二次創作小説(紙ほか)
- Re: ヒビキたちの物語 ( No.26 )
- 日時: 2016/02/07 10:04
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>25
遅れてすいません…
15話:謎の電話 ~初のホラー編!~
俺たちの罰ゲームが終わり、みんなは普通に戻った。シルバーも、もういいよと言い終わった。
みんなでごろごろ漫画とか、本を読んでた。
俺は普通に面白い漫画を読んでいて、ギャグが入るとくすりと笑ってしまう。
みんなも同様、たまにくすりと笑い声が聞こえた。
今気づいたが、少しずつコトネとシルバーも仲良くなってきているみたいだし、よかった。
少し安心した。…だけど、心配なことがただひとつ。レッドさんが2人に何か言わないかだ。
まあ、確かにレッドさんなら言わないとは思うけど、心配だ。
ぷるる…ぷるるるるる
ん?電話?母さんかな…?いやでも…、家の固定電話だし…
「はい、もしもし。ヒビキですけど」
『………死ね』
「え…?」
『……死ね、死ね』
「だ、誰ですか?」
『……………』ブチッ
……な、なんだ?い、今の電話…
コトネ、シルバー、レッドさんが俺の方を向いていた。
「どうしたの?ヒビキくん。なんか震えてるけど…」
心配そうにコトネが言う。すると、シルバーも
「お前が震えるなんてらしくないじゃん。どうしたんだよ」
と言った。レッドさんの方をちらっと見る。何か考え込んでいるようだった。
すこしたち、レッドさんが口を開けた。
「なぁ、みんな知ってるか?」
「「「な、何ですか?」」」
「噂っていうか、都市伝説っていうかなんというか…わからないけど、一応、話すよ」
あるとこにまさきくんっていう男の子がいたんだ。まさきくんは普通に生活していたんだ。
でも…ある日突然、知らないやつから電話がかかってきたんだよ。
まさきくんはすこし動揺した。
「誰?」
ってな。そして、電話の向こう側から声が聞こえた。
『………死ね』
と。まさきくんは怖くて、
「誰っ!?」
って叫んだんだ。
また
『……死ね』
って聞こえた。ここでまさきくんは電話を切ればよかったんだよな。
でも切らずに
「誰なんだよ!?」
と言った。電話は
『………ブチッ』と切れたんだ。
まさきくん、怖さのあまり、そのあと何も口を開けなかったんだ。
そして、次の日も次の日も、電話はかかってきた。もういやだと思いダメもとで親友に、
「せいくん。少しの間、僕の家に泊まってほしいんだ」
と頼んだんだ。ちゃんと理由もつけて。
せいくんはホラー系なんかが大好きだもんで、快くOKしてくれたんだ。
…電話がかかってきた。まさきくんとせいくんで、二人で出たんだ。
すると、
『あははははははははははははははははは』
狂った笑い声が聞こえた。
これを聞いたまさきくんも
「あはは…アハハハハハハハハハハ」
と、とうとう狂ってしまった。
まさきくんはせいくんによって精神病院に送られた。しかしその後、まさきくんは亡くなった。
せいくんはとても悲しんだんだ。それからせいくんは、どうしてこんなことになったのか考えてみた。
けどなんもわかんない。…すると、電話がかかってきた。
「はい、もしもし?」
せいくんは、その電話に出たんだよ。
「アハハハハ、せいくんも僕と同じになろうね。
アハハハハ…アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
せいくん、耐えられなくて狂っちゃって、その後自殺したんだ…
電話の声の主は…死んだまさきくんだったんだよ。
だけどまだ、まさきくんに電話をかけた声の主は謎のままらしい。
コトネは、口をぽかーんと開けていた。シルバーは、難しい顔をしていた。
俺はその話を聞いていて、背筋がゾクゾクっとした。まさか、さっきかかってきた電話は…
ぷるるるるる…ぷるるるるる
誰一人、この電話の音に気づかなかった。
続く
次回→>>27
- Re: ヒビキたちの物語 ( No.27 )
- 日時: 2016/02/07 10:08
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>26
16話:呪われた?
どうしてこんな事に…
そうだ、俺がそもそも電話を取らなければこんなことにはならなかったんだ。
はは…俺はとんでもないバカだった…あのとき少し変だなって思ったんだよな…
「ヒビキくん、元気出して。きっとなんかのイタズラだよ。…ね?」
イタズラだったらそれはそれで嫌だ。でもコトネがそう言ってくれたおかげで、
気持ちが楽になった。
「人を怖がらせたかったんだろ。面白半分でやったんだろうな。深く考えない方がいいぜ」
シルバーもそういう考えのようだった。そうだよな、深く考えない方がいいよな…
レ、レッドさんは…
あ、なんか考え込んでるみたいだ…
「レッドさん。レッドさん自身はさっきの話どう思ってるんですか?」
「俺か? …俺は少しおかしいと思っているよ」
「なんでですか? 別におかしくなんてないと思いますけど…」
「なんで亡くなるんだよって感じなんだよな。狂った→精神病院→治らない、
でいいじゃんか。そう考えるとおかしいよな」
確かにおかしいって言えばおかしいかもしれない。
でもどうしてそう思うんだ? ……あっ! そういうことか…!
「レッドさん!!」
「…!! ど、どうした? ヒビキくん…」
「あ、あとコトネとシルバー!!俺わかったんだ!」
「どういうこと? ヒビキくん」
コトネが首をかしげた。
俺はゆっくり口を開いた。
「まさきくんは…呪われたんだよ」
続く
次回→>>29
- Re: ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.29 )
- 日時: 2016/02/07 10:09
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>27
17話:せいくんは?
「まさきくんは…呪われたんだよ」
「…は? 今なんつった?」
「だーかーらー! まさきくんは呪われたんだって!!」
「んなわけないって。本当にホラーじゃんか」
やっぱり信じてもらえないか…ちょっとばかり信じてもらえないとは思っていたけど…
「ないとは限らないよ? 本当にヒビキくんの言った通り、呪われていたのかもしれないし。
その声の主はもうこの世にいない者だったんじゃないの? ……あ」
コトネがゾッとしたように小さく声を出し、固まった。ん? とは思ったが、
コトネの言ったことを思いだし、考えてみたら、確かに怖かった。ゾッとした。
「俺もヒビキくんとコトネちゃんの意見に賛成かな。俺は怖いの全然平気だから、
コトネちゃんの言ったことも確かにそうだな、とは思うよ。
本当にその可能性もあるかもしれない。でも…ヒビキくんは確か呪われたって言ったよね」
俺は小さく頷いた。するとコトネが言った。
「…もし、もしだよ? …まさきくんが呪われたんだとしたら、せいくんは?」
…せいくんは? そうだ、せいくんはどうなんだ?
確か…耐えられなくて狂って自殺したって言ったような……
呪われていた声の主(一応この世にいない者としよう)から電話→まさきくん電話に出る→
その後、精神病院で死んだ→せいくんに電話→死ぬ。
っていう順序だよな。
繰り返される呪いの電話ってことか? そしたら辻褄は合うのか? ん? ん?
「ヒビキくん、大丈夫? なんか顔色悪いみたいだけど…?」
「…え? あぁ、ごめん。ちょっと考えごとしてたからさ」
「私ね、終わらない呪いの電話だって思うんだ。そうしたら、
せいくんだって呪われていたかもしれないってことになるでしょ?
だから…もしかしたらってことでね…! 辻褄合うでしょっ?」
「…お前……」
「あ! ごめんね! 私の考察だから!」
「俺も同じこと考えてたんだよな。ははっ!!」
「……っ!」
「ん? 顔赤いけど…」
「なっ、なんでもないっ!!」
「そうか…」
「「………」」
あ、なんか話ずれちゃったな。すまん。
「という考えなんですけど、レッドさん」
「うん、確かに辻褄は合うね。俺の考えは、耐えられなくて狂った。なら、
死んだまさきくんを思い出して苦しくなったと思うんだ。
まさきくんは呪われたとは思うけど、せいくんは違うと思うんだ」
「……おぉ」
確かにそういう考えをすることもできるな。別に呪われたわけではないっていう考えか。
さすがレッドさん。
「…? どういうことなんだ?」
あぁ、ここにわかっていないやつがいた。説明しにくいな…
「まさきくんは呪われたけどせいくんは呪われたわけじゃないってことなの! わかった?」
「あぁ、そういうことか! ありがとう、コトネ」
コトネの説明で、わかったのかよ。なんだこいつ。
「これで2つの仮説ができたね。なんか考えるほど、話の内容が奥深くなっていくな」
レッドさんが言う。また俺のところに電話がかかってくるのだろうか…
チラッと電話の方を見るがかかってくる様子はなさそうだ。
しかし、この話には秘密が隠されていたのだった。
続く
次回→>>30
- Re: ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.30 )
- 日時: 2016/02/07 10:10
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>29
18話:命が危ない
「ヒビキくん…どうして私を残して逃げたの?
あんなに私のこと思っててくれたのに…裏切ったんだね…」
「……っ!! いやっ、コトネっ!! 俺は、そんなつもりはなかったんだ!!
た、ただ、あんなことになるとは思わなくて……」
「あはは…全部言い訳じゃない…絶対助けてやるって……言ってくれたのに…
約束してくれたのに…裏切り者じゃない!」
「……コ…コトネ!!」
「ついてこないで! 私はもう…………」
「…? もう?」
「………………殺されたから」
「うわあぁぁぁ!! …はぁっ、はぁ…」
「うう…? …ヒビキくん? どうしたの?」
「い、いや…なんでもない。はぁ、はぁ」
「わ、悪い夢でも見てたの…? すごい汗びっしょりだけど…大丈夫?」
コトネに心配させてしまった…夢のなかの張本人に心配させるとはすっげー変な気分だ…
なんだろう…言葉にできないな…
「あんまり考え込まない方がいいよ? 夢にも出てくるからね…それに無理しすぎちゃうと、
体に影響も出るし…」
「ぜ、全然大丈夫だよ! 気にすんなって!! ははっ」
「……そ、そう…まだ2時30分だね…夜って長いなぁ…」
「だな」
プルルルル プルルルル
「…こんな時間に誰だろうね」
「出てみるよ。……? あれ、なんか立てない…足が動かないな…」
「悪夢見ちゃったからビックリして立てないんじゃないの? 私が出るからいいよ」スタスタ
このときに気づけばよかったんだ…あの話に隠された秘密に。
「はい、もしもし?」
『君は誰?お友達?』
「お、お友達…? えーと、お友達といえばお友達ですね」
『それはよかった! お友達じゃなかったらどうしようかと思っちゃった! 安心、安心!!』
「は、はぁ…」
『明後日、君たちをある場所に招待したいんだ!!』
「招待…?」
『そう! 招待!! また電話するから楽しみにしててね!!』
「は、はい!」
コトネの言っていることを聞いていると、電話の人が何を言っているのかわかる気がする。
『あ、そうだ。もう1つ言いたいことがあるんだ』
「な、なんでしょうか」
『ヒビキくんという子に、君の命が危ないと言っておいてくれ。もしかしたら、
招待する場所に「そいつ」がいるかもしれないから』
「え!?どういうことですか!?」
『…それは…あ、ごめん、用事があるから切らなきゃ。あの都市伝説の秘密がわかれば、
わかると思うよ。じゃあね』
「え! あ、さよなら!」ガチャン
「ヒビキくん…君の命が危ない。早くあの話の秘密を見つけなきゃ」
「…? よくわかんないんだけど。意味を…」
「…話の秘密がわかれば、解けるんだって。とにかくどうにかしないと、いけないの!
シルバーとレッドさんがいないけど、考えよう!」
「…あ、あぁ」
よくわかんないけど、秘密を暴かなきゃいけないらしい。命が危ないということは、
誰かに狙われているのか。いいよ、秘密を暴いてやるよ。
続く
次回→>>31
- Re: ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.31 )
- 日時: 2016/02/07 10:17
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>30
3ヶ月ぶりの投稿です^^;
遅れてすみませんでしたぁああああああああああ!
19話:なんでわかるの?
「えーと…こういうことだと思うんだ…」
「んー、違うと思うんだけどなぁー…」
「かっ、仮説だからっ」
結局誰が犯人なのか。あと、俺は他にも気になっていることがある。
…それは、電話の向こうで話していた奴は誰だったのか。コトネに聞いてみたが、
誰かはわからないと言っていた。うーん……
「ヒビキくん!! なんか謎が解けたよ!!」
「まじか。で…なんだ?」
すると、コトネが俺の机からメモを取り出し、そのメモに書き始めた。
「まさきくんは死んだ。これはせいくんが知ってるでしょ?」
「あ、あぁ」
「でも…せいくんは自殺した…これは誰がよく知ってる?」
「せいくんが自殺したことか? …警察とかじゃないか?」
「そう。でも頻繁に電話がかかってきたことが詳しくは警察がわかるわけないでしょ?
せいくんはまだ警察や病院の人になにも話してないもの」
「た…確かに…」
「これが秘密なんじゃないかって…ね?」
す、すごいなコトネ…ここまでよく解いたな。
「じゃ、もう解けそうにないし休もうか」
「あ! そうだ! ヒビキくん!」
「ん? なんだよコトネ。また秘密を見つけたのか?」
「いや、明後日になんか私たちを招待したいとかなんとか……」
「あ、さっき言ってたことか! おっけー!」
失敗だった。やめとけばよかったんだ。
そうすれば………
…………じゃなかったのに
続く
ゆーいから
遅れてごめんなさい。
最後の文章は今後の物語でわかると思います^ ^
次回も遅れてしまうと思いますがこれからもよろしくお願いします。
それでは!!!!!!!
次回→>>32
- Re: ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.32 )
- 日時: 2016/02/07 10:16
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>31
久しぶりの投稿です!!
あ!いつの間にか参照が450超えてる!
皆さん見てくださってありがとうございます!!
これからも頑張りますよー!!
20話:ハプニング (少し長め)
「ん…あ…?もう朝か」
俺は窓から射す太陽の光で目が覚めた。何時かと時計を見る。…もう朝ではなかった。
10時15分だった。秘密を考えてからもうこんなに時間が経ったのかと自分で驚く。
「さて…そろそろ起きるか。あれ、そういやコトネは…?」
シルバーとレッドさんは、コトネと秘密を考える前に寝た。今もまだ寝てるし。
コトネは…「休もうか」って感じの話をして、寝てから見てない。辺りを見回すと、
コトネのバッグが無い。いつの間に帰って行ったのか。重いものをどかして起き上がる。
重いもの…?
