二次創作小説(紙ほか)

Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.40 )
日時: 2015/03/12 22:25
名前: らいち。 (ID: DIeJh8tY)

11.領域外で…〔2〕


「ただいまーっ。
 お父さ〜ん、コナン君、今日の夕ご飯はカレー…
 あれ、どこにいるの??」

今日は部活が無いので、
スーパーで買い物をし 早めに帰ってきた蘭。
探偵事務所を覗いてみたが、そこには 誰もいなかった。

仕方なく3階まで上がり
台所にバッグを置こうとすると、
コナンが書いたであろう メモ書きが、テーブルの上に置いてあった。

「『蘭ねぇちゃんへ。
  阿笠博士が 親戚のところに連れてってくれるらしいから、
  今日は 僕の分の晩御飯はいらないよ。
  たまにはゆっくりしてね。  コナン。』
 って…。
 せっかく カレーの材料買ってきたのに〜!!
 お父さんもどこ行っちゃったのよ…」

そう言う蘭は 思わず力が入ってしまい、
ドスン、と置いたエコバッグの中で ニンジンが割れてしまった。

コナンたちに電話を入れようとケータイを開くと、
珍しく 小五郎からメールが送られていた。

「あ、お父さん…」

蘭は この野郎と言わんばかりにメールを読み進めたが、
内容が思わぬものだったので
そんな気は シュルシュルとしぼんでしまった。


〈そろそろ スマートフォンも預けなくてはならない時間だ。
 随分と勝手なことだが、このメールは よく読んでおいてくれ。
 蘭、俺は今 1人の刑事として、警視庁にいる。
 この事件は、今までに解決してきた どんな事件よりも、難しくて 規模が大きい。
 蘭やコナンは協力させてもらえないんだ。
 その代わりといっては何だが、
 東西の名探偵、警視総監の息子、襲撃の貴公子などにも協力を要請するつもりだ。
 もし良ければ、探偵ボウズにも 連絡してやってくれ。
 何かあった時は…
 蘭。
 頼んだ。〉


あまりに 突然のことだった。

「どうして…?
 嫌だ…何よそれ…」

蘭も もう高校2年生だ。
小五郎が、死を覚悟していることは 容易に分かった。

「あぁ、そうだ!世良さん…世良さんは?!」

急いで電話をかける。

数回のコール音の後、
慣れ親しんだ声が 耳に入ってきた。

『やあ!蘭君か?
 一緒に夕飯の誘い?』

真純は いつも通り、陽気だ。

「世良…さん…っ」

その声に、蘭の瞳に 涙があふれはじめた。

『どうしたんだよ?
 ていうか、今どこ?』
「家よ…」
『わかった、今 米花町にいるから、すぐそっちに向かう。』
「うん…」

電話はすぐに切れた。




「ねえ、今の電話…蘭ちゃんからだよね?」
「ああ。奈都も一緒に来いよ。」
「え?でも…」

工藤邸にて。
真純の言う『米花町』は、彼らの家だった。

「さっきも話した通り、ママは合同捜査に乗っかったし…
 イギリスに帰されるか ここにとどまるかが決まるまで、
 随分 時間がかかりそうでね。
 もしかしたら、奈都だって 捜査に加わる前に、
 蘭君と話がしたかったかなって。そう思ったんだよ。」
「それもそうだけど。
 ねえ、ずっと聞きたかったんだけどさ…」
「何?」
「どうして おばさんは…メアリーは、
 真純ちゃんを 捜査に加えなかったの?
 そりゃあ、末っ子の娘なわけだし…」

彩がそこまで言いかけると、
昴が現れた。

「母さんは、奴らに 相当な恨みを抱いている。
 何しろ、実の母親と妹を、奴らに奪われたんだからな。
 また悪夢を見るのが、少しでも怖いのは 間違いない。」

それは 昴…いや、秀一も同じなのだろう。

「だよな…
 シュウ兄が死んだって知らせを受けたときも、
 結構 ショック受けてたから…」

この真純の言葉に、
秀一は彼女に、心の中で 小さく謝った。

「さあ、今は そんな事は気にするな。
 2人で行ってこい。
 俺は 隣の住人に差し入れを作らなければならないからな。」
「うん。ありがとう、シュウ兄。」
「じゃあな。」

2人は上着をはおり、工藤邸を後にした。