも…あのファントムのマスターとほぼ互角に戦ったって聞いたからつい…」


「なるほどね。まぁどちらにせよオレは“タブー”だからS級にはなれねぇよ」

「え?」

こちらにマカロフが近付いて来てるのを見つけたリンが今の話は誰にもいうなよ、と話を切り上げた。
ルーシィの頭の上には「?」が浮かんだままだ。


「帰ってきたかバカタレども」

マカロフが近付いて来たのは新メンバーを紹介する為だったらしい。
ジュビアが挨拶をする。
その後、続けて紹介されたのはガジルの存在。
どうやら彼も妖精の尻尾に入ったらしい。

彼も根はいい奴なんだと信じたいとマカロフは言った。


しばらくするとギルド内は暗くなり、ステージがライトアップされる。
そこにいたのはバラードを歌うミラの姿。
しかし、滅竜魔道士2人が暴れだしそれが連鎖してギルド内に乱闘が起こり始めた。

結局いつもと変わらないこの光景にギルド中のみんなが笑う。


翌日、ギルドに取材が来ててんやわんやといつもより騒がしい事になり、
妖精の尻尾の名を更に悪名高くする結果になってしまった。


+++


「うーん…あたし1人で行けそーな仕事あるかなー」

クエストボードの前、ルーシィは1人で依頼内容を確かめていた。

「1人?ナツやグレイたちと一緒に行かねーのか」

「それがねー」

隣にいたナブがルーシィの呟きに反応した。
その疑問にルーシィは何故1人なのかという状況を説明する。


まず、グレイはジュビアの面倒を見なくてはいけないらしく2人で仕事へ。
リンは何かむしゃくしゃすると言ってフェーリと2人で暴れられる仕事へ。
エルザは新しい鎧に不具合があった、と抗議へ。

「ナツがいるだろ?」

その肝心のナツは今頃になってエーテリオンを食べた副作用が出たのかくらくらしている。
あれは当分仕事はムリそうだなとナブも納得。

「でもねっ!何か仕事行かないと今月の家賃払えないのよォー、ナブ手伝って!!」

「俺はやめとくよ。自分にしかできねぇ仕事をずっと探してんだ」

何それ…と、言ったルーシィは再びリクエストボードへと目を向けた。
そして見つけたのは“子供向け魔法教室の先生募集”と書かれた仕事。
これなら、と取ろうと思ったルーシィだがガジルに先に取られてしまう。
何とか抗議しようとするが…。

「どんな仕事やろうが俺の勝手だろーが。はりつけんぞバニーガールさんよォ」

とのガジルの言葉にルーシィは悔しい、と地団駄を踏む。
ナツに何か言ってやってと頼むがナツは調子が悪いと帰ってしまった。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.83 )
日時: 2015/01/25 17:12
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


「こんな所に呼び出して何のつもりよォ俺ぁこれから仕事なんだヨ」


仕事に行こうとしていたガジル。
しかしジェットとドロイが彼を呼び出し勝負を挑んでいた。
同じチームであるレビィも木の影に隠れている。
やられたままでは妖精の尻尾の名折れだと。

「余裕かましてられんのも今のウチだぜ!!!」

走り始めたのはジェットだ。
己の魔法である神速ハイスピードで一瞬の内にガジルの目の前まで行き殴り付ける。
次にドロイがガジルの近くに種を撒き、
そこからドロイの魔法、植物プラント魔法で攻撃。
暇を与えず、ジェットも彼に攻撃を加えた。

しかしガジルは動こうとしない。
避けることさえもしなかった。

「これは何のイジメだ?あ?」

そこへやってきたのはラクサスの姿。
こいつ(ガジル)がギルドに上等かましてくれたガキか、と連続して雷での攻撃を与えていく。

それでも彼は動かない。攻撃を受け続けていた。
妖精の尻尾の仲間だと認めて欲しいから…と。


それに気付いたジェット達はもうやめろ、とラクサスに制止をかける。

「うるせえよ!ザコは黙ってろや!!」

ジェット達に向けた攻撃がレビィに当たろうとする。


「アイスメイク…シールド

しかし当たる直後、雪の結晶を形どった氷の盾がレビィを守った。

「大丈夫か?レビィ。間に合ってよかった」

「リン…」


レビィの前に立つのは仕事から帰って来たばかりなのであろうリンの姿。
ガジルはそれを見て仕事があるんだとフラつきながら歩いて行ってしまった。

ラクサスもまた何も言わずに何処かへと去って行く。

「ラクサス帰って来たのか…」

「何か不穏な空気ですね」

「そうだな…収穫祭も近付いてきてる。何もなければいいが……」

リンとフェーリは去っていくラクサスの姿を見つめていた。
姿が見えなくなった所で、リンは3人を見る。


「…詳しい事は聞かねーよ。ただ、守りたい奴がいるなら後先の事を考えて行動しろ」

冷たくそう言ってからリンはギルドへの道を歩いて行った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.84 )
日時: 2015/01/28 19:01
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)

第29話「突然現る参加者」


「おおぅ…ぉう…祭りだぁ…」

フラフラと歩きながらも祭りを楽しもうとするナツをリン、グレイ、ジュビアとルーシィが見ていた。
放っておけばいいんだとグレイは言う。

「このマグノリアにこんなに人がいたなんてねー」

「ファンタジアを見る為にほかの街からも人が集まってるからな」

妖精の尻尾フェアリーテイルが大陸に誇れる大パレード。
それにルーシィが見たいと手を上げた。

「本当はお前も参加する側なんだぞ」

そういうグレイやリンもファンタジアに参加するメンバーだ。

「参加といえば…そろそろミス・フェアリーテイルコンテスト始まっちゃうー!!!家賃ー」


急いで走って行くルーシィ。
それに対し、ジュビアが対抗心を燃やしていた。
どうやら彼女もコンテストに出るらしい。

+++


「お待たせしました!!!我が妖精の尻尾の妖精たちによる美の共演!
ミス・フェアリーテイルコンテスト開催でーす!!!」

会場では砂の魔道士、マックスが司会をしていた。
それを見る大勢の人々の中にまぎれるグレイとリン。ナツも入っていた。
リンは行く宛もなくグレイに着いてきたのだろう。
ナツはよく分からないが。


「てかリンは本当に他に行く場所ねーのか?いくら男装してるとはいえ…」

小言でリンに話し掛ける。
周りを見れば女性などいる訳もなく、男性ばかり。
興味ないだろうとグレイなりに気を使ってるみたいだが。

「…別に。グレイはこれ、興味があって来たのかよ?」

「い、いや…そうゆう訳でも……」

「それと同じだよ、………それにグレイと一緒の方が楽しいし」

「は?おま、それって…」


グレイの言葉を遮るようにして1人目の参加者が現れる。
彼女はそっぽを向いていた。

エントリーNo.1はカナだ。
魔法を使ってのアピールタイムではカードで全身を隠し水着に着替えていた。
その後もジュビア、ミラ、エルザ、レビィ、ビスカと続く。
そしてルーシィのアピールタイム。

「えーと…あたし星霊と一緒にチアダンスします」

上着を脱いで準備する彼女の後ろから歩いてくる人影。


「エントリーNo.8」

「ちょ…ちょっとあたしまだアピールタイムが…」

ざわざわと会場がざわめく。
彼女の正体は…



「妖精とは私の事。美とは私の事。そう…全ては私の事…優勝はこの私エバーグリーンで決定〜
ハーイ、くだらないコンテストは終了でーす」

ラクサス親衛隊、雷神衆の1人。
エバーグリーン。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.85 )
日時: 2015/02/01 15:09
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


邪魔しないで、とエバーグリーンに突っかかるルーシィ。
そいつの目を見るなというリンの忠告は間に合わず、
眼鏡をずらしたエバーグリーンはルーシィと目を合わせた。
瞬間、ルーシィは石像へと変わってしまう。

マックスは観客に逃げろと誘導する。


「何をするエバーグリーン!祭りを台無しにする気か!?」

「お祭りには余興がつきものでしょ?」

そう言ったエバーグリーンが幕を燃やすと控え室にいた人達が全員、石になってしまっていた。
今すぐ元に戻さんかと叫んだマカロフ。
その時、ステージの上に雷が落ちる。

出てきたのは他の雷神衆とラクサス本人。

「ファンタジアは夜だよな。さぁて何人生き残れるかねぇ…」

天井から落ちて来た雷がルーシィを狙う。
それはギリギリの所で当たらなかった。ギルドの皆は一時的にホッとする。
しかし…


「この女たちは人質に頂く」

ルールを破れば1人ずつ砕いて行く。
これは余興。冗談ではなく本気だとラクサスは言う。

「ここらで妖精の尻尾最強は誰なのかをハッキリさせようじゃないか」

「——つう遊びだヨ」



「ルールは簡単。最後に残ったものが勝者。バトル・オブ・フェアリーテイル」




その言葉にいきなり机が吹っ飛ばされる。
吹っ飛ばしたのはナツ本人だ。どうやら復活したらしい。

「いいんじゃねぇの?わかりやすくて。燃えてきたぞ」

復活したナツは真っ直ぐにラクサスに向かって行くがあっさりとやられてしまう。
石像にされた女性達を助けるには雷神衆とラクサスを倒す。
制限時間は3時間。バトルフィールドはこの街全体。

ギルドはラクサスの魔法で光に包まれる。
眩しいとそれぞれが目を閉じた時にはラクサス達の姿は消え、バトルの開始を告げる。


ラクサスを捕まえろー、とギルドのメンバーが早々に走り出す。
マカロフも意気込んでラクサスを見つけようとしたが出入り口で見えない壁のようなものにぶつかる。
その後ろを走っていたグレイとリンがそれに気付いた。

「何やってんだじーさん!」

「何じゃコレは!?進めん!見えない壁じゃ!!!」

グレイはギルドから出てその壁がない事を確認し、そんなものないと言う。


「……フェーリ、連れ出して見ろよ」

未だ、ギルド内にいるリンはフェーリに言う。
フェーリはマカロフを持ち上げ外に出ようとするがやはり“何か”にぶつかった。

「本当にマスターにだけ見えねえ壁があるってのかよ?」

その様子を見たグレイは言う。

「…いや、残念だがグレイ。オレも出れないみたいだ」

その見えない壁に手を当てるリン。
すると空中に文字が浮かび上がった。
それはフリードの術式だ。踏み込んだ者を罠にはめる設置魔法。
おそらくこのギルドを囲むようにローグ文字の術式が書かれている。

術式に踏み込んだ者はルールを与えられる。
それを守らなければ出る事は許されない。

浮かび上がった文字にはルールが書かれていた。


“80歳を超える者と石像の出入りを禁止する”

「何だよこの言ったモン勝ちみてーな魔法は!?」

術式を書くには時間がかかる。
故にクイックな戦闘には向いていないが罠としては絶大な威力を発揮する。
術式のルールは絶対だ。

「それはおかしいですね…。リン、貴女は80歳を超えていたんですか?」

フェーリはリンに向き直り言う。


「…そのハズはないな。まだ17年しか生きてないはずだぜ?」

「じゃあ何で…」

「さあな……」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.86 )
日時: 2015/02/03 08:13
名前: 紫苑有栖 (ID: v2BiiJyf)

第30話「静かなる怒りを」

「チッ…リンが外に出れねーのは何故か知らないがこうなった以上、俺達がやるしかねえな」

グレイはギルドから離れて走り出す。


「あんたの孫だろうが容赦はしねえ。ラクサスをやる!!!」

「フェーリ、グレイの援護に行ってやれ」

「分かりました。」

走り出したグレイの後ろをフェーリが翼を広げ追い掛けて行った。
リンは石化してしまった石像達の前に立つ。
考える途中でリーダスが物陰が出て来て怖くて行けなかった事を告げられる。
マカロフはそんなリーダスにポーリュシカの所へ行くように任された。


「ごあーっ!!!」

その時、ナツがいきなり起き上がる。
状況を理解していないらしくキョロキョロと周りを見渡した。

「祭りは始まった!ラクサスはこの街の中におる!倒してこんかい!!」

「おっしゃああああっ!!!」

待ってろラクサス、と走り出したナツだが彼もギルドの出入り口で見えない壁にぶつかる。
その姿を見たギルドに残っていた者が驚きの顔をする。
あくまでルールは80歳以上の者と石像の出入りを禁止、だ。


「これは実年齢とかの問題じゃねーな」

「リン!お前も出れなかったのか!どうなってんだよコレ!?年齢の問題じゃねぇって…
じゃあ体質か?俺達も何処か石化してたりすんのか!?」


「落ち着けよ、ナツ。まだ確信を持てた訳じゃねえけど考えられんのは1つだ。“魔法の年齢”」

太古の魔法エンシェント・スペルである滅竜魔法や失われた魔法ロストマジックである滅神魔法。
どちらも古くに存在し最低でも80年以上の歴史は流れているだろう。

「…でもそうするとリンは外に出られるんじゃねーのか?グレイが外に出られたんだろ?」

「!(しまった…やっちまった)…あぁ、うん。だから言ったろ?確信を持てた訳じゃねぇって」

軽く冷や汗を流すリンは横目でマカロフの方を見る。
視線に気付いたらしいマカロフは困ったのぅという顔をして頬をポリポリと指で痒いた。


「っと、壁に違う文字が浮かび上がってんぞ」

リンがそう言うと一同の視線は見えない壁へと向かう。


“バトル・オブ・フェアリーテイル、途中経過速報。
ジェット vs. ドロイ vs. アルザック………勝者アルザック

ジェットとドロイ戦闘不能。
妖精の尻尾フェアリーテイル残り人数82人”


何故、仲間同士で争っているのか。

その後も、ギルドの仲間達が戦闘となる中継がされる。
あっという間に人数は半分に減ってしまった。
ナツはそれでもラクサスはギルドの仲間だろ、とマカロフに笑ってみせる。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.87 )
日時: 2015/02/04 15:42
名前: 紫苑有栖 (ID: 8y9cmuB3)


グレイ、フェーリ。

「お!!グレイ発見ー!!」

「グレーだ」「グレーだ」

現れた影の周りにいる小さなトーテムポールの一部分らしきものがオウム返しする。

「ビックスロー」

服屋の店内にて見つけたのはラクサスではなくビックスローだ。
彼はケラケラと笑う。

「よォ遊ぼーぜぇ」

グレイ達の前に現れたビックスローは早速、攻撃を仕掛ける。
店内にいた客達は逃げ出し、店の中は荒れる。
フェーリはネコの姿から狼の姿へ変わり、ビックスローを襲う。

「うぉっと。お前、戦えたのかよー」

「私はハッピーとは違いますからね」


彼はギリギリで避けてフェーリにも攻撃を。
トーテムポールの一部分らしきものはフェーリに攻撃しビックスローはグレイに足掛けをする。
グレイはそれを飛んでよけた。
それを狙ったのかビックスローは命令を出す。

「ラインフォーメーション!!」

命令を出された塊達はフェーリへの攻撃をやめ、縦に並び縦長の波動をグレイへ打ち出す。
しかしその攻撃はグレイではなく近くにあったマネキンへと当たった。

「年下のくせにやるなァグレイ。次はビクトリーフォーメーションだ」

反応はない。どうやらそれらは氷漬けにされていたようで。
その隙にグレイは彼に膝蹴りをし倒れさしたあと、大槌兵ハンマーを造形し潰そうとする。

「エックスフォーメーション!!!」

たが、マネキンがビックスローを守る。
彼の魔法、セイズ魔法“人形憑き(ひとつき)”は魂を人形に憑依させる魔法。
人形からだは氷漬けにされても魂は無理。
別の人形にする事が出来る。

「だったらてめえ本体を凍らせてやるァ!!!」

「やれるもんならやってみなー」

逃げ出すビックスロー。
その後を追い掛けるグレイとフェーリ。
辿り着いたのは路地裏。


ビックスローは足を広げ、壁と壁に足を付け上にいた。

「てめぇ……一体何がしてえんだ」

「言ったろ?遊びたいんだヨ。ベイビーたちも」

グレイ達を囲むのは術式。
ルールは“この中にいる者は戦闘終了まで魔法の使用を禁ずる”だ。
おかげで、狼へと姿を変えていたフェーリはネコの姿へと戻ってしまう。

「罠か!!?」

「あ、そうだ。倒す前に“彼女”と仲良さそうだしグレイに聞きたいことあったんだよねー」

「彼女だと…?(リンの事か?)」


「何で男装してるんだー?そうゆう趣味?」

ビックスローは人の魂を見ることが出来る。
だからこそ知っているのだろう。その質問はただの彼の好奇心だ。

「……リンの事を知っているのはそれだけですか」

グレイが答える前にフェーリが俯き問う。

「それだけって言われるとそうだナ。魂の奥に“殺し”の概念が…!?」

それを聞いたフェーリが魔法禁止なのにも関わらずエーラを使い彼の所まで飛んで行く。

「フェーリ!」


そのまま突撃しようとしたらしいフェーリだが、その前に“何か”に攻撃を受け堕落。
グレイが何とか受け止め地面へとゆっくり降ろす。
ルールを守らなかった罰だとビックスローは笑いながら言った。





「すまん、フェーリ…。…何だかよく分からねーけど、お前は魔法なしでも殴り飛ばしてやるよ」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.88 )
日時: 2015/02/05 20:56
名前: 紫苑有栖 (ID: 8y9cmuB3)
プロフ: しんらいとなかまのみ

第31話「信頼と仲間の身」

“ビックスロー vs. グレイ………グレイ戦闘不能。

残り29人”


