二次創作小説(紙ほか)
- 第1話 ( No.6 )
- 日時: 2017/04/14 18:27
- 名前: 夏目 織 (ID: 5MQ4cIeK)
グオングオングオンブオンブオングオングオングオン
うるさいなぁ……。
朝から工事? 戦争?
「こいぬぅううのぉ、よこにぃはぁあああ、ぅあなたぁぁぁぁぁぁ!」
いや、違う。
だんだん、目が覚めてきた。
これは……そう、いつもの____。
グワワワアアアアン!
「__ぅあなぁーあたぁ!」
グワワワアアアアン!
「ぅあなたぁにぃ、いてほぉおおしぃいいぃいいぃ!」
聞こえてくるのは、ドア越しなのにものすごい破壊力!
昭和のヒット曲を熱唱するのか掃除機をかけるかどっちかにしてほしい!
「シノぉぉぉぉ!! うるさぁぁぁぁい!」
あたし、我慢の限界。ドア越しだし、寝起きだけど廊下に向かって思いっきり叫ぶ。
「あ、サトミ様! おはようございます!」
やっと掃除機の音が止まって、ドア越しからのんきな声が聞こえてきた。
ーーガチャ! って音が出るくらいあたしは大きくドアを開ける。
「朝御飯ですか? それならリビングに用意してありますよ」
シノは、あたしが言いたいことを全ッ然分かってない。
朝御飯じゃない! 朝御飯よりも騒音について!
「ーーど、どうも……」
でもシノ本人は全く気づいてないらしく、キラッキラの暑苦しい笑顔を向けてくる。あたしはシノに背を向けて階段を下りていく。——シノの掃除のお陰か、階段は昨日の夜よりピカピカ。これであの騒音と歌がなければ良いのに。
「サトミちゃん、おはようっ」
リビングに入るとソファにはシンベーをだっこしてケノが座ってた。あたしがこんなに寝起きで何も整えてないのに、シンベーとケノはこんな朝でもキラキラしてる。
「おはよー」
まだ眠い目を擦りながら私はソファに座——ろうとした。
「え……」
開いた口が塞がらない、ってこういうことを言うんだ。
あたしは今まさにその状態で、ケノをポカンと見つめてる。
「何で……」
ーーだって、ケノの肩に……
「……リュー!?」
白いフェレットの……リューがニコニコしながらケノの肩にいた。
- 第2話 ( No.7 )
- 日時: 2017/04/14 19:45
- 名前: 夏目 織 (ID: 5MQ4cIeK)
何でリューがいるのか、何でケノと普通にいるのか、全く意味がわからない。どうして、とあたしはケノに近づく。
「今朝、庭にいたの……」
シンベーを撫でながら話始めるケノの話はこうだった。
朝、ケノが起きて庭を見てみると……お花の横に白い塊があったんだって。で、庭に出てみると……なんと! リューだったんだって!
「なにか、話があるの……かも……」
また、シンベーを撫でながらケノはそう言う。
話って言っても……今更あたしになにかあるのかな?
「とりあえず、部屋につれてけば?」
声がしてリビングのドアを見ると、ミッチーがいた。朝から走ってきたのか、白いタオルを首にかけている。この様子だと絶対話聞いてないよね。
それでも、あたしだってどうすることもできないのでケノからリューを受けとり抱き抱え、あたしは再びピカピカの階段をかけ上がった。
「リュー、話って?」
部屋に入って、ベッドに座ったらおそるおそるリューに聞いてみる。
『里見 サトミに再び試練を与えリュ』
リュー、さっきのニコニコ笑顔はどこえやら。真顔でそう言う。
——試練って、終わったんじゃないの?
「何でまた……」
『今回の試練はおとぎ話が舞台であリュ。試練を成功させないと、里見サトミは、一生おとぎ話のなかであリュ。』
えぇっ!? ーーってことは。
試練に成功しなかったらあたしは一生本の中? お姫様ならちょっと良いかも……ってダメダメ! 本の中で暮らすなんて絶対ダメー!
『白雪姫は前やったから……最初は、シンデレラ。ビーズの色はこっちが決めリュ。』
リューはあたしが腕につけてるブレスレットを見つめながら、どんどん近寄ってくる。
『試練はやリュのか?10.9.7.4……』
数字飛ばしすぎ! あたしは思いっきりリューに飛び付いた。
「やりますッ! 試練、やる!」
ゼイゼイ……。
こんなことで肩が上がる。でもそんな休憩してる暇もなくてーー。
辺りはあっという間に青色の光に包まれた。
- 第3話 ( No.8 )
- 日時: 2017/04/15 08:40
- 名前: 夏目 織 (ID: 5MQ4cIeK)
「ん……」
目を開けるとそこは、見知らぬ場所。
んん? 目を開けると? ってことはあたし……寝てた?
いや、寝てない。さすがに朝起きたばっかりだもん。おじいちゃんじゃあるまいし……。
あたりを見回すとそこら中ほこりだらけ。ついでに言うとあたしの着てる服もぼろい。
ここって……シンデレラの世界なのかな。
「ちょっとぉ、シンデレラ! 掃除は終わったのぉ?」
目の前のドアの向こうから、怒鳴り声。このゆっくりとした口調、どこか聞き覚えがあるような……? ーー何て思ってたら、思いっきりドアが開けられた。
「……!」
たぶん、この世界ではあたし……シンデレラの義理姉。
「まだぁ?」
腕くみして、座ってるあたしを見下ろす……カオルン。
「い、今やってまーす!」
あたし、慌てて答えて近くの雑巾をバケツに放り込む。うぅ、水が冷たいしカオルンの視線も冷たい……。
「あとぉ、十分以内だからね!」
カオルン、そう言ってドアを閉めていった。
十分でこの部屋綺麗にするの!? かなーり埃っぽいよ!?
ーーでも、ここであたしはシンデレラなんだから……ちゃんとしなきゃだよねっ! よーし、やるぞー!
ギューッ。
タタタタタッ
あれ、あたしスリッパ履いてる。……じゃなくて!
全ッ然綺麗にならない!
シノなら綺麗になる方法、知ってると思うんだけどな……ひたすら拭くしかないのかな……?
__十分後__
「終わったぁぁ!」
バタンッ。
うーん、あたし頑張った! 綺麗な床に倒れ込むのって気持ちいー!
「シンデレラ! 掃除は終わったの!? 次は買い物よ!」
少し休もうと思ったのに、ドアの向こうからまた怒鳴り声が聞こえた。今度はカオルンじゃない。
「い、今行きまーす!」
あたしは急いで廊下に出て、近くの階段をかけ下りた。
- Re: サトミちゃん家の8男子『おとぎ話の試練をあたえリュッ!』 ( No.9 )
- 日時: 2017/04/15 08:47
- 名前: 夏目 織 (ID: 5MQ4cIeK)
「いっ、行ってきまーす!」
あたしは一階に降りると、カオルンから受け取った地図とメモを持って飛び出すように外に出る。もちろん、服も着替えたよ。あんなボロボロな服で出るなんて恥ずかしい! って言われたからね。
「買う物は……」
メモの買う物リストを見て、市場の果物やお洒落な布屋さんとかを色々回ってみる。地図を見ながら行くけれど、初めての道は全然わからない!
ーーシュンシュンッ。
「ヘ?」
どこかで聞いたことあるような風を切る音がして、思わず振り返る。
「ーーミッチー!?」
そこには、市場には場違いな格好のミッチーが……!
ミッチーのビーズってオレンジだよね!? ほら、手持ちの手裏剣にもついてるし!
「曲者!」
ーーシュンシュンシュンッ。
どんどんどんどん、飛んでくる。だけど、違う。聞きなれた音だけど……手裏剣じゃない。
しかもよく考えたらあたしに向かって投げてないし! 横の人とか後ろの人とか誰に向かって投げてるのか分からないけどとりあえずダーッシュ!
「ーーここは……」
路地裏を抜けて、あたしが出たところは洋服屋さんの前。あ、地図に書いてあるお店の名前と一致してる。
リストには舞踏会のドレス用の布って書いてあるから……ここで良いのかな。
「いらっしゃいませ〜」
にこり、笑顔で迎えてくれた店員さんはーーケノ。
ケノってビーズ緑だよね。ミッチーといいケノといい……出演めちゃくちゃ!
「何をお探しですか〜?」
「……あ、えっと、布……探してるんですけど……ドレス用に……」
「布はあっちのコーナー……かも……」
ケノが指差す先には、〝布コーナー〟って大きくかいてある。
ケノにお礼を言い、あたしは早速布コーナーに行くとリスト通りに布をかごにいれていった。
青、水色、ピンク、黄緑ーー色とりどりの布を買って、あたしは家に急いだ。