二次創作小説(紙ほか)
- Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.6 )
- 日時: 2014/10/26 02:42
- 名前: らいち。 (ID: 8MLsWoCW)
3.小さなエメラルドの哀しみ
「も…もしや君は、彼の娘なのか…?」
「はい…」
ジョンのもとにメールが届くちょっと前の、阿笠宅である。
ジェイムズはとても驚いていた。
「ジョディはまだ、大学生だっただろう。
オレもあの時は、まだ入局したばかりだった。」
と、秀一が付け加える。
「え…? にしては、随分あなた小さいじゃない。」
「あ…、そのことは、後で包み隠さず話しますから。」
「そう…。」
ジョディは少々不満そうだ。
そんな彼女に、彩とコナンは苦笑してごまかした。
すると、
ジェイムズが真剣な顔つきになって彩に話した。
「彩君…、君には、もう一つ言っておかねばならないことがある。」
「はい」
「実はあの後…ワームズさんは、本局で手当てを受け、別の場所に匿われたんだ。」
「え…?」
「つまり、彼は 赤井君と同じように生き延びている。」
「…!!!」
彩は、驚きのあまり無表情になってしまった。
どんなことが彩の脳内で行われているかは、秀一以外知るよしもない。
父親譲りのポーカーフェイスのせいだ。
「ところでさ、ジョディ先生、あの話って何のこと?」
重い空気をどうにかしようと、コナンが声をあげた。
「あぁ…そうだったわ、言うのを忘れてたわね。」
「銀行強盗のときのことさ。」
慌てている感丸出しのジョディをフォローしようと、
秀一も落ち着いた声で続けた。
「突然のハプニングにも動じず、
正確な判断と狙撃で犯人をしとめたって…。」
だが、彩は
「いいえ…
あの時私には、判断力がありませんでした。
いくら私が14歳だとはいえ、もしあの時失敗していたら…
もしあの後犯人たちが、警察にばらしていたら…
どうなっていたことか…。
コナン君、シュウ兄、迷惑かけて、本当にごめんなさい。」
と言って、頭を下げてしまった。
「彩…」
コナンが声を漏らした。
彼女が子供でないことは、この中の誰よりも承知していたつもりだったが、
ここまで自分を追い詰め責めていたとは、
どこまで思考を巡らせても、
あの 秀一に劣らないポーカーフェイスには敵わなかった。
空の色が変わり始め、捜査官たちは帰っていった。
「新一にぃちゃん、ありがとね。」
「いや…、オレは隣にいただけじゃねぇか…。」
捜査官たちが来る前、コナンは彩に
何もしてくれなくていいから、そばにいてほしい
と頼まれていたのだ。
「ううん…。だって…新一にぃちゃんがいてくれなかったら…私…」
彩はそう言って、
無理に作った笑顔から、涙をこぼした。
「お父さん…一人ぼっちにしちゃったよ…」
「奈都…」
コナンは、
俯く彩の背中をさすってやることしかできなかった。
昴も、そんな様子を悲しげに見ていた。