ギルドの壁に映し出される戦闘結果。
その報告を見ていたラクサスが笑い、リンが目を見開いた。

「(グレイ…)」


「嘘だっ!絶対なんか汚い手使ったんだよ!!!」

「あとは誰が雷神衆に勝てるんだ?クク……」

ハッピーがガシルだと叫ぶが彼は不参加。
ナツやリンだってギルドから出られない。
マカロフはよく考えてから降参だと声を上げた。




「ダメだなァ…
天下の妖精の尻尾フェアリーテイルのマスターともあろう者がこんな事で負けを認めちゃあ。

どうしても投了リザインしたければ妖精の尻尾のマスターの座を俺に渡してからにしてもらおう」

ラクサスの狙いは初めからこのこと。
石像が崩れるまで残り1時間半。
リタイアしたければギルドの拡声器を使って街中に聞こえるように宣言すること。

「よーく考えろよ。自分の地位が大事か、仲間の身が大事か」

思念体であったラクサスはそれだけ言い残し消えていった。
マカロフは今のラクサスにはマスターの座は譲れないという。
でもこのままでは石像が砂になってしまう。

その時、がさごそと音をたて出てきたのはガジルだ。
ガジルがラクサスを倒す、とギルドから出て行こうとするが叶わず。



その内、残りの人数はとうとう3人に。
ナツ、ガジル、リンの3人だ。戦える魔導士はもういない。
するとナツは石像であるエルザを復活させると言った。

最初こそ、完全に砕けてしまうと思ったもののそんこともなく彼女は復活。
きっと義眼のおかげだろう、と立ち上がった。


残り3人だったものは4人…いや、5人へと変わる。
もう1人の最強候補、ミストガンも参戦。



反撃開始


エルザがギルドから出て数十分。
石像になってした女性達も復活。これで人質はいなくなった。
戦う理由もない。

だがその考えは打ち砕かれる。
術式の情報ボードがギルド中に現れる。

「聞こえるかジジィ。そしてギルドの奴らよ。
ルールが1つ消えちまったからな…今から新しいルールを追加する。

バトル・オブ・フェアリーテイルを続行する為に俺は神鳴殿を起動させた。


残り1時間10分。さあ…俺たちに勝てるかな?
それともリタイアするか?“マスター”」



「何を考えておるラクサス!!!関係のない者たちまで巻き込むつもりかっ!!!」

叫んだマスターはいきなり胸を抑え倒れ込む。
その状況に誰もが心配して近付いた。
ミラが薬を取ってくるついでに外を見てきたのだろう。
皆を外へと誘導する。

リンとミラはマカロフを医務室へと運ぶ。
外にはいくつもの雷の魔水晶ラクリマが浮いていた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.89 )
日時: 2015/02/07 21:01
名前: 紫苑有栖 (ID: 8y9cmuB3)


その魔水晶は1つ1つにものすごい魔力のいかずちが帯電されていた。
あれが放電されれば街中に無数の落雷が。

「そんな事はさせないわ!!!スナイパーライフル換装!」

ビスカは魔水晶を狙い撃ち落とす。
しかしその直後、ビスカの体に大量の雷が流れた。
ビスカは耐え切れず倒れてしまう。

「生体リンク魔法!?」

あの魔水晶は攻撃してきた者と自分のダメージを連結させる魔法がかけられている。
つまり攻撃を与えればそのダメージが自分に返ってくる仕組みだ。


このままでは街の人まで、と石化から復活した女性達は動き出す。
レビィはビスカを手当てする為にその場に残った。
ナツが「いい加減にしろ、ラクサス!」と見えない壁に頭突きをする。

「くそっ!こんなトコにも見えねー壁がっ!!」

「術式でしょ?文字魔法の1種だから私なんとかできるかもしれない」

グッと拳を握るレビィ。


「本当かレビィ!?」

「私…あなたたちならラクサスを止められるって信じてるから」

ビスカを医務室へと運びレビィは早速解き始める。
医務室にはマカロフとビスカ、そしてリンの3人。
ミラも外へと出て行ったみたいだ。


「じぃさん…死ぬなよ、まだ恩返し出来てねーんだ」

静かに眠っているマカロフに対してリンは呟いた。
それからまた数十分、ルーシィがビックスローを倒したんだと報告が入る。

「やるじゃねーか、ルーシィ」

そしてレビィが術式を解くことに成功。
ナツ、ガジルが参戦。


「だが…神鳴殿……街中を襲う雷の魔水晶。雷神の裁き…残り10分だぞ…」

そう呟くと誰かが医務室へと入ってくる。
入って来たのはポーリュシカとレビィだ。
それを見たリンがマカロフの前からどき、ポーリュシカに場所を譲る。


「ラクサスをつれてきなさい」

「え?」

その言葉にレビィもリンも驚いた。
ポーリュシカは更に続ける。

「祖父の危篤も知らずに遊び回ってるあの子をつれてきなさい」

「危篤って…そんなおおげさな……」

レビィの声が震える。



「いいからお願い。この人はもう長くない」

涙を流すポーリュシカの姿は本当の事なんだと思わせるのに充分だった。


「オレが行く。レビィ、じぃさん達は任せたぞ」

「うん…リンも気を付けて…」

すぐにギルドから抜け出しリンはラクサスを探す。
そんな時にリンの視界に入ったのは倒れるグレイの姿。


「グレイ!!お前、大丈夫かよッ」

グレイの傍に近寄り、声を掛ける。
う、と呻き声を出してそっと目を覚ましたグレイ。

「…はぁ、よかった……」

「リン……?お前、あそこから出れたのか…」

「あぁレビィが術式を解いてくれたんだ。立てるか?」

グレイが頷き壁に手を当てながらも自力で立ち上がる。


「レビィが?」

「あぁ、みんな石化から戻ったよ。ルーシィやミラも無事だ」


「そうだ!フェーリが…」

グレイがフェーリが倒れている方へと目を向ける。
傷が深いのか、まだ意識は回復していないみたいだ。
リンはそんなフェーリに近付き抱き上げる。




「ごめん…」

「大丈夫。今、1番の問題は空に浮かんでる魔水晶だからな」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.90 )
日時: 2015/02/09 08:13
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)
プロフ: http://t.co/ocr94bSDsi

メイデル・アメイリス描きました!
カス絵ですのでメイデルのイメージを壊したくない、
等あれば見ない方がよろしいです。

それと、名前を「紫苑有栖」から「有栖」に戻させて頂きました。
トリップもつけさせてもらいました。
以降は変わらず、この名前でやって行きたいと思ってます。
申し訳ありません。

参照900突破、ありがとうございます!
これからもよろしければぜひ読んでやって下さい!!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.91 )
日時: 2015/02/10 13:24
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)

第32話「君へ伝えた言葉」


「な、何だよ…あれ」

空に浮かび上がるいくつもの魔水晶を見て声をあげるグレイ。
彼にリンは説明した。
説明を聞いたグレイはあれらを壊さなければという。

「生体リンク魔法かかってんの分かって言ってるのか?」

「やるしかねーだろ。その為にもギルドの奴らを探し出す。街中の皆を守れんのは俺達だけだ」

その言葉にリンは少し考えてから頷いた。


「分かったよ…じゃあこれだけ受け取ってくれ」

彼女はグレイの手を取り目を閉じる。

「! …何だ、この感じ……」

数秒して手を離し目を開けたリン。

「オレの魔力をグレイに渡したんだ。
それで攻撃受けても耐えられると思う。こんな事するのお前だけだから…」

「それってどうゆう意味だ?」


意味を聞かれたリンが赤面しそれを隠す為に顔を俯かせる。

「オレはラクサスにじぃさんが危篤だって伝えなきゃいけないから…無理すんなよ!」

グレイの質問には答えずにリンはフェーリを抱いたまま逃げるように走り去った。




「あれ以上怪我して欲しくないけど…任せたからなグレイ」

ラクサスの事を探し走り回るリン。
残り約1分。そんな時、空で一気に爆発した魔水晶。
何とか間に合ったらしい。

リンはその頃、教会へとたどり着いていた。

「残る場所はここか…」

強大な魔力の風がリンを横切る。


「この魔力…じぃさんの……ラクサス!!」

すぐに教会の扉を開けて中へと入る。
そこには今にでも妖精の法律フェアリーロウを発動しようとするラクサスの姿。


「ラクサス!やめろォオ!!!」

それと地面に倒れるナツとガジルの姿。


「じぃさんが…テメェの祖父が危篤なんだよッだからこんな事もうやめろ。じぃさんに会ってやれ!」

ラクサスは一瞬だけ動揺する。
だがあくまでそれは一瞬だけだ。

「丁度いいじゃねぇか。これで俺がマスターになれる可能性が再び浮上した訳だ」

心配も魔法を中断する気もなかった。


「消えろ、妖精の尻尾フェアリーテイル!俺が1から築き上げる!!
誰にもまけない!皆が恐れ戦く最強のギルドをなァァ!!!」

「っ…(グレイに魔力上げすぎたッ)」

妖精の法律を発動しようとするラクサスを凍らせようとしたリン。
しかし魔力不足でそれは叶わず。
妖精の法律は発動され、光が街全体を包み込んだ。





「俺は…ジジィを超えた…」

だが、咳き込む音が聞こえて来て誰もやられていないことを知る。
みんな無事だ。

「どうなってやがる!あれだけの魔力をくらって平気な訳ねぇだろ!!」

その時、フラついた足取りでフリードが教会へと入って来る。
ギルドのメンバーも、街の人もみんな無事だ、と。
確かに妖精の法律は完璧だった。


「それがおまえの“心”だ、ラクサス。
おまえがマスターから受け継いでるものは力や魔力だけじゃない」

仲間を思うその心。
妖精の法律は、術者が敵と認識した者にしか効果がない。

「心の内側を魔法に見抜かれたのか…」

「魔法にウソはつけないな、ラクサス。これがおまえの“本音”という事だ」


ラクサスは違う、と否定する。
ジジィなどどうなってもいいんだと。

「俺は俺だっ!ジジィの孫じゃねえ!ラクサスだっ!!」

そう吠えるラクサスにナツが立ち上がる。
そしてまた戦闘。
しかし、ナツの方が圧倒的にフリだ。
早くも地面に伏してしまう。
それでもまだ立とうとするナツにラクサスは最大限の魔法を繰り出した。
それがナツに当たろうとする寸前、雷は直角に曲がりガシルの方へ。

自ら避雷針となって攻撃を受けたらしい。

ラクサスは魔力が今ので尽きたのか、動かない。
そんな彼へナツは怒涛の攻撃を繰り返す。
その魔法…竜の鱗を砕き竜の肝を潰し竜の魂を狩りとる。


滅竜奥義…“紅蓮爆炎刃”




勝負はついた。
ナツが勝利の雄叫びをあげる。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.92 )
日時: 2015/02/11 20:24
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: wECdwwEx)

参照1000突破おめでとうございます!

ちょっとぉーリン乙女モードMAXじゃないですかぁー((殴
ニヤニヤしながら画面見てましたw
おっと、親に怒られたのでここで失礼します
これからも楽しみにしてます!!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.93 )
日時: 2015/02/12 09:28
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)

参照1000突破、ありがとうございます!

ドロップさん
ちょっと無理矢理な感じに乙女モード入れさせてもらいましたw
ニヤニヤさせて貰えるとこちらも嬉しいです!←

コメントありがとうございます!
更新頑張ります(`・ω・´)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.94 )
日時: 2015/02/14 10:24
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)


「ポーリュシカさんのおかげで一命はとりとめたそうだ」

エルザの声でギルド中に安堵の声が上がる。
こんな状況でもファンタジア(大パレード)はやるらしい。
ジュビアは観るのが楽しみだと笑うが彼女も強制参加だ。
怪我人が多く、まともに動ける人は全員参加だそうで。

文句を荒らげるルーシィだが体中、包帯だらけのナツとガジルを見て納得する。
その時、ラクサスがギルドへと入って来た事にギルド中がざわめいた。


どうやら彼はマカロフに会いに来たらしい。
エルザが医務室にいる、と案内した。


「…ファンタジアを見に来てくれた昔の仲間から聞いた話だ。間違いないと思う」

「そうか…奴らが……」

その頃、医務室ではマカロフとリンが話をしていた。
リンの言う仲間はメイデルの事であろう。
フェーリはリンの腕の中でただ静かに話を聞いている。

「オレやっぱり…」

「いいんじゃよ、リン。そんな気負う事などない」

すると医務室の扉がノックされる。
入って来たのはラクサス。


「……オレはお邪魔かな」

「悪いのう、」

「じぃさんが謝る事じゃねーよ」

それだけ言ってラクサスの横を通り医務室から出て行くリン。
彼女は今年のファンタジアはどうしようか、と悩むグレイの所へと向かった。


「グレイ!今年はどうす…」

言葉をつまらしたリンの目線の先にいるのはジュビアとグレイの姿だ。

「またあいつか…」

ボソリと呟いたそれをフェーリは聞き逃さなかった。


「嫉妬ですか?リン」

「! そ、そんなんじゃねーよッ」

必死に否定する彼女に対し、からかい笑うフェーリ。
傷は割と回復したようで。

「あ、リン様!!」

ジュビアがリンに気付き、近付いて来る。
どうやら今年のファンタジアは3人でやらないか、という事らしい。

「ジュビア初めてだからどうしたらいいか分からなくて…。
だけどグレイ様は毎年、リン様とやってると…」

「…まぁそれでもいいや。ところで何で様付け?」


「はい!ジュビアは1度負けてるので…」

「あぁ、気にしなくていいのに。そんなの」

そうは言うがジュビアは様付けで一定させるらしい。
そしてファンタジアの夜は始まった。

ミスFTに出ていたルーシィ、レビィ、ビスカはフラッグを使って踊り、
エルフマン、ミラは全身接収テイクオーバーにて観客を驚かせた。

リン、グレイ、ジュビアはグレイが氷のお城を造り出しジュビアが水で演出をつくる。
その水がお城を包むとグレイが“FAIRYTAIL”とジュビアの水を使い、文字を造形。
その後、リンはフェーリの翼で空を飛び上空から城と水の全体を凍らした後、破壊。
破壊された氷の小さな屑が観客に降り注ぎ“雪”の演出を造り出した。

エルザは最初こそ、鎧のまま剣を舞わせていたが換装し踊り子の衣装になると自らも舞う。
ナツは大怪我の癖に参加した為に失敗に終わってしまった。


マカロフはファンシーな衣装に身を包み、コミカルな動きをする。
そして最後には全員で人差し指と親指だけを立て腕を上へと上げた。


“おじいちゃん”から孫へのメッセージ。
たとえ姿が見えなくともたとえ遠く離れていようとワシはいつでもおまえを見てる。
おまえをずっと……見守っている。



奴らが出て来るのはまだまだ先のお話。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.95 )
日時: 2015/02/14 21:42
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)
プロフ: https://www.youtube.com/watch?v=JI59xfNs-fM

突然のおまけです。
参照も1000突破したので(`・ω・´)

本当はセイシルのキャラソンなるものを探していたのですが納得のいくものが見つからず。
変わりにこの小説のテーマ曲…というよりかはopに近いものですかね?
的なものを納得いくものが見つかったのでそちらを…。
あまり意味は深く考えすぎないように(←

ボカロの曲なので苦手な方は歌詞だけでも。
歌詞と題名は載せておきますね!上記URLから飛んで行けます。


これからもよろしくお願いします!


「eulogia」:オトホギ

音を合わせて 歌を織り成す
夢を繋げて 星を降らせる

地下室から始まった物語
いまだ誰も知らない創世記
主人公は 傷ついた僕等
生まれた街は 楽園より遠くて
風が 土が 季節の匂いがない
今日は昨日の続きですらない
禁断の果実は 手の届くとこ
胸を張って もうひとつ食べよう

この手を 伸ばせば
届くのだろうか? この街の中で
昨日の 夕立
とても強い雨 なぜか怖かった

誰かが呼んでる あの声が聞こえる
目の前のドア 強くたたけと

何か足りない 音符が欠けている
とても大切な たったひとつの
やっと見つけたと思ったそばから
いつも いつも 裏切られてばかり
壊れてしまった 僕らの世界を
ひとつ ひとつ 創り直したいの
なのに 足りない 音符が欠けている
とても大切な たったひとつの

外した 足かせ
大事にしていた ずっと信じてた
知らない 景色が
そこに広がった もう怖くないよ

誰かは君なの? 未来から呼んでる
僕が作り出す 強い命

同情なんか感じないだろう
懐かしさなど シカトしていいから
家畜じゃないなら 示してみろよ
責任も 罪悪も 不要なもの
それでいいのさ 祝福をしよう
天と大地から 解き放たれた
君にしか創れない 世界がある
ガラスと油で 捏ね上げるんだ

糸をつむいで 布を織り成す
型を断ち切り 袖を合わせる

何か足りない 音符が欠けている
とても大切な たったひとつの
地下室から始まった物語
いまだ誰も知らない創世記
同情なんか 感じないだろう
それでいいのさ 祝福をしよう
君にしか作れない世界がある
わかってるだろ 君は君になれ

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.96 )
日時: 2015/02/16 15:36
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)

第33話「見つかったんだ」


双子の姉妹は抗っている。
捕らえようと必死になる大人達から抗っていた。

「くそっ、大人しくしやがれ!」

大人の怒声が響く。

抵抗する音。


そんな時やって来たのは大人達の長だった。

「大人しくしないと駄目だろ?お前ら」

そう言った彼は手を1人の少女へと向ける。
瞬間、飛び散ったのは誰かの鮮血だった。



血は止まることを知らない。



また、少女は止める術も知らない。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.97 )
日時: 2015/02/19 17:11
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)

第34話「バラム同盟VS」

ファンタジアも終わり、ラクサスが波紋だと聞いた時にはナツがうるさかった。
さらにはマカロフは責任を感じてマスターの座を降りるとまで言い出す始末。
しかし反省しているのか坊主にしたフリードの言葉で思いとどまってくれた。

それから1週間と数日後。
リーダスが光ペンで闇ギルドの組織図を書いていた。
どうしてまた…とルーシィが聞く。

「近頃、動きが活性化してるみたいだからね。ギルド同士の連携を強固にしないといけないのよ」


「この大きいくくりは何だよ?」

エルフマンが中心にある大きな丸に気付く。

「ジュビア知ってますよ。闇ギルド最大勢力…“バラム同盟”」

バラム同盟は4つのギルドから構成されている闇の最大勢力。
それぞれが幾つかの直属ギルドを持ち闇の世界を動かしている。
冥府のタルタロス、悪魔の心臓グリモアハート六魔将軍オラシオンセイス
そして毒花の住処プラントテーナメント

