二次創作小説(紙ほか)
- Re: 名探偵コナン夢物語2『闘い…』 ( No.9 )
- 日時: 2014/11/03 03:15
- 名前: らいち。 (ID: f9c/TndF)
5.闇の中の正義
「今日も、特に動きは無し…か。」
喫茶店ポアロのアルバイトが終わり、
エプロンを外しながらつぶやく安室透。
いや、
彼のことは 降谷零(ふるや れい)と呼ぶべきか。
「お疲れ様でしたー。」
「はーい、また明日!」
いつもの爽やかな笑顔で、ポアロをあとにした。
最近、毎日がこんな風にマンネリ化している。
ジンやベルモットに近況報告をし、
毛利小五郎の弟子として周囲を探り、
バイトがてら近所の情報を得る。
『ウソつき…』のあと、随分とヒマになったものだ。
拳銃に関しては まだらしい。
…まぁ、あんなありふれた型じゃ、良い情報は得られないだろうが。
零は一つ あくびをした。
意味はあまり無い。
すると、前から4・5人の子どもたちがやってきた。
「あー!安室のにーちゃんじゃねぇか!」
その中の、ひときわ大きい子が声を出した。
確か…小嶋元太だったっけ?
さりげなく目線を巡らせ、コナン君の姿も確認する。
「やぁ君たち。…おや?今日は何だか、人数が少ないね。」
そう…。
1人は 灰原哀 という茶髪の少女だが、
もう1人…
「そうなんですよ。今日は彩ちゃん、風邪で休んでいるんです。」
彩、というのか。
俺は初めて 彼女の名前を知った。
街の至る所で見かけるので、気になってはいたのだ。
名前に見合わないハーフ顔。
いつも帽子をかぶっているその姿は、
まるで———
「どうしたの?」
歩美ちゃんが俺を見上げている。
その横で、コナン君も同じように見上げていた。
まるで 怪しいものを見ているように…。
「いや…僕の知り合いも風邪をひいているから、
最近流行ってるのかなって、ちょっと心配になっていただけさ。」
「何だ、流行ってんのか?」
まあね、と適当に誤魔化し 再び家路につこうとしたのだが、
何かにつっかかり、その動きは阻止されてしまった。
「ん?」
「ねぇ、安室のおにーさんも一緒に行こうよ!!」
歩美ちゃんの小さな手が、
俺の上着を掴んでいた。
「行くって…どこに…。」
「へへへ…。」
「げ…。こ、ここなのかい?彩ちゃんの家って…」
「そうだよ」
歩美ちゃんが、当たり前のように言う。
君にとっては当たり前なんだろうけどねぇ…。
またかよ。
またココかよ!!
だが、もう後戻りはできない。
何だか知らないが、
みんなは、俺と沖矢さんを会わせたいと思っているらしい。
「もー、早く入りましょうよ!」
「あぁ〜。もう分かったから、押さないでくれるかな。」
『おしゃべり好きな宅配業者の人』
は、もうあの人には会いたくないんだよ!
助けを求めるようにコナン君を見つめるが、彼は冷たい目しか向けてくれない。
あぁ…
もうどうにでもなれ…。
「あれ〜?」
「誰もいないですね。」
「うな重食いにいったんじゃねーか?」
「ハ、ハハハ…」
どうやら、家には誰もいないようだ。
沖矢さんの姿も見えない。
「探偵団バッジで呼んでみればいいんじゃないかい?」
俺も一応参加してみる。
「そうだね!」
早速 歩美ちゃんがバッジのスイッチを入れた。
「彩ちゃーん、どこにいるの?」
『はーい。私の部屋だよ。…ねぇ。』
「何?」
『そこに、誰か大人はいる?』
ん?
この声、どこかで聞いたことがあるな…。
「いるけど?安室さんだよ。」
『そう…。ちょっと着替えてくるから、リビングで待ってて。』
この広い洋館を走って行く3人を見ながら、
思わず怖い顔になってしまった。
だが、
後ろから コナン君の視線を感じたので、
今の顔に営業スマイルをはりつけることにした。
「みんなお待たせ。お菓子あるけど、食べる?」
「「わーい!!」」
数分ほどして、彼女が出てきた。
確かに着替えたようだ。
「あれ?灰原と昴さんは?」
「あぁ。哀ちゃんは帰ったよ。昴さんは、外に用だって。」
「ったく、アイツはすぐわかるんだな。」
コナンは
零と秀一を引き合わせるのはマズいかと思っていたが、
もう終わったことだし…とため息をつき、
ソファに座った。
ポテトチップスをバリバリ食べる元太を笑いながら、
レモンパイを切り分ける彩。
紅茶淹れましょうか?と彩に尋ねる零。
小さくなったままの名探偵は
これからどうしようかと困っていたが、
その一方で
零は 自分の正体を明かそうかどうか迷っていた。