二次創作小説(紙ほか)

Re: 【銀魂】 鬼の鎖 【再会篇】 ( No.4 )
日時: 2015/02/12 23:30
名前: 花火 ◆Pt1jMZuGaQ (ID: Yo35knHD)





 侍の国。この国がそう呼ばれたのは——今は昔の話。
 


 01訓 成敗のしかたって人それぞれだけどやりすぎってよくないよね



 澄みきった青空、青々とした自然、麗かな天候。
 江戸の住民が皆楽しく忙しく動き回っている、その日。


 ——今にも死にそうになっている女がいた。


「あー…お腹が空いた…水がほしい…あれ、綿菓子があるな…あ、なんだ雲か」


 公園のベンチに横になり、虚ろな瞳で空を見ているようだ。
 唇はカッサカサになっており、身につけている着物もあちこち汚れている。


「もう私は死ぬのか…? そうか死ぬのか、分かったパト○ッシュ、ともに逝こうじゃないか…」
「ままァ、あそこのベンチで寝てる人、ひとりで何かぶつぶつ言ってるよー?」
「シィィィィッ! 見ちゃダメ! 指差しちゃダメ! 早くこっちに来なさい!」
  

 どうやらこの女、もう幾日も食べ物にありつけていないらしい。
 無論風呂にも入っていないのであろう。薄汚れた赤髪が物語っている。


「それにしても今日は暑いな…。こんな日はアイスクリームに限る、あっ金ないんだった」
「————師匠ォォォォォォォ!」


 女は重たそうに身を起こし、己の方に駆け寄ってくる子供を見る。
 薄汚れた茶色い髪の少年は、キラキラした笑顔で、両手に袋を抱えながらこちらに来る。


「…随分と遅かったな、一輝イッキ。…何をしてきたんだ?」
「エヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ」
「え、何コイツめちゃ気持ち悪い」


 一輝、と呼ばれた少年は、嬉しそうに抱えていた袋を開けた。
 そこに入っていたのは、大量の酢昆布。赤い小箱が沢山入っている。


「…なんだコレは。アレか、お前は酢昆布パーチーでもする気か」
「実はですね、師匠! 食料を求めて町を彷徨っていたら、ちょうど駄菓子屋にさしかかりまして!」
「うん」
「で、その駄菓子屋の近くに、凶暴そうな犬がいたんですね!」


 相も変わらず嬉しそうに一輝は話す。女はどこか興味なさげだ。


「それでそれで、お婆さんも駄菓子屋に来てた子供達も困っちゃってまして!」
「…ほほう」
「そこを僕が退治したら、お礼にお婆さんがた・だ・で! 酢昆布全部くれたというわけです!」
「いや別にいいんだが、何で酢昆布なんだ。もっとチョコレートとかアイスクリームとかアイスクリームとかなかったのか」


 大きな溜息をつきながらも、まぁいい、と女は袋から酢昆布を一箱取り出した。
 ポリポリと酢昆布を食べながら、ちなみに、と続ける。


「一輝。お前、どうやってそんな凶暴な犬を退治したんだ。…ぼこったのか」
「ま、まさか! 僕は動物が大好きですから、そんな事はしませんよ!」
「そうか。…じゃあどうやったんだ?」


 ぽりぽりと二枚目の酢昆布をかじりながら、女は尚も尋ねた。
 一輝も酢昆布をかじりながら、えへへと照れたように笑う。


「実は、その犬が電柱にむかって用を足してまして」
「…ほう」
「で、その用を足している犬に向かって用を足したら逃げていきました!!」
「なにやってんのお前」


 物凄く冷めた瞳で、女は一輝を見ながら酢昆布をかじる。
 しかし一輝はとても誇らしげに胸を張っている。


「いや〜…他人の為に尽くして得た食料はホントに美味しいですね!」
「犬もぼこられた方がましだったろうよ」
「…ウォッ…この酢昆布一際すっぺェ…。…師匠、この酢昆布めちゃくちゃ美味しいから差し上げます!」
「聞こえてんだよ馬鹿。誰がめちゃくちゃすっぱいのいるかボケ」


 空腹だったこともあり、なんやかんやで一箱たべ終えたようだ。
 …が、それで足りるわけがない。


「一輝、酢昆布もうひと箱よこしてくれないか」
「(なんやかんやで食い意地はるよなこの人)はい、どーぞ!」
「今なんか聞こえたんだが」
「え、気のせいですよ〜」
「いや、お前の心の声てきなやつが——」


「——うオオオォォォォォァァァァァァァァァ!!!!」


「…はぁ…、…一輝、屁をこくならもっと小さくしろといつも言っているだろう」
「明らか屁じゃないですよねェェェ?! ウオァァァっていう屁とか聞いたことないんですけど?!」


「え、じゃあなんだ」


 むくりと身を起こした女が見たのは、物凄い勢いでこちらに向かってくる少女。
 その背後には巨大な白い何かがいる。迫力満点で真面目に怖いやつだ。


「とか言ってる場合じゃなくてェェェ!! 師匠、あの子なんかめちゃ怒ですよ?!」
「アレだ、脳内が中二の夏の人なんだよ。ハイテンションヤッフゥゥゥなんだよきっと」
「意味わかんねーよアンタの頭の中がハイテンションヤッフゥゥゥなんだよ!! ちょ、こっちにきてま——」


「——私の酢昆布たちをよこすネェェェェェ!!!!」
「わぉんっ!」


「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!」



(…あれ、一輝が吹っ飛ばされたようだ)
(オネーサン、頭、定春にザックリいかれてるアルヨ)
(…そういえば随分と視界が赤いな。…そうか…、ついに私は扉を開いたのか)
(何の扉だヨ)



 —


 
切りどころが分からなくて分からなくて( ´∀`)笑
とりあえずは神楽ちゃん登場です。…さて次話どうしよう(・ω・)←