その文字を見たリンが一瞬だけ顔を歪めた。
鉄のアイゼンヴァルト、屍人のグールスピリットは六魔将軍の傘下。

「ジュビアもガジルくんもファントム時代に幾つか潰したギルドが全部六魔将軍の傘下でしたー」

笑顔で言うジュビア。

「笑顔でいうな…」

「…オレも何度か闇ギルドの傘下、潰した事あるけど(六魔将軍ではないが)」

「おまっいつの間に!?そういえば最近はなくなったがたまに1人で出掛ける時あったな……」



「うわー、怒ってなきゃいいけど」

噂ではたった6人だけの小さなギルド。
しかし、6人で最大勢力の1つを担っている、と言う事を忘れては行けない。


「その六魔将軍じゃがな……ワシらが討つ事になった!!」

マカロフのその言葉にギルド中のみんなが驚く。
どうやら先日の定例会にて六魔将軍が動きを見せてる事が議題に上がった。
無視は出来ない、という事になりどこかのギルドが奴等を叩くことになったのだ。
しかし、妖精の尻尾フェアリーテイルだけで戦をしては後々、バラム同盟にここだけが狙われる。

「そこでじゃ。我々は連合を組む事になった」

妖精の尻尾、青い天馬ブルーペガサス
蛇姫のラミアスケイル、化猫の宿ケット・シェルター
4つのギルドが各々のメンバーを選出し、力を合わせて奴等を討つ。




+++

作戦当日。
妖精の尻尾から選出されたメンバーは、ナツ、グレイ、エルザ、ルーシィ、リンの5名。
ハッピーやフェーリも入れると7名。
ガジルやジュビアは別の仕事が入ってしまい、参加にはならず。

「見えてきたよ、集合場所だ」

ハッピーが馬車から顔を出して言った。
青い天馬のマスターの別荘らしく、趣味の良い屋敷とは思えない。


「妖精の尻尾のみなさん。お待ちしておりました」

どこからか、ライトが3人の影に照らされる。
彼らが青い天馬の選出メンバー。
ヒビキ、イヴ、レン…そして一夜の4名。
次に入って来たのは、蛇姫の鱗の選出メンバー。
リオン、シェリー、ジュラの3名。


「残るは化猫の宿の連中のみだ」

「連中といっても子供だと聞いてまぁす」

一夜が思い出したように言う。


「子供だと!?こんな危ねー作戦に子供をよこすってのか!!?」

「ちょ…ちょっと……どんだけヤバイ奴が来るのよぉー」

ルーシィやシェリーが怯えていると入口から大きな足音が1つと話し声。



「あっれ…ここであってるよな、ウェンディちゃん?」

「あ、あってると思います…ほら!!」

子供を背負い急いで入って来た1人の茶髪の男性。


「あちゃー…やっぱ皆様揃ってた。遅れてすんません。方向音痴なもので」

男性はゆっくりと子供を降ろしてから皆の方を向く。





「俺ら、化猫の宿から来ました。ヴィーブル・イルバイトって言います。イルって呼んでくれよ!」

「ウェンディです。よろしくお願いします!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.98 )
日時: 2015/02/21 13:00
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)


腕を組み、頭の後ろへ持っていき人懐っこい顔で笑うイルと不安そうにするウェンディ。
場違いな空気にジュラは話を進めようとする。
それをグレイは止めた。

「この大がかりな討伐作戦にこんな能天気そうな親子をよこすなんて…
化猫の宿はどういうおつもりですの?」

「あら、その人達は親子なんかじゃないわ。ケバいお姉さん。ただのロリコンよ」

不満そうなシェリーの言葉に後から入って来た白ネコが言い返す。
ウェンディはそのネコをシャルルと呼んだ。
どうやら、2人でいさせるのは心配だと着いてきたらしい。

「何だよーシャルルん。俺はロリコンじゃないって言ってるだろ?ただの子供好きだってば」

「その変なあだ名で呼ぶのはやめてっていつもいってるでしょ」



何やかんやとイルとシャルルがお喋りし始める中、同じくネコであるハッピーとフェーリが反応する。

「(おや、あの子……)」

「ねぇルーシィ。あのコにオイラの魚あげてきて」

そんな中、ウェンディがサポートの魔法いっぱい使えますとオドオドしながら言う。
それを聞いてイルもシャルルとの会話を中断。

「俺の魔法もウェンディちゃんとはまた違ったサポート系かな。よろしく」

それぞれ自分の紹介が終わると青い天馬の3人はウェンディを早速ナンパ。
イルはとある人物を見つけて駆け出していた。


「よくみたらセーちゃん!俺は会えて嬉しいぜー!!」

人目を気にせず彼は思いっ切りリンへと抱き着いた。
身長差の事もあり、リンは抵抗するも離れられないまま。

「やめろ、“おじさん”って呼ぶぞ?」

2人の関係にフェーリ以外のチームの仲間が驚く。


「セーちゃん…?」

「ごめんごめん。だからおじさんって呼ばないで」

「セイシル・リンメリー。リンの名前ですよ。彼は昔の知り合いです」

驚いている皆にフェーリがそう説明する。
グレイ以外は、リンの方が名前じゃなかったのかと更に驚いていた。



「さて…全員そろったようなので私の方から作戦の説明をしよう」

そう仕切った一夜がトイレに行った後、今回の作戦の説明がされる。


ここから北に行くとワース樹海が広がっている。
古代人たちはその樹海にある強大な魔法を封印した。
その名はニルヴァーナ。
古代人が封印するほどの破壊魔法という事だけは分かっている。
が、詳しい情報は分からない。
六魔将軍が樹海に集結したのはきっとニルヴァーナを手に入れる為だ。

「我々はそれを阻止する為、六魔将軍を討つ!!!」

こっちは14人。敵は6人。
だけどあなどってはいけない。この6人がまたとんでもなく強い。
毒蛇を使う魔道士、コブラ。
スピード系の魔法を使う、レーサー。
天眼のホットアイ。
心を覗けるという女、エンジェル。
情報は少ないが、ミッドナイトと呼ばれている。
そして奴等の司令塔、ブレイン。
それぞれがたった1人でギルドの1つくらいは潰せるほどの魔力を持つ。
我々は数的有利を利用。

弱音を吐くウェンディとルーシィ。

「安心したまえ。我々の作戦は戦闘だけにあらず」


奴等の拠点を見つければいい。
もし可能ならば奴等全員を拠点に集めて欲しい。
集めた後、青い天馬が大陸に誇る天馬、クリスティーナで拠点もろとも葬り去る。
魔導爆撃艇だ。

もし戦闘になっても決して1人で戦ってはいけない。
必ず2人以上でやれ、とジュラは言う。


「おしっ!!!燃えてきたぞ。6人まとめて俺が相手してやるァー!」

話を聞いているのか、聞いてないのか。
ナツは一番最初に走り出した。







*新オリキャラ紹介。

名前、ヴィーブル・イルバイト
コードネーム、ジキタリス
年齢、26
魔法、幻想夢ユートピア
好きなもの、子供
嫌いなもの、地理

ユートピア…
触れた相手に夢を見せる魔法。
それは悪夢だったり正夢だったりと多種多様。
夢を現実にする事が出来、いつもは夢のヴィーブルが喋ったり動いたりしている。
故に特別な攻撃を受けるか、本体を攻撃されない限りは不死身である。

花言葉、熱愛・不誠実

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.99 )
日時: 2015/02/24 14:35
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: y36L2xkt)

第35話「命の時も止める」

外に出てしばらく走っていると上空に見えてきたのは魔導爆撃艇クリスティーナの姿。
しかしそれはすぐに攻撃を受け、落とされてしまった。
落ちた衝撃で出た煙の中から出てくる6人の影。

彼らが六魔将軍オラシオンセイスの6人だ。
一夜とジュラは既に倒された。
探す手間が省けたと走り出すグレイとナツ。
しかし、レーサーによって攻撃を受けてしまう。
彼らに続いて次々と戦いに挑んでいく、が六魔将軍の方が圧勝していた。


リンやイルは倒れる仲間の姿を見て冷や汗をかく。

「おいおい…2人でこいつらの相手はきついぜ…。昔みたいな強さはもうオレにはないってのに」

「うーん…俺もこの人数相手はさすがになぁ…近付く事も出来そうにねーし」


ははっと空笑いするイル。

「でも、やれるだけやってみますか。俺も新しい魔法覚えたんだ」

リンは再び戦闘体制へと構え、イルが1つの鍵を取り出す。


「「アイスメイク…鎌鼬ブリザード!/開け、幻想夢ユートピアへの扉!」」

イルの目の前に扉が現れる。
そこから飛び出した魂のようなものがそれぞれ6人へと取り付いた。


「くっ、何だ…コレ……」

反応したのは2人。ホットアイとレーサーだ。

「お前らの強い“夢”が自身を弱くする」


更に6人全員の周りに氷混じりの大きな竜巻が起きた。
小さな氷の礫が6人の皮膚を切り刻む。

竜巻が晴れた時、目に映ったのはそれほど傷ついていない4人の姿。
レーサーとホットアイに関しては、あちらこちらで服が破れていた。
しかし戦闘力を半減するまでには至らない。


「もう終わりか?対した事のない奴らだ。消え去るがいい、常闇回旋曲ダークロンド

大気が震え、大きな魔力がブレインの杖に集まって行く。
防御を展開しようとリンが構えを取るがブレインの魔法は中止させられた。
彼の視線は、岩の影に隠れるウェンディへ向かっている。

「間違いない。天空の巫女」


ブレインがそう言うと彼は、ウェンディを捕まえる。
彼女は、シャルルの手を取ろうと手を伸ばすが取ったのはハッピーの手。
助け出そうとするリンとイルはブレインの攻撃に邪魔をされ助け出す事は出来ず。


「うぬらにもう用は無い。消えよ」

ブレインが打ち出した魔法に伏せるリン達。
その時、前に出てきたジュラが攻撃を防いだ。
六魔将軍はもういない。

しかしジュラや一夜も無傷ではなく、一夜の痛み止めの香りで抑えているらしい。

「あいつらー…ウェンディとハッピーを…」

どこだー、と走り出すナツを止めたのはシャルルだ。
ハッピーやフェーリと同じくエーラで空を飛ぶ。
ウェンディとハッピーは心配だが、やみくもに突っ込んで勝てる相手ではない。

「それに」

シャルルがエルザの方を向く。
そこには毒に侵され、苦しんでいるエルザの姿。
彼女はルーシィのベルトを使い、毒蛇に噛まれた上腕を締めて血の流れを止める。

「このままでは戦えん。斬り落とせ」


剣を投げ、腕を差し出す。
リオンがやる、と剣を拾うがグレイは止めた。
とうとうエルザは耐えきれなくなり、地面へと倒れる。
このままじゃ毒が体中にまわってしまう。
だが、シャルルはウェンディなら助けられると言った。

治癒の魔法を使う、天空の滅竜魔道士。
天竜のウェンディ。



今、やるべきことは1つ。
ウェンディとハッピーを助け出す事だ。


鎌鼬かまいたちって読みます(`・ω・´)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.100 )
日時: 2015/02/28 17:22
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: kaY8Y1HD)


エルザの元に残ったルーシィ、ヒビキ、イルの3人。
イルは苦しんでいるエルザに対し魔法を掛けていた。

「喜、怒、哀、楽 幻想夢ユートピア発動」

イルがエルザの頭に手を乗せ、そう唱えるとイルの手から光が漏れ出す。
しばらくすると彼女の顔が苦しむ顔から楽な顔へと変わった。

「何をしたの?」

「彼女に良い夢を見させてるんだ。眠っている間だけでも痛みから開放してあげたいだろ?」

「それがイルの魔法…?」

「そっ、幻想夢ユートピア。相手に夢を見せる魔法だ」

「そういえばさっき鍵を…」


「! あぁ、あれは魔力増幅のただのアイテム。本当は星霊魔道士に憧れてたんだよね」

そう笑うイル。
一瞬だけカッコイイと思ったルーシィだが次の言葉ですぐに打ち消される事になる。


「あぁ…ウェンディちゃん大丈夫かなあ…」

そう言って頭を抱えた。





一方、ウェンディ救出の為に走り出したナツ、グレイ、リン、フェーリ、シャルルの5人。
その目の前に立ちはだかる六魔将軍の傘下。裸の包帯男ネイキッドマミー

「拠点とやらの場所をはかせてやる」

「今行くぞ、ハッピー!ウェンディ!」

「今の実力を知る為には丁度いいかな」

グレイ、ナツ、リンはそれぞれ戦闘態勢へ。
シャルルはギルド1つを相手にしているのよ、と驚いていた。
そこへフェーリは安心して下さいと声を掛け、笑う。

それから数分後、怪我する事無くしてギルドは全滅。
リンは手に少しだけ冷気を纏わせ納得していた。


「3人でこれだよな…大分、弱くなったな……。
まぁ別に今はそんな大きな力いらないな。(お前らがいるし)」

誰にも聞こえない声でボソッと呟いた。
ナツは倒した奴らを起き上がらせ、拠点をはかせる。
彼らの拠点は西の廃村。古代人達が住んでいた村だ。
リン達はすぐに西へと向かう。


しばらく進んで行くと、見えてきた寂れた村。
ナツは大声で2人の名を叫ぶ。
その時、敵に気付かれたのか1人の敵がリン達を攻撃する。
六魔将軍の1人、レーサーだ。

「ここは俺達に任せろ!早く下に行けナツ!!!」

「行かせるかよ」

レーサーがナツの元へ走り出そうとするがそれをリンが足元を凍らせた。
彼はいきなりのことに滑ってコケる。


「シャルル!今だ!!!羽!」

だがシャルルはさっきの攻撃で気絶。
変わりにフェーリがナツを村まで連れて行く。

「てめぇ…この俺の走りを止めたな」

「っは、滑ってコケただけだろ?」

2人は再び戦闘態勢へ。
先に攻撃を仕掛けたのはレーサーだ。彼は素早い動きでリン達を攻撃する。
その速さを目で捉えることは出来ず。
避けるのに精いっぱい、といった感じだ。

「何て速さだ…野郎……」

「せめて動きが止められれば…」


「俺のコードネームは“レーサー”。誰よりも速く、何よりも速くただ走る」


Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.101 )
日時: 2015/03/05 11:08
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)


そう言った彼の真上を飛ぶハッピー達の姿。
助け出したか、と喜ぶがレーサーはすぐにハッピー達を攻撃し地面へと落とす。
唯一、誰も持っていなかったフェーリだけは避ける事が出来たが。
ハッピーとシャルルが気絶。

ナツが2匹とウェンディを腕に抱え走り出そうとする。

「ナツさん、乗って下さい。大丈夫、この姿なら2人くらい行けますよ。時間制限はありますがね」

そう言ったフェーリの姿はグリフォンの姿へ。

「サンキユ!」

ナツがフェーリの背中に飛び乗ると、フェーリは助走を着けてから勢い良く空へ飛び出した。
そこへレーサーが向かおうとする。

「フェーリッ!!!」

「アイスメイク…“城壁ランパート”」

しかし追いつこうとするその間際、グレイが巨大な壁を作った。
何とかレーサーの動きは止められたが…。

「! グレイ、お前……」

「行け!フェーリ!!」

リンの言葉を遮り、グレイが叫ぶ。


「しかし…グレイさん、今ので貴方の魔力は……」

「いいから行きやがれ。俺にはリンもいるッ!ここは死んでも通さねェ!」

「っ!」


グレイに頼られている、その言葉に驚いたリン。
ただ、それが本当にそうゆう意味ではなくとも単純に嬉しかった。

「…フェーリ、出発してくれ!必ずエルザを助けるんだ!!!」


ナツがフェーリにそう言うとフェーリは頷き、エルザがいるであろう方向へ飛んでいく。

「貴様ら…二度もこの俺の走りを止めたな」



「何度もでも止めてやんよ。氷は命の“時”だって止められる。
そしておまえは永久に追いつけねェ。妖精の尻尾ようせいのしっぽでも眺めてな」

グレイはレーサーに向き直り言った。




「久しぶりのまともな共闘だな、グレイ。幼い頃、リオンと戦った時以来だ」

「あぁ、ひと暴れしようぜ、リン!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.102 )
日時: 2015/03/06 21:55
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)

第36話「闇と光逆転魔法」

「ジェラール…あの野郎何でこんな所にいやがるんだ」

グリフォンに変身したフェーリの背中でナツが呟く。
その時、2人の頭にヒビキの声が聞こえて来た。


「“よかった…誰もつながらないからあせってたんだ”」

「どこだ!?」

「“静かに!!敵の中におそろしく耳のいい奴がいる。
僕たちの会話はつつぬけている可能性もある。だから君達の頭に直接語りかけてるんだ”」

ヒビキは今からエルザがいる場所の地図を頭にアップロードする、と言う。
その数秒後、元々知っていたかのように道が分かりフェーリは更にスピードを上げた。


「ナツさん、ウェンディさん達を落とさないようにしててくださいね」

「おう!」

それから数分後、迷うことなくエルザの元に辿り着く事が出来た。
ナツはウェンディ達を地面に降ろし、フェーリの変身が解ける。

「起きろウェンディ!頼む。エルザを助けてくれーっ!!!」

「乱暴すぎるよナツくん!やめてくれ…」


ルイが乱暴にウェンディを揺するナツに制止をかける。

「ひっ…ごめんなさい…私……」

目を覚ましたウェンディにナツが土下座する。

「今はそんな事どうでもいい!エルザが毒蛇にやられたんだ!!!助けてくれ!頼む!」

六魔将軍オラシオンセイスを倒すにはエルザの力が必要。
ウェンディは任せて下さい、とエルザの体内にある毒を消し始めた。
その内、エルザの顔色は完全によくなる。
どうやら毒は全て消え去ったらしい。

安心した一同にシャルルがこれ以上、天空魔法を使わせるなと言う。
この魔法はウェンディの魔力をたくさん使うからだ。
後はエルザが起き上がったらついに反撃の時。
ニルヴァーナは渡さないと意気込んでいる時、突然森の中心らへんから黒い光の柱が立つ。

「あれは…ニルヴァーナなのか……!?」

「まさか六魔将軍に先を越された!?」

「あの光…ジェラールがいる」

ナツは黒い光の柱を睨みつけその方向へと走り出した。
あいつは俺が潰すんだと。
ナツを追いかけようとヒビキが言うとシャルルがエルザがいない事に気付く。
きっと“ジェラール”という名前を聞いていたのだろう。

