二次創作小説(紙ほか)
- Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.13 )
- 日時: 2014/11/13 21:21
- 名前: らいち。 (ID: mkDNkcIb)
そこで 話が一旦区切られた。
「もうっ。何か、悲しい話になっちゃったじゃん…」
「そう言うな。この話には、一応かわいいオチがある。」
「かわいいオチ?」
シュウ兄の顔が ちょっぴり赤く見えたのは、
気のせいだろうか。
「じゃあ、秀吉を安心させるためにも、
アイツが作ってくれたお粥でも食おうじゃないか。」
また顔に出したくなかったので、
そう言ってニヤリと笑ってやると、
真純は八重歯を見せて 満面の笑みになった。
冷蔵庫を開けると、
秀吉が作った卵粥が 鍋に入ったまま、ど真ん中に置いてあった。
『3分くらい中火にかけてね』
走り書きのメモも ラップの上に付いている。
小6の割に合わないきれいな字。
誰に似たんだ、アイツは…。
温まったお粥を見て、目を輝かせる真純。
俺が小皿に移しているのをじっと見ながら、
「しゅうにぃも、なんかつくってよ。」
と言ったのは 無しにしてほしい。
「悪いが、俺は料理のできない男だ。」
ふーん…とジト目で睨む真純の口に、スプーンを突っ込む。
美味しすぎて食べすぎた真純は、
次の日の朝まで ぐっすり眠ってしまった。
「ふふ…カワイイね。」
奈都はそう言って、
あの日の真純のように 目を閉じた。
まったくの他人で 血は繋がっていないが、
どこか俺達と似ている。
そんなことを思っていたら、
彼女が眠ったのを見計らったようにスマホが鳴った。
『銀弾』
たった二文字。
キールから送られてきた。
きっと、ワームズさんのことだろう。
どう知ったのかは分からないが、
彼が味方であることは認知してもらいたかったので 助かる。
そして、もう一通メールが届いた。
『近いうちに会議を予定している。
残っている仕事があれば、今のうちに片付けておいてくれ。』
ジェイムズからだった。
それはつまり…
ヤツらとの『闘い』が、本格的に始まるということか…
秀一は ダンボールの中からうさぎのぬいぐるみを奈都に抱かせ、
静かに部屋を出て行った。
鉄の鳥から眺める夜景は綺麗だ。
明るい場所、
暗い場所。
全てが当たり前に存在していて、
当たり前に朝を迎えている。
このままこうして、ずっと眺めていたい。
…けれど、
そんなのんきなことは言っていられないのだ。
ロンドン発東京行。
機内の照明は既に落とされ、皆眠りについている。
もうすぐ…
もう少しで…
世界は平和に染まる…
何気なく、胸ポケットからFBIの証明書を取り出してみる。
ヤツらを潰したら…
絶対に、奈都と咲良を幸せにするんだ。
みかん色の光の中にぼんやりと浮かぶ 男の目線の先には、
少し前に撮影し直したばかりの
『FBI捜査官』の顔があった。
秀一。
お前は、自分を責めるな。
心の中でそう語り掛け、
男は エメラルドグリーンの瞳を、そっと閉じた。
この男——ジョン・ヴェルダ—は
真の 銀弾(シルバー・ブレッド)である
ワームズ・芹井へと、姿を変えたのだ————