自分が寝てた所を見ると毛布があった。寝るときは掛けていなかったはずだ。
……コトネか。やっぱりコトネは昔から優しい。俺には優しいなんて言葉は似合わないが、
コトネには似合う。…ヤバイ。なんか、口がにやける…
「何をしようか…朝飯には遅すぎるし昼飯には早すぎるし…うーん」
…考えても無駄な気がしたのでとりあえず俺は下に下りることにした。
下に下りると、テーブルの上に紙が置いてあることに気づく。
紙に書いてある内容を読んでみることにした。
ヒビキくんへ
おはようヒビキくん! またはこんにちはヒビキくん!
良い朝(お昼)だね! 目覚めはどう? すっきりしてる?
私、一旦家に帰ることにしたよ!! 勝手に帰っちゃってごめんね!
今日もシルバーとレッドさんと遊ぼ!!
招待のことも言いたいしさ。…招待…誘った方がヒビキくんも良いでしょ?
い、嫌ならいいけどさ。
10時30分にはヒビキくん家に行く予定だからさ。それまで何かしてて
いいよ〜。シルバーとレッドさん起こしといてくれるとありがたいな。
そういうことでよろしくね。
コトネより
…さすがはコトネ。いつもながら元気がいい手紙を書くな。
10時30分には行く予定って…もうすぐじゃないか。ったく。てかいつ書いたんだ、これ。
コトネが来るまでシャワーでも浴びるかな。いや、その前に二人を起こしに行くか。
あの二人がまだ寝てるのは不思議に思う。再び上に上がり自分の部屋のドアを開ける。
そして寝ている二人に大ジャンピング…とまではいかないが、二人の体を叩く。
すると痛そうにシルバーが唸り声をあげる。
「う"う"う"…い"い"…う"う"…いったー…ん? なんだヒビキか」
「騒がしいな…なんだ…?」
「なんだじゃねぇえええええ! 起きろぉおおおお!!」
「朝から大声出すなよ…ってもう10時20分なのか……」
「あれ、コトネがいない。ヒビキ。コトネは?」
シルバーは時間に驚いてるし、レッドさんはいつもの呼び方じゃないし。
どうしたんだ一体…
「と、とりあえず起きて顔洗って。寝起きはキツいだろうし」
そう言うと二人は、起き上がって下に下りていった。
「シャワー浴びよ……」
結構疲れが出てきた。早くコトネが来てほしい。俺は寝起きの二人には相性が悪いみたいだ。
下に行くと何やら二人の話し声が聞こえる。俺はその話にそっと耳を傾けた。なになに…?
「そういえば昨日の話覚えてますか」
「なんだ? 昨日の話って」
「あの都市伝説ですよ。まさかもう覚えてないんですか?」
「いや、覚えてるよ。せいくんの話だろ。俺はそんなに記憶力は悪くないんだよ。
そこらのじいさん達じゃないんだから」
「そうだよな。そこらのじいさん達とは格が違うからな。ってやば」
「別にタメ口でもいいんだよ。君みたいなタイプが敬語だとなんかおかしいからね」
「じゃあ、今度からはタメ口で話す。癖が出たりすると困るし」
「ああ。文句は言わない。全然良いしね。ーーーーー・・・」
…もう俺は聞く気が無くなった。集中力が切れたってことさ。
バスタオルとかを持って風呂場に行く。さっきの話は…まあいいかな。
ーーシャワータイムーー
コンコン
「…入るよ、ヒビキくん」
「なんだ、コトネ。ヒビキなら今シャワー中だぜ」
「…別にシルバーに言った訳じゃないし。ヒビキくんに言ったの」
「相変わらず俺には素っ気ないのな」
「あ…ごめんね。また変な私が素っ気ない態度見せちゃった」
コトネはえへへと笑うと俺の手前に座った。俺は顔をコトネから背けた。
レッドさんはというと、トイレに行っている。
ガララ
お? ヒビキが出てきたか? コトネの赤くなる顔が見れるな。
…って俺は何を言ってんだか。コトネへのちょっとした変態行為かよ。
「はーさっぱりした。シルバーごめん、長くなっ……コトネ…さん」
ヒビキは顔を少し赤くし苦笑いをする。今のヒビキの格好はというと全裸…ではないが、
下半身にタオルを巻いているだけである。俺は想像したヒビキの格好とは違い、驚いた。
コトネの方を見る。ヒビキより顔を赤くして(よく見ると真っ赤)口をパクパクしてる。
ヒビキの体を見て興奮しているのか、驚いているのかなんなのかよくわからないが、
恥ずかしがっているのは確かだろう。
まあそうなるのは仕方のないことだった。ヒビキの年齢は14だ。他のやつらより体つきが良い。
もちろん俺よりも。しばらくの沈黙が続き、シーンとなる。なんだこの空気。
するとようやくコトネが口を開いた。
「ヒ、ヒビキくん。そんな格好してたら変な、女の子たちにね、狙われちゃうよ…?」
俺には、言葉がガタガタでよく聞こえなかった。ヒビキはどうだか知らないが。
その言葉に対し、ヒビキは
「ごごごめん!! い、今すぐ着替えるから!!」
めちゃくちゃ焦っている。なんか嫌な予感がするが、それは心の片隅に置いておくことにしよう。
ヒビキはすぐさまダッシュした。
あ、ヤバイなあいつ。
滑って転んだ。コトネは今にも泣きそうな真っ赤な顔をして目をそらす。あぁ、見ちゃったかな。
見たらしょうがない、もう手遅れだ。ヒビキが体をガタガタ震わせ立ち上がる。
さぞかし体と心が痛いだろう。もう呆れてしまう。
「は、早く着替えよう…? ヒビキくん…」
この言葉はコトネなりの優しさじゃないか?
だがそれが今のヒビキの心をキリキリと痛みつけると、俺は思う。
「ああ、うん…そうだな」
そう呟き二階ヘ上って行った。
これは、ヒビキにとってもコトネにとっても黒歴史となる大ハプニングなのだろう。
続く
あとがき
今回は、久しぶりの投稿ということで遅れた分長くしました。
長いのが嫌って方は、すみません。
多分今回の文字数は計2706文字だと思います。これでも私なりに
頑張りましたよー!!
次回もよろしくお願い致します。それでは〜
次回→>>33
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.33 )
- 日時: 2016/02/07 10:18
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>32
21話:誘え
「…………………」
先ほどの大ハプニングから約20分くらいが経過しただろうか…
俺、コトネ、シルバーはずっと黙っている。あぁー…つらいわー…
もしかしたらコトネにとっては大したことじゃないかもしれない。
が、俺にとってはものすごく恥ずかしい出来事だったのだ。死ぬほどな…
あのとき…滑って転んだ時は心の中で、ああ死んだな俺。もう一生お婿にいけないと思った。
コトネも俺に心の奥の底から呆れているだろう。
「あのさ、ヒビキくん…」
あ、これ絶対なんか言われるタイプのやつだ。
「さっきのこと、全然気にしてないからね…? あ、安心していいよ?」
さっきのコトネの様子からして安心できません。
「ヒビキ、俺も気にしてない。安心してお婿にいけるぞ」
ちっ…お前は俺の気持ちわかってないだろ…この屈辱的な気持ちを。
「はぁああああああああ……」
二人がびっくりしたように肩をビクッとさせた。
俺は目撃したぞシルバー、お前の口が少しばかりにやけたのを…!! 許さんシルバー
「はー、シルバー、ヒビキくんは出たか? …って、ん?どうしたんだ?」
あなたにはわからないでしょうねぇ!!
そうですよ、こんな状況に入ったら誰だってそうなりますよ!
「え、えっと…! 実は、レッドさんとシルバーに話したいことが…」
「話したいことってなんだ? コトネちゃん」
なんだ、コトネ。なんか言うのか?
「実は、今日電話がかかってきて…明後日に私たちを招待したいとか…」
「へー、いいよ。俺、別に暇だし」
「俺も用事ないし行く」
即座に答えたな。てゆーか、コトネと行きたいだけかもしれない。
プルルル プルルル
「…なんだ? 電話…?」
「ヒビキ、出ない方がいいと思うんだが」
そんなこと言われたってなぁ…気になるし。
カチャ
「はい、もしもーし」
…ツー……ツー……ツー……ツー……ツー…
……アア、デデクレタンダネ、ウレシイナ。アサッテキミタチノモトニイクカラタノシミニシテテネ
ガチャン!
「どっ…どうしたんだよヒビキ! いきなり切って!」
「ヒビキくん…どうしたの? なにがあっ…」
「ハァッ…ハァッ…なんでっ…しゃべって…!」
「しゃべって…? どういうこと? ヒビキくん」
「……切れてたのに……!」
続く
あとがき
えーと、半角カタカナのところは
……ああ、出てくれたんだね、うれしいな。明後日君たちのもとに行くから
楽しみにしててね。
って言ってます。あそこの場面読みにくいと思うんで、ここ読めばわかると
思います…。次回もよろしくお願いします。
次回→>>34
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.34 )
- 日時: 2016/02/07 10:19
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>33
22話:圏外
なんの電話だったのかわからないままあっという間に二日が経った。
俺はもう精神的にヤバかったが、なんとか正常な意識を保った。
ただ正常な意識を保つのが精一杯だったため、ずっと喋れなく黙っていた。怖かった。
まだ精神がきつい状態だから招待された場所へ行くのが嫌だった。
誰だってこんな状態で行くのは嫌だろう。でも、もう迎えが来てしまっている。
「おはよう! 君と会うのを楽しみにしていたよ。なんせリーグチャンピオンだからね。
まぁヒビキくんが有名なのは知っていたよ」
だから知らない人に会うのは嫌なんだ。別に母さんはとうぶんの間帰って来ないからいいんだけど…
旅にも出てるし俺の母さんが今居たとしても心配しないだろう。…それはそれで寂しいけどな。
「ヒビキくん、調子はどう? みんなで旅行なんて随分行ってなかったから私凄く楽しみ!
…気分悪かったら言ってね。一昨日はあんなことがあったしさ」
コトネはきっとわかっている。俺の気分があまりノッていないことを。
だからそんなことを言うのだろう。
「大丈夫? ヒビキくん。…あんまり無理しない方がいいと思う」
今日のレッドさんは他の人がいるから大人しくて無口気味なのだと俺は思う。
そういえばシルバーは…? あ、居た。思い出した、トイレに行ってたんだった。
「遅れてごめん。そろそろ出発の時刻か?」
「そうだよ。いやー、人数が多くていいね。テンション上がるよ。こんなに多いと
修学旅行に行くときみたいだね。ハハハッ」
修学旅行って…おじさんはポケモントレーナーじゃないんだ…学生育ち?
「じゃあ出発するよーちゃんと車に乗ってねー」
結構大きな車だ。俺たちは言われた通りちゃんと、車に乗った。
「スピードが速くなったり遅くなったりするかもしれないけどそこら辺は許してねー」
その言葉と共に発車する。スピードは…速めみたいだ。
———・・・あれからどんくらい走ったのかな。今、山のなかをガタゴト走っているが、
『山のなか』を走っているので、自分達が現在どこら辺にいるかよくわからない。
着く気配も全くないし…てゆーかどこに行くのかさえわからない。
キキー!!
「うわぁ! な、なんだ!?」
いきなり車が止まり、心臓がバクバクしていた。
「ど、どうしたんですか? 故障とか何か…」
「…少し迷ったみたいだね。近道しようと思ったら間違った道を通っちゃったみたい。
どうしようか…連絡するにも僕携帯持ってないしなー」
「…携帯なら俺、持ってますよ?ジュンサーさんに連絡、とってみましょうか?」
「……!! お…おぉ!! さすがリーグチャンピオン! 役にたつもの持ってるね!
よし、かけよう、今すぐ連絡しよう」
「はい、ちょっと待っててください。…あ、あれ? おかしいな」
「ま、まさかヒビキ…圏外じゃないのか…?」
「…あぁ…圏外だ」
「え…圏外…!? 嘘でしょ…そんな…」
こういう展開はホラーゲームでよくある。道に迷って、助けを呼ぼうと電話をかけようとした。
でも圏外だった…これは安定の圏外といえるだろう。
「どうにかして、この山を抜けよう」
レッドさん……
「ん…? 誰か人がいるね。ちょっと待っててくれないかな」
おじさんはそう言うと車から出た。確かに外に誰か人が居た。
…でもおかしくないか? 何でこんな山に人がいるんだよ。
少し経つとおじさんは帰ってきた。
「…みんな! 近くに旅館があるらしいんだ! あの人は旅館の女の人だったよ!」
「本当ですか!?やったぁ…ここで死ななくてもいいんだね…」
コトネ、それ言っちゃいけない。
「それじゃあ行こう! これで少しの間は泊まっていられるね!」
俺たちは外に出て、旅館の女将さん(なのか…?)が言う旅館ヘと向かった。
続く
あとがき
随分遅れた投稿でしたが、どうでしたか?
今回からホラー編の『恐怖の旅館』シリーズ(っていうのかな?)です。
この話はちょっと話の合う知り合いと考えたものです。
それでは!!