「どうしよう…私のせいだ……私がジェラールを治したせいで………
ニルヴァーナ見つかっちゃってエルザさんや…ナツさんや……」

ネガティブな思考に走るウェンディにイルは近付き彼女のおでこに手を当てる。

「ウェンディちゃん、少しだけ眠ってて…説明は夢の中で」

するとエルザの時動揺に手から光が漏れ、ウェンディがそのまま眠りに着いた。
倒れようとするウェンディをイルが支えおぶる。

「ちょっと!どうしていきなり眠らせてんのよ!!」

「夢を見たんだ。ヒビキくんがウェンディちゃんをこのタイミングで攻撃する予知夢を」

どうして攻撃したのかは知らないけどね、とイルは笑ってからヒビキの方を見る。
ヒビキは確かに気絶する程度の軽い攻撃をしようとしていた、と言った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.103 )
日時: 2015/03/09 14:07
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: 8y9cmuB3)


とにかくナツを追いかけようとみんなが走り出す。

「納得出来ないわね。もしロリコンがいなかったらあんたはウェンディを攻撃したのよね。
確かにウェンディはすぐぐずるけどそんな荒っぽいやり方…」

「仕方なかったんだよ」

本当のことを言うとヒビキはニルヴァーナの事を知っている。
ただ、その性質上誰にも言えなかった。
この魔法は意識してしまうと危険だからだ。
だから一夜もレンもイヴも知らない。
ヒビキだけがマスターから聞かされていた。

これはとても恐ろしい魔法。
光と闇を入れ替える、それがニルヴァーナ。
しかしそれは最終段階。
まず封印が解かれると黒い光があがる。
黒い光は手始めに光と闇の狭間にいる者を逆の属性にする。
強烈な負の感情を持った光の者は闇に堕ちる。


ウェンディを気絶させようとしていたのはこの為だ。

それがこの魔法のことを黙っていた理由。

+++

「何してんのよグレイ!」

ナツを追いかけたどり着いた先にいたのはナツを攻撃しようとするグレイの姿。
イカダの上に乗せられて動く事は出来なそうだ。
ハッピーが助けに行こうとするが氷漬けにされ、叶わず。

「・ハッピーは空を飛ぶ・運べるのは1人・戦闘力はななし。情報収集完了」

「なに言ってんのよグレイ…しっかりして…」

「グレイから見たルーシィ。・ギルドの新人・ルックスはかなり好み・見た目によらず純情・星霊魔道士
ほう……星霊ね…面白い!!!」


そう言ってルーシィに攻撃するグレイ。
しかし咄嗟にヒビキが防御し、彼はグレイではないと言う。
次に彼はルーシィへと変身。

「星霊情報収集完了。へぇ…すごい。サジタリウスお願いね」

「がはっ」

偽ルーシィがそう言うとサジタリウスはいきなりヒビキを攻撃。
星霊を操られたらしい。

「イルさん!ウェンディを連れて逃げて!」


「俺の魔法は戦闘向きじゃない。そうさせて貰おうかな。こいよ、フェーリ」

「仕方ありませんね」

フェーリは大きな狼と変身しイル達を乗せて走る。

「私も行くわよ!」

シャルルもエーラでフェーリ達の後を追った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.104 )
日時: 2015/03/10 23:04
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第37話「氷の造形魔導士」

「てめぇらは2回もその俺を止めた…。このままじゃ俺の名がすたる」

その気になれば追いつくことなど造作もないが、リン達は殺さなくては気がすまないと言う。


「デッドGP(グランプリ)開幕!」

するといきなり出て来たのは大量の魔導二輪。
それらはリンとグレイを攻撃する。
何台か凍らせるものの、それらは尽きる事がなかった。

「地獄のモーターショー…踊れ!」

魔導二輪に乗ったレーサーがグレイへと攻撃する。
グレイは乗れる事に気付き、自分も魔導二輪へと飛び乗った。

「SEプラグまでついてやがる…リン!乗れよ」

「分かった」


グレイがリンの横を通り過ぎる際に、リンがグレイの乗るバイクへと乗り込む。

「よっしゃ、行くぞオラァ!!!」

「面白い…俺とレースで勝負しようと?」

「ルールはねぇから覚悟しとけや」

「うわ…はぇ……」

振り落とされないようにか、ほぼ無意識にグレイへと後ろから抱き着く形になってしまう。
グレイは密着するその状態にこの状況で赤面する。
しかしリンはそれに気付いていない。

「っ…リ、リン!あいつに攻撃出来るか?」

「やってみる。」

片手でグレイの肩を掴み、バランスを取った後に両手で造形の構えを取る。

「アイスメイク…氷山スノーマウンテン


レーサーの目の前に現れるのは大きな氷の山。
直撃するかとも思われたがそれは当たらず右によけられる。
彼が左手を後ろへ伸ばすとまえから来たのは大量のタイヤ。

氷炎アイスファイヤー

リンはそれらを全て壊し近付いてきたレーサーへと氷の礫を当てる。
それは彼の皮膚を焼き、バイクを破壊する。


「ナイスだ、リン!」

嫌、まだだ。
彼はすぐに壊れたバイクから降りてこちらへと向かって来る。
咄嗟によけた為に被害があったのはバイクだけだ。
その時に通り掛かってきたのはシェリーとリオンの2人。


「「リオン!!」」

「グレイ!?リン!」「それに六魔将軍オラシオンセイスも!!!」



「手伝ってくれねーかな、リオン」

「何をやっているんだ、お前らは。ウェンディは!?」

「安心しろ!!ナツが助けた!」

リンがリオンに助けを求め、助太刀に入ったリオンがウェンディの心配をする。
それにはグレイが応えた。


「ほぅ、俺が造形魔法の手本を見せてやろう」

「「一言余計だ」」

彼は“トンッ”と両手で構えを取った。
それを見てグレイが驚く。彼は師匠ウルの教えだろ、と笑う。


「「「アイスメイク…」」」




「「「“大猿エイプ!!”/“大槌兵ハンマー”!!/“大雹ヘイル”!!」」」

3人の氷造形が一気にレーサーへと向かう。
しかし早過ぎてレーサーには当たらない。
集中すれば捕らえられない相手ではないと3人は並び同じ方向を向き構える。

「行くぞ、リオン!リン!!」

「ぜってぇにあてんぞ!」

「俺の合図で撃て!!!全力でな」

グレイとリオンが服を脱ぎ捨て前を向く。
レーサーとシェリーは何故、服を脱ぐのかと同じ事を思っていた。

「今だ!正面50m先!」

リオンのその合図にてそれぞれがレーサーへと魔法を打ち出した。
が、更に速くなるレーサー。
全て避けられて後ろに回り込まれ、攻撃される。


「てめぇらの攻撃なんぞ一生かかっても当たらんよ。俺の速さには誰も追いつけん」

「(メイデルがいれば動き止められるんだけどな)」

するとリオンが奴の弱点を見つけた、と小声でグレイとリンに話し掛けた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.105 )
日時: 2015/03/12 20:26
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


「そうゆう事だ。お前らは必要ない」

リオンは、2人を氷に閉じ込め上へとあげる。
2人は何するんだ、と叫ぶがリオンの反応はなし。
そのままシェリーとともにレーサーと戦い始める。
上空、氷を砕いてリンとグレイは上からレーサーの様子を見ていた。

リオンが造った氷の土台のお陰で彼の姿がよく見える。
彼はこちらに気付いている様子はなかった。


「っは、随分高い位置まであげたな、リオンの奴」

「高い所は苦手か?」

レーサーの様子を見ながら2人は話し合う。


「むしろ好きだよ。雪に近くなるから」

「お前は昔から雪、好きだよな」

「だって綺麗だろ?白くてふわふわで…どんなものでも包んでくれる」

悲しげにリンは空を見つめた。


「…そろそろやろうぜ、リン」

グレイが弓矢を造形しレーサーへ狙いを定める。
更にリンが後ろからグレイの手の上に自分の手を乗せ魔力を乗せる。
弓矢は一回り大きくなり威力を大きくした。

「確かにリオンの言った通りだな」

「なるほど、よーく見えるぜ」

2人は同時に矢を持つ手を離す。
その氷の矢は、真っ直ぐに迷いなくレーサーへと当てた。
それを見て3人が笑う。


+++

「やったなリオン」

リオンの所まで傷口を抑えながら歩いてきた2人。
六魔将軍の1人を倒した。残り5人。
そう思っていた。


「まだだー!!!」

レーサーが立ち上がり上着を脱ぐ。
その体についていたのはたくさんの小さな爆弾の魔水晶ラクリマ
いきなりの事で体がついていかず。
その時、リオンがレーサーへとびかかり、崖から飛び出す。


「全く世話のかかる弟…」

その後の言葉は聞き取れないまま魔水晶は爆発した。
グレイはすぐにあいつが死ぬはずないと崖の下まで階段を作り降りていく。
その後をリンとシェリーが続いた。


「リオーン!!返事しやがれー!」

「リオン!!!」

だけど何処にも彼は見つからない。
瞬間、リンとグレイの近くにあった木が動き出す。

「敵か!!?」

「違う、敵の気配はしない。この魔法…シェリーの……」

2人がシェリーがいる方向へと振り返ると殺す気満々なシェリーがそこにいた。
彼女の操る木がグレイを襲う。


「グレイ!」

リンはすぐに助け出そうとするがもう一体の木がリンを襲った。
攻撃しようとしたリンだが抵抗せずに襲われ、倒れるフリをする。
グレイも倒れ、シェリーはまた違う所へと移動して行く。
シェリーが見えなくなった所でリンが立ち上がりグレイを揺する。


「おい!大丈夫か?グレイ!!」

「っ…リ、ン?あんまり揺するなって…傷が…ケホッ」

「わ、悪い…」


グレイはシェリーの操る木に首を締められたからか咳をしながら起き上がる。

「一体…どうなってんだ。あいつは?」

「シェリーはどっかいった。多分これは…ニルヴァーナの影響だ……」

いつの間にか起動していたニルヴァーナの光の柱を見てリンは言った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.106 )
日時: 2015/03/12 23:20
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: UcGUlfNK)

お久しぶりです(*^^*)

もうリンほんっと可愛いですー♪
授業中にリンこんな感じかな、いやこうかな、と女の子姿を妄想しながら落書きしてたほどです(笑)
密着するシーンなんてめちゃニヤニヤしながら読んでました←
もうこのシーン本当に感動的ですよね!
リオンのセリフが結構好きだったりします
アニメで見てじーんとしたのを覚えてます

では、これからも楽しみにしてます(*´∇`*)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.107 )
日時: 2015/03/13 23:16
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

ドロップさん
姿は男でも内心、乙女ですからね!←
おぉ、リン愛されてr(
グレイに男装しているとバレてるので密着しほうだいですよー!!w

本当にそうですよね!
ちょっと文章的には味気なく書いてしまったんですが…。
アニメ等では感動的シーンの1つです。


ありがとうございます!
頑張りますね

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.108 )
日時: 2015/03/14 22:32
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)
プロフ: http://t.co/mflj75OTC7

この前あげた、テーマ曲のイメージイラストです。
中央の人物はセイシル・リンメリーのちょっとだけ髪を伸ばした感じの。
最初、まったくの別人になってしまってすごい焦りました…。

絵の上手さは壊滅的。
8等身とかも書いてみたい(切実)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.109 )
日時: 2015/03/14 23:02
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: KS1.rBE0)

可愛い……(*´∀`)
壊滅的?? 上手すぎるってことですね!!←
私はこういうの描けないので羨ましいです……(´・ω・`)
は、8頭身
描いたことない……7頭身くらいが限界ですね
私だともう体のバランス壊れます←
見てみたいですー

では(*^^*)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.110 )
日時: 2015/03/15 16:27
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

ドロップさん
いやいやいや。可愛く描けてるかどうか…、
そうですかね…
私的にはドロップさんのイラスト好きですよ!

体のバランス崩れますよねw
納得のいくものが出来れば……いつか←


コメありがとうございます!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.111 )
日時: 2015/03/15 16:57
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第38話「遠い過去の知識」

ニルヴァーナとは人々の性格を変える魔法。
そしてその最初の段階…黒い光は善と悪の狭間にいる者を強制的に変えてしまう。
リンはリオンを探しながら服を着なおすグレイにそう説明していた。

「人々の性格を変える魔法…か。何で知ってんだ?リン」

「……グレイやリオンと会う前に所属していたギルドでの知識だよ、」

「妖精の尻尾フェアリーテイルが最初じゃなかったのか…」

「ごめん、これ以上は話せない」


「十分だ。お前が全て話してくれる日まで俺はずっと待ってる」

そう言ったグレイにリンは笑った。
全てを話せる日が来るように祈って。

「おい、あれ…」

グレイが遠くで倒れている人影を見つける。
それは紛れもなくリオンの姿だ。
2人はすぐに駆けつけ彼を起こした。
ひどい傷ではあるが、命に別状はない。

後は性格が変わってしまったシェリーを探すだけ。

「見つけた、妖精の尻尾の魔道士」

「今の声…こっちだ!」

リンが微かに聞こえたシェリーの声を辿り走る。
そこにいたのはナツとルーシィを今にも襲おうとしているシェリーの姿が。
グレイが後ろから飛び付き、シェリーを地面へ押さえ付ける。

ナツとルーシィは無事だ。

「放せ!くそっ!まだ生きてたのか!!リオン様の仇っ!!!」

「誰の仇だって?」

暴れるシェリーへ話しかけるのはリオン。


「俺を勝手に殺すんじゃない」

「リオン様……」

リオンの姿を見たシェリーは安心したのか涙を流し抵抗をやめた。
すると何か魂のようなものがシェリーから出てきて消滅する。


「…黒い柱が白に変わった」

後から歩いてきたリンが言うと皆の視線はニルヴァーナに。
それからしばらくたたない内に“ゴゴゴ”と音を立て出てきたのは何かの足だ。
とにかく中央へと向かうぞ、
とのナツの言葉でリオンとシェリーを抜いた4人がその足を掴み登り始めた。



ウェンディ、シャルルとイル、フェーリ。
シャルルはウェンディを掴み、フェーリはイルを掴んで空からニルヴァーナを見ていた。
足の数は8本。

「シャルル!イルさん!私たちもあそこに行こう!!」

ウェンディがそう言うと4人はニルヴァーナの上へ。
着陸する頃にはシャルルの魔力が尽きてしまっていた。
フェーリはまだ平気そうだ。

「イルさん、私は心配なのでリンを探しに行きますね」

「あぁ、任せたぞ。…気付かれないようにしてるみたいだけど大分、怯えてるみたいだったからな」

「そんなの知っていますよ。まぁグレイさんがいますし彼女の精神は大丈夫でしょうけど」

それだけ言ってフェーリは勢いよく飛んで行った。

「グレイ…か」


フェーリとの会話が終わり、イルはウェンディの方に向き直る。

「私…なんとかしてこれを止めなきゃって!私にも何かやれる事があるかもでしょ!?」

その彼女の決意にシャルルとイルが笑った。
その時ふいにシャルルが進行方向の先を見つめる。


「ま…まさか偶然よね!?そんな事あるハズ…この方角…このまままっすぐ進めば…



化猫の宿わたしたちのギルドがあるわ」

「「え?/まずいな」」


Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.112 )
日時: 2015/03/17 09:21
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


「リン!」

リンを呼ぶ声にリン達3人が振り返るとそこにこちらへ向かって来るフェーリの姿。
フェーリはそのままリンへと飛び込んだ。
リンは飛び込んできたフェーリを抱き締め腕の中に収める。

「どうしたんだよ、フェーリ」

「いえ…ただ心配になった、それだけですよ」

それしか言わないフェーリにリンはそっと笑った。
“私は大丈夫だ”の意味を込めて。
フェーリとの合流の後、ホッドアイを連れたジュラと合流。
その後すぐにミッドナイトとも出会ってしまった。
しかしホッドアイ…本名をリチャードが私が戦うと前に出た。

リン達は彼を信じて王の間へと向かう。
それまでの間にナツを引きずれたブレインと遭遇。
化猫の宿ケット・シェルターを狙っているということで理由を聞こうとしたが。
ジュラが呆気なく倒してしまった。


そしてウェンディ達とも合流。

「おそらくニルヴァーナを操ってたのは、このブレインよ。
それが倒れたって事は、この都市も止まるって事でしょ」

「気にいらないわね。けっきょく、化猫の宿が狙われる理由はわからないの?」


「…イルなら分かるんじゃないのか?」

シャルルの言葉にリンが彼の方を向いて言う。

「まぁ、大体予想はついてる」

「何よ!知ってるなら話しなさい」

「いや、それは……俺からは話せないかな…」

ウェンディの方を向いてイルは儚く笑う。
深い意味はないんじゃないのかとグレイが言うと早くニルヴァーナを止めるために、
王の間へ行こうと再び走り出した。


+++

「どうしよう?解毒の魔法をかけたのにナツさんが…」

王の間に着いて、ナツの解毒を行うウェンディが言う。


「ナツは乗り物酔いだよ」

「乗り物酔い?だったらバランス感覚をやしなう魔法が効くかも。トロイア」

すると、顔色も完全によくなり自由に動き回れるようになったナツ。
残るはニルヴァーナを止める方法…だが。

操縦席はない、王の間には誰もいない、ブレインは倒された。
それでは何故これは未だ動き続けているのか。


「まさか自動操縦!?すでにニルヴァーナ発射までセットされて……」


「私たちの…ギルドが…」

「大丈夫!ギルドはやらせねえ。この礼をさせてくれ。必ず止めてやる!!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.113 )
日時: 2015/03/17 23:00
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第39話「重ねた絆と恐怖」

止めるとはいいつつもどうやって止めるのかが分からない。

「私…ちょっと心当たりがあるから探してきます」

「ウェンディ!待ちなさい!!」

「あ、俺も行くから!」

バタバタと出ていくウェンディ、シャルル、イル。
何だろうと思っていると突然聞こえてきたリチャードの声。
ミッドナイトは倒せなかった。彼らの力でミッドナイトを倒せ、と。
彼は王の間の真下。
それを聞いた一同は走り出す。

