二次創作小説(紙ほか)

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.69 )
日時: 2015/01/10 09:39
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)
プロフ: りんのますたー

第22話「睡蓮のマスター」


「! リンはどうなってる!?」

グレイがシモンに問いかける。


「リンは確かメイデルと一緒だったな…」

「シモン、そのメイデルというのは…?」

エルザの知らない新しい仲間。



「エルザが逃げた数年後だ。海に流れ着いていたのをミリアーナが拾った子。

俺も詳しくは分からない。もしあいつの所に行くなら地下にいるはずだぞ」

「分かった。リンの所には俺が行く」

「それなら私も…」

グレイの後をついていこうとするジュビアを止める。
1人で十分だ、と。


+++

目をあけた時、シンプルな部屋へ連れ込まれていたリン。
漂うのは薬品の香り。
よく見ればテーブルの上には様々な薬品が散らばっていた。
体は壁に貼り付けにされたように縛られてもいないのに動かない。

その状況に昔のコトを思い出し、心臓が跳ね上がっていた。

リンに1つの影が迫る。
魔法を打ち出そうとして集中するが影はそれに気付く。


「魔法は使うなよ?“スイレン”」

「っ!!」

その声に、言葉にリンは集中をやめて、影を怯えたように見た。
昔の名前。毒花の住処プラントテーナメントにいた頃のコードネーム。

「いい子だ、スイレン。それにしてもお前が恋愛感情を持つなんてね」

顎を持ち上げられ、彼女へ顔を近付ける。

「俺がいつ許可をした?」

「ごめん、なさ、い…ごめんなさい、“マス…ター”」


毒花の住処、ギルドマスター。その姿がリンの目に映っていた。
ニヤリと笑う彼に涙を流す。

「今、ここでお前に“キス”したらどうする…?」

「っ! や、やめ…」

「“スイレンは俺に逆らえないよな?”」

更に顔を近付ける彼にリンはぎゅっと目を閉じた。



その時、扉を開ける音。
ハッとして扉の方を向く。

「リン!!」

入ってきたのはグレイ。
彼はその状況を見て目を見開く。

「んなっ、おま…男同士だろ?何してンだよ!」

グレイが声を掛けたのはマスターの方だ。
マスターはキョトンとしながらグレイを見やる。

「“リンは女の子だよね…?”」

「!!! お前っ」

リンが叫んだ言葉に彼はパチンと指を鳴らす。
拘束は外れ、リンが床に立ち彼の姿も変わる。

マゼンダ色の長い髪に黒い布で目隠しする彼…いや彼女。
身長はリンより少し高いくらいだ。
彼女の周りには白いピンポン玉みたいなのが2つ浮かんでいる。


「メイデル! 何故、その幻覚を見せた!?」

「幻…覚?てか女って……」

グレイが来ているにも関わらずリンは彼女に掴みかかる。
ごめんなさい、と謝る彼女はメイデル・アメイリス。
リンと同じかつての毒花の住処での仲間。

「あれをネタにしたら嫌でも、マスターに逆らうことが出来るんじゃないかって思ったの」

「! ……どう転んでもそれはねぇよ、メイデル」

溜め息を吐いてメイデルを離す。

「マスターって?じいさんの事じゃねーよな。
一体どうゆうことだ?」

話についていけないグレイは何をしたらいいのか分からず。
そういえばグレイがいたんだ、とリンは申し訳なさそうにごめんと謝った。

Re: FAIRYTAIL「毒花の住処」 ( No.70 )
日時: 2015/01/11 09:38
名前: 紫苑有栖 (ID: 0y/6MWPS)


「まだだ、まだ…話せない」

リンは言った。
メイデルはテーブルの上の薬品を片付けながら2人を見守る。

「…分かったよ。じゃあこれだけはハッキリさせてくれ。


お前は女…なのか?本当に?」

「(そうだ、事情を知らないメイデルが言ってしまったんだっけ)
あぁ、こいつの言う通りオレは女だ」

そうだったのか、とグレイは納得する。
あまり驚く様子のない彼に不思議な顔をするリン。
薄々そうなんじゃないかと思う日が何度かあったとグレイは言う。

「…でもギルドの皆には言うなよ?」

「あぁ、分かってる」

「それで…メイデル、お前はどっちにつくんだ?
敵側なのか、味方なのか」



メイデルは手元を止めて笑う。

「そんなの最初から決まってるの。私は味方だよ、リン」

その言葉にリンは頷き、2人に今の状況を聞く。
エルザのこと、今起きていること、これからの目的。
ジェラールを倒すこと。


「なるほど、な…」

「…ちょっと待ってなの。今、塔の様子を確かめる……開眼オープン

メイデルの近くで浮いている白い玉が模様を変える。
いや、正しくは目を開いた。
それはピンポン玉ではなくメイデル自身の目玉。
その為にメイデルの顔には目玉は付いていない。

2つの目玉はそれぞれ部屋を出て行く。


「これは…」

「メイデルの魔法だ。“視線会話アイコンタクト”」

その名の通り、目玉を通じて会話をすることの出来る魔法。
また、目玉だけを移動させることによって遠くの景色を見ることも出来る。
目玉が見ている相手に幻覚を見せたり、体の動きを止めることも可能。

目線を合わせることで、相手の心を読み取れることも。

「目玉単体で動くってグロイ魔法だな…」

「そうゆう魔法も存在するんだよ…、」


+++


「ひぃ」

ルーシィは小さく悲鳴を上げた。
すぐ横を目玉が1つ、通り過ぎたからだ。

“シモン”

その場の全員に聞こえた声。

「メイデルか。グレイと合流したのか?」

“うん、いるよ。グレイから話は聞いたの。…私も味方だよ”

「分かった。ウォーリー達の事だが…」

“今もう1つが向かってる。戦闘が始まってると見ていいかもなの”

「なるべく急いでくれよ…通信を遮断してるみたいなんだ」

了解、と聞こえてから目玉は閉じてその場から消える。
持ち主の所へ帰ったのだろう。


ミリアーナ、ウォーリー達。

銃をナツに向かって撃とうとしているウォーリーの前に目玉は飛び出した。
それを見てミリアーナとウォーリーの動きが止まる。
ナツはミリアーナのチューブに捕まったままだ。

「みゃー!メイデル、邪魔しないでよ」

“ごめんなの、ミリアーナ。今から話す事を聞いて欲しいの”

2人の動きを止めたまま、メイデルはあったことを話す。
話を聞いた2人は納得して戦闘を中止する。

“そうゆうことなの。ナツ、今の敵はジェラールただ1人”

ミリアーナの拘束から取れたナツはいきなりのことに驚きながらも納得する。
しかし、ハッピーは何処にいるんだと聞いてきた。

そのちょうどいいタイミングでハッピーとフェーリが部屋へ。
再開を果たす。


“倒される前に止められてよかったの。それじゃあ、また。閉眼クローズ

+++



「取り敢えず、みんなそれぞれジェラールの所に向かってるみたいなの」

メイデルの部屋にて。彼女はそう、報告した。
その時…もこっと部屋中に口が現れる。



「“ようこそみなさん。楽園の塔へ。オレはジェラール、この塔の支配者だ。
互いの駒はそろった、そろそろ始めようじゃないか。楽園ゲームを”」

そこから聞こえてきたのはジェラールの声。






*主人公、オリキャラ情報追加。
「セイシル・リンメリー」
コードネーム「スイレン(睡蓮)」
花言葉、純粋な心・信仰

「フェーリ」
コードネーム「カランコエ」
花言葉、たくさんの小さな思い出・あなたを守る