二次創作小説(紙ほか)

Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.3 )
日時: 2014/11/10 20:38
名前: らいち。 (ID: 0vtjcWjJ)

0.FBIとの出会い

「はじめまして。」
「はじめまして、彩ちゃん。」

阿笠邸で顔を合わせているのは、ジョディと彩だ。
なぜ自分の名前を知っているのかと驚いている彩に、
ジョディはFBIの証明書を見せた。

「私は ジョディ・スターリングよ。」
「せり…じゃなくて、鈴木彩です。」

彩のおじぎで、
2人の目の前に置いてある紅茶の香りがふわりと広がった。

「あの…ジョディさん、何でビュロウの人たちがここに?」

周りを見回し、彩は尋ねた。
博士の家のリビング。

窓際には3・4人の捜査官、
ソファに座り目の前にいるのは ジョディさんとジェイムズさん、
そして隣には新一にぃちゃんが座っていて、
アンドレさんは離れた場所で、パソコンに向かい何かをしている。

「私達は、日本に拠点を置いている、ある組織を調査しているの。」
「あ、もしかして…黒の?」
「そうよ。」

組織のことは、
昨日 真純ちゃんと別れた後で、
新一にぃちゃんと哀ちゃんから聞いている。

新一にぃちゃんが蘭ちゃんを待ちぼうけさせてることも、
哀ちゃんが組織を抜け出したことも。

そして、
哀ちゃん公認で 志保ちゃん呼び もするようになった。

今日その『志保ちゃん』はいない。
偶然 蘭ちゃんがトロピカルランドのペアチケットを福引きで当てて、
哀ちゃんを誘ったんだ。

博士は、温泉旅行に行っているらしい…。

「それで、君にはいくつか訊きたいことがある。」

ジェイムズさんが眼鏡をキラリと光らせ、口を開いた。

「まず一つ目。あなたの本名ね。」

ジョディも、
今までの一般人オーラは消え、
すっかり仕事モードに切り替わった。

「芹井奈都です。少し色々あって詳しくは話せませんが、
 全てが終わった時には…包み隠さずお話しします。」

少し困っているジョディに、
僕らと同じなんだ、
と新一にぃちゃんが補足した。

「そう…。約束よ。」

そして、
彩の心理を察したのか
ジェイムズは、最後に話すはずだった話をもちかけた。

「彩君…、プログラムを受けるのは…大丈夫かね?」

ジェイムズの言った、プログラム とは、
『証人保護プログラム』のこと。

FBIが、
マフィアから追われていたり、
彼らの重要なカギを握っている人物、
つまり、
証人となる人を守るものだ。

そのプログラムの条件として
証言後は全くの別人になる、というものがある。

名前はもちろんのこと、
住所、
経歴、
家族関係などが
別のものに変わってしまう。

今まで関わっていた人には もう二度と会えないし、
話すこともできない。
そんなことから、
このプログラムを拒む人も少なくない。

彩は、紅茶を少し飲んで

「そうだね…。私には 守られる権利があるし、FBIにも 情報を得る権利があるし…。でも…」

と言葉を濁した。
だが、ソファから立ち上がり、

「でも私、逃げるわけにはいかないの!」

ジェイムズとジョディのもとへ駆け寄った。

「彩ちゃん…」

ジョディも 自身の経験があるので、
まるで自分を見ているようだと思ってならなかった。
それはジェイムズも同じようだ。

「証言はあとでするから、保護のほうはしないで!」
「そうか…」

ジェイムズは、最初から分かっていたように頷いた。
すると、ジョディが身を乗り出し、

「じゃあ、私達に、協力してくれる?!」

と、一般人オーラを出して彩に尋ねた。
青い瞳と視線がぶつかり、彩は思わずたじろいでしまう。

そんな彩を見て、ジェイムズが彼女をたしなめた。

「あ…ごめんね、彩ちゃん。彼から、あの話を聞いたから…。」

彩は
彼…? あの話…?
と、
さっぱり意味が分からない様子だったので、
ジョディは拍子抜けしてしまった。


「忘れたのか…?」


するとそこに、『彼』———沖矢昴が現れた。

姿は昴そのものだが、声は赤井秀一だ。
目も、本来の鋭いものに戻っている。

「えっと…」

どちらの名で呼ぼうか迷っていたが、
そんなことも見透かしているのか

「呼びやすい方で構わない。」

ニヤリと笑みを浮かべ、
そう言ってきた。

「んー。じゃあ、シュウ兄!」

当たり前のようにそう呼ぶ彼女に
さすがに驚いたのか、
コナンとジョディは目を点にして固まってしまった。

「あ、すみません。そっちの説明がまだでした。」

彩は手近にあったメモとペンをとり、
その左手は ある人の名前を記した。

その名を目にしたジェイムズと秀一が顔をこわばらせ、

ジョディとコナンは
ぴりりとしたその雰囲気に、思わず息をのんだ。