「…おい、リンどうしたんだよ?」

ただリンだけはそこから動かなかった。

「いや、先に行っててくれ。考えたいことがある。気をつけてな…」

「分かった」



グレイの姿が見えなくなるとリンは1つ溜息を吐いた。

「なぁ、フェーリ。あいつらは本当にオレの事に気付いていないと思うか?」

「そうですね…少なくともブレインとミッドナイト以外には気付かれてなさそうですよ」

本当はこの作戦に参加なんてしたくなかった。
リンの正体がバレるかも知れないから、だ。
六魔将軍オラシオンセイスと対面するのはこれが初めてとはいえ幼い頃の顔は割れている。
新聞にも載っていた。
調べればすぐに“スイレン”だと言う事がバレるだろう。

「もう…全て話して楽になってしまいたい。だけど怖いんだ。今の関係がなくなる事が。
妖精の尻尾フェアリーテイルから追い出される事を覚悟に入ってるのに…オレは……」



弱い奴だよ、と呟いた。

その時、いきなり地下の方から爆発音が聞こえてくる。
真下にはグレイ達が向かったハズだ。
あれはやはり罠だったのか、とフェーリはリンを掴み地下へと急ぐ。


その頃、地下では傷だらけになり倒れるジュラの姿。
罠からグレイ達を守る為に1人、盾となったのだろう。

「やれやれ…」


そんな彼らの元に、また新たな刺客。

「ブレインめ…最後の力をふりしぼってたった1人しかしとめられんとは……」

それはブレインが持っていた杖だった。
どうやら喋る事が出来るらしい。
クロドアと名乗った彼が言うには、自分は七人目の六魔将軍。
連合軍を片付けるために眠りから覚めたらしい。


「そろそろ奴等のギルドが見えてくる」

「それって化猫の宿!?」

「その通り。まずはそこを潰さん事には始まらん」

化猫の宿を狙う理由…それは……
その昔、戦争を止めるためニルヴァーナを作った一族がいた。
それが、ニルビット族。
しかし、ニルヴァーナは彼らの想像を遥かに越えるほどに危険な魔法であったために
自分達で封印を施したという。

ニルヴァーナが悪用されないためにと、彼らは何十、何百年と封印を見守り続けた。


「そのニルビット族の末裔のみで形成されたギルドこそが、化猫の宿」


奴らは再びニルヴァーナを封じる力を持っている。
だから滅ばさねばならんのだと、クロドアは言った。

全て話終えるとクロドアはいきなり攻撃を仕掛けてくる。
たかが棒切れ、と油断していた一同がすぐに体勢を立て直す。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.114 )
日時: 2015/03/19 16:55
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


「六魔が…全滅!!?」

しかし、いきなり怯えだすクロドアの姿。

「いかん!いかんぞ!!あの方が…来る!」

「何だっていうんだよ」


ブレインにはもう1つの人格がある。
知識を好み、"ブレイン"のコードネームを持つ表の顔と、
破壊を好み"ゼロ"のコードネームを持つ裏の顔。

その裏の顔があまりに凶悪で強大な魔力の為に、ブレインはその存在を6つの鍵で封じたのだという。

それこそが、六魔将軍。

「生体リンク魔法により、六つの"魔"が崩れる時…"無"の人格は再び蘇る…」


瞬間、クロドアは地面にひれ伏した。

「お…おかえりなさい!マスターゼロ!!」

「ずいぶん面白ェ事になってるな、クロドア。あのミッドナイトまでやられたのか?」

「申し訳ありません!」


歩いてきたのは六魔将軍のマスター。
ゼロ。
その魔力の大きさに誰もが危険人物だと分かった。

「マスターとして、俺がケジメをとらしてもらうぜ」

彼が倒れるジュラを攻撃しようとする。
形あるものを壊すのが楽しいのだと。

グレイがすぐに盾を展開するがあっさりと貫通されてしまう。
次々とやられていく仲間達。

手の出しようがなかった。
既に意識のない彼らに攻撃を繰り返すゼロ。

「グレイ!ナツ!ルーシィ!!…ハッピーとジュラも…どうなってやがる、お前は……」

そこに現れるはリンとフェーリの姿。



「ほぅ…何処かで感じた事のある魔力だ。誰だったかな」

「ゼロ……」

「ガハハハッ関係ないか!どうせ壊れるものだ」

「フェーリは離れてろ!」

氷を造形しリンは彼へと立ち向かう。


+++


「ジェラール!!」

「エルザちゃんも一緒みたいだよ」

ミッドナイトを倒した後のエルザ達に近寄るウェンディ達。
ジェラールなら止める方法が分かるかも知れない、とここまで探しに来たが…。
これ以上、打つ手がないと彼は言った。

「それじゃ私たちのギルドはどうなるのよ!もう…すぐそこにあるのよ!!」

“ゴゴゴ”と音がするとニルヴァーナの発射口は光りだす。
そこから魔法を化猫の宿ケット・シェルターに打つつもりなのだろう。
それは数秒もしない内に魔力が溜まり、発射される。
誰もが覚悟していたその時、いきなりニルヴァーナの足が攻撃され魔法がハズれる。

上空を見上げればそこには魔導爆撃艇、天馬クリスティーナの姿。

「“聞こえるかい!?誰か…無事なら返事してくれ!!!”」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.115 )
日時: 2015/03/21 18:45
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


突然聞こえてきたのはヒビキの声だ。
それに、エルザ、ウェンディ、イル、一夜が無事だとそれぞれ伝える。
1度、撃墜された天馬の翼はリオンの魔法で補い、シェリーとレンの魔法で操っている。
さっきの一撃はイヴの雪魔法だ。

しかし彼らも魔力の限界。船からの攻撃はもう出来ない。
力を失った天馬は地へと落ちていく。


「“僕たちの事はいい!最後にこれだけ聞いてくれ!”」

時間はかかったがようやく“古文書アーカイブ”の中から見つけたのだ。
ニルヴァーナの止める方法を。


ニルヴァーナの足のようなものが8本。
その足は地面から魔力を吸収するパイプのようになっている。
その魔力供給を制御する魔水晶ラクリマが各足の付け根部分に。
その8つを同時に破壊する事でニルヴァーナの全機能が停止。
1つずつでは他の魔水晶によって修復されてしまう。

「同時にだと!?どうやって!?」

「“僕がタイミングを計ってあげたいけどもう……念話がもちそうにない”」

天馬が完全に地面へと墜落したのか、ヒビキの呻く声が聞こえた。


「“君たちの頭にタイミングをアップロードした。君たちならきっとできる!信じてるよ”」

その時間は20分。
次のニルヴァーナが装填完了する直前だ。

「“無駄なことを…”」

急に入って来たのはゼロの声。


「“聞くがいい!光の魔導士よ!俺はこれより全てのものを破壊する!
手始めに仲間を3人破壊した。

滅竜魔導士ドラゴンスレイヤーに氷の造形魔導士、星霊魔導士それと猫もか。
もう1人の氷の造形魔導士は壊し損ねたがしばらく動けんだろう”」

「“ナツくんたちが…!?”」

「………」「そんなのウソよ!!」


「“っ…それが、嘘じゃねー…んだ、ウェンディ……”」

途切れ途切れに聞こえて来るはリンの声。
息切れも激しく喋っているのもやっとなのだろう。

「「リンさん!/セーちゃん!」」

「“気を、付けろ…あいつ…ゼロは……その魔水晶ラクリマの…どれか、1つにいる…”」

「“ワハハハ!その通り!俺がいるかぎり同時に壊すことは不可能だ!!”」


それだけ聞こえると、彼の声はプツリと途切れてしまった。
ゼロと当たる確率は1/8だ。
このメンバーだと怪我の少ないエルザではないと勝負にならない。

「待って!8人もいない……!?魔水晶を壊せる魔導士が8人もいないわ!!」

シャルルの言葉で急ぎ、数を確認する。
エルザ、ジェラール、イルで3人。一夜とリンも行ける、と5人だ。
残り、3人。



「“グレイ…立ち上がれ……おまえは誇り高きウルの弟子だ。こんな奴等に負けるんじゃない”」

「“私…ルーシィなんて大嫌い……いつも一生懸命になっちゃってさ…
死んだら嫌いになれませんわ。後味悪いから返事しなさいよ”」


「ナツさん…」「オスネコ…」「ナツ…」


「“僕たちの…声が…”」


「“聞こえてる!!!”」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.116 )
日時: 2015/03/25 14:18
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第40話「幸せな予知夢を」

それぞれ傷だらけの体で無理に体を起こして立ち上がる3人。
先に立ち上がっていたリンが近付き笑う。


「“も…もうすぐ念話が…切れる…頭の中に僕が送った地図がある……
各…魔水晶ラクリマに番号を…つけた……全員がバラけるように…決めて…”」

ナツが1だと早々に言う。
順番にグレイが2、ルーシィが3、リンが4、一夜が5。
エルザが6、イルが7だ。

「“では俺は…”」

「“お前は8だ”」

「他に誰かいんのか?おいっ!!」

その時、丁度念話が切れてしまう。
兎に角8人ちゃんとにいるみたいだとそれぞれの場所へと向かう。


「…ゼロは1に向かったんだ」

「知っててリンは4を?」

ゆっくりだが、確実に歩いていくリンにフェーリは着いて行く。

「先に言われたんだよ、でも…ナツなら行けんじゃねーの?」

そう笑った。
それから丁度18分後、ニルヴァーナ装填直前。
それぞれが魔水晶を破壊。
支えを失ったニルヴァーナが崩れようとする中、イルは睡魔に襲われていた。

「ねむ………開けッ幻想夢ユートピアへの扉!」

イルのすぐ目の前に現れた扉へ自身の体ごと入り込む。

「本当は体に負担かかるしやりたくないんだけどね」

ひとつ欠伸を噛み殺し、慣れたように前へ進む。
イルの周りに現れるのは様々な映像の数々。
それらを横目に見ながら奥の扉へ。


「…ん、セーちゃん?とグレイくんもいんのか?」

映像の中に映るのは今より少し未来のリンとグレイ。
髪が伸びた後、切ってないのか後ろでひとつ縛りをするリンの姿があった。


「“好きです”」

儚く笑い、赤面する彼女が言った言葉。

「おっと…見てはいけないものを見てしまった気分」

イルは笑って目を逸らす。



「この夢が予知夢でありますよう。お幸せに」

そう言って扉を開けた。
開けた先に見えたのは無事に脱出した皆の姿。
それと評議院の姿だ。

どうやら目的は六魔将軍オラシオンセイスの捕縛。
そしてジェラールの逮捕。
1度は大暴れした仲間達だが、エルザの言葉で場が収まる。

「騒がしてすまない。責任は全て私がとる」


「そうだ…おまえの髪の色だった。さよなら、エルザ」

「ああ」

ジェラールは抵抗せず、エルザにそう告げて連行されて行った。
エルザは1人、何処かへと行ってしまう。


「エルザ…どこ行ったんだろう…」

—その日の朝焼けは、今まで見たことのないくらいに美しい緋色に染まっていた。
顔を上げれば美しい空が広がっているのに。顔を上げれば……

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.117 )
日時: 2015/03/25 18:38
名前: ドロップ ◆5/7K.VcEo2 (ID: tRamSAT8)

……………………フォワアアッ!!((殴
ヌフフフフ(///ω///)♪←
先程からにやけが止まりません
ヌフフフフ((殴
ラブラブな展開になってきましたねッッ
予知夢であるに違いなーい!! ひゃーう!!!((殴

では、キャラがどんどん壊れていくのでここで失礼します←
これからも楽しみにしてます(*´∇`*)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.118 )
日時: 2015/03/26 10:26
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

ドロップさん

ラブラブな展開になってきました!
果たしてちゃんとこの未来線で話が進められるかどうか…w
予知夢であることを私も願って!←

コメントありがとうございます。
頑張ります!

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.119 )
日時: 2015/03/28 12:58
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: lQjP23yG)



化猫の宿ケット・シェルターギルド前。

「妖精の尻尾フェアリーテイル、青い天馬ブルーペガサス、蛇姫のラミアスケイル
そしてウェンディにシャルル、ヴィーヴル。

よくぞ六魔将軍を倒し、ニルヴァーナを止めてくれた。
地方ギルド連盟を代表してこのローバウルが礼を言う」

治療や着替えを終わらせて化猫の宿マスターの言葉に笑う。
この流れは宴だろーと、騒ぐナツ達。
しかし冷たい風が空気をしらけさせる。

「皆さん…ニルビット族の事を隠していて本当に申し訳ない」

マスターは今からする話を聞いてくれ、と言う。

「まずはじめに…ワシ等はニルビット族の末裔などではない」


ニルビット族そのものだと。
400年前、ニルヴァーナをつくったのはこのローバウル自身だと。

400年前世界中で勃発していた戦争を止めるため、善悪反転の魔法を作った。
そしてそれがニルヴァーナ。このおかげで一時は平和な時代が訪れた。
しかし強大な力には必ず反する力が生まれる。
闇を光にかえた分だけ、ニルヴァーナはその"闇"をまとっていった。

人々から失われた闇はニルビット族にまとわりつき、
彼らは族内で争い、共に殺し合い、全滅してしまったのだ。

彼はその罪を償う為…また、力なき亡霊の代わりに、
ニルヴァーナを破壊できるものが現れるまで、400年見守ってきた


そして、この時点で…

「今…ようやく役目が終わった」


言い終えたマスターは穏やかな表情をする。
シャルルが目を見開きウェンディが俯く。
イルは目を閉じてただ黙って話を聞いていた。

次々とギルドのメンバーが人々が消えて行く。
そう、彼らはみんな幻。
イルは知っていたのか、ただその様子を見てから口を開く。

「ウェンディちゃんが来る前、俺はこのじいさんを見つけたんだ」

すぐに亡霊だと気付き今でも現世を漂っている理由を聞いていた。
しかし1人で止めることは出来ないのは分かる。
イルもまたこの時を待っていたらしい。
そんな時に現れたのが1人の少年と小さな女の子。
7年前のことだ。

少年は、この子を預かってくれと言った。

マスターローバウロは、そのまっすぐな瞳につい、承諾してしまう。
そしてその女の子、ウェンディのために作り出された幻の仲間たち。


「そんな話聞きたくない!バスクもナオキも消えないで!!」

「ウェンディ、シャルル…。
もうおまえたちに偽りの仲間はいらない。本当の仲間がいるではないか」

マスターは満面の笑みで笑う。


「お前たちの未来は始まったばかりだ。皆さん、本当にありがとう。
ウェンディとシャルルを頼みます」

ウェンディとシャルルがマスターの元へと走る。
しかし彼は2人がたどり着く前に消えてしまった。
残された2人にエルザがそっと近付く。妖精の尻尾へ来ないか、と。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.120 )
日時: 2015/03/29 08:58
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第41話「強くなれたんだ」


1人の少女は耐えている。
痛く、苦しい感覚ばかりが襲う中ずっと耐えていた。

「お前は最高の作品にしてやる」

子供の泣き声が響く。

壊れる音。


それでも少女は泣かなかった。

「(ころされる…ころされる……ころされる…)」

否、泣けなかったのだ。
抵抗すれば殺されてしまうのだと強く恐怖して。



少女は何時しか強い心を手に入れた。



それと同時に助けを求めることを失った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.121 )
日時: 2015/04/01 21:08
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第42話「別世界エドラス」

それから数日後。
はやいもので傷も癒え、新しく妖精の尻尾フェアリーテイルにウェンディとシャルルが入った。
イルは何処のギルドに入る訳でもなく、何処かでひっそりと暮らすらしい。


そして100年クエストへと出掛けていたギルダーツの帰宅。
それぞれが思い思いに過ごしていた。

「シャルルー!!」

「!」

シャルルとフェーリが一緒に話していると魚を持って走ってくるハッピーの姿。
その様子にフェーリが積極的ですね、と笑う。

「これ…オイラがとった魚なんだ。シャルルにあげようと思って」

「いらないわよ。私…魚嫌いなの」

「そっか…じゃあ何が好き?オイラ今度…」

「うるさい!」

いきなり怒鳴ったシャルルにハッピーは固まる。
更には私につきまとわないで、とギルドから出て行ってしまった。

「…シャルルさん、待って下さいよ」

「あ!待ってシャルルー」

ギルドから出て行くシャルルを追いかけるハッピーとフェーリ。
やっと追い付き、ハッピーが何か悪い事でもしたかとしょげる。

「あなたにナツは守れない。私はウェンディを守る。何があっても絶対にウェンディを守る」

「オ…オイラだってナツを守れるよ!!ナツはオイラを仲間って言ってくれるんだ!」

「守れないわ。自分が何者か知らない猫には」

それだけ言ってスタスタと何処かへ歩いて行ってしまったシャルル。
2匹はそれ以上、追いかけようとはしなかった。

「一雨…降りそうですね」

空を見上げたフェーリが言う。

+++


「おまえさ、ベタベタしすぎなんだよ」

降り出した雨は大雨へと変わり、中々止みそうに無かった。
そんな中でグレイはカラメードフランクを食べるジュビアに一言。
ジュビアの手はとてつもなくベタベタしていた。

「もっと上手に食えねぇのかよ」

「ジュビア…は、初めて食べるものだから……」

「っだあ!じゃあ、何でそんなもん頼んだんだよ、ジュビア!」

「はぅあっリン様!?」「リン!?」

いきなり後ろからジュビアへと突っ込んで行ったリンに驚く2人。

「いきなりどうしたんだよ…お前」

「お前ら見てたら我慢出来なくなった。
いいか、ジュビア。こいつは上品に食べるモンじゃねーの」

ジュビアに食べ方を教えるリン。
そんなリンをグレイが不思議そうに見ていた。

その時、大風がギルドを包む。
それは竜巻のようになりマグノリアの街を巻き込み空へと吸い込まれるようにして消えて行く。
気付いた時には既に何も無くなっていた。
ギルドがあった場所に立つのはウェンディただ1人。

「あれ?何で私だけここにいるの?」

もぞっと地面が膨れ上がりもぐらのように出てきたのはナツの姿。
自分以外に人がいたことにウェンディが安心して涙を流す。
そして今起きた事を簡潔に説明した。
ナツは信じていないみたいだが。


