二次創作小説(紙ほか)

Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.16 )
日時: 2015/03/21 19:56
名前: らいち。 (ID: UcGDDbHP)

今から50年以上も前の事。
イギリスの首都、ロンドンから少し離れた町。

メアリーは セイラ家で長女として誕生した。
次女として、エレーナという妹も産まれた。

父親がSISで 専業主婦の母親のもと、
平穏な日々が続いたかに思われたが 黒い影によって、それは終わってしまったのだ。

例の『黒の組織』によって、家が燃やされた。
当然、両親は亡くなっている。
遺体の確認ができたのは、父親の左手だけだった…。

何とか難を逃れた姉妹は、警察らに事情聴取を受けたが、
子供の言うことだからと 警察の者は 組織のことには耳を貸さずに、
2人を孤児院に預けることにした。

いよいよ離ればなれになる ある日…

「お姉ちゃん…、私 大きくなったら、絶対、あの人たちを捕まえてみせる。」
「私もよ。お父さんみたいにMI6に入って、アイツらに復讐する。」

そう言って2人は、涙を流した。
それを見ていた大人たちも、哀しそうに唇を震わせていた。

癖っ毛でプラチナブロンドのメアリー。
同じく癖っ毛で 赤みがかった茶髪のエレーナ。

あまり似ていない2人だが、
姉妹の愛が そこにはあふれている。

「「私たちの手で、犯人を捕まえよう。」」

重なったその声の後、
周りの大人の嗚咽を後にして 2人は、それぞれの道を歩みだした——


月日が経ち、努力の末メアリーは、
念願のSIS———イギリス秘密情報部に入局した。

そして、長官の鶴の一声で MI6は例の組織を追うため、アメリカへと諜報員を派遣。

そこで メアリーと1人目の夫の間に、秀一が産まれる。
だが、その数年後…
組織への潜入捜査で、彼は命を落としてしまった…。


秀一が産まれた2年後、彼を連れ、
メアリーは日本で 組織の人間、羽田浩司と再婚した。
…もちろん、捜査のためだ。

そこで、次男 秀吉と長女 真純が誕生する。

組織の人間と接触することで エレーナに会えるかもしれない、と少々期待していたが、
彼女は 『約束』は守っていたものの、
真純が産まれる少し前に亡くなっていたことが判明したそうだ。

捜査が本格的になり、
6歳になった真純をイギリスへ帰し、秀吉は 本人の意志で日本に残り、
18歳になった秀一は、FBI捜査官になるため、アメリカに帰った。


エレーナのほうにも、哀しいドラマがあった。

孤児院に入り はや1年で、彼女は 組織の人間に引き取られたのだ。
幹部の人間に科学者として見込まれた。

エレーナは、引き取りに来た人間が ヤツらだということに気がついていたが、
子どもらしく振舞い、あの事件の関係者であることを亡くなるまで隠し通していたそうだ。
もっとも、
その事がバレたせいで 彼女自身と夫が、あの毒薬の被検体になったのだが。
(夫のほうは、薬を飲まされる前に すでに亡くなっていた。)

それはさておき、
彼女も 組織の人間と結婚していた。
マッドサイエンティストとの名がある、宮野厚司である。

彼らとの間にできた子供は2人だけかと思われていたが、
そうではなかった。

驚くことに、有希子、と名づけられた長女が存在していたのだ。

闇の中でなく、明るい光の中で 希望をもった人間になってほしい——
そんな願いがこめられた名前だったという。

エレーナはボスに頭を下げ続け、
組織の人間から 有希子を外してもらうことに成功した。

二度と顔を合わせないという条件つきだ。

それから10年以上もの年月が過ぎ、
次女 明美が産まれ、
その8年後、
最後の子供…三女 志保が産まれた。

志保は、高齢出産だったそうだ。


明美は 才能が見込まれず、監視つきの普通の生活を送り、
志保は 母と同じように科学者として幹部に上り詰め、薬の研究を引き継いだ。

この事については、
メアリーが薬を飲まされる前に耳にしたことらしい。