二次創作小説(紙ほか)
- Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.27 )
- 日時: 2014/12/29 22:33
- 名前: らいち。 (ID: z/hwH3to)
「…さん、芹井さん!!」
「あぁ…、すまない。」
ワタルの呼ぶ声で、我に帰った。
「大丈夫ですか?随分 思いつめた顔していましたけど…」
「僕のせい…?」
佐藤刑事と啓太も、心配そうに 俺の顔を覗きこんでいる。
一瞬、佐藤刑事が咲良に見えてしまった。
「啓太。それはもう言わない約束だろ?」
幻を振り切るように、
片膝をついてしゃがみ、くしゃくしゃと啓太の頭をなでた。
もう 彼が奈都に見えるようなことは無かった。
「うそつき」
「え—————?」
消え入りそうな声で、でも 俺にだけははっきり聞こえる声に、
恐るおそる手をどかすと…
ちゃっかり作り上げたポーカーフェイスで、啓太が見上げていた。
「それはどういう意味かな…ボウヤ?」
すかさず俺も対抗する。
「さぁ…どうだと思う??」
澄んだ瞳は 殺意に満ちた眼差しに変貌し、
啓太はヤツらのようなオーラを放ちながら俺を睨んだ。
「「…」」
そして しばらくの沈黙を、ワタルが打ち破った。
「えぇ?!
松本警視が、行方不明?!!」
「声が大きいってば!」
それをたしなめるのは佐藤刑事。
って…さっきはお前さんが大声を出していただろうが。
「松本警視…か?」
聞き覚えのある名字に、無意識に反応した。
えっ…、と啓太が声を漏らす。
「えぇ。松本清長、刑事部捜査一課・管理官です。」
「左目に 縦に古傷が入っているんですが…どこかで見ませんでしたか?」
ワタルが尋ねた。
「直接会ったことは無いが…。名前には、聞き覚えがあるよ…。」
そう答えながら 目線を動かすと、啓太が腕を組んでいるのが見えた。
——やはり「彼」は黒だな。
すると、こみ上げてくる可笑しさを見越したかのように
啓太はワタルの所に駆け寄り、
「お兄さん!僕、お腹空いた!!」
と いかにも子どもらしく振舞っていた。
「そうか、もう 1時過ぎてたんだった。
ごめんね 啓太君。お兄さんと一緒に、お昼ご飯食べに行こうか?」
「うん!」
ワタルの提案に 素直に従っている。
「じゃあ高木君。
私は引き続き 松本管理官の捜索をするから、その子…頼んだわよ。」
佐藤刑事は そう言い残して、
ワタルの返事も聞かぬうちに部屋を出て行った。
「すみません…慌ただしくて。
では、後日改めてお会いしましょう。
…と言っても、そろそろ…なんですよね?」
ワタルも、身支度しながら尋ねてきた。
「…かもな」
敢えて目線を合わせず、俺は部屋を静かに出た。
通りすがった男性が、軽く会釈した。
俺にもああいう頃があったもんだ…
以前来ていた服が、さっきの男性の服に似ていたのに気付き、
昔のことを思い出した。
———うそつき
同時に、さっきの 啓太の顔が浮かんでくる。
…何を考えている。
あの時俺は、決心したじゃないか。
影を潰し
もし自分自身が影になろうとも、
この世に光を当てるのだと…