「もしかして!滅竜魔導士だけが残された!?」

「そうよ」

声が聞こえ、そこにいたのは翼を出したシャルルの姿。
あなた達だけでも無事でよかった、とシャルルは言う。
ナツはそれでやっと今の状況を理解したらしい。


「正確に言えば“アニマ”に吸い込まれ消滅した。
あれは向こう側の世界、“エドラス”への門」

暴れだすナツをウェンディが抑える。
シャルルは何か知っているのかと。
遠くから飛んで来るのはハッピーとフェーリ。

「私は向こう側の世界“エドラス”から来たの。そこのオスネコとフェーリもね」

「ど…どういう事…?」

「この街が消えたのは私とオスネコ、フェーリのせいって事よ」

ハッピーとフェーリはシャルルが発した言葉に驚いていた。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.122 )
日時: 2015/04/04 14:31
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: v2BiiJyf)


こことは別の世界、エドラス。
そこでは今、魔法が失われ始めている。
こちらの世界とエドラスでは魔法は有限。
使い続ければいずれ世界かはなくなる。
その枯渇してきた魔力を救う為にエドラスの王は別世界…
つまりはこの世界から魔力を吸収する魔法を開発した。
それが超亜空間魔法、アニマ。
さっきの空に開いた穴がそうらしい。

6年前に始まったその計画はこの世界の至る所にアニマを展開した。
けど思うような成果は上げられなかった。
何者かがアニマを閉じて回っていたのだ。

だけど今回のアニマは巨大すぎた。
誰にも防ぐ術などなくギルドは吸収された。

「そ…それが…オイラとフェーリとシャルルのせい…なの?」

「間接的にね」

「私たちはエドラスの王国からある別の使命を与えられてこの世界に送りこまれたのよ」

そんなハズない、とナツとウェンディが講義する。
フェーリは少し考え事をしているようだ。
シャルルは言う。

私はエドラスに行った事がない。
この世界で生まれ、この世界で育った。
でも私たちにはエドラスの知識や自分の指名がすりこまれてる。
生まれた時から全部知ってるハズ。

「なのにアンタは何で何も知らないの!!?」

「! オイラ…」


ポフン、と間抜けな音がして音が鳴った方を向く。
どうやら音を鳴らしたのはフェーリらしい。手を叩いた音だ。

「……フフ。その使命、とやらは私にも分かりませんが1つだけ心当たりがあります。
それと、私の生まれはエドラスです。もうしばらく行っていないので地形は覚えてませんがね。

少し考えさせて頂き私の中で話は纏まりました」

フェーリは、笑う。
シャルルが生まれはエドラスだという言葉に驚く。


「ハッピー。凄く聞きたそうですが今、使命の話はやめておきましょう。
今後、使命についての質問は全員しないこと。

今、やらなくてはいけないことはただ1つ。
エドラスへ魔力にされた仲間達を助けに行く事です」

「だな!」

ナツはフェーリの言う言葉に賛成した。
シャルルも連れて行ってあげない事もないがいくつか約束事を頼む。

1つは変装すること。
2つはフェーリも言った通り、使命については詮索しないこと。
3つはナビゲートは出来ないこと。

「私もあまり覚えてませんしね」


「最後に。私とオスネコ…フェーリがあなたたちを裏切るような事があったらためらわず殺しなさい」

その約束事には2人も困り顔だ。
それでもシャルルは翼を出してウェンディを掴み、空へと飛んで行く。
その後をフェーリやハッピーもナツを掴み着いて行った。

「アニマの残痕からエドラスに行きましょう。2人とも、魔力を解放して下さい!」

「分かってるわよ!」「あいっ!!」


フェーリを先頭にそれぞれが空の穴へ一直線に飛び込んだ。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.123 )
日時: 2015/04/06 21:59
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第43話「エドラスの仲間」

「あれ…フェーリ達か……」

ギリドから少しだけ離れた場所、空へ飛んでいくフェーリ達をリンは見ていた。

「こちらに気付く様子はねーな。まぁいいんだけど…」

どうするかなぁ、とリンは溜息をつく。
起きたらギルドも街もなく、こんな状況だ。
頼りのフェーリは、何処かへ飛んで行ってしまった。
その時、リンに近付いてくる1つの影。

「残っている者がいたのか」

「ん…ミストガンじゃねーか。どうなってんのか分かる?コレ」

他にも人がいた、と安心するリン。
ミストガンはさきほど、シャルルがしていたような説明をする。


「へぇ、信じられないような話だけど。信じるしかない…か。吸収された皆はそのエドラスに?」

「ああ。あちらでは魔水晶ラクリマとなっていると思う」

「そいつらを助け出す方法は?」

「残念ながら滅竜魔導士にしか助けられないんだが…リンは滅竜魔導士なのか?」

まさか、とリンはから笑い。

「違うよ。オレは違う。滅竜魔導士じゃない。
まぁでも…ここにいてもつまらないしオレもエドラスに行きたいかな……」

「……分かった。エドラスに送ろう。それとあちらに着いたらこれを食べるんだ」

手渡されたのは薬のようなもの。
どうして、と聞こうとしたリンだが既に遅く周りは光に包まれていた。

「転移魔法か…」

そっとリンは目を閉じる。


+++

「誰だてめーら。ここで隠れて何コソコソしてやがる」

変装したナツ達と人間の姿へと変身したフェーリ。
妖精の尻尾フェアリーテイルを見つけ、
隠れて様子を伺っている所、ギルドのメンバーに見つかってしまっていた。
彼女はよくルーシィと似ているが性格がまったく違う。むしろ真反対だ。

相手がナツに気付くと思い切り抱き着いてきたルーシィ。
ギルド内を見渡すと顔は同じだが、性格が違う人達がたくさん。
更には、死んだはずのリサーナまでもがこのギルドにはいた。

「みんなが“逆”になってる訳じゃないって事ね」

シャルルが指した方向を見るとそこにはいつもと変わらないミラが。
更には成長したウェンディの姿もあった。

「なるほど…ここは“逆”ではなく“違う”のですね」

「そう、この人たちは私たちの探してるみんなじゃないわ」




擬人化したフェーリは、白髪はくはつに灰色のメッシュを入れた男っぽい見た目です。
服装もまた、動きやすくシンプルな服装なので男と間違えられやすいですが♀です。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.124 )
日時: 2015/04/10 23:02
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


ありえない話ではない。
パラレルワールドのようなものだ。
エドラスには独自の文化や歴史があり、妖精の尻尾が存在する可能性だってある。

これ以上、ここにいるのもめんどうだとシャルルがハッピーを連れて外に出ようとする。
向かうは王都だ。
そこに吸収されたギルドの手掛かりがあるはずだと。


「妖精狩りだぁぁぁーっ!!!」


「そこのネコ!どこへ行く気だ!外はマズイ!!」

異常なざわめきにシャルルは立ち止まる。
大気が震え、空から飛んで来たのは2頭の怪物。

「王国が妖精の尻尾を狙ってる!?何の為に」

「そんなの決まってるじゃない」

王の命令で全ての魔導士ギルドは廃止された。
残ってるのは世界でただ1つ、ここだけだ。
つまりエドラスの妖精の妖精は闇ギルド。

「よし!転送魔法陣展開!!転送開始!」

怪物がギルドを食らおうとするその時、ギルドは地面の中へと潜ってしまった。


「んー本当…逃げ足の速い妖精だねえ」

「シュガーボーイ、いたのか」

「んーおしかったねぇ妖精狩り(フェアリーハンター)」

けど奴等も転送できる回数は残り少ない。
狩れる日は時間の問題だとシュガーボーイと呼ばれた男が言う。

「それより例の巨大アニマ作戦成功したらしいよ。んで…魔戦部隊長は全員王都に戻れってさ」

「………」

話を聞いていた1頭が突然動き出す。
上に乗っているものが指示を出したのだろう。

「おっと…気が早いですね。プリンセス

「きっと妖精狩りに任命されたのが不満なんでしょう」


+++

「野郎ども!引越し完了だ!!」

ギルドごと移動してきたナツ達。その様子にただ、困惑していた。

「な…何だったんださっきの奴は…」

「あれは王都魔戦部隊隊長、エルザ・ナイトウォーカー。
またの名を妖精狩りのエルザ。
そして同じく魔戦部隊隊長、リン。王様の娘にして私達を裏切った女」

「エルザとリンが……敵!?」













「クシュンッくそ、石は投げられるわネコだらけだわどうなってやがる」

その頃リンは、浮遊島エクスタリアへと飛ばされて来ていた。
既にミストガンから貰った薬は飲んであるらしく、リンの周りには微量の強い冷気が漂っている。

おかげで、さっきからリンに向かってくる小石達は凍りつき地面へと落ちていた。
彼女に当たることは恐らくないだろう。

「出てけー!ここから立ち去れぇ!!」

「分かった分かった、出て行くよ。はぁ…もう全員凍らせてしまいたい」

ひとつため息を着いたリンが向かうのは街の外だ。
とにかくこのネコ達がいないところへ、と考えたのだろう。


「(…でもあっちだって国を守るために必死なんだよな、きっと……)」

フェーリがいればひとっ飛び何だけどな、と考えるリン。
でも近くにリンの知っている人は誰もいない。
改めて今、1人何だと知ったリンは首を横に振って考える事を放棄した。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.125 )
日時: 2015/04/12 19:57
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第44話「嵌められた罠?」

「結構…歩いてきたな……」

かなり時間はかかったが、街から大分離れた所でリンが止まる。
そこは見渡しがよく、遠くの方に巨大な魔水晶ラクリマが見えていた。
真下には王都も見える。

「あれが……マグノリアの皆か…魔水晶にすると随分でけぇのな。
……取り敢えずは王都に向かわねーと…よし」

エクスタリアのすぐ真下はすぐ王都。
リンは一歩前へ足を踏み出して陸地から足を離した。



+++

その頃、ナツ達は切り取られた魔水晶の前でふつふつと沸き上がる怒りを抑えていた。
すると空から黒い雪のようなものが降り出す。
その場にいた誰もが何だ、と上を見上げる。
雲は出ていない。

「滅神ノ綿雲ッ」

切り取られた魔水晶のすぐ目の前、国王の目前。
大量に降ってきた黒雪はクッションとなり、落ちて来た誰かを支えた。

「いってー…どうやら降らせる量を間違えたらしい。失敗した、最悪だ」

「誰だ!お前は!!」「王様!こちらへ…」


警備兵が王を保護し、落ちて来た誰かは頭を抑えながら立ち上がる。
頭から思い切り落ちて来たのだろう。
少しフラつく様子を見せる。

「おい、あれ……」

王国軍が彼女の周りを囲み、警戒する。
ナツとルーシィ、ウェンディがその姿に目を見開いていた。

「それで…?今、どうゆう状況?」

そこにはアースランドのリンの姿。


「リン…様?」「いや、違う!アースランドのリンだ!捕まえろ!!」

「石の投げつけの後は捕獲かよ、ふざけろ」

そう言いながら今回は手加減しなくていいよな、と造形の構えを取る。

「リン!ここで魔法は…」



「アイスメイク…針雨シャワー!」

周りを囲み捕まえようとする軍人を次々と倒してゆくリン。
ルーシィ以外に魔法を使える奴がいた、と喜ぶナツとウェンディ。

一通り軍人を倒すと既に周りには誰もいなくなっていた。
残ってるのはナツ達だけだ。

「ナイスだ!リン!!!」

「なっ!ナツ!?ウェンディと…ルーシィもいんじゃねーか」

ハイタッチを求めてくるナツとハイタッチした後に2人を見つける。
フェーリ達も一緒にいるのを確認して笑った。

「それより速く逃げなくていいの?」

シャルルが言うと遠くから走ってくる王国軍の姿。


「逃げねーとな…。後でどうなってんのか聞かせろよ!!」

王国軍の目の前に壁を作って足止めをした後、リン達は走り出す。



説明ばっかだったので結構、話飛ばしました。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.126 )
日時: 2015/04/14 12:37
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: xV3zxjLd)


宿屋の一室を借りて、それぞれ休憩を取る。
ナツに至ってはずっとお城の方を睨み付けていた。

「随分と暗い顔してんじゃねーか、お前ら」

扉を開けて入ってきたリンが皆に声を掛ける。
フェーリは人間の姿からネコの姿に戻っていた。

「ムカつく奴等を払ったのはいいが結局、魔水晶ラクリマからみんなを助ける方法が分かんねーんだ」

「…オレは滅竜魔導士なら元に戻せるって聞いたが」

「本当か!?一体誰に…」

「ミストガンだよ、こちらに来れたのも魔法が使えんのもあいつのおかげだ」

薬、貰っただろうとルーシィに聞く。
そういえばそんなもの食べさせられたような…と苦笑い。

「残念ながら方法は聞いてない。聞いてくればよかったな」

「結局、王に直接聞くしかないのね」

だけどそんな簡単に教えて貰えるかは分からない。
ナツは殴ればいいと言うが…。

「殴って簡単に教えてくれるかよ。それに魔法を使えんのはルーシィとオレだけだ」

城の中には、兵隊だってたくさんいるだろう。

「明らかに数的不利だ」


「魔法…そっか!王様がみんなを元に戻す方法を知っているなら、もしかしたらいけるかもしれない」

ルーシィは何かを閃いたようだ。

どうやら星霊を使うらしい。
双子座の星霊、ジェミニは触れた人に変身できる。
尚且つ、変身している間はその人の思考まで知ることが出来るのだ。

王に触れることさえ出来れば、仲間達を元に戻す方法も分かるというわけで。


「なるほどね。後は兵隊に見つからず近付く方法…か」

「王に近づく方法はあるわ」

1枚の紙をみんなに見せるシャルル。
それは先ほどからずっと描いていたものだ。

町外れの坑道から地下を通り城へと繋がる道の地図。


どうしてシャルルがそんなことを知っているのか。
本人に聞くとエドラスに来てから少しずつ地理の情報が追加されるようになったらしい。

「オイラは全然だよ」「私もありませんね」


「とにかくそこから城へ潜入できればなんとかなるかも」

「おし!みんなを元に戻すぞ!!」

「出発は夜よ。今は少しでも休みましょ」



そうして夜。
宿を出て町外れの坑道から地下へ。
シャルルの案内の元、進んでいた。

「フェーリ。何でお前、変身しねえの?」

現在、フェーリは布をマント変わりにし姿を隠していた。

「いえ…長時間、変身していたら疲れてしまうので。
これから何が起きるか分かりませんし体力の温存を…」

なるほどな、と納得するリン。
それからも順調に進んで行った。

「ひっ」

ルーシィが小さく悲鳴を上げたと思うと何かが彼女の体を巻き付いていた。
それはナツやウェンディ、リンも同等に…だ。

「っち、凍らせられねーぞこれ。どうなってやがる」

姿を見せたのはたくさんの兵隊。
どうして見つかったのか、誰にも分かりはしない。


「こいつらがアースランドの魔導士か。奴等とそっくりだな」

そしてその兵隊の先頭に立った2人の女性。


「エルザ!!」「…オレ?」

彼女達はまさしく、エドラスのエルザとリンだ。

「つれていけ」

エルザがそう指示をすると引きずられていく4人。
ウェンディを追い掛けようと走り出したシャルルの前にエドラスのリンは立つ。



「……おかえりなさい、エクシード」

エドリンを筆頭に、全員がシャルル達の前で跪く。

「侵入者の連行、ご苦労様です」



その言葉に誰もが耳を疑った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.127 )
日時: 2015/04/16 18:46
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第45話「黒い翼の堕天使」

フェーリが目を覚ますとベットの上に寝かされていた。
ハッピーやシャルルはまだ眠っている。

フェーリは、マントで体全体を覆い注意深く辺りを見回した。

「…ここは一体どこでしょうか」

1人、呟くとシャルルとハッピーが目覚める。
シャルルはあの情報が罠だったのだと後悔していた。


「おまえたちがアースランドでの任務を完遂した者なちか?ウム…いい香り(パルファム)だ」

いきなり扉が開かれ、現れたのは一夜そっくりなネコ。
ハッピーとシャルルはそれに驚いていた。

「“ニチヤ”さん。彼等は初めてエドラスに来たんですよ。
きっとエクシードを見るのも初めてなんでしょう」

もう1人、入ってきた黒ネコ。
どうやら彼がナディ。一夜似の彼はニチヤ、というらしい。
ナディは任務お疲れ様、と声をかける。


「さっそくであるが女王様がお待ちである。ついてまいれ」

ニチヤはそう言って、先を歩いていく。
落ち込むシャルルをハッピーが絶対に守るから、と声をかけ3人は後をついて行った。

「(ここはもしかするとエクスタリア…)」

フェーリは2人の後ろを歩きながら考える。
外へ出るとそこには沢山のネコ…エクシード達が賑わっていた。
そう、ここはエクシード達が住む王国…エクスタリア。


エクスタリアに建っているお城へと入り説明を受ける。
人間は、ひどく愚かな劣等種。
女王様はここで人間の管理をしている。
勝手に増えすぎるとやっかいだからいらない人間を女王様が決めて殺してしまうのだ。

それは失われつつある魔力を正常化する為だと女王様は言った。
女王様はこの世界だけではなく、アースランドの人間も管理している。
何故なら、あの方こそが“神”だからだ。


「私たちの任務って何?」

唐突に立ち止まったシャルルが疑問を問いかける。
シャルルには生まれた時から任務がすり込まれていた。

滅竜魔導士ドラゴンスレイヤーウェンディの抹殺」

シャルルの言葉にフェーリがやはり、と声を上げハッピーが目を見開き驚く。

「私たちは任務を遂行してないし遂行するつもりもなかった!」


なのにどうして完遂したことになっているのか。
その事にナディが説明する。

女王様の人間管理に従い6年前、100人のエクシードをアースランドへ送った。
卵から孵ると滅竜魔導士を抹殺するように情報を持たせて。
しかし状況が変わった。
人間が作り出した“アニマ”が別の可能性を導き出したのだ。
アースランドの人間を殺すのではなく魔力として利用するというもの。

