二次創作小説(紙ほか)
- Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.8 )
- 日時: 2014/11/06 01:20
- 名前: らいち。 (ID: BO2eV5at)
額に冷たい感覚がして目が覚めた。
同時に、左手に温もりを感じる。
顔を横に向けると
志保ちゃんが私の手を握って、静かな寝息をたてていた。
「気分はどうだ?」
シュウ兄が何かを持って近づいてくる。
大丈夫、
そう言おうとしたのに、声が出ない。
代わりに出たのは、情けない咳。
「大丈夫…?」
志保ちゃんも起こしてしまった。
まだ眠そうな目をしているけど
背中をさすってくれるその手は優しく、温かい。
「焦らなくてもいいのよ…。ゆっくり休んで。」
「あぃちゃ…ん。」
よく見てみると、パジャマ姿だ。
ずっとここにいたのなら、とても寒かっただろうに…。
「さあ、君は学校があるだろう?
あとは僕に任せて、早く支度しないと…」
「そうね。
こんな小さな女の子に風邪をひかせた酷いお兄さんに
彩ちゃんのことを任せて学校に行かないと。」
「おやおや…。」
志保ちゃんは、
いかにも不服そうな顔をして ドアのほうへと歩きだした。
シュウ兄に対するセリフにも、かなり棒読み感がある。
「じゃあ、彩ちゃん。また放課後も来るわね。」
「うん…。」
別人に変わったような切り替えだったので、寒気がした。
足音が聞こえなくなり、
それを確認したように目元を赤井秀一に戻して、
「落ち着いたか?」
と、
彼は 昴ボイスに合わないシュウ兄口調で尋ねてきた。
「多分。」
半ば強引に飲まされたスポーツドリンクを
ペットボトルごともてあそぶ私を見ているのか、
時々隣から、くすくすと笑い声が聞こえてくる。
「何がそんなにおかし…の。」
まだかすれる声で、
さっきの志保ちゃんのようにシュウ兄をにらんでみた。
「いや…、昔のことを思い出したのさ…。」
「昔…?」
「奈都が4歳のときのクリスマスだ。」
あぁ…。
きっと、あの時の 真純ちゃんとの言い合いを思い出してるんだ。
珍しいな。
この人は、あんまり後ろを振り返らないタイプなのに。
だが、そんなことも見越しているのか、
また強引に 卵粥のれんげを私の口につっこんでくる
『酷いお兄さん』。
「…。」
しぶしぶと飲み込んではみたものの、
やっぱりおいしくて 今日はなんだか悔しい。
「今日は色々なところに用があってな…。悪いが 頼まれてくれないか。」
「留守番ね。」
「正解。」
シュウ兄は、私に『頭ぽんぽん』をした。
どうすれば言うことをきくのか知ってる、ちょっとずるいヤツなんだ。
「…」
1人になってから、
お粥を ゆっくり味わうことにした。
さっき開けたばかりの窓からは、
ちょっぴり冷たい 秋の風が舞い降りてくる。
そのせいか、冷めかけのお粥がとても温かい気がした。