二次創作小説(紙ほか)
- Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.39 )
- 日時: 2015/02/24 19:57
- 名前: らいち。 (ID: F3o31y5l)
気まずい空気が流れる車内。
千葉刑事が バックミラーで後ろを見ると、
3人はうつむいていた。
彼らなりに 何か考えているのかもしれない。
そう思って視線を前に戻すと、歩美が 消え入りそうな声で呼んできた。
「千葉刑事…」
もう一度ミラーを見ると、まだ涙ぐんでいる瞳が
こちらを じっと見つめていた。
「歩美ね…前から考えてたことがあるの。」
「考えてたこと、かい?」
すると、何かを感じ取った光彦が 驚いた様子で歩美を見た。
「コナン君と哀ちゃんと、彩ちゃん…
もしかしたら、3人とも…本当は、大人なんじゃないかって…」
「君…そんなことを…?」
千葉刑事にも、思い当たる節は いくつかあった。
彩のことは知らないが…きっと彼女も 同じなのだろうと、
そう思った。
「僕たちは、まだ10年も生きてません…。
そんな僕らが 探偵になろうだなんて、
最初から 間違ってたんじゃないでしょうか…。
メアリーさんの言ってたこと…
『領域外』って言葉は、素直に受け入れるしかないですよ…」
光彦もつぶやいた。
年の割に合わぬ 字のきれいさ。
器用な手先。
どこで仕入れたのかと思うほどの 知識の豊富さ。
テストはいつも、100点。
変に落ち着いた性格。
自分達とはかけ離れたオーラ。
この場にいる4人が、
声に出さずとも 同じことを考えたのは事実だ。
「ねぇ、君達…」
千葉刑事は再び、3人に声をかけた。
元太が 眠っていないかどうかは、定かではないが。
「落ち込むのは 悪いことじゃないよ。
むしろ大事なのは、その後どうするか。
領域外でもできることは何か…それを考えるべきだと思うよ。
少年探偵団のみんななら、できるだろう?
たとえ、たった7歳の、子供でも…。」
彼の言葉は、子どもたちの心に十分反響した。
「じゃあ…この辺で、いいかな?」
米花町。
いつの間にやら みんなの街に、到着した。
「ありがとうございました。」
「ありがとう、千葉刑事。」
「サンキュー」
3人は車から降りると、
バラバラに、返事を返し帰っていった。
「気をつけて。」
寂しそうな後姿。
ランドセルが 何となく大きく見えて、
千葉刑事も 心の中で、小さくつぶやいた。
——僕も ある意味、エリア外…なのかもな…——