中でも滅竜魔導士は別格の魔力になる。
そこで急遽、任務を変更。滅竜魔導士を抹殺から連行へ。



「ち…違う……私は自分の意思で…エドラスに…」

命令を実行しただけ。

みんなを助ける為に坑道へ。
ナディたちが誘導していただけ。

ウェンディが大好きだから守りたいと。
それは一種の錯覚。抹殺から連行へ。つまり殺してはいけないと変更されたことによる。


「ウソだぁあああーっ!!!」

「お前たちの行動全ては私たちの命令によるものだ」

「オイラたちは操り人形じゃないぞォ!
オイラたちは……妖精の尻尾フェアリーテイルの魔導士だァ!!!」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.128 )
日時: 2015/04/19 00:25
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


「よく言いましたね、ハッピー」

「フェーリ?」

フェーリが笑い、2人の前に出て布を取る。


「お、お前は…!」

「よかった。まだ私の事を覚えていてくれたんですね。ニチヤさん、ナディさん?」

黒い翼を広げ、彼等を挑発する。

「さぁ、2人は速く逃げて下さい。私が囮になりますよ」

戸惑いながらもシャルルの腕を引っ張り走り出すハッピー。



「二度とエドラスには戻って来るなと言ったハズだ!!」

「来てしまったものは仕方ないじゃないですか。ほら、私はここにいますよ」

クスクスと笑いながらナディとニチヤの上を飛び回るフェーリ。


「メェーン!!漆黒の堕天が現れた!更に堕天が2人逃走!近衛師団、出撃ー!」

涙を流すニチヤ。

「先に気絶させておくべきでしたね」

そういいながらニチヤとナディを気絶させ、城の外へ。
外には既に近衛師団は集まっていたがフェーリはグリフォンの姿になり威嚇する。
威嚇された近衛師団達は腰を抜かし、彼女に怯えた。

「昔とまったく変わりませんね」

逃げるハッピー達を見つけ、その場に降り立つ。
ハッピー達を追い掛けていた近衛師団はその姿に立ち止まる。


「漆黒の堕天だ!あの姿はただの見せ掛け…力は一緒だ、やれ!!」

「あらあら…。そうゆうことをいいますか」

不敵に笑ったフェーリは、足をかき思いっ切り近衛師団へ突っ込んで行った。
攻撃する間もなく次々と倒れてゆくネコ達。
一通り蹴散らすとフェーリは、元の姿に戻りハッピーとシャルルを連れて逃げ出す。



「フェーリ、どうゆう事なの?“漆黒の堕天”…って?」

シャルルが逃げながら問いかける。

「この地での私の呼び名ですよ。ほら、私だけ翼の色が黒いでしょう?」

「そうだけど…」

「オイラずっと気になってたんだ。どうしてフェーリの翼は…」


「おや、あれはもしかすると魔水晶ラクリマになった皆じゃないですか?」

いきなり立ち止まったフェーリが顔を向ける方向には確かに魔水晶がある。
ここは空に浮いている島だったのかと理解する2人。

「おめぇたち、オィラの畑でなにしとるだ」

声がして振り返るとそこには畑の持ち主なのであろうネコの姿。
彼は兵隊どもが探し回っている堕天だとすぐに気付く。

「出てけ出てけーっ!」

彼はクワを振り回し畑から追い出す。


「確かこっちに向かったハズだ!」

「探せっ!」

もう追い付いた兵隊達。
こうなってしまえば袋小路だ。

「畑から出てけーっ!そしてウチに来いっ!!」

「え…?」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.129 )
日時: 2015/04/20 19:12
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


その言葉に3人とも驚くが彼の迫力には勝てず家にお邪魔する。
家の中に入り彼は中にいたメスネコ…恐らく妻へ状況を説明した。
案内され、席に座っていると出されたのは新鮮な魚だ。

ハッピーがかくまってくれてありがとう、とお礼を言うとおじさんは飯を食えと怒鳴る。

「ウチの人ってば王国の考え方とソリが合わなくてね。
昔、追い出されちゃってこんな所で暮らしているのよ」

穏やかな顔をしておばさんは言った。
だからかくまってくれるのかと納得する。
おじさんが飯を食ったら風呂に入れと。風呂に入ったら着替えまで用意してくれた。

縁の側で勝手に休めと彼は怒鳴りつけ遠慮なく3人はそこでひと休憩を入れる。
そんな中、おばさんは3人と話していた。


名前を付けてくれた友達が王都に捕まっているから助けに行くんだ。
そうハッピーが言うとシャルルがこの国ではそれは間違っているのよねと落ち込む。

「そんな事ないわ。素敵なことよ。友達にエクシードも人間も関係ない。
だって見た目は違くても“大好き”っていう心の形は同じなの」


「私の心は…私じゃない。誰かによって操られてる。
今…話してる言葉さえ私のものなのかどうか…」

それでも否定するシャルルにハッピーは立ち上がる。
シャルルの言葉だ、シャルルの心だ、と。
みんなを助けたいと思っている心はオイラたちのものだと。

彼女はふふ、と笑う。

「今はちょっと迷ってるみたいだけどきっと大丈夫よ。こんな素敵なナイト様がいるじゃない」

自分の心を見つけられる。
本当はもう持っている。
後は気付けばいいだけなのだ。“大好き”の形を信じて。


それからしばらく話をしていると奥から走ってきたおじさんが大声で怒鳴る。
くだらない話をいつまでもしてるんじゃない、と。
はやく家から出てけ、と。

「怯えたままじゃできる事もできねぇんだっ!最近の若ぇのはそんな事もわからねぇのか!!!」

ハッピーが何かに気付き、ありがとうとお礼を言ってから3人は家から出ていく。
そして少しずつ歩くスピードをはやめ、崖から地面を蹴って飛び上がる。
今まで翼を出せなかった2人もちゃんとに翼を広げられていた。



短くて申し訳ない。
そしておじさんとおばさんの名前ちゃんとにあったね。
ラッキーとマールだっけ?忘れてました。
しかし、なおすのがめんどくさいのでそのままで。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.130 )
日時: 2015/04/22 19:17
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第46話「対面し自分自身」

「やはり言い伝え通り地上の魔導士は皆、体内に魔力を持っている事がわかりましたぞ」

城内、作戦会議室。
中には魔戦部隊隊長などが集まっていた。
エルザはエドリンは参加していないようだ。
机の周りをココという少女が走り回る。

「んー、まるでエクシードのようだなァ」

シュガーは言った。
それに対し、バイロという男がその魔力はエクシードの比にはならないという。

「では、あのルーシィやセイシルという子も体内に魔力を持っているの?」

「でしゅな」

「だったら殺すのはスッゲェおしいだろ。半永久的に魔力を吸い続ければいい」

しかし王様はそれは出来ないと言い張った。
ルーシィの方は王女クイーンシャゴットから抹殺の命令が出ているのだと。

「んー、セイシルという青年の方は?」

「あいつもスッゲェ魔力の持ち主なんだろ?滅竜魔導士とは比にならないくらいの!」

「確か…言い伝えには滅神魔導士とか何とか……」

シュガー、ヒューズ、ココは順番に聞いてくる。


「ぐしゅしゅ。そちらの魔力も抽出する予定です。
実験が成功すれば半永久的な魔力が手に入るでしょう」

「いいぞ、バイロ。すぐに始めよ。しかし万が一に備え地上の魔水晶の魔力抽出も早々にやれ」

「はっ」



+++

「………なぁ、ここから出してくんね?」


独房の中、リンは見張りのエドリンへと話しかけた。
リンを拘束している手錠には魔力を封じる力があるらしく自力での脱出は不可能だと見たのだろう。

「簡単に脱出を認めるわけにはいきません」

「(無感情、無関心。愛想もまるでない。ただ命令だけをひたすらに実行するのみ。
昔の自分を見てるようだな。まぁ…顔は同じだし……)」

スッと仰向けに寝転がる。

「そういえばお前さ…この国の姫何だろ?何でそんな軍人の格好してるわけ?」

「………」

「答えない、か」

調子狂うなぁ、と一言呟く。
とにかく色々と聞いてみようかとリンは疑問に思う事を片っ端から聞いていった。
だけど反応する質問はあらず。

「……昔の自分を見ているみたい」

ボソリと呟かれたエドリンの言葉。
それは、先程リンも思っていた言葉だ。
どうやら両者ともに同じ事を思っていたらしい。

「(いや…案外、昔の私より感情はあるかもな)それってどうゆう事だ?」

「! ……無邪気で好奇心旺盛、バカみたいに誰にでも笑う」

やっと話をしてくれた事実にバカみたいと言われた事に対して気にしない素振りをする。


「へぇ、なぁ…昔のお前ってどんななの?
周りで一緒に笑ってくれる人達と共にバカ騒ぎして楽しむ人?」

「何で知って…あ、」

動揺するエドリンにリンが笑う。

「(似ている、と思ったがやはりまったくの別人だな。それに…)」

リンは再び起き上がり話を続ける。


「お前はさ、すごい女らしいじゃん」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.131 )
日時: 2015/04/24 09:13
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: QxkFlg5H)


「……バカにしているのですか?」

「いやいや違うよ。羨ましいんだと思う。オレは女らしく出来ないから」

「女性だったのですか?……私は貴方が羨ましいです」

「それはまたどうして?」

しばらくの沈黙が続きリンがこの質問も諦めようとした時、彼女は語り出す。



お城で産まれて王女の娘として育ってきた。
礼儀作法、喋り方、貴族でのあり方。様々な習い事、勉強。
本人はそれが当たり前だったし苦でもなんでもないありきたりな普通の日常。

まだ魔力が溢れていて魔導士ギルドの廃止がされていない時期だ。
ある日、外へ出歩いた時に出会った様々な物、賑やかな人々。
全てが新鮮で外に夢中になった。
更には自由時間以外でも城内から脱走し遊びに行く事もあった。
そこで出会った“妖精の尻尾フェアリーテイル”。


ギルドの人達はみんな優しかったし何より楽しかった。
城とは違い、開放された空間。
自分の身分を隠しいつしか、毎日通うようになっていた。

しかし、そんな日常もギルド狩りが始まった事により全てが崩れさった。
安全の為や、脱走のし過ぎにて外出禁止になるとエドリンは王様に呼び出される。

『リン、お前はよく妖精の尻尾に行ってたみたいだな』

王様は気付いていたのだ。
だがそれに対し怒ることはなかった。

『あのギルドのメンバー、場所、魔法は詳しいだろう。お前があのギルドを壊せ』

『! そ、そんな事…私には出来ません!』

『王都を裏切るのか?』

『しかし…私には……』

『出来ないというのなら情報だけ渡せ。エルザにでも頼もう』

『お父様、それは…』

『私はお前を娘だと認めた覚えはない』

『っ……』


彼女に拒否権はない。情報を渡すか、自分でやるか。
それなら自分でやろう、壊さなくても説得し解散させようと武器まほうを手に取った。




「………」

それ以上は語らないエドリン。
だがそれだけでもどうして今に至るのかは分かった。
更に、何故リンを羨ましがっているのも何となく。

きっと一緒に笑える“友達”がいる事が羨ましいのだろう。

「オレはそんなに立派じゃないよ。毎日、怯えて暮らしてる」


ふっと、悲しげに笑うリン。

「リン様!不法侵入者が…ぐはっ」

侵入者が来たことに報告しに来た警備兵が何者かに気絶させられる。


「…! リン!」

「「グレイ!?」」

そこにいたのは魔法を使うグレイの姿。
どうやら助けに来たらしい。
少しだけ戸惑いながらもエドリンは剣をグレイへと向ける。


「オレはこっちだグレイ。服どうした」

「うおっやっべ」

「………」

リンを助け出そうとするグレイへ剣を振りかぶるエドリン。
こっちの世界のリンは敵なのかよ、とぼやきその剣を凍らせた。

「……やはり私は貴方がただ似ているだけで違う人物だと知っていても傷つける事は出来ません」

「は?」

凍らされた剣をわざと壁へと突き立てるエドリン。
その氷は全て割れ、牢屋の鍵を壊す。



「今回は見逃しましょう。グレイとは戦いたくありません」

目を閉じ、俯かせるエドリン。

「………しかし私は貴女を連れ戻します。必ず」


「あぁ。オレもこんな所に戻る気はない。全力で抵抗しよう」


どうゆうことだ、と言いながらグレイはリンの手錠を破壊する。
オレもよく分からないと返したリンは、ナツ達を探そうと走り出した。

1人、取り残されたエドリンは2人の後姿をみやる。



「本当に、羨ましい」

「リン様!侵入者は……!囚人が!!」

後からやってきた警備兵が慌てる。



「侵入者は囚人を助け出し逃げ出しました。私も油断してしまった。次こそは逃がしませんよ」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.132 )
日時: 2015/04/26 16:42
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: MgUgGnIS)

第47話「別世界の戦い方」

リンが捕まっていた牢屋の反対側、そこにナツ達が捕まっているだろう部屋に辿り着く。
扉の前にはルーシィやシャルル、フェーリもいる。

「グレイ、リン!!よかった、無事だったのね」

「オレは何もされてない。この先にナツ達が?」

「声が聞こえたから多分そうだと思う。でも…鍵が……」

そんなもん壊してしまえばいいだろうとグレイが扉を蹴破る。
それは呆気なく壊れ、中にはぐったりしているナツとウェンディの姿。
2人とも意識がないようだ。

グレイは、エクスボールを飲ませようとナツとウェンディの口の中へ入れる。
数秒後、ナツもウェンディも咳き込みながら起き上がった。


「と…止めねぇと……」

ナツは立ち上がり部屋から何処かへと走り出す。
ウェンディは言う。
王国軍はエクスタリアを破壊する為に巨大魔水晶ラクリマを激突させるつもりなのだと。

「つまり、ギルドの仲間を爆弾代わりに使うという事ですか?」

フェーリの問いにウェンディは頷いた。
エクスタリアの魔力と妖精の尻尾フェアリーテイルの魔力がぶつかる事で、
はじけて融合し永遠の魔力がこの国にふりそそぐ。

そんな事したらギルドのみんなは消えてしまうだろう。
ドタドタと音がし、部屋に入って来たのはナツだ。


「エルザが2人いたー!何だよアレ!!怪獣大決戦か!?この世が終わるのかー!!?」

焦るナツに落ち着けと声をかけるリン。
ルーシィはアースランドの、私達の知っているエルザだと説明する。

「ハッピーは魔水晶を止めに行ったわ」


簡単な説明をし、準備が整うと王様を見つけるぞと走り出した。
ウェンディとシャルルはエクスタリアへと向かうようだ。
フェーリもそれに着いていくらしい。


しばらく探し回っていると見つけたのは遊園地だ。
城の中にあるのだからすごいでかい建築物なのだろう。
その時、遊園地内のメリーゴーランドが動き出す。
メリーゴーランドの馬に乗るは1人の男性、シュガーボーイだ。

「ハッハッハー、いや実に楽しいねー」

船のアトラクションが動き出し、リン達を驚かせる。
船の上に乗っているのはヒューズだ。

「このスッゲェ楽しい魔力がさぁこの世界からもうすぐ無くなっちゃうんだ。
アンタらにその気持ちわかる?」


更に遊園地の出入り口から歩いてくる1人の影。

「私達は永遠の魔力を手に入れる。邪魔を、しないでくれますか?」

2つの剣を持ち立つエドリン。
それぞれが戦闘態勢へと変わる。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.133 )
日時: 2015/04/28 18:15
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: Uj9lR0Ik)


「んー牢に戻るか、ここで死ぬか」

「シュガーボーイ、奴等に選択権はいらねえ」

ドラゴンの魔力抽出は終わった。
コードETDが成功すれば滅竜魔導士はもう用済み。

「魔力の価値を知らねえ地上人はここで殺す」

ヒューズが船を操り、リン達に当てようとする。
が、グレイが盾を造形しそれを防いだ。
ナツは、足に炎を纏わせヒューズを殴りに行く。
ほぼ同時にエドリンが動きリンへと向かう。
リンはその剣を氷で受け止めた。


「真っ直ぐオレに向かってきたね。お姫様」

「私は貴女を連れ戻します」

すぐに次の攻撃に移ろうとするエドリンをバックで避ける。
しかし、地面がいきなり柔らかくなりどんどん沈んで行ってしまう。

「んだよ、これ…」

ナツはコースターに乗せられてグロッキーだ。
グレイがルーシィをナツの所まで飛ばし、自力で沈む地面から抜け出す。
リンも同等に地面から抜け出していた。

「アイスメイク…氷炎ドライアイス

リンは、数個のドライアイスの粒をエドリンへとぶっぱなす。
しかしエドリンの剣にその氷は吸収された。


「へぇ、面白い武器まほう持ってるね」

「貴女の魔法は私には効きません」

「だったらこれならどうよ、…雪神ノ激鉄!」

拳に黒い雪を纏わせエドリンを殴り付けようとする。
…が、その拳に纏っていた雪でさえももう片方の剣に吸収されてしまった。
突っ込もうとするリンにエドリンは剣を振り下ろす。
それをしゃがんで回避し、次に足に黒雪を纏わせ彼女の足元を攻撃する。

彼女は、回避出来ずに当たり転びそうになる所を急ぎ立て直した。
黒雪は吸収されていない。

「なるほどね。纏わせてすぐに攻撃すればいいのか」

「どうでしょうね」

エドリンが何も無い所に片方の剣をから振りする。
振り下ろされた剣から溢れ出るわ雪の波動。
リンはそれをもろにくらう。



「久しぶりに雪を喰ったな」

くらった雪を吸い込み、自分の力にするリン。
スレイヤー系魔導士の特徴だ。
自分の扱う属性の魔法は効かない、と。

「…それではこちらはどうです?」

先程とは違う方の剣を振り下ろせば次は氷の波動。

「残念。オレには効かないね」

“ガッ”と素手でその波動を止めた後に楽園の塔でやった時のようにその魔力を吸い取るリン。

「なるほど。どうやらお互い、“まほう”は効かないようですね」

「どうだろうな」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.134 )
日時: 2015/04/30 21:31
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