次回→>>36
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.36 )
- 日時: 2016/02/07 10:20
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>34
23話:旅館
山の中を歩いていくと女将さんと思われる女性が言っていた旅館が見えた。
「ここが言ってた旅館か。なんか古く感じ…歴史を感じるな」
シルバーが言っちゃダメなことを言いかけた気がするけど、気にしないでおこう。
「ありがとうございます。部屋はどんな風に使えば…」
「普通に空き部屋を使っていただいて構いませんよ。こんな旅館来る方も少ないですから。
あ…空き部屋がたくさんあるからといっても分からないですよね。
で、ではついて来てください。」
言われたので俺たちはついて行くことにした。旅館の中を見渡すかぎり、
百年は経っているだろう。シルバーの言った通り歴史を感じさせられるところだ。
「ここの辺りの部屋をお使いください。
女将は私以外にも結構いるので不満や意見があったら申しつけください。
質問も勿論お伺いいたします。それでは部屋を決めてごゆっくりお過ごしください。」
そう言うとニッコリして階段を下りて行った。
「僕は端の部屋を使うことにする。君たちも自由にするといいよ。みんなで使うのもありだし、
一人一人部屋割りして使うのもありだと思う。心配なことがあったら僕に言いに来てね。
それじゃあ」
おじさんも自分の部屋に行った。俺たちの自由にしろって言われてもなー…
それぞれ意見が違うじゃないか。だったら一人一人部屋割りした方が…
「どうしようか。あのおじさんも行っちゃったし。これは自分たちで決めるしかないみたい」
「コトネは…どこの部屋がいい?」
「…一人じゃなかったらどこでもいい」
「じゃ、じゃあコトネ!!お、俺と一緒の部屋に…」
「待てシルバー、一緒の部屋にするなら俺も入れろ」
「二人とも待てぃ!! コトネ、誰と一緒の部屋になりたいんだ?」
「ヒビキくんがいい」
…俺の理性が飛びそうになった。まずいまずい。
二人を見ると俺の方をじろりと見つめ返してきた。恐い。
「おい…ヒビキくん。いいか…何も手ぇ出すなよ」
「変なことされたら遠慮なく声上げろよコトネ。すぐに助けにいk」
「何も変なことしないから!! 絶対しないから!! 断固拒否するから!!」
勘違いされては困る。俺は別にコトネに変なことはしないし、悪いこともしない。
しかし、それも全てコトネの行動にもよる。コトネが誘惑して来たらそれで俺、コトネ襲うし。
コトネにかかってるからもし襲ったらコトネを恨んでくれ。
「じゃあ俺たち二人は別れようか。俺は105号室行く」
「俺、106号室行く」
「俺たちは107号室に行くよ。それじゃ、またあとで」
俺たちは別れて自分の決めた部屋に行った。ドアを開けると少し寒かったが、我慢して入った。
「なんか…まだ冬じゃないのに少し肌寒いね」
「そうだな、山の中にあるから寒く感じるのかもな。えーと、エアコンは…」
寒さのこととかも考えながらエアコンを探す。
「…あれ? エアコンが見当たらないな。リモコンらしきものも無いし」
「もしかしたらエアコン自体ないんじゃないかな。節電のためありませーんみたいな」
「そうなのか? …確かにそれもあり得そうだな。しょうがない、寒さは服で凌ぐか」
コトネががっかりした表情をする。コトネは冷え性だしな、寒さが嫌いなのもそのせいだろう。
俺だって寒さは嫌いだが暑さよりは好きだ。
「あ、そういえばヒビキくん。ここの旅館には色々な部屋があるみたいだよ。
またあとで行ってみようよ。時間もたっぷりあるし」
「へぇ、そうなんだ。図書室とかもあるのか?」
「うーん、本がしまわれている部屋はあるって聞いたけど図書室があるとは聞いてないなー。
あとで女将さんに質問してみようか」
図書室とかあればこの旅館に関する資料があると思ったんだけどな。
書庫もあればいいんだが…
コンコン
「ん?なんだろ。はーい」
「あ、こんにちは。この階に泊まっている人ですか?」
「は、はい。そうですけど…なんか御用でしょうか」
「こんな山奥に来たならなんか意味があるんじゃないかと思ったんですがそうみたいですね。
…申し遅れました、私はイツキ。この旅館に長い間泊まっている者です。
私はこの階の108号室に泊まっています。以後よろしくお願いします」
レッドさんよりも低くてシルバーより少し高いくらいの身長だ。年齢は18歳くらいだろうか。
まず俺たちよりも年上ということはわかる。あとは…キリッとした目にスラッとしている
体つきだろうか。頭に残りそうな印象的な顔もしている。
「えっ、えっと…なんかの雑誌のモデルさんでしょうか…」
コトネがへんてこりんなことを言い出す。何言ってんだかと思ったが、モデルに見えなくもない。
顔、体格からして見たのだろう。
「いいえ、普通の…いや、少し変わってる人ですよ。モデルなんかじゃありませんよ」
「キ、キレイな人だからてっきりモデルさんかと思っちゃいました…へー…すごい」
何に感心しているのかよくわからない。でもなんかいい人そうだし、仲良くなれそうだ。
続く
あとがき
なんか書き方を工夫してみたけど、どうでしょうか。見やすかったらなによりです。
今回、新キャラが登場しました。「イツキ」さんですね。私の想像絵としては
見た目がイブキさんっぽいイメージです。キリッとしててお姉さんぽい人好きです。
でもイブキさんの場合はツンデレ気味なんで論外です。全国のイブキファンの皆さん
誠に申し訳ございません。イツキさんについてはこれから明らかになってきます。
今回はこの辺で失礼します。ではでは!!
次回→>>37
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.37 )
- 日時: 2016/02/07 10:20
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>36
24話:鍵 前編
図書室があってほしい。それが今の一番の願いだ。
なんとなく都市伝説とかの本を見たいし、それにこの旅館だって気になっていた。
なぜこんな山奥に旅館を建てたのか、どういう歴史をもっているのか、客はどのくらい来るのか…
気になる。女将さんにでも聞いてみようかな。きっと何か答えるはずだ。
「なぁ、コトネ」
「ん? なぁに、ヒビキくん」
「あのさ、さっきの…イツキさん。話しててどうだった?」
「うーんとね、簡単に…率直に言ったら、とっても大人びてたかな。でも、なんで?」
「…途中からいなくなって外で話してたから気になった」
「そっかー…ヒビキくんのこと話したら変なこと言われちゃって焦ったよ」
その言葉と共に、ほんのりと頬っぺたを桃色に染めた。コトネが見せた表情に俺はドキッとした。
反則だ…その表情…
「純粋な心って大切だから大事にしなさいとか言われたんだけどね。
ちょっぴり恥ずかしくなっちゃってさー。なんとか言ったんだけどニヤニヤされちゃって…」
「…別に俺たち特別な関係じゃないしな。あ、幼馴染っていう特別な関係だったか」
いじわるっぽく言ってみた。なんとなくコトネがどういう反応をするのか気になったし。
「え…あ、うん!! そうだよね、別にそう恋人とかいう関係じゃないもんね!!」
…意外な反応だった。もっとはっきり言うのかと思った。
でも、少しコトネが余裕なさそうに見えたのは気のせいだろうか。もしや、残念がってる…?
「ヒビキくん、もしかして…」
「…いっ、いや別に深い意味はないからな!?」
「…好きな人がいるからって人に押し付けないの!」
「…は?」
何言ってんだこいつ。とうとう気がおかしくなったのか?
「大丈夫だって! 好きな人がいるなら私が応援してあげるから!」
「まっ、待て待てっ! 好きな奴とかいないから。勘違いすんなよ!」
「…あ、そっか…なんか勝手に思っちゃってごめんね」
コトネが、しゅん…と肩をだるっとし、落ち込む。言い過ぎたか…?
「ご、ごめん。言い過ぎた」
「…一緒に女将さんに聞きに行こう?」
女将さんに聞きに…? 何を?
「…図書室に行きたいんでしょ? 聞きに行こうよっ、ほら!」
「あぁ、うん」
なんだ、図書室のことか。あれば最高なんだけど無かったら悲しいな…
「それじゃあ行こ」
コトネが立ち上がる。俺もそれに釣られて立ち上がった。そして手を引っ張られて
ついて行く。昔もこんなんだったな…と過去を思い出す。…懐かしい。
あの頃に戻りたくなる。
「女将さーん。この旅館に…その、図書室ってありますか?」
食卓にちょうど別の女将さんがいたので話しかける。すると女将さんは、
「んー、図書室…ですか。辞書とか置いてある書庫ならありますけど…」
「書庫かぁ…じゃあ、あのー書庫ってどこにありますか? 図書室がないなら書庫でも全然、
オッケーなんで…お願いします」
「ではご案内いたします。こちらへどうぞ」
女将さんが案内してくれるみたいだ。図書室じゃないのにガクッと肩を落とすが、
書庫でも役には立つ。とりあえず、見てみる価値はあるかな…
後編に続く
後編→>>38
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.38 )
- 日時: 2016/02/07 10:40
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前編→>>37
24話:鍵 後編
───・・・
「ここです、お入りください」
「ありがとうございました。って暗っ! うわっ、痛っ」
「大丈夫か、コトネ!」
「ぶつけちゃった…ちょっと…暗くて見えない…あ、明かりは…?」
確かに真っ暗といってもいいくらいに暗い。
「す、すみません! 随分と長い間使っていなかったものでしてっ…
真っ暗なのを忘れていました!!」
長い間って…どれくらい入ってないんだろ。
疑問に思っていると、ボウッとランタンの明かりがついた。
「これでもまだ暗いと思いますけど…専用の電気がないんで我慢してくださいね」
「へー…、あ、すみません! ありがとうございます」
お礼を言うと「いえいえ」と言ってドアをカチャッと閉め戻っていった。
「さーて、探すとしよう。コトネはどうする? ここにいる?」
「…一人でいるのは怖いからここにいる」
コトネを抱きしめたい気持ちでいっぱいになるが、ぐぅっと抑える。
今ここで抱きしめたら怖がられちゃうもんな。自然に笑みがこぼれてしまった。
「ヒビキくん、嬉しいことでもあったの?」
きょとっと見つめてくるが別に何もないよと言って誤魔化した。
本当はコトネと二人きりでいられるのが嬉しかったからなんだけどな。
それは心の奥に置いておく。
「この書斎漁ってみる? 面白そうなものいっぱいあるし!」
「俺も本来はそのつもりでいたから。じゃあさっさと探そう」
───…結構時間も経ったのだろう。俺とコトネはこの旅館に関する記事や本を
見つけ出そうと頑張っていた。でも出てくるのは古い辞書とか本とかしか出てこない。
俺ら2人も飽き始め、眠くなっていた。そしてコトネは、
「ヒビキくん。私もう眠くなってきちゃった。ふわぁあ…少し休んでてもいい?」
そりゃ、疲れるよな。俺はコトネに無理させてたのかもしれない。
「いいよ、休んでても。でも見つけたら起こすから」
「うん…そ…だ…ね…おこし…てね……スゥ…スゥ…」
「…寝るの早いな。ここ毛布とかないのか?あればかけてやりたいんだけどな」
ここの書庫は寒かった。長袖を着ているからいいものの、半袖だったら寒いだろう。
「俺ももう少ししたら片づけよ」
呟きながらパラパラと本のページを捲る。色々なことが書いてあった。
「ふーん。…あ、これ」
俺が声を思わず出したページにはこんなことが書いてあった。
1855年3月6日、山の奥に旅館が作られた。大工によると、木製で作られており、
最新の設備も備わっているようだ。損をしないつくりにしたのだという。
私から見渡しても綺麗だし、火事さえ起きなければ一生綺麗なままで残るだろう。
これからの日常が楽しみになってくる。
「こっ、この旅館150年以上も前に作られてんのか!めちゃくちゃ古いな。
えーと、他には…?」
1900年、父が死んだ。この本、日記を大切に持っていてくれと言われたものだから
書くのもいいだろう。捨ててもだめだし、まだページも残っている。
あと俺も何年生きていられるかわからない。でもこの日記は次の息子に託そう。
息子は綺麗好きだからこの日記を大切にとっていてくれるはずだ。
「1900年か…長生きはしたのかもしれないな」
1965年、父さんが死んだ。僕の父さんは長生きしたと思う。
この日記を大切にとっておいてくれって言ってたから父さんの形見として残しておくことにしよう。
「1965年…ん? なんだこれ。鍵…?」
そこには挟まれるような感じで鍵が入っていた。不思議な形の鍵だった。
「なんか説明無いのか…!?」
俺はもうすぐ死ぬんだな。あぁ、長い人生だった…
隠し扉の鍵を残しておかなければ。そうだ、日記に挟もう。
この日記を見つけた誰かがわかるように…
「隠し扉…!? この書庫にあるっていうのか…!?」
…本棚の裏とかに隠れてそうだな。動かしてみるか?
そのときかちゃりと音がした。何の音か確かめるため、ドアに近づく。
「何の音だったんだ…? ってん? か、鍵が…開かない!?」
なんてこった。さっきの音は鍵を閉める音だったのか!? 迂闊だった…
もっと早くに気づいていれば…
この鍵でどうにかならないか?
そんな考えが脳裏を過る。無理に決まってるじゃないか。この鍵は隠し部屋の鍵なんだぞ。
…でももしかしたら…
「試してみるか」
この書庫は中に鍵穴がある。入れてみよう。
…カチャリ
開いた。奇跡なのかこれ。
俺はコトネをおぶって、書庫を出た。古びた日記と不思議な鍵を持って。
続く
あとがき
本当は前編と後編に分けようと考えましたがやめました。…嘘です、分けました。
このホラー編、吊り橋効果がたくさん出てきます。あと…、2人っきりという展開もたくさんあります。
いやー、だんだんと旅館の秘密が明らかになっていきますね。このホラー編が
終わったら完結…もあり得なくもない話です。完結、したとしたらですがね。
そろそろグッバイのお時間ですね!また次回!
次回→>>39
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.39 )
- 日時: 2016/02/07 10:40
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>38
25話:イツキの姉 前編
あれから時間が経ち、もう外は暗くなりはじめていた。
今俺が持っている古びた日記は、傷つけないようそっと置いてある。
どうしてあの時にドアが開かなくなったのかはわからない。
だけど、俺たちを閉じ込めようとしたのは確かだろう。
イツキさん…あの人は不思議な人だったな…
まさか、イツキさんは俺たちを閉じ込めようとはしないはずだ。でも…
「ヒビキくん…? …あれ?私さっきまで書庫にいたはず…」
コトネが数時間ぶりに起きた。まぁ数時間ぶりって言ってもコトネにとっては、一時間くらいだろう。
「寝ちゃってたんだった…」
「疲れたって言ってたしな、寝ちゃっててもいいんじゃないか?」
「よ、良くないよ!」
「え…?」
いきなり大きな声で言うもんだから吃驚した。顔赤いし…
一体何がどうして良くないのか俺にはちんぷんかんぷんだ。
コトネはあたふたしながら大声で言う。
「そっ、そのさっ…間抜けな寝顔とか見られてたらどうしようかなって…思っちゃって…
べ、別に期待とかは全くしてないからね!!」
「……え、あ、うん」
「あー、もう! なんかすっごく恥ずかしい!」
反応の仕方も分からずじまい。こういうときって何て言えばいいんだよ。
「あのさ、気持ちよさそーな顔して寝てたし、気にすることはないと思う。
間抜けな顔でもなかったしな。」
「そ、そっか…それならよかった…なんか一人だけ変なこと言っててごめんね」
少し興奮気味だったのか、息切れをしている。
「コトネ、大丈夫か? 少し休んだ方がよくないか?」
「だ、大丈夫だよ。少し興奮しちゃったみたい、あはは」
…大丈夫そうだし、いいか。
不意にどこからか大きな音がした。物を落とすような大きな音だ。
「な、なんだ? 今の音…」
「どこからだろうね。外出て見てみる?」
「そうするか、気になるし…」
俺たち二人は外に行って確認することにした。部屋から出るドアを開け、外へ出る。
すると、シルバーとレッドさんも出て来た。
「おい、今の音聞いたかヒビキ」
「聞いた聞いた。レッドさんも?」
「あ、あぁ。何かと思って出てきたんだ」
二人とも先ほどの音に凄く驚いたようだ。
「すっ、すみません! 大きな物音を立ててしまって…」
突然、誰かが目の前に現れた。
「うわぁ! どっ、どちら様ですか!?」
「あっ、これは失礼しました。私、108号室に泊まっている奴です。
イツキっていう妹がいるんですけど、今ので会ってませんよね…?」
今のというのは大きな音のことだろうか。この人の言っていることを
聞いていると、さっきの音はこの人が起こしたようだ。
「えっと…名前は…?」
「あ、名前言うの忘れてましたっ…私の名前はキイです。
その…変な名前なんですけど、よろしくお願いします」
「キイってどう書くんですか?」
コトネがあんまり質問しないような質問をした。驚きだ。
「んーと、『希依』って書きます」
キイさんは、ポケットから紙とペンを出し、書いた。
「妹の名前も書いておきますね」
そう言うと、イツキさんの名前も書いた。『樹姫』って書くみたいだ。
あんまりいなそうな名前ではある。
「可愛い妹なんですよね。心配性で怒りんぼなんですけどね」
心配性にも怒りんぼにもみえないんだけどな。クールに見えて、意外にそういうとこあるんだな。
コトネがいつだか、人は見た目ですべてを見るものじゃないって言ってたな…
そういうのって確かに合ってるな……
後編に続く
後編→>>40
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.40 )
- 日時: 2016/02/07 10:48
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前編→>>39
25話:イツキの姉 後編
ちらちらと心配そうに…というかなんというか…
とりあえず、何か自分を襲ってくる獲物を待ち構えているように、辺りを見回している。
そんなに焦ることなのか?
