二次創作小説(紙ほか)

Re: LOVE LESS×××~呪いの子とたった2人の執事~ ( No.22 )
日時: 2015/03/22 18:37
名前: あーちゃん (ID: TjCRtQ22)

side:蒼弥

 僕はとある夢を見た。皆にこの事を話しても笑って嘘だとか言ってそのままだから、話さないけど。
とにかく、僕は夢を見た。意識を失っているのに夢を見たってのは、ちょっと可笑しいか。
目の前に僕が居たんだ。

飛鳥姉が前に見せてくれた、昔の資料の中に居た「シャノワール」っていう子に似た衣装を着た僕が。
似た衣装っていうよりも—僕が着ているからちょっと違和感があるんだろうけど。ー一部分が似た衣装って言った方がいいと思う。だって、シャノワールみたいなセーラー服じゃないもん。猫の毛皮に似た服とズボンで、手と足には猫を型どった手袋、おまけに頭には僕と同じ?様な黒猫の耳がついていた。腰骨のあたりには、これまた僕と同じ様な黒猫の尻尾が。
まあ、そんなシャノワールに似た僕が目の前に立ってニコニコしていた。


「___、____」
君は、誰?そう聞こうとしたけど、声が出ない。そういえばこの前、首を切って死のうとしたんだっけ。命に別状はなかったけど、起きてからすぐと、風邪を引いた時には全く声が出なくなる。
それに、この前の自殺未遂は酷かったらしく、目が覚めた時、森羅に叩かれて、「次、貴女が自殺未遂をしたなら、貴女を見れなくなるようにしますから!」と怒られた。
僕が声が出ずに戸惑っていると、向こうから声を掛けられた。
「やあ、僕はレン。君の呪いが実体化した者だと考えていいからね。本題なんだけど、君の心を少しだけ覗かせて貰ったよ。そして、僕と君の共通の願い、<外の世界に行く>ってのを叶えさせてもらったよ。君も外に出たいだろうし、僕も同じだ。それと、君には<外の世界>に出る為の“代償”を貰ったからね。あっ、もうそろそろ時間だ。最後になるけど、ありがとう、楽しんできてね。僕の大切な————」
えっ、ちょっと待って!聞きたい事はたくさんあったけど、バイバイと小さく手を振るレンの後ろから光が溢れて………

 目を開けた時、いつもの天井が見えた。
周りを見渡すと、扉の横に朱雀が寝ていた。それも、椅子に座って。
「風邪引いちゃうよ?」
僕はクスクス笑いながら、体を起こした。でも、立とうとしたとき、足が痛くてしゃがみこんだ。
慌てて足元を見る。そして青ざめた。
膝から下がなくなっていたんだ。
でも、物理的に消える訳がない。もしかして、これがレンの言ってた“代償”………?
『そうだよ。よくわかったね』
頭の中に声が響いて、僕は反射的に耳を塞ぐ。けれど、頭の中の声は、僕がそうやったのをまるで見ていた様にクスクス笑っていた。
『耳を塞いでも無駄だよ。僕は君の中に居るってことを忘れないで。代償については“等価交換”だよ』
等価交換。名前だけなら知ってる。
『君は“外に出たい”っていう願いをもった。他の人はその願いをかなえなかった。でも、君は願いをかなえた。その意味が解るよね?』
えっ、うーん、他の人の魂が僕の願いに付与されて、何十人の願いになっちゃた、ってこと?
『そう。本当は一人一人に代償を貰うんだけど、彼らは実体化しないからね。君に全部払って貰ったってこと。ゴメンネ。目だと、僕の願いが叶えられないから、足を貰った。二人の有能な執事が居れば、生活に支障がないはずだよ。本当にゴメンネ。僕もちょくちょくお話に来るから。じゃあね♪』
その言葉を最後に頭の中の声はなくなった。

でも、現実を受け入れられずに悲しさがこみ上げてきて………
気付いた時には僕は泣いていた。
頭の中がぐちゃぐちゃで、何をしたらいいのか解らなくなって………
朱雀が「蒼弥様!?」と驚く声が聞こえたけど、もうどうだっていいや。
僕が何度も願っても、僕の大切なモノは戻ってこない。
本当に、本当に………