48話「自分たちの故郷」

不敵に笑ったリンが彼女へ素手で突っ込んでいく。

「…?」

素手と剣では明らかに素手の方が不利だ。
さすがにおかしいと気付いたエドリンは敢えて攻撃せずに避ける。

「冴えてるな」

すぐにリンは背後へと回り、黒雪を纏わせた後すぐに回し蹴りを見舞う。


「っ…はやいです、ねッ!!」

もろにくらったエドリンだがすぐに体勢を立て直し2つの剣を振った。
それらをバク転しながら距離をとりつつ避けるものの、
振る度に出る氷と雪の魔法がリンを襲いバランスを崩させる。

転けて地面に仰向けになる彼女にエドリンは剣を突き立てようと剣を上へ。
リンは彼女の足元を掴み転ばせ掴んだまま自分が起き上がった後、建物の壁へと吹っ飛ばした。

「な、何故…同じ女性なのにそんな力が……何処に」

「こちとら男装している身なんでね。ある程度は鍛えなきゃバレちまう」


「どうしてそんなに自身が女性だと隠すのですか?」


「深い事情があるんだ、誰にも言えない。それこそオレは最低な裏切り者かもな」

「………貴女も私と同じ…」

倒れるエドリンへゆっくりと近付いていく。

「おっと、一緒にしてくれるなよ?裏切り者は裏切り者でも罪の重さは違う。オレはタブーだからな」

「禁忌…ですか?」

「それよりさ、お前…本当は妖精の尻尾と戦いたくないって言ったよな?」

エドリンの前に立ち見下ろし聞いた。


「だったら戦わなくていいんじゃねーの?オレが手伝うし一緒に王様、ぶっ倒そうぜ」

そう言って手を差し出す。

「お父様を…ですか?無理ですよ。私には……それにあの作戦はもう止められない」

「いや、止める。だからお前も立ち上がれ。誰かが動かなきゃ終わんねーんだ。
お姫様なら知ってるだろ?魔水晶ラクリマを元に戻す方法」


「……止めたら…もし止められたら……私はまた昔みたいに遊べるでしょうか…本当に…?」

「あぁ、オレが保証しよう」

リンが笑う。




エドリンはゆっくりとその手を掴んだ。


Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.135 )
日時: 2015/05/01 18:58
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)


「ココ!」「リン様!!どうしてここに?」

「それは貴女もです。その女性は…アースランドの……」

レギオンと呼ばれる生物が沢山いる小屋でココとルーシィに出会う2人。
お互い、簡潔に説明しあい状況を確認した後でそれぞれのレギオンに乗り飛び出した。
向かうは竜鎖砲機動室。

「あれは…!!」

エドリンが見やる方向には竜の形をし、鎖が繋がれた大砲…竜鎖砲だ。
どうやら間に合わず発射してしまったらしい。

「リン様…私達のレギオンであれを……」

「止められるでしょうか」


「やってみましょう!」

「ココ!あの部屋…私達の仲間がいる!一緒に乗せても大丈夫?」

「大丈夫!レギピョン、お願い!!」


部屋へと近付いていくココのレギオン。
それを見て、エドリンは先に魔水晶へ向かいましょう、とレギオンを動かした。




+++


エクスタリア。

「どいてどいてーぼきゅを通してー」

騒ぎを聞きつけてやってきたのはナディだ。
堕天と人間はエクスタリアの侵入は禁止だと言う。
そんな彼らにニチヤ達は王国軍に魔水晶にされたと説明した。
住人達は一斉に笑っていたが、ナディだけは怯え震える。

「みんな逃げなきゃ大変な事になるのよ!」

「黙れ人間ー!」

「まったく…聞く耳を持ちませんね」

1人が石をウェンディへ投げつけた。
それを筆頭にナディ以外の全員が石をウェンディとシャルル…そしてフェーリへと投げつける。

その時、“ゴゴゴ”と大きな音が響いてくる。
魔水晶とエクスタリアがぶつかろうとしているのだろう。
シャルルが再び逃げるように声をかけるが、また石を投げつけられる。
でもそれはシャルルには当たらず庇ったナディへと当たった。

「この人たちはぼきゅたちに危険を知らせてくれたんだよ。
でも…誰も聞かなかったからこんな事になっちゃったんだ」


「(ナディ…)」

住人たちは女王様が何とかしてくれるとナディの声も聞かない。

「その女王様が今まで、エーラ以外の魔法を使った所はあるんですか?」

「フェーリ!何を…!!」


「私は国を追放された身ですから何を言ってもいいですよね?」

「それは…」

「もういいのです、ナディ。時が来たのですよ」

奥から歩いてきたのは長老を連れた女王、シャゴットの姿。
私は1つの決断をしたのだと皆に言う。
“バサッ”と音をたて、豪華な服や宝石を取り片方しかない翼を広げる。
その姿は女王でもましてや神でもない、同じエクシードの姿。


「私には戦う力などはないのです。隠してて本当に申し訳ありません」

私達はとても弱い種族。
大昔、人間たちにひどい事もたくさんされてきた。
だから自分たちを守るために力があると思い込ませたのだ。
そしてエクシード全体が自信を取り戻せるようエクスタリアの皆に対しても神の力を信じさせた。

初めは信じなかった人間たちもやがて神の力に恐れを抱くようになってきた。
神の力といってもその全部が事情を知っている1部のエクシードのハッタリ。


「詭弁だわ」

私の仲間を殺すよう命令したのは事実。
それだけは許せないとシャルルは言う。
そんな彼女にシャゴットは剣を渡した。

私の罪はあなたの手で裁け、と。
シャルルはその剣を手に取る。

「シャルル!」「本当にやるつもりですか!?」

しかしシャルルはその剣を地面へと突き立てる。


「勝手に諦めてるんじゃないわよ!!!」

自分たちの国だろう、神や女王がいなきゃ何もできないのか。
今までウソをついてでも必死に生きてきたんじゃないのか。
何で簡単にあきらめてしまうのか。
弱くたっていい。みんなで力を合わせれば何だってできる。
この国は滅びない。


「私の故郷だもん!!!なくなったりしないんだから!!!
私はあきらめない!絶対止めてやる!!」

シャルルは勢いよく魔水晶の方へと飛び出した。

「ぼ…ぼきゅも行ってくるよ……この国が大好きだから」

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.136 )
日時: 2015/05/09 15:38
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: oUY4LzoD)

第49話「黒き堕天使の罪」

「驚きましたよ、シャゴット。まさか自らの娘に剣を渡すとは…」

黒い翼を広げ、シャゴットを支えながら魔水晶の所まで飛んでゆくフェーリと他のエクシード達。

「そうするしかないと…思ったのです。すみません、フェーリ。
ウソの掟のせいで貴方にも大変な思いをさせてしまった」


100人の子供をアースランドへ送る時、無事に生まれるようにと一緒に着いて行ったフェーリ。
その際、人間に捕まり翼が黒く変色してしまった。
やっと逃げ出し1度、エクスタリアへと帰って来た時に言われたのが“漆黒の堕天”だ。

人間と深く干渉し、アースランドの空気で汚れてしまったから、とエクスタリアを追放された。

「貴方には何も罪はないのに」

「やめて下さい、シャゴット。昔からの付き合いでしょう?気にしてませんよ」

フェーリが笑う。

「女王様」

2人を呼んだのは王国軍の1人、リリーだ。


「ウソをつくのに疲れたかい?」

リリーもまた、エクスタリアを追放された1人。
だがどんなに憎もうとエクスタリアは俺の国なんだと涙を流す。

「すまねぇ!俺のせいだ。俺なら人間たちを止められたんだ!!」

「想いはきっと届くわ」



エクシードの皆と仲間たちが一斉になって魔水晶ラクリマを押す。
すると、それはいきなり光に包まれ魔水晶は消滅した。
驚く中、聞こえてきた1人の声。
ミストガンだ。

「全てを元に戻すだけの巨大なアニマの残痕を探し遅くなった事を詫びよう。
そして皆の力がなければ間に合わなかった。感謝する」

魔水晶はもう1度アニマを通りアースランドで元の姿に戻る。
全て終わったのだ。
エクスタリアも、妖精の尻尾もみんな守られた。

「王子が帰ってきたよう」「お兄様、無事で…よかった」

レギオンに乗るココとエドリンが言う。
その発言に対し、ルーシィとリンは驚いていた。

しかし…魔法弾がリリーの腹をぶちぬく。

「まだだ。まだ終わらんぞーっ!!!」

下からレギオンに乗り、やってきたのはエドラスのエルザ。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.137 )
日時: 2015/05/13 22:42
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: tdVIpBZU)


しかし、ミストガンが前に出て私に刃を向けるのかとエルザ達を庇う。
エドラスのエルザは動きを止めた。

「ワシは貴様を息子などとは思っておらん」

何処からか聞こえて来た王様の声。

「あなたのアニマ計画は失敗したんだ。もう戦う意味などないだろう?」

これは戦いではない。
王に仇なす者への報復、一方的な殲滅。
王の前に立ちはだかるつもりならたとえ貴様であろうと消す。

「跡形もなくなァ」

「「父上…/お父様…」」


「父ではない。ワシはエドラスの王である」

現れたのは竜の形をした兵器。
ドロマ・アニム、竜騎士。ドラゴンの強化装甲。
対魔専用魔水晶ウィザードキャンセラーが外部からの魔法を全て無効化させてしまう甲冑。
王様があの中で竜騎士を操縦しているのだ。

「我が兵たちよ、エクシードを捕らえよ!!」

魔法弾に当たってしまったエクシードが魔水晶にされていく。
王国軍からエクシード達を守るんだとココ達が動き出す。
しかし、人間は誰1人として逃がさないとココの乗るレギオンが攻撃されようとする。
それをミストガンは受け止め、跳ね返した。

「ドロマ・アニムに魔法は効かん!」

竜騎士から放たれる魔法弾がもろにミストガンへと当たる。


「お兄様ッ!!!」

「待て!あいつ……」

ミストガンの元へ行こうとレギオンを動かそうとしたエドリンを止める。
オレにはわざと当たったように見えた、と。

「どうして…」

「恐らく、あのリリーとか言う奴を助ける為だ。オレらはエクシード救出に専念しよう」

「……分かりました」

竜騎士にはナツ、ガジル、ウェンディが向かった。
ココのレギオンとエドリンのレギオンは王国軍が向かった先へと急ぐ。
そこで待っていたのは伏兵の罠。

ココ達の乗るレギオンが攻撃され、落とされる。
次にエドリン達が乗るレギオンも攻撃されようとするが、
何とかそれらを避け地面へ落下しようとするココ達を拾い地上へ降り立つ。
エルザは、エドラスのエルザを倒しに向かったようで。


地上にいたのは、これはまた沢山の王国軍の数々。

「リーンッ」

「フェーリ!よかった…」

「すみません、皆を安全な場所へ移動するのに時間がかかってしまいました」

「無事ならなんでもいい」




そしてそれぞれが戦闘へと入る。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.138 )
日時: 2015/05/16 15:11
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: NsAz6QN0)

第50話「だいじょうぶだ」

圧倒的な人数の差に仲間たちはやられていく。
更に奥からレギオンを何頭も連れ増援が。
エドリンの一体だけのレギオンでは対応し切きれていない。

「すみません…セイシル。私は……」

剣が折れ、地面に倒れる彼女。
リンは彼女を守るようにして戦う。

「別に気にしてねーよ」

その時、地面に1つの芽がはえる。
それは急速に成長し、敵のレギオンを捕まえた。

エドラスの妖精の尻尾が増援に来てくれたらしい。
彼らもまた、王国軍に立ち向かう。


「リン!!」

グレイの声が聞こえ、振り返るとそこにはエドグレイの姿。
すぐにエドリンへと近付いていく。

「グレイ…私は……貴方達を裏切って…」

「俺はずっとお前を信じてたよ、」

「!!」

エドグレイが彼女を立ち上がらせる。



「ジュビア、とても鬱陶しかったの。戻って来てくれてよかったわ!」

エドジュビアは敵へ攻撃しながら言う。
それに対し、エドリンは笑った。

「すみません、ジュビア。私は貴方達と共に戦います!」



「言うじゃねーの、お姫様。ほらッ」

「これは…!」

リンが投げた物は先程、確かに折れたはずのエドリンの剣。
両刃とも綺麗に治っていた。

「オレの魔法で剣を固めた。強度は保証するぜ?」

「ありがとうございます…!」


エドリンはその剣を受け取り再び妖精の尻尾とともに立ち上がる。
そしてその数分後…地震が起きたと思ったら浮遊島が次々と落下。
魔法ぶきが使えなくなったとエドラスの皆が叫ぶ。
王国軍は魔法ぶきが使えなきゃ戦えないと逃げ出す。

みんなが魔力が消えて行く事に恐怖し、怯える。


「…エドラスの皆にとって“魔力”とは生きる為に大切な資源……」

魔力が無くなり、剣が再び折れて使えなくなったものを見ながら言う。

「大丈夫だろ。例え魔力がなくとも生きていける」

魔力が空へ…アニマへと吸い込まれていく様子を感じながらリンは言った。
エドリンは目を閉じ、顔を俯かせる。

「本当は分かっていたんです。そんな簡単なこと。
でも身近な物が無くなってしまうという恐怖は抜けなくて……」

そんなエドリンに彼女は笑う。
怖いのはいつだって最初だけだ、と。

「世界は消えない。魔力が消えるだけ、生きていれば何だってやれるハズだ」

「そう……ですね。ありがとう、セイシル。私は貴方に助けられてばかりだ」


「いや、別に。顔が同じだからかな。他人だとは思えないんだ。それだけ」

エドリンが顔を上げると、アースランドにいる人間の体が光り出す。
魔力を持つもの…つまりリン達もアニマが吸い込もうとしているのだ。


「お別れ……なんですね」





「これが最後だ。さようなら、お姫様」

「さようなら、セイシル」



リン達がアニマへ吸い込まれるのを見てエドリンは妖精の尻尾のみんなの方を見て叫ぶ。



「落ち着いて下さい!皆様!!魔力がなくとも私達は生きて行ける。
このギルドだって壊させません。裏切りたかった訳じゃないんです。

だから…だからもう1度……もう1度、皆様と一緒に笑いあってもいいですか?」




一応、説明しておくと。
エドラスのグレイはエドリンの事が好きなんだけど、エドリンが突然ギルドに来なくなった、
という事実にそのエドリンに向けていた恋愛感情をジュビアへ押し付けていたって感じです。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.139 )
日時: 2015/05/18 23:40
名前: 有栖 ◆n4kxWl0qaU (ID: NsAz6QN0)


アースランド。
リン達は街外れの方に飛ばされて来ていた。
マグノリアの街もギルドも無事だ
一足先にアースランドへ来ていたエクシード達が言う。

それに対し、シャルルがエドラスに帰すべきだと言い張った。
エクシード達は一気に落ち込む。
石を投げ付けたこと、改心すること。
色々と謝っているがシャルルが許す様子はない。

一番、許せないのは滅竜魔導士抹殺の使命を与えてアースランドに送り込んだこと。
長老達は6年前の説明をする。


未来予知の出来るシャゴットは1つの未来を予知していた。
それは、浮遊島が落下する未来。
当時、人間の仕業だと思っていたシャゴットは表向きは滅竜魔道士抹殺の為。
本当は100人の子供達をアースランドへ逃がす為…だったと。
作戦は成功。しかしたった1つ、計算外のことが起きた。


「それはシャルル…あなたの力」

シャルルにはシャゴットと同じ予言の力があったのだ。
それは無意識に発動しているようで記憶を混乱させた。
エドラスの断片的な未来を予言し、それを使命だと勘違いしたのだ。


「本当に不運に不運が重なりあなたは自分の“ありもしない使命”を作り出してしまった」

それを聞くとシャルルは許してあげる、と認める。
エクシードは近くに住む、と何処かへ飛んでゆく。
飛びさって行く姿を見た後に現れたのはリサーナを連れたリリーの姿。
どうやらリサーナは消滅したのではなく、アニマに吸い込まれていただけだったのだ。


全てを知ったナツ達が喜び、泣いた。
そしてまた、ミラやエルフマンも涙を流す。
その日の妖精の尻尾は、夜中まで叫び騒いでいた。


+++



「リン様、話したい事があるんです」

エドラスの件から少し落ち着いた頃。

「オレに?どうしてまた…」

ギルドのカウンターでグレイと次の仕事の予定を話していた時。
後ろから声を掛けてきたジュビアによって話は遮られた。

「大事な話何です!とにかく来て下さい!!」

「あ、おい!」

ジュビアがリンの腕を掴み無理やりギルドから連れ出して行く。
その様子をフェーリを含め、ギルドにいた皆は唖然として見ていた。



「おい!ジュビア!!一体何だってんだよ、」

人気のない少し開けた場所。
ジュビアはそこで立ち止まっていた。


「…ジュビア、ずっと不思議に思っていたんです」

「?」

「どうしてジュビアとグレイ様の間を邪魔するんですかッ!」

「! …別に邪魔なんかしてないけど……」

「ジュビアには分かるんです。リン様は恐らく…女性の方ですよね?」


その唐突に確信めいた言葉にリンは一瞬だけ驚くが苦笑いしてそれを誤魔化す。

「何言ってんだよお前…どうしてそうなった?」

ジュビアは、女性だと思う理由を話し出す。
グレイに彼女がアタックしている時に必ずリンの視線を感じるのだと。
2人で話している時も無理矢理、間に入ってくる。

リンは、ジュビアの話す理由に全て心当たりがあるが為に
ただ悟られないよう表情を保ち黙って聞いていた。


「そして何より…同じ人を想っているから…だから分かるんです。
ジュビア、ずっと恋敵はルーシィさんだと思っていました。だけど今日からは違います!」

「おいおいおい、ちょっと待て。まずオレは女じゃない。勘違いすんな」

「隠さなくていいんですよ!リン様。ジュビアは誰にも話しません!!」

困ったな、とリンは1つため息を付いた。


「それに…それに!
女だと堂々としているジュビアの方がアタックチャンスはいっぱいあるんですから!!」

それだけ言ってジュビアはギルドの方へと駆け去ってしまう。





「……オレの正体がバレてる訳じゃない、きっと大丈夫。だいじょうぶ」

勢い良くふいた風がリンの髪を撫でる。