「お姉ちゃーん!!! またやったの!?」
なんか聞いたことのある声がしたと思ったら、向こうから
イツキさんが猛ダッシュで走ってきた。
キイさんとイツキさんの背を比べてみると、若干イツキさんの方が背が高い気がする。
四センチくらいの差だろうか。
「げぇ! イツキィ…!」
「またなんか落としたの!?」
「いや…別に何もありませんでした…」
今まであったことを誤魔化そうとするように、キイさんはイツキさんから目を逸らした。
でも誰から見てもこの様子は誤魔化そうとしてるのがバレバレだ。
「…はぁ…」
イツキさんが溜息をついた。キイさんの肩がビクついた。
「私はね、お姉ちゃんのストレスが溜まるのもしょうがないことだと思ってるわ。
だけど、女将さんたちや、コトネちゃんたちに迷惑をかけるようなことはしちゃいけないわ。
そんなことお姉ちゃんだってわかっているはずよ。そうでしょう…?」
悲しそうな、辛そうな顔をして、キイさんを見つめていた。
何かあるのだろうか…
もしかしたら親がいないとかかもしれない。それならあり得なくも……
「でも…もう嫌なの! 犠牲者が出るのは…
イツキ!! ここはどれだけ起こったのか知ってるでしょ!?」
「知ってるわよ…そんなこと。だからって八つ当たりしなくても…」
「そうしないと、暴走するの…わかってるわよね?…ならイツキ、お願いだから、わかって。
これ以上ここで…大量殺人事件が…」
「やめて、お姉ちゃん!! あれを思い出させないで…!!」
イツキさんの叫びでその場がシーンと静まり返った。
なんだよ、犠牲者とか大量殺人事件とか…この旅館で何があったんだよ……
「もういや…!! あんなこと…本当は起きちゃいけないのよ…!!」
「イツキさん、落ち着いてください! 呼吸を整えて…! ゆっくりでいいんで…!!」
コトネが言うと、イツキさんはゆっくりと呼吸をし、整えた。
相当、キイさんが言ったことに対し、怒りで興奮したようだ。
「…はぁ…ごめんなさい、取り乱してしまったわ…コトネちゃん、ありがとう」
「…今まで、イツキさんたちに何があったのかはわかりません。
だけど、凄く辛いことがあったんですよね……」
「……………」
イツキさんは、俯きながら黙って頷いた。俯いているからどんな表情をしているのかよくわからないけど、
辛そうな表情をしているのだと思う。キイさんも難しそうな表情をしている。
「この旅館に来てから、辛いことなんて星の数ほどあった。ここの女将さんはね、
この旅館に来た人がほとんどなの。だから、私たちも女将さんになるときが来る」
「でも、その人たちも、あなたたちと同じような感じでこの旅館に来たのよ。男性が来ることは無いんだけど、
今回が初めてかもしれないわ。」
女将さんたちが俺たちと同じようにここに来た…?
ということは、俺たちもイツキさんたちと同じめに逢うんじゃないか…?
いや、待て。イツキさんとキイさんはあのおじさんのような人に連れて来られたっていうことになるのか…?
「あの、その…俺たち連れて来られたんですよ。それはイツキさんとキイさんが来た傾向と似てますか?」
俺が質問すると2人は見つめ合い、やがてキイさんが話し出した。
「…私たちも連れて来られたわ。二年くらい前にね。随分前の話だけど…
今でも何で来ちゃったんだろうって思ってる。あの頃の私たちはね、
常識というものをよくわかってなかったのよ。いまでも自分が生まれてきたことが物凄く憎い」
この人たちはどれだけ苦しい思いをしてきたのだろう。二年もこの旅館に居させられて。
辛くて死にたい気持ちもあったのではないか?
俺はこの二人の気持ちが伝わってきた気がした。
そのとき、鋭い視線を感じた。身に覚えのある視線だ。視線のした方をバッと振り返る。周りを見回しても、
俺、コトネ、シルバー、レッドさん、イツキさん、キイさんの他に誰もいなかった。
今の視線はなんだったのだろう……
背中に冷や汗をかいていた。
続く
あとがき
初めに…祝500参照ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
では、ここから本当のあとがきです。この24話でイツキさんの姉、キイさんが
登場しましたね。年齢とか気になる方もいると思いますが、これからの話で
だんだんと明らかになっていきます。2人とも何歳なんでしょうかね…
話は変わり、次回の話の予告をしたいと思います!次回は、女将さんたちの
意外な事実が(多分)発覚します。その意外な事実とは…!!
おじさんも久しぶりに出てくるのではないでしょうか。ハハハ。
それでは、また次回!!!
次回→>>41
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.41 )
- 日時: 2016/02/07 10:48
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>40
26話:喧嘩
あれから少し話して自分たちの部屋に帰った。イツキさんとキイさんから色々話を聞いて胸が苦しくなった。
二年間もこんなとこにいておかしくならないのが凄い。精神が丈夫なのだろうか。
とにかく、俺らはイツキさんとキイさんの精神の無事を祈ることにした。
キイさんのあの状態じゃあ、いつおかしくなってもわからない。
「ヒビキくん。ボーッとしてるけど大丈夫? さっきの話が辛くなっちゃった…?」
コトネがいきなり目の前に来た。一瞬だがビックリした。小さくうわっと言う。
「い、いや、大丈夫…そっ、それよりもコトネは?」
唐突に話を変える。そんなことコトネに言われたら言いたくなくなる。
「私は大丈夫。ヒビキくんもさ、無理しなくて良いと思うよ。…いつもヒビキくん、
無理してばっかり。無理するの苦しいよね。無理しなくていいんだよ」
「別に無理なんかしてない。お前こそ我慢してんじゃないのか?」
「私はヒビキくんのことが心配で言ってるの! ヒビキくん、お父さんいない…」
その言葉と共に俺の体が動いていた。自分が言いたい言葉より先に。俺の腕と手が壁にのびていた。
いわゆる壁ドンというものだろうか。ドンッという大きな音がする。
コトネが打ち付けられるように壁に引っ付いた。
「ひっ…ヒビキくっ…! 何して…!」
「…それ以上喋るな。口が裂けるぜ?」
自分でも言っている言葉に驚いてしまった。何を言っているんだ俺は。
なんで俺コトネに対してこんなこと言ってんだ…違う、俺が言いたいのはこんなことじゃない…
「……ヒビ…きゃあっ」
自分でも何故か自我というものを忘れてしまっていた。足で壁を蹴る。
自分自身の心が止められなくなっている。まるで、自分が誰かに乗っ取られているかのように…
「俺の気持ち…お前全っ…然! わかってねーじゃねぇか!!ふざっけんなよ嘘つきやろーが!
暴力でも振られてーのか!?」
その言葉に傷ついたのか、コトネがポロポロと涙を流した。
俺も流石にマズイと思ったが、自分の思うように言葉が出てこない。
ごめんと言いたい気持ちでいっぱいなのに。暴言しか出ないのか、俺の口は…
「ヒビキく…ごめ…こんな筈じゃ…っく…」
謝らなきゃいけないのはお前じゃなくて俺の方だ。お願いだから泣かないでくれ…
もうこれ以上此処にいられない。床を見つめながら、出入口の方に体を向けた。
コトネはそんな俺に、泣きながら震える手で触る。俺はその手を振り払った。
「っ…触んな!!」
今コトネがどんな顔をしているのかも、何を考えているのかもわからない。
見れない…俺自身で泣かしたコトネの顔なんか。心が罪悪感で埋め尽くされる。
「ヒビキくんっ…! 待ってっ…!」
その言葉を聞き終わる前に、逃げるように走った。後ろを何も振り返らずに。
乱暴にドアを開け閉めし、部屋から出る。その音が、シーンとした廊下に響いた。
静かな廊下に1人だけポツンと立っている。
俺の目から、自然と涙が零れ落ちてきた。
拭っても拭っても鬱陶しい程に流れてくる。こんなに喧嘩したのは何年ぶりだろうか。
そのときも、先にコトネが泣いていた。俺はそのあとに必ず泣いた。
「こと、ねぇ…ごめん…なぁ…」
今更言っても遅いのに、言葉が出てきた。勝手に自分の足が動きだした。不思議に思ったが、
此処にいるわけにはいかないので、下に行くことにした。
下ならこの廊下のように凄く静かで、心を落ち着かせることができる筈だ。
「………ひっく…うっく……」
あっという間に下についた。考えは当たっていたようだ。静かで誰もいない。
もしかしたら女将さんが来るかもしれないと思った。
確か、このフロアに椅子やソファがあるルームがあった気がする。そこに行こう。
そこのルームのドアを開け、ソファに座る。顔を手で覆う。
コトネと喧嘩してしまった俺はどうすればいいのだろうか…しかも泣かせた。
暴言を吐いてしまった。しかも大好きな人をだ。自分で自問自答する。
突然激しい頭痛に襲われた。頭が痛みでクラッとする。
変な頭痛だ…頭がガンガンする。耐えられず、ソファに倒れこむ。
目の前がぼやけ始めるなか、色々なことを考えた。コトネにどうやって謝ろうか…
会ったらどうやって話しかけようか…
普通に率直に謝れば許してくれるか、コトネ…
ごめんな、コトネ…
俺の意識はそこで途切れた。
続く
あとがき
前回の予告を裏切りました、すみません。女将さんたちについてはまた今度にまわします。
今回の話では、ヒビキとコトネ喧嘩しちゃいましたね……
ヒビキも泣いちゃったし、コトネも泣いちゃいましたね。ヒビキも自分の意志がどっかに
とんじゃってたんでしょうかね…?しかも最後にヒビキ、意識失っちゃったし、
一体どうなるんでしょうかねぇ…
次回の話の内容はまだ未定です。ヒビキとコトネの2人が喧嘩しちゃったんで、
次回、26話でシルバーを出そうと思ってます。それで仲直りまでいくといいですね。
それでは、また次回!!!
次回→>>42
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.42 )
- 日時: 2016/02/07 10:49
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
前回→>>41
27話:シルバーとレッドの仲直り作戦?(シルバーとレッド目線) 前編
説明:○→シルバー ◎→レッド
↓本編↓
◎
ここは静かなとこだな…静かすぎて不自然だ。
コトネに頼まれてヒビキを捜していたわけだが、まさかこんなところで倒れているとは思わなかった。
何にしたってこんなとこで倒れていたら不自然すぎる。
ヒビキのところに駆け込んだらぐったりしていて顔も赤かったし、
なんかいつもと様子が変だと思ったら熱が出ていた。あまりの身体の熱さに驚き、急いで介抱した。
「……レッ…ド…さん…?」
いきなり声を掛けられたからビックリした。ヒビキがようやく起きたようだ。
「なんで、おれ…ここ、に…ふとん…?」
「なんでってな…お前倒れてたんだよ、覚えてないのか…?」
そう言うとヒビキは首を傾げた。考えているみたいだ。そして漸く(ようやく)思い出したのか、
あっ! と声を上げた。
「そうだ…おれ…いしき、うすれて…たおれたんだった」
「まだふらふらするか?」
「あたま…はまだ、いたいです」
うっ…と痛そうに頭を押さえる。
確かにあれだけ高い熱を出していたら痛くなるのも無理もないだろう。
もしかしたら、頭痛で倒れたのかもしれない。
そういえば、ヒビキに言わなければいけないことがあった。
言わないといけないこととは、こういう内容から始まる。
…俺はシルバーと一緒にシルバーの部屋で話していた。
そのとき突然、コトネがくしゃくしゃに泣きながら俺たちのところへ来たのだ。
何があったんだと話を聞くと、
ヒビキくんと喧嘩してしまった、ヒビキくんの地雷を踏んでしまった。もうどうしようもない。
あんなにヒビキくんを怒らせたのは久しぶりのこと。あれは相当怒ってる。仲直りがしたい。
というようなことを言っていた。原因は自分にあるとヒビキのことを一切責めたりしなかった。
仲直りがしたい…これがコトネの思いのようだ。
ヒビキのことが大好きだからこそ、言える言葉なんじゃないかと思う。
ということで、俺ら二人は仲直り作戦を決行することにした。
だからまずは、ヒビキの意見を聞かなければならない。
「ヒビキ、お前さ…コトネと喧嘩したか?」
「えっ…?」
勘で言ったわけではない、ちゃんと証拠というものがあって言っている。
怯えた表情でヒビキがこちらの方を見つめてくる。図星ということで見ていいのだろうか。
「コトネに聞いたんだ…喧嘩しちゃったって。コトネ自身、仲直りしたいみたい」
ヒビキは下を見て、布団の裾をぎゅっと握る。微かに手が震えている。
それが、言うか言わないか悩んでるように見える。
「ヒビキ、事実を述べてくれるだけでいいんだ。それだけですべてが変わると思って」
「…ほんとうに…いいんですか…?おこりません…?」
「大丈夫、怒りはしない」
話すと決心しようだ。顔を上げた。
さっきまで泣いていたのか、目が赤い。全然気付かなかった。
「おれ、コトネにヒドイこと言っちゃったんです」
意識がしっかりしてきたのか、ちゃんと喋れるようになっていた。
「てめぇとか触んなとか…悪いことばっか言って…っ…すみません…」
ヒビキが泣き出し、顔を隠した。ヒビキが泣いたところは初めて見た。
「ことね…なかしちゃって…、おれ、あやまれなくてっ…」
「…ヒビキもコトネに謝りたいんだね?」
ヒビキは泣きながらコクリと頷いた。謝りたい気持ちがないわけではないということがわかった。
二人とも同じような気持ちってことだ。これで本格的に作戦が決行できる。
「わかった、起き上がれる? 謝りに行こうか」
「でも…無理ですよ…俺一人じゃ、謝れません…」
「大丈夫だって、俺とシルバーで考えてる作戦があるから。君一人じゃないんだよ…」
ヒビキの手を取る。安心したようにヒビキが微笑んだ。俺はヒビキの身体を起こした。
「俺、謝ります。コトネのこと、大好きだから」
その言葉に、俺は笑った。
「そうだね、コトネもヒビキのこと大好きだしね」
「何言ってるんですか…! …レッドさんって初めて俺と会った時よりも明るくなりましたね。
まったくあの時は喋ろうともしなかったのに。故郷に帰ってから変わったんですね」
「お前こそ何言ってんだ」
コツンとヒビキの頭を殴る。いてっ! と笑いながら頭を押さえた。
熱はまだ下がってないみたいだが、元気は出てきたようだ。
「行くよ、ヒビキ」
ヒビキも強く頷いた。
後編に続く
※今回から知り合いのURLを載せておきます。
後編→>>43
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.43 )
- 日時: 2016/02/07 10:50
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
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前編→>>42
27話:シルバーとレッドの仲直り作戦?(シルバーとレッド目線) 後編
※前編より長いです。時間のある時にイッキに見た方が良いですよ^^
説明:○→シルバー ◎→レッド
↓本編↓
○
レッドさん…ヒビキを見つけてくれたのか…?
(数時前だと思うが、)先ほどコトネが泣きながら俺とレッドさんのところに来た。
あまりにも酷く泣いていたもんだから、焦った。だが実際に話を聞いてみると、
ヒビキにイラついた。でも、コトネが凄く悲しそうに泣くからその怒りも直ぐに治まった。
そして、現在コトネと二人っきりである。
「……本当に困らせてごめんね」
「気にすんな。お前がそんな状態だと心配だから」
「それと、昔シルバーのことひどく扱ってごめんね。今でも後悔してる。酷いことしたなぁって…」
「それも俺は別に気にしてない。俺たちがまた仲の良い頃に戻れただけで嬉しいからな」
嘘じゃない、すべて本当のことだ。コトネの泣いた顔を見ると俺まで、泣きたくなってしまう。
だから俺は、コトネの悲しむ顔とか絶対に見たくない。
「なんで私、ヒビキくんに悪いこと言っちゃったんだろう…
そんなの、関係をバラッバラに崩すだけなのにね。私、馬鹿だよね」
コトネが弱弱しく笑う。目が赤くなっているのが、また辛そうに感じる。
そんな目で見られたらこっちまで辛くなるからやめてくれ、コトネ。
「ヒビキは悪い奴じゃないから大丈夫だろ。
イラついてたとしてもきっとすぐに機嫌よくなってるさ。安心しろよ、な?」
不意に自分でも変なことを言ってしまったと思った。
すると、コトネも一瞬驚いた表情をしたがニッコリした。
「…ありがとう、シルバー。なんか元気出てきたよ」
「別に、元気づけるのは当たり前だろ」
「なんか、シルバーに元気づけられるのって変な感じがするね」
「お前は、俺を怒らせたいのか?」
いじわるっぽく言ってみる。コトネがあははっと笑う。
「もー、シルバーったら本当に変なこと言うね」
別に俺は変なこと言った覚えはないと言おうと思ったがやめておいた。
今のコトネに何か文句を言うと、泣いてしまう可能性もある。大分心が弱っていると思う。
廊下から大きな声が聞こえた。多分レッドさんの声だろう。
「ちょっと、ヒビキ! ここまで来てコトネに謝らないわけには、いかないだろ?
俺とシルバーがいるから安心しろって!」
なにか言い合ってるのか?そういえば、宣言した通りヒビキのこと呼び捨てで呼んでる。
「や、やっぱり無理ですよ! 謝っても絶対許してくれないと思います!」
「大丈夫だって! コトネならきっと許してくれる! ヒビキが一番分かってるだろう?」
俺と同じこと言ってる…
「そうだと思いますけどぉ…ってうわぁ!」
呆れながら聞いていると、いきなりドアがバンッと開いた。何事かと思ってドアの方を向くと、
ヒビキが倒れており、レッドさんがその隣に立っていた。コトネも驚きを隠せないようで、
ポカーンと口を開けている。ヒビキは痛そうにその場に蹲った。そしてレッドさんにこう言った。
「何するんですか、レッドさん! 怪我したらどうするつもりで…」
「ヒビキがぐずぐずしてるからだ。目の前にコトネがいるからちゃんとした方がいい」
「えっ!?」
ヒビキがこちらを向いた。コトネがそれと同時に顔を逸らす。
「コト…ネ…」
その言葉にコトネがビクッとなる。怯えているのだろうか?
黙りながらだが、ヒビキの方に顔を向けた。しかし、顔は俯いている。
何を話すにも俺たちがたてた作戦でいくことにする。
「よう、ヒビキ。お前も目が赤いけど泣いたか?」
俺がそう言うと、恥ずかしくなったのか咄嗟に顔を隠した。
「お前には関係ないだろ。誰が泣いてたって人の勝手だ。俺は謝るって決心してここに来たんだ。
…許してもらえると思ってないけどさ」
真っ直ぐな目でこちらを見つめてきた。ヒビキが本気になった時の目だ。
この目は今までに何回も見てきた。
「だってよ、コトネ。もうヒビキに怯えることはないと思うぜ?」
「………………」
きっと今のコトネの気持ちは複雑なのだろう。
ごちゃごちゃになっていてわけがわからなくなっていると思う。
だけど、俺としてはコトネに悲しい気持ちでいてほしくない。
だから、この二人に協力するのだ。ヒビキが決心したならコトネも決心する筈だ。
「存分に迷えばいいさ。お前が本当に仲直りしたい気持ちがあるなら仲直りした方がいいと思うし、
別にもうどうでもいいと思うならこのまんま…喧嘩したままでいいんじゃないか?
…でもな、コトネ。俺はそれじゃ駄目だと思う。ちゃんと仲直りして元通りになった方がいいぜ、コトネ」
コトネの頭をポンポンとする。こうした方が安心すると思ったから。
「……! ……そうだね。…ヒビキくん。」
コトネも漸く顔を上げた。ヒビキが少しだけ後ずさった。なぜ後ずさるのか俺にはわからないが、
驚いたんじゃないかとは思ってる。
でもそれも少しの間のことで、ヒビキは立ち上がりこちらへと向かって来た。
俺はコトネが逃げぬよう、しっかりと背中をがっちりホールドした。
ここで逃げられたらヒビキもヒビキで可哀想だ。
そして、コトネの目の前にヒビキが立った。ヒビキが見下ろして、コトネが見上げる形になっている。
レッドさんは背中を壁につけながら見守っていた。
「コトネ…ゴメン。俺、あのとき自我が保ててなかった。体が言うこと聞かなくて焦った。
こんなこと言っちゃいけないって心では思ってるのに、興奮しちゃっててわけが分からなくなってた。
酷いこと言っちゃって本当にごめんな…ごめん…な…」
もうヒビキの目には涙が溜まっていて、今でも零れ落ちてきそうだった。
ヒビキから話を聞いていなかった。ヒビキ、歯止めが利かなかったのか…
確かにこの様子だと、本当に何か地雷を踏まれたんだなと納得できる。
「…私も酷いこと言っちゃってごめんなさい。
本当は私が原因だから、私がちゃんと謝らなきゃいけないに…ごめんね。
ヒビキくんの言う通り、私、全然ヒビキくんの気持ちわかってなかった。だから…だからね!
ヒビキくんのこと、また最初から見直してみる! もっとヒビキくんの良いとこ、
見つかるかもしれないから…!」
コトネはヒビキに手を出した。ヒビキもその手に反応し、手を出す。そして、二人で手を握りあった。
これが幼馴染みというものなのだろうか……
少しそんな2人を見て羨ましくなる。俺もこんな関係の奴、いてほしかったな…
「シルバー、レッドさん、ありがとう。俺、もっとコトネと仲が深まった気がする。
コトネ、これからはお互い良いとこ見つけあっていこうな」
「そうだね、ヒビキくん…!!」
ニカッとコトネが笑った。レッドさんはその様子を初々しそうに見ている。俺も仲直りした二人に安心して、
ホッとしていた。よかった、二人の関係が壊れなくて。結果、この作戦はうまくいった。
実の内容としては、二人の意見を大切にしながら見守ることだ。
ただ、黙って見守る訳じゃなく俺がアドバイスみたいなのを出す。そういうものだ。
俺は自分なりにアドバイスを出したつもりだ。
ヒビキの言った通り、二人の仲はこの喧嘩でもっと深まったように見えた…
続く
あとがき
今回も長くなりそうなので、前編と後編に分けることにしました。前編の最後にレッドさんが
「行くよ、ヒビキ」と言いました。その時点で1705文字でした。今回はそれ以上ですね。
長く感じた方もいるでしょう…でもヒビキとコトネの2人の仲をもっと深めるためには
これくらい長くないといけないと思っています……。
次回こそ!(きっと)女将さんの話です。そうじゃなかったら別の話ですね。
当たり前のことですけど…(汗)
それでは、また次回!!
次回→>>46
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.46 )
- 日時: 2016/02/07 10:51
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
前回→>>43
28話:事実
食堂って意外に落ち着く場所なんじゃないかと前も思ってたけど、
今居て、改めてホッとする場所だと感じた。皆にも落ち着く場所ってあるよな。
俺にとっては食堂は落ち着く場所っていう存在なわけさ。
しかも、結構食堂ってもんはガヤガヤざわざわしてるから静かな場所で変なこと話すよりも、
ガヤガヤしてる場所で話した方がまわりのやつにも聞こえずらいと思うしとっておきの場所だ。
でもどういうわけかこの旅館はどこも静かで、ここの食堂と呼ばれる場所も静か。
なんとなく落ち着かない。話したいこともいっぱいあるんだけど、こんな空気じゃ話せそうにもない。
女将さんたちだって全くと言っていい程話さない。来た時からこの旅館は静かだったしな…
「あの、レッドさん。なんか物凄く静かじゃないですか…?」
もう空気に耐え切れず、俺は隣にいたレッドさんに話しかけた。
レッドさんはこちらをちらっと見るとボソッと小さな声で話した。
「…この空気だと喋りずらいしね。俺もあんまり慣れてない人の前で話すのは嫌なんだ」
「そうなんですか…なんかすみません」
「いいよ、謝んなくても。別に悪いことはしてないんだし」
レッドさんはそう言った後、くるっと元の向きに戻った。
喋るにもなにも、この空気じゃ話しずらいのも俺だってわからなくもない。
夕食を黙々と食べていたからあっという間に食べ終わってしまった。なんだか物足りない気もしたが、
だるくなってきたので片づけて部屋に戻ることにした。
「ご馳走様でした」
「あれ? ヒビキ…今日は食べんの早いなのな。いつもは遅いのに」
まだ食べ終わっていないシルバーが今になって話しかけてきた。
俺はそんなシルバーにムキになってこう言った。
「俺だって黙って食べりゃあ、早くもなるわ。お前も早く食べろよ」
「はっ、お前は早く部屋に戻れよクズ」
鼻で笑われてムカッとした。しかし、こんなところで言い争っても仕方ない。
シルバーを睨みつけた後、食堂から出た。
そういえばコトネは夕食を食べていない…部屋で寝ているはずだ。
…夕食を部屋まで持っていこうかな…
どうせ俺もコトネと一緒の部屋だし、持っていっても悪くないだろう。
あぁ、でも戻ったらシルバーになんか言われそうだ。しょうがない、取りに行くか。
「女将さん、コトネっていう子がまだ夕食、食べてないんです。なので、夕食貰えますか?」
近くにいた女将さんに言った。しかし、女将さんは何も言わない。無言のままパンだけくれた。
黒糖パンだろうか…?
「あの、これって黒糖パンですか?」
「……どうして、自分から夕食を食べに来ない子に豪華な食事をあげなきゃならないんですか?
普通は食べに来るはずです。そのパンだけでありがたいと思ってください。言っておきますけど、
ここは山の中なんですから食べ物は貴重なんです。無駄にはできないんですよ?」
「で、ですけど! ここは旅館ですよ? どうして…」
俺が言葉を続けようとしたら、女将さんは大きな声で叫ぶように言った。
「食べ物を貰う方が何言ってるんですか!? 文句言うなら食べなきゃ良いじゃないですか!
私なんて昔食べさせてももらえませんでしたよ!! 奴隷のような存在として毎日毎日嫌なのに言えず、
死ぬほど働かされて! 食べ物も…ろくに食べさせてもらえなくて…狂うような日々でしたよ!!」
俺は女将さんの発した言葉にぽかーんとしていた。
同じく、それを見ていたシルバーとレッドさんも唖然としていた。
すると、さっきまで静かに食事を作っていた女将さんがこちらへと来た。
背が高く、ガリガリの痩せ体型ではないが細い。顔立ちがイツキさんとキイさんに似ていた。
もしや、姉妹か?
「何をやっているのアオ。今の発言はお客様に失礼よ。これは姉の権利がある私だから、
言えることだけれど。あなた、今日は自棄に機嫌がよろしくないのね。
何か機嫌を損ねるようなことでもあったの?」
アオと呼ばれた女将さんは、こちらにやって来た女将さんを睨み付けた。
「うるさい、シオリ姉。何をしようと私の勝手でしょう?それにキイとイツキはどうしたのかしら?
見ていてって言ったじゃない。私の我儘すら聞いてくれないの、シオリ姉。
あぁ、そうよね! 私の気持ちがわからないから聞いてくれないのね!
酷いわね、こんな簡単な我儘も聞いてくれないなんて。
まぁあの子たちも私たちと同じ目に合うんだからいいかしら。ねぇ? シオリ姉」
シオリさんはアオさんの話を真面目な顔をしながら聞いていた。
やはり、この二人は姉妹のようだ。イツキさんとキイさんとも関係性があるみたいだ。
唯でさえ悪い空気がもっと悪くなっている。これはまずい。早くなんとかしなければならない。
俺はとりあえず止めることにした。
「やめましょうよ、言い争いは! 嫌な空気になっちゃいますよ!?」
「じゃあ…じゃああなたは私たちの思いがわかるの!? …わからないわよね」
さっきの睨み付ける表情から一変し、悲しそうな顔をした。
「…そんな顔されちゃあ内容がわからなくても思いはわかりますよ…」
「………!!」
アオさん、シオリさんは二人して驚いた顔をした。
「じゃあ、私たちの話、聞いてくれるわね…?」
「シオリ姉…!? まさか、あれを話す気なの…!?」
「話さなきゃわからないでしょ。いいじゃない、わかってくれるんだから」
シオリさんは目を閉じると、一回深呼吸をした。
「…私たちはね、無理矢理この旅館に連れてこられてた。二年前位かしらね…
そのとき私は二十二歳、アオは二十歳、キイは十八歳、イツキは十六歳だったわ。
働けって言われて朝から晩まで休む暇なく働かされた」
「そんな歳で、全員無理矢理働かされていたんですか…!?」
「働いていたのは私とアオだけだった。キイとイツキは働いていなくて部屋に閉じ籠ってた。
色々あって辛かったわ。ここで働いているおばさんたちも私たちと同じようにここに来て、
いいように使われたらしい。今ならわかるわ。おばさんたちがどんなに苦しい思いをしてきたか…ね」
「そうなんですか…それで今こんな状況におかれてるんですね…」
シオリさんは、ゆっくりと頷いた。そのすぐあとにアオさんが話し出した。
「主はテレビで出ているあなたを気に入っていたのよね…」
「俺…がですか?」
「ええ、そうよ。でもそれであなたたちが来るとは思ってはなかったわ。
テレビで出てから一年半が経っていたのに…本当にあの人は気味が悪いわ。
だから…だからここは危険。早く出て行った方がいいと思うわ…それに…」
そのとき、食堂のドアが開いた。そこにはおじさんが立っていた。
「…ヤマシロウさん…どうしてここに…」
おじさんはヤマシロウという名前だったらしい。
ヤマシロウさんはにっこりすると、その顔のままいやーなことを言った。
「あとで、話があるんだ。ヒビキくん、シルバーくん、レッドくん、君たちは自分の部屋へと戻りなさい。
僕はこの子たちと話すことがあるからね。ねっ、シオリちゃん、アオちゃん?」
「はい……じゃあねヒビキくん。気をつけて戻ってね…」
シオリさんとアオさんはヤマシロウさんと共に奥へ行ってしまった。俺とシルバーとレッドさんは食堂を出た。
上へと行く階段を上る。隣を歩いていたシルバーが難しい顔をしながら喋る。
「辛いことあったんだな、女将さんたちって…衝撃的な事実を聞いた気がするぜ…
俺たちにはどうにもできそうにないな…」
「……そうだ…な。俺たちも考える必要がありそうな感じがする」
「…ってもう部屋についた。」
レッドさんの言う通り、もう部屋がある階へと来ていた。
「二人とも、自分の部屋で疲れを癒しなよ。俺はじっくりこの旅館にいる間のことを考えてみる。
それじゃあ、おやすみ」
「じゃ。ヒビキ、またコトネ泣かせんなよ〜」
「泣かせるか。じゃあな」
二人とも自分の部屋に入って行った。俺も自分の部屋へと戻る。
アオさんの言っていたことを思いだした。
俺はそっと、手に持っていたコトネへと渡す黒糖パンを見つめた。
続く
あとがき
衝撃的な事実だったりそうでなかったりした今回、どうだったでしょうか。
イツキさん、キイさん、アオさん、シオリさんは4姉妹です。今回初登場のアオさんと
シオリさんは22歳と24歳ですね。あれ、計算合ってるよね?うん。
アオさん、酷いこと言ったようで言ってないんです。ただ、食べ物は粗末にすんなって
ことを言いたかったんです。悪気はなかったんですよね、アオさんにも。
私的に4人ともお気に入りです。イメージ絵は知り合いに描いてもらいたいと思います。
次回は何を書こうかな〜…徐々にこれまでの話も修正していきたいんで、投稿はゆっくりに
なってしまいそうですね……でも出来るだけ頑張ります。
それでは、また次回!!
次回→>>47
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.47 )
- 日時: 2016/05/05 11:19
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
前回→>>46
29話:恐怖のSOS
「…んんっ…あー?」
無性にトイレに行きたくなり、ムクッと体を起こした。
時間を見ると、ちょうど夜中の一時だった。本当はこんな時間にトイレに行きたくはなかったが、
耐えきれないので迷わず直行した。しかし、鍵が開かなかった。
「えっ? まさかこのトイレ、開かずのトイレ?」
だが、それは無いようだった。
「ヒビキ…くん? トイレ入る?」
「う、うん。入る。」
「あー…ごめん。今お取り込み中なんだよねー…」
「えっ、マジで? え、他にどっかトイレある?」
トイレって自分の部屋にしか無いんじゃないか? え? 俺どうすりゃいいの?
「あのさコトネ…他にトイレってあったっけ?」
「一階の温泉…みたいなところに…あった気がする」
「おっけー、ありがとう」
コトネのどういたしましてを聞くと、懐中電灯を持って部屋を出た。
夜中ってこともあって、廊下はかなり不気味な雰囲気を出していた。
一人で行くのは少し勇気が要りそうだ。持っていた懐中電灯を点けて、階段を下りる。
寒くて体が震えた。山の中だから寒いのもあるのだろうか。
一階へと着くと、風呂場に行き、トイレを探した。確かにトイレはあった。が、物凄く怖い。
お化け屋敷が全然平気な俺でも怖い。コトネだったら倒れてるかもな。
コトネの事を考えたら気が楽になった。さっさとトイレに入って部屋に戻ろう。
「はぁスッキリしたぁ! っていうか寒いな…早く部屋に戻ろっと!」
手を洗い、階段へと行く廊下を通る。と、何処からか声が聞こえた気がした。
ボソッと聞こえただけだから、実のところ何を言っているのかはわからない。
……けて……
再び声がし、耳を澄ます。今度は結構ハッキリ聞こえた。背筋がゾッとし、その場で立ち止まる。
俺は、書庫の前にいる。
まさか…そんなことは無いはずだ…
だって、書庫は殆ど誰も使わないと聞いた…鍵だって女将さんが持っている。
入れるわけ無いのだ。でも、もしかしたら誰かいるのかもしれない。
そおっと、書庫の扉のドアノブに手をかける。勇気を振り絞り、開けた。
「…!? あああ…そんなことがあるわけ…」
ドアは開いた。
女将さんがいるのか…?
音を立てないように、書庫の中に入る。すると早速、先程の声が聞こえた。
やはり、この書庫の中から聞こえてきたようだ。
「……か……けて…」
まだよくわからないが、「けて」というのははっきり聞こえたからわかる。
答えてもらうことは出来ないのか…?
「誰かいるんですか? …返事してくれればいいんです、答えてください」
「だれか……たすけて……」
たすけて…? これは俺に言っていることなのか…?
それとも俺以外の奴に言っているのか?
どっちにしろ助けを呼んでいるのはわかった。もっと奥に行けと俺の中の好奇心が疼く。
俺は書庫の奥へと進んだ。しかし、進んでも進んでも本棚ばかりだ。
暗いのもあるから、今自分がどこら辺にいるのか分からない。
「……ア¨ア¨ア¨ア¨ア¨ア¨………」
その声が聞こえ、俺の足は進むのを止めた。今聞こえたのは所謂奇声というものだろう。
突如、恐ろしいほどの吐き気が襲ってきた。気持ち悪さでその場に蹲り、必死に口を押さえた。
すると、目の前が眩むと同時に俺の向いている方向に誰かが立った。
此方を向いている。よく見てみると、腕が無く、血がポタポタと流れ落ちている。
そいつは、自分の体を見て悲鳴をあげた。
「コんナノ……ボクじゃなイ……コンナ体…ボクノジャナイ……!!」
カタコトで喋っている。こいつは何者なんだと自問する。
そいつはだらんとし、スタスタと此方へ向かってきた。
逃げようと、俺の体が動こうとするが気持ち悪さで立つことすら出来ない。
そんなことをしているうちに、そいつは俺の真ん前に立っていた。恐怖と吐き気で体が竦む。
「君ノ体…綺麗ダネ…羨マシイナ…ネェ、ソノ体、頂戴?」
「は…?」
「僕ノ体…モウボロボロ。使イ物ニナラナインダ……ネェ…イイヨネ? ドウセ君、ソノ体、
要ラナイデショ?」
何言ってんだ、こいつ。頭おかしいのか? 要らないわけないだろ…
しかし、俺の口は言いたいことが言えなくなっていた。反論も出来ない。
「ソンナ状態ジャア、動ケナイモンネ。楽ニシテアゲルカラ、頂戴? オ願イダカラ…頂戴…?」
「…っ…や…やるわけないだろっ…!?
誰がボロボロのお前なんかにあげなきゃなんないんだよ!! ふざけんな!」
やっと言葉が出た。吐き気もだんだん無くなってきて、体も動く。次何をされるかわからない。
ゆっくりと立ち上がり、じりじりと下がる。そいつは目を見開き、睨んできた。
「ドウシテソンナコト言ウノ…? ネェ頂戴? 頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴
頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴…頂戴!! 助ケテ!! 僕の体ヲ!!」
ガアッと音を立て、此方に走ってきた。俺もドアを開け、走り出す。
だが後ろを確認するとそいつはいなくなっていた。360度見回しても何処にもいなかった。
タラッと汗が流れる。走って自分の部屋に戻った。
そういえばコトネは無事なのか…!?
焦ってあたふたする。
「ヒビキくん? どうしたの、そんなに焦って…」
トイレの方を見ると、コトネがタオルを持って立っていた。心配そうな顔で俺を見つめていた。
そして、驚いた顔をしながら俺の体も見つめた。
「物凄い汗かいてるよ…!? びっしょり…拭かなきゃ! 早くこっち来て!」
「え…? あ、本当だ」
確かにコトネの言った通り、服が汗でびっしょびっしょだった。恥ずかしくなる。
こんなに汗をかくほど怖がってたのか……
寝るとこに戻る。コトネが電気をつけた。さっきまで暗いとこにいたから眩しくて、目がチカチカする。
しかし、そんなことを考えていられなかった。
再び自分の体を見る。だが服を見た瞬間驚愕し、体が硬直する。
服がびっしょり濡れていた理由がわかった。服が濡れていたのは汗が原因では無く…
血だったのだ。
怪我をした形跡は何処にもない。それなのに、何で血が…
後ろからガタッと音がした。コトネが恐怖で怯えている。
「ヒ…イッ…! ヒビキくん…何で、血が…あ、あ…どこも怪我してないのに…何でそんなに血が…!
急いでシャワー浴びなきゃ!!」
「うあ、あ…俺、何したんだ…?」
震えるコトネに風呂場に連れてかれながら考えた。
でも今の俺の頭の中はぐちゃぐちゃで、わけがわからなくなっていた。
一体何した…?
その間に俺は服を脱がされていた。
「ヒビキくん、しっかりして! 見ているこっちは困るんだから…体が洗わなきゃ。
ほら、ヒビキくん! …もおー!!」
シャワーを浴びながら硬直し、自分についている血を見つめた。
コトネの声だけがその場に響いていた。
続く
あとがき
なんか書いている自分でも、ヒビキがどうして血だらけだったのかよくわかりませんでした。
嘘です、すみません、わかってます。今回の話はおかしな男の子が出てきました。
誰なんでしょうかねー、一体。
そろそろ真面目にホラー回に入っていきます。でもホラー回って言ってもグロかったりするかも…
まぁそこら辺は気にしないで見てくださいね。
次回についてはまだ未定です。今回の話は夢落ち…かもしれないですし、そうでないかもしれません。
そこは次回のお楽しみですね。
ではまた次回!さよなら!
次回→>>48
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.48 )
- 日時: 2016/05/05 11:21
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
前回→>>47
祝!700参照!ありがとうございます!
30話:暗い
気持ちよくない朝がきた。
できれば朝はきてほしかったが、俺がいつも感じる朝と今日の朝は何かが違っていた。
理由は朝日が気持ちよくないからだろう。というか、日が射し込んでいない。
森の中だから朝日射し込まないのも当たり前だろう。朝なのに明るくなかった。天気が曇りの時のようだ。
今日の夜中、俺の身体が血だらけで、大惨事だった。
呆然としている俺の体をコトネが洗ってくれた。文句は言われたが。
洗い終わった後、コトネがシルバーとレッドさんを呼び、話をした。事情は俺が説明した。
2人とも不思議そうな顔をして信じていないようだった。何とか信じてもらおうと説明したのに、呆れられた。
しかも、挙句におかしい奴と言われた。シルバーには
「は? マジでどうしたヒビキ。頭混乱してんじゃねーの?」
と言われ、レッドさんには
「ヒビキ…狂ったか?」
と言われた。混乱してねーし! 狂った覚えもねえ! と1人心の中でツッコんでいた。
コトネはうんうんと頷いて信じてくれたようだが、それが本当なのかどうかはわからない。
もうふらふらしていて、多分、そのまんま寝た。気付いた時にはもう朝だし、機嫌が悪い。
無性にイライラする。とりあえず、顔洗おう。
鏡を見ると、寝ぼけた自分の顔が映った。まだ顔に血の跡が残っている。
だが、体の方を見ると血の跡は残っていない。ちゃんと洗っておこう。
顔も洗い終わったので、食堂に行って朝食をとった。
トイレへ行こうと廊下を通る。すると、通りにある部屋から話し声が聞こえた。
「ねえ、アオ。もしかしたらなんだけど、封印がそろそろ解かれるかもしれないの」
封印…って何のことだ?
「な、なにそれ…だって、封印は一年半前にしたばかりじゃない」
「理由はまだわからないの。考えた分には考えたんだけどね」
「もしや、あいつの力が暴走してるってことだったりする?」
あいつって…昨日俺が会った奴のことなのかもしれない。
「あたり。力が暴走してれば封印も解けるわ。ね、ヒビキくん」
「へあ!?」
いきなり名前を呼ばれ、間抜けな声が出てしまった。
俺はもう手遅れだというのに、口を塞いでいた。仕方なく部屋の中を覗く。
その部屋にはシオリさんとアオさんの二人が椅子に座ってた。
アオさんは俺の方をじいっと見つめており、シオリさんは目を瞑り、ニコニコしていた。
「す、すみませんでしたあああ! 別に悪気があった訳じゃ無いんです! ただ、ここを通って、
ちょうど話し声が聞こえたので聞いてしまっただけなんですよ!!」
「ええ、そんなことは分かっているわ」
意外な返事がきて、下げていた頭を上げる。
「夜中、大変だったでしょ? きっと血だらけだったはず」
「な、なんでそれを……」
「ち、ちょっとシオリ姉。それどういうことよ。アイツがいたってこと!?」
俺の考えは間違っていなかったようだ。アイツとはあの腕の無い少年のことだろう。
その姿を思い出してしまい、気分が悪くなる。
「気持ち悪いわよね……あなたたち、四人が来て興奮してるのかしら……」
「でも、そんなことは今まで無かったはずよ?」
「歴史書に載っていなかったかしら? その話」
あれ…? この話どこかで……もしや……
「あの、アイツって…ポケモントレーナーだったりします?」
俺がそう言うと、二人の表情が一変した。シオリさんは真剣な顔になり、アオさんは驚いた顔になった。
俺の言ったことはあたっていたみたいだ。
「聞いたことあるのね? アイツが…ポケモントレーナーだったってこと」
「ポケモントレーナー殺人事件って昔あったらしいんで…知ってます。確か……
十五年くらい前の話でしたっけ…」
そう、十五年くらい前に殺人事件があったらしいのだ。
これは俺の母さんから聞いた話だから詳しいことはよくわからない。
ただ、知っていることは知ってる。内容は…こんな内容だった気がする……
十五年前、森にある旅館でポケモントレーナー殺人事件があった。それは酷い事件だったという。
その旅館に泊まっていた客の殆どがポケモントレーナーだ。犯人は未だに捕まっていないというが、
もしかしたら死んだポケモントレーナーの中に入り交じっているという説がある。
だが、そうだったらもう捕まえることが出来ない。
この事件で泊まっていた客の半分は殺され、亡くなっている。
それからその旅館へ行く森の行き来は禁じられているらしい。
しかし、その旅館は今もやっている…経営しているという。まだまだこの事件には謎が残っている……
母さんは悲しそうな顔をしてこの話を語っていた。
世の中にはこんなことも沢山あるから気をつけなさいとよく注意されたものだ。ポケモントレーナーの殺人…
相当な恨みがあるからこそ、こんなことができると思わないと恐ろしい。
「どうしたのヒビキくん…元気がないわよ? 嫌なことでも思い出した?」
考え事をしていた俺を、シオリさんが心配してきた。
「いえ…大丈夫です。もし新しい情報があるなら、また教えてください」
「わかったわ。じゃあヒビキくんも何かあったら知らせて。
そろそろアイツにした封印が解けるかもしれないから。気をつけて部屋に帰ってね」
俺は部屋を出た。書庫に行きたいが、また腕の無い少年と会うのは嫌だ。
そういえば、今何時だ?携帯を見ると、何故かもう夜の十一時だった。
「ただいまー…コトネ、もう昼…」
「ヒビキくん……!」
部屋に入ると、コトネが飛び込んできた。
俺の頭がビックリマークとクエスチョンマークに覆われる。
「コ、コトネ!? どうした!?」
「おかしいの、この旅館に来てから! 携帯の時計が狂っちゃって…しかも外を見に行ったら暗いし…!
さっきまで朝だったのに、もう夜の八時だよ!? 本当におかしいよ、此処……」
「八時…!? なんでだよ、今昼の十一時だぜ…!?」
「携帯の時間見てみてよ……絶対8時だから…」
時計を見てみても針は昼の十一時を指している。でも、外は夜のように暗い。
電気を点けないと暗くて見えない。
「え…何で? シルバーにも確認して来なきゃ! 行ってくるね!」
「…ちょ…お、おい! コトネ!」
声をかけた時にはもう靴を履いて行ってしまっていた。
「ったく……」
外を確認しようと窓の方を見た。青空ひとつ見えない、それどころか真っ暗だ。
真っ暗…? 空の青色が見えない…?
「………!!」
…ここはジョウト地方でもカントー地方でも何にでもない何処かだ。
わかることは、ここは森の中だとだけだ。あとは全くと言っていいほどわからない。
やっと気づいた。イツキさんたちが帰れないのはここが何処だかわからないからだろう。
…ということは、俺らも家へ帰れないということだ。
「嘘だろ……」
暗い部屋の中で1人、しゃがみこんだ。
続く
あとがき
今回の話の内容がよくわからない人もいらっしゃると思うので、簡潔に説明します。
外が暗いと思ったら森の中で日が射さない。しかも、ここは森ということ以外わからない。
ヒビキはわかった…帰り道がわからないということが。
みたいな感じです。なぜ最後しゃがみこんだか?それはいろんな考えを出して読みましょう。
次回は夜中から始まると思います。視点は…シルバーかコトネにしようかと考えています。
忙しい中ですが、出来るだけ早く投稿しますので、気長にお待ちください!
それではまた次回!さよなら!!
次回→>>49
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.49 )
- 日時: 2016/05/05 11:26
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
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前回→>>48
31話:幻覚(シルバー視点) ※ちょっとホラー要素ありかも
携帯が壊れたかもしれないと気づいたのはコトネに言われてからのことだ。
携帯の時間を見てみてと言われ見たは良いものの、夕方の五時だった。
あれ? さっきまで朝だった筈だと思っていたが、コトネは夜の八時だと言う。
ヒビキは十一時だと言うし、誰の携帯が合っているのかわからないが、誰も合っていないだろう。
ごろごろと過ごしていればあっという間に夜だし…現在は夜中の二時。
なぜわかるかって?
目がぱっちり開いていて、寝れないからさ。
…昨日ヒビキからおかしな話を聞いた。それも寝れない原因の一つだ。トイレに行けない。
部屋にトイレはあるが、壊れている。苛ついて思いっきりトイレのドアを蹴ってやったら傷がついた。
意外に脆くて焦った。ま、今日はそのトイレと1度も目を合わせずに一日を過ごした。トイレなんか嫌いだ。
あー、トイレ行きてえ…ってか寝れねえ……!! しゃーない…一階のトイレに行くか…
─────・・・
「暗いな…灯りがなきゃ見えねえ…」
用を足して部屋に戻るための廊下を使った。書庫とか大切な部屋が並んでいる。
しかし!
この廊下。これが何とも言えないくらい暗い(駄洒落じゃねーよ?)
行くときはそんな暗く感じなかったが、戻り道は結構な暗さだ。
ガチャン!
「……!! な、なんだ!?」
多分今…トイレがある方向から音がした。う、丑三つ時って何時位だっけか…?
確か、今の時間帯だった気がする…なにかがこちらに向かって来るようだし、戦闘準備でもするか。
「その声…シルバー?」
暗闇の中から聞き覚えのある高めの声がした。目を凝らすと、いつもと違う感じの少女がいた。
コトネだ。毎日のようにツインテールをしているから髪を解いていると、変な感じがする。
別に似合っていないとかいうことを言いたいわけではない。
でも、自分の部屋にトイレがあるのに、何故一階のトイレに来たのだろうか。
「良かったああ…一人でここのトイレに来るの、すっごい勇気いるんだよねー…
ここに来るまでに十分悩んだもん」
あははと笑った。怖がりな奴だったらトイレするの我慢するだろうな。
「でもお前何で自分の部屋にトイレあるのに、こっちのトイレ来たんだよ。
因みに俺はトイレ壊れてたからここに来たんだけどな」
「あー…ヒビキくんがトイレ入っちゃっててね〜。お腹壊しちゃったんだって。
全く、昔から無理するのは変わらないんだから」
暗闇の中だから、どんな表情をしているのかあんまり分からない。だが、困っているように見えた。
でもそれも気のせい。目を細めて優しく微笑んでいるのが見えた。可愛い。
でもコトネがこんな顔するのは、特別に思っている奴の話をしているときや、一緒にいるときだけだ。
凄く貴重な顔だから写真を撮って、残しておきたい。
「真っ暗だからよく見えないね。んでも暗闇に目が慣れてきたや。戻ろっか、部屋に」
「ああ、そうだな。」
やっぱり俺…この笑顔、大好きだ。守ってやりたくなる。
「……なあ、コトネ」
「ん?どうしたの、シルバー」
俺の前にいたコトネが振り返る。きょとんとした顔で俺を見つめた。今からでも言いたい。
守ってやりたいと。でも…俺にそんなことを言える勇気はない。
「いや、やっぱ何でもない」
俺はコトネから目を逸らした。言いたいことも言えない自分が情けなくて嫌いだ。
「ちょっとー、そう言われると凄く気になるんだけどー!!」
むすっとしている。言えないものはしょうがない。
「まあいいや! 言いたくなったら言いなよ、待ってるからさ。」
なんか泣きたくなってしまった。コトネの言ったことが嫌とか悪いとかそういうことじゃない。
今言った言葉が最期だったら怖いからだ。待ってるからって…その言葉が1番怖い。
「コト…ってうわあ!」
「な、なに!? くっ…立てない!」
いきなり地震のように揺れ、体制が崩れる。あまりの揺れで、立つことができない。
少し経つと揺れは治まった。
「だ、大丈夫かコトネ。立てるか?」
コトネに近寄った。寝そべっている。
「う、うん。大丈夫。シルバーは…うん、大丈夫そうだね」
俺のことを確認すると、ゆっくり立ち上がりあたりを見回した。何か気になることでもあるのかもしれない。
でも、そんなに気にすることあるか?
「シルバー…私ね、ヒビキくんが言ってたことって本当だと思うんだ。
シルバーとレッドさんは信じてないかもだけど、私は本当だと信じてる」
「俺は、非現実的なことはあんま考えないから信じることはできない。
だけど、もしかしたらそういうこともあるのかもなって感じてる。
ヒビキは…俺とレッドさんが話を信じてないから拗ねてると思う。だから、なんか言っておいてくれ」
「わかった、言っておく。…って…シ、ルバー…あれ、何…?」
頷いたと思ったら俺の後ろの方を見て震えだした。何かと思って、俺も振り向く。
そこには、うじゃうじゃと動くものがたくさんいた。目を細め、よく見てみる。
正体は──……腕だ。
「う、腕だ。…しかも、腕しかない…胴体がない。」
恐怖で退く。コトネも俺が退くと共にしがみついてきた。
カタカタと震えており、歯が噛み合っていなかった。
「うっ、腕…? う…あ、ああ…」
様子を見ていると、1本の腕がこちらに気づいたようだった。猛スピードで向かってきた。
続いて他の腕も大量に向かってくる。逃げようと思っても、もう遅かった。気づいたころには、
口を塞がれていた。コトネも同様口を塞がれ、もがいていた。
「んぐう…! ぐうう!! ううう……! ……」
気絶したのか何なのかわからないが、コトネの体がだらんとした。
「ふふへ(コトネ)!!」
マズい…このままじゃ息ができなくて、窒息死だ…!! 何とかして抜けないと…
駄目だ…もがいてももがいても塞ぐ力が強くなっていくだけだ…!
「んぐ…ぐっ……」
苦しい、死ぬ…誰か助けてくれ…
────・・・
視界が明るくなり、目を覚ます。起きたらそこは、俺の部屋と少しつくりの違う部屋だった。
俺の隣にはコトネが寝ていた。ということは、ここはヒビキとコトネの部屋なのかもしれない。
「…起きたか!? シルバー!」
バタバタと歩く音…というか走る音がした。ヒビキが汗だくで俺の隣に座った。
はぁはぁと息が乱れている。そんなに走ったのか…?
「なあヒビキ。何があった…?」
「それはこっちのセリフだ!!」
怒鳴りつけられた。更に睨みつけられて、何も言えなくなる。
「シルバー! お前とコトネに一体何があったんだよ!!
コトネがいつまで経っても帰って来ないと思ったらトイレの近くでお前と一緒に倒れてるし!
こっちはすげー焦ったよ!!」
ボロッとヒビキの目から涙が溢れた。
それが俺には衝撃的だった。ヒビキが泣くとこなんて1回見たことあるかないかの具合だ。
こんなの見たらおろおろするしかない。
「ヒビキ…落ち着けって……」
「血はそこらへんにポタポタ落ちてるし…一瞬死んだのかと思っちゃったじゃねーか……くそう…
コトネはまだ起きねえしよぉ……もうわけがわからねえよ……」
体育座りの態勢で、膝に顔を埋めた。俺は、そんなヒビキの様子を黙って見ることしかできなかった。
口を塞がれていた気持ち悪い感覚が、口に残っていた。あの腕は…幻覚では無いのだろう……
続く
あとがき
私自身、幻覚とか見たことはありません。ですが、見えるはずのないものが視えたら
怖い気がします。でも今回の話は、見たものが幻覚のようで幻覚では無い感じです。
もし貴方の目に大量の腕が映ったら…しかも胴体がない。怖いですよね…
私なんて考えただけで怖く感じますよ!
次回は新展開が起こると思っていてください。必ず新展開を起こさせてみせます。
…作者が何言ってんだか……
ではまた次回!さよなら!!
次回→>>51
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.51 )
- 日時: 2016/05/05 11:28
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
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前回→>>49
ガチホラー編スタート!?
32話:少年
目が覚めると朝だった。そうだ、俺昨日泣いたんだった。
それで…確かそのまま眠くなって寝た気がする。コトネが俺の隣に寝ていた。
「コトネ…まだ起きないのか…」
今日の夜中頃、コトネとシルバーが1階のトイレ付近に倒れていた。
血も落ちてたから思わず声を上げてしまった。この部屋に二人を連れてくるのもひと苦労。
コトネを先に部屋に連れてきて、その次にシルバーを連れてきた。
この作業がめちゃくちゃ大変なわけだがな。
「あ、ヒビキ。起きたのか」
シルバーの声がした。俺は、今の体勢のままシルバーに返事をした。
「よう、シルバー。お前も起きたんだな」
「今さっきな。…ヒビキ、トイレ借りた、ありがとな」
「ん。シルバー、朝食…どうすんだ?」
一応変な空気にならないように話をしたが、俺の気分は最悪だ。
今の自然な空気でも全く気持ちが晴れない。
コトネは全然起きないし、時計は壊れてるし…今が何時なのかもわからない。
時間の感覚がおかしくなってきてる。体内時計なんて機能は、俺には備わってない。
「…コトネが起きたら食べる」
そう言うとシルバーは、俺の隣に腰を下ろした。そこから無言の空気が続く。
何かを話そうにも話題が見つからなかった。ふと、聞かなければいけないことを思い出した。
夜中の出来事だ。どうしてトイレの近くなんかに倒れていたのだろうか…
「シルバー、夜中あった出来事のついて教えて欲しい」
するとシルバーは、ギョッとした表情を見せた。やっぱり何かがあったと俺は見る。
シルバーはすぐさま首を横に振った。
話して欲しいから、マジマジとシルバーを見つめていると、話す気になったのか溜息を吐いた。
「そんなに話して欲しいなら話してやる。…丑三つ時くらいかな、俺がトイレに行ったのは。
俺の部屋のトイレ、壊れちまってさ。だから仕方なく1階のトイレに行ったってわけだ」
シルバーは、起きた出来事を包み隠さず話してくれた。もう隠す必要も無いのだろう。
1階のトイレ付近でコトネに会ったこと、沢山の腕が襲ってきたこと…
「なぁシルバー」
「なんだよヒビキ」
言わないほうがいいのかもしれない。だけど、言うしかなかった。
俺自身、気になるってこともあるんだけど…
俺の体験した出来事と何か関係があるんじゃないかと思ったからだ。
「あそこ、トイレの近くにさ、書庫…あんじゃん」
「ある。それがどうしたってんだよ」
出来れば、目的がなければ聞きたくない。でも、目的があるからこそ聞かなきゃならない。
そういう時って誰だって経験したことあるよな…
「俺、話しただろ? 書庫で変な奴に会ったって」
「ああ、言ってたな、そんなこと」
「それで、もしかしたらなんだけどな…」
そこで俺の口が閉じた。
なんだよ、俺…話せないのか?
ダメだろ、弱気のなっちゃあ…話すと決めたら話すのが男だろ?
自分に言い聞かせるが、思うように言葉が出ない。途中で話、きりたくないのに…
なんで俺ってこんなに意気地が無いんだよ…
「ヒビキ? なんか話すことに問題でもあんのか? 言いたいことがあるならちゃんと言えよ」
「え、あ、ああ。……その、な…俺の会ったそいつと何か関係があるんじゃないかと思う」
「関係? んなもんないだろ…だって俺が実際そいつに会ってないんだし。そうだろ? ヒビキ」
やっぱりシルバーは信じない。でも信じてもらえないことなんてとっくにわかってることだ。
それでも俺は気になる、書庫には何か隠されていることがあるんじゃないかと…
「そう言うと思ったんだ。…だから、書庫に行こうぜ?
今日までのおかしな出来事が本当にあったかどうかってことを。
確かめる必要なんて幾らでもあるんだからさ」
シルバーは少しの間黙っていた。行くか行くまいか考えているかもしれない。
そして決断をしたのか、口を開いた。
「…俺も気になるから行く。それに時間も直しておいたし、いいだろう?」
「時間…?」
シルバーに尋ねると、何ぼけてんだとひと蹴りされた。
「携帯の時間のことだよ。忘れたのか? 時間がズレてること。
それを直しておいたってことだ。お前まだ十四だろ、それぐらい考えろよ…」
「嘘嘘、知ってるって(何のことだかわからなかったけどな)。それじゃ、書庫に行くか」
立ち、背伸びをした。時間を確認すると、まだ4時だった。朝…に近い夜中みたいな感じだ。
シルバーも立ち上がり、置いてあった携帯をポケットの中に入れた。
俺たち二人はコトネを一人残し、部屋から出た。鍵をかけ、一階へと繋がる階段を下りる。
前もこんな風に二人で歩いてたな…昔の自分を思い出した。考えているうちに書庫へと着いた。
「ここだな。ヒビキ、準備はいいな?」
「ああ、いつでもOK」
シルバーは、俺の発したその言葉を聞くと、ゆっくりと書庫のドアを開けた。
中は思った通り。暗く、灯りが無いと見えない状態だ。持って来た懐中電灯で中を照らす。
誰もいないかもしれないという考えは見事に裏切られた。
書庫の中には……
俺が夜中に見た少年が、椅子に座っていた。こちらのことをニンマリと見つめていた。
「やあ、ヒビキ、シルバー」
「今日の夜中…あんなことをやったのは…お前なのか…!?」
目の前にいた少年に反発したのは、シルバーだ。怒りかなんかで震えている。
「君たちには気づいてもらいたくて色々やったんだけど、流石にやり過ぎちゃったかな?
ごめんね。でも、悪気があったってわけじゃ無いんだよ?
ただ単に、僕の存在に気づいて欲しかっただけさ。だからコトネには悪かったなと思ってる」
「だからって…! そんなの…!」
「シルバー、やめようぜ? 話したいことだってある」
俺の一言で、シルバーの気持ちを抑えることができたようだ。不穏な感じが辺りに広まった。
続く
あとがき
私の知り合いが書いてくれていたものです、ありがとう。
一回前編後編に分ける予定でしたが、やめました。修正いたしました。
あと、雑談掲示板開いてるんで遊びに来てくださいね!!
ではまた次回!さよなら!
次回→>>52
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.52 )
- 日時: 2016/02/07 10:55
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
前回→>>51
33話:15年前に起きた殺人事件 (会話多め)
じーっと目の前にいる少年を見つめる。こいつが俺たちにやってきた犯人…格好も少し不自然だ。
謎が多いし、話しかけてみる必要がある。聞いてみるか、色々…
「名前、なんていうんだよ」
「名前? んー…仮名を言うのもどうかと思うし、本名を言うよ。
僕の名前はアキヒト。ちょっと変な名前かもしれないけど、ヨロシク」
よろしく…、俺もそう言って会話を交わした。少年…アキヒトは悪戯好きなのかもしれない。
よくいる、すっげー悪戯する奴が。背もそんなに大きくないみたいだし、俺よりも年下だろう。
だが、アキヒトが立ち上がると、全然俺の予想と違っていた。大体俺と同じくらいの身長だ。
大きく変わらない。シルバーは俺よりもデカイからアキヒトはシルバーより小さいと思う。
「あっれー? まさかヒビキ…僕背が小さいと思ったのー? 残念♪ ちっちゃくないです!
ま、君の身長と同じに設定してあるから背が一緒なのは当たり前だけどね」
「設定してある…? どうゆうことだよ…」
「そ、君と同じにね。僕、こう見えて生きてないからさ!
だから、身長を変えるとか、自分の体を自由に操ることが出来る。驚いた? 僕が死んでるって聞いて」
アキヒトは俺のことをからかっているかのようにニコッとした。
「てっ…てゆーかお前何もんだよ! 死んでるとか…霊体なのか!? お前の体は!」
「その通りだよ、ヒビキ。今の僕の体は霊体! …だから触れること、出来ないよ?」
いちいち俺のことを挑発してきている。ムカつく。
「あ、自己紹介しなきゃね。年齢は十二歳! 元、ポケモントレーナー」
「元…?」
「うん。意味は君とヒビキで考えてみればいいよ」
「元ってどういうことだよ、わかるわけねえじゃねえか…」
「……まさか、そんな事は無いよな…絶対あるわけ…無い、よな…」
ひとつだけだが、考えが浮かんだ。もしかしたら、こいつは…
「ヒビキ、何が言いたい」
「シルバー、ちょっといいか?」
シルバーに、15年前にこの旅館で起きた殺人事件について話した。この話にシルバーは酷く
驚いたようで、目を見開いた。
「ヒビキ、お前まさか…あいつがその事件の加害者だって言いたいのか…?」
「いや、違う、その反対。事件の被害者なんじゃないかってことを言いたい」
「おっ! 流石だね、チャンピオンさん。そうだよ、僕はその事件の被害者さ。
でも…よくわかったね、何のヒントも無しに…だってヒビキ、君まだ生まれてないでしょ?
何で…あの事件のこと知ってるの? どうして?」
ずいっと俺の前に現れた。質問攻めでたじろぐ。
結構有名な事件と言ったら何をされるか知れたもんじゃない。
無駄に言わないほうがいいと、俺の防御反応が示している。
「何もしないからビビらないでよー、大丈夫だって! 事実を話してくれればいいから。
話さないほうが、痛い目にあうかもね」
真顔になったと思ったら、すぐにニヤリと笑みを浮かべた。これは話さなきゃマズイ。
「親から聞いたんだ。それに、この殺人事件有名って聞いた。でも俺もこの事件について
まだよくわかってないんだ。だから詳しくは言えない」
「あ、いいよ別に詳しく言わなくても。詳しい内容については僕が今から話すからさ。
さーてと、と言ったところで話すことにするよ。君たち2人も気になるでしょ?
この事件の後のこととか、真相はどうなのか…とかさっ。さ、椅子に座って」
再び椅子に座ると、足を組んで話し出した。座れと言われたし、近くにあった椅子に座る。
「…何から話そうかなあ…ま、そこらへんはいっか! 事の起こりは忘れちゃったけど、
十五年前、僕はこの旅館に泊まっていた。ポケモントレーナーとして毎日頑張ってて、
旅行に来た気分になってたんだ。でも、僕が泊まって三日後、奴がやって来た…
ヒビキ、シルバー、奴って誰だかわかる?」
「犯人のことだろ」
「正解、シルバー。そう、犯人だ。
僕らはそいつに何も危害を加えていないのに、そいつは僕たちに危害を加えてきたんだ。
平和だった旅館が一瞬にして血の色に染まった。旅館中にあった花瓶は全て割られ、
泊まっていた客の半分は殺された…そして、その殺された客の殆どがポケモントレーナー…」
「ち、ちょっと待てよ! 何で…どうしてそんなことになってんだよ!
ポケモントレーナーって…まだまだなったばかりの子もいたんだろ!?」
「いたよ、酷いよね。んで、この旅館は旅途中のポケモントレーナーに人気があるんだ。
それを狙って、犯人は殺人事件を犯したのだろうね…女将も女将さ」
突然、話の中に女将さんが出てきた。何を話すのかと思えば、衝撃的な話だった。
「女将はね、犯人が旅館に泊りに来たときからもう既に分かっていたのさ、そいつが犯人だってこと。
多分、女将にも目的があったんだろうね。女将は犯人の食べる食事に毒を仕込んだ。
でも効き目が遅いから悪かった。即効性だったら大勢の被害者が出ずに済んだのに…
犯人が丁度旅館にいた人の半分を殺したときかな。毒が効いてきたのは」
「…嘘…だろ? その女将は大勢の被害者が出ると、わかってて旅館に泊めたのか? 犯人を?
そんなの酷すぎだろ!! たった一人を殺すために大勢の被害者を出させたのか!?
もっといい方法は無かったのかよ…多くの被害者を出さない方法が無かったのかよ…」
俺の声は静かな書庫に響き渡り、やがて消えていった。
続く
あとがき
テスト期間の間は、本文は知り合いが書いてくれています。投稿係は私です。忙しいのであとがきが
いつもより短かったり、おかしかったりするかもしれません。ご理解いただけるようお願いします。
ではまた次回!さよなら!
次回→>>53
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.53 )
- 日時: 2016/02/07 10:55
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
前回→>>52
34話: 『人消しゲーム』(会話多め)
俺の声が消えたあと、アキヒトが話を再開した。
「そんな知識は女将には無かったんだろうね、人を殺すなんて知識は…ね。
僕は死んだあとすぐに霊体となって戻ってきた。だから犯人が死ぬ様子も見れた。
死んだ、よかったと思った」
そこで、アキヒトの表情は曇った。カタカタと体を震わせ喋り続けた。
「でも、それだけじゃ済まなかったんだ。この旅館の全てが憎たらしくなった。
だから僕はこの旅館に復讐することにしたんだ。作戦はうまくいった。三年に一度、
この旅館に現れて旅館にいるやつの半分を殺した。んで、残りの半分は下僕として働かせた」
「下…僕…? 三年に一度…? でもそれじゃあ人数が少なく…」
「あー、それは問題ないよ。この館の主を、僕は下僕という存在で見ているからね。何だっけ名前…
思い出した! ヤマシロウだ!ヤマシロウを脅して館の人数を多くしていったんだよ。
毎年ね。ヤマシロウは罪悪感でいっぱいなんだろうね…」
「何をしたんだ、お前は」
「ちょっとした都市伝説を作ったのさ。呪いの電話がかかってくるっていうね。
でも、それ嘘だから気にしないでね。僕が自作した都市伝説だから。
君に電話をかけたのはヤマシロウ。僕はそれを支えた。いろんな事をしたよ。気づかなかったかな?」
「…呪いの電話とか…お前らが仕組んでたのか?俺たちをここに連れてくるが為に…!
ふざけんのも大概にしろよ! ひでーよ、そんなことするなんて…ヤマシロウさんを使ってそんなことして…
お前最低だろ!」
シルバーがとうとうキレて、大声でアキヒトに言った。
悔しいのもわかるけど、来ちゃったからにはどうしようもない。確かに最低だ。
だけど、俺らは絶対と言っていいくらい、こいつに勝てる確率は十五パーセント以下に近い。
それほどこいつは邪悪な雰囲気を漂わせている。
「シルバー! こいつは絶対まともじゃない! 文句を言ったって無駄だ!」
「んなの構うか! おい、てめーぜってーぶっ飛ばしてやる!」
「ご自由にどうぞ! …でもねえ、多分君たちの力だけじゃ僕には勝てないと思うけどね〜」
ふっ…と鼻で笑われた。どう見たって俺たちを馬鹿にしてるようにしか思えない。
死ぬほど腹が立つ。何でこんな奴に馬鹿にされなきゃいけないんだ。
「じゃ、僕の目的を話さしてもらうよ」
「目的…?」
「うん、目的。君たちをこの旅館に連れて来たのにはちゃんと意味があるんだから」
その意味とは何のことだろう。俺たちをここに連れて来たわけ…何も思い浮かばない。
「…僕退屈してたんだ。今までの『遊び』に。
だってつまらなくない? 無名のポケモントレーナーを消しても…
因みに僕、凶器とかそんな危ない物を使ってポケモントレーナーを潰してるわけじゃないからね?」
じゃあ何だってんだよ!と言いたそうな顔で、シルバーはアキヒトを睨みつけた。
でも、そんな目、屁でもないという感じで、アキヒトは平気そうに話を続けた。
「そーだ、やっぱり殺したっていうのは嘘ね。実際殺してはないから」
「殺してない…? 殺してないって…何でだよ」
「殺してはいない…ただ、この世から消えただけだよ」
この世から消えただけ…その言葉がひどく重く感じた。
消えただけ…だけって、どうしてそんな簡単に言うことが出来るんだよ。
人が消えると、それだけで大騒ぎってことじゃないのかよ。消えるって事を甘く見ているのか、いつは。
「ま、消した本人は僕なんだけど。ポケモンを使って消したんだ。凄いよねポケモンって…
そんなこともできちゃうんだからさ! 僕もそんな能力が欲しいよ〜」
「人を消す技なんてあるのか…?」
「僕が考えたオリジナルの技だよ。僕の使っているポケモンに命令すれば、すぐにやってくれるもの。
でも僕のポケモン、君たちの子たちと違って少し異常なんだ」
異常だと? ポケモンに異常も何もあるか。みんなポケモンは正常だ。
悪い奴なんて…いるわけないじゃんか。
「もういいかな? 話はこれくらいで。僕、そろそろ『ゲーム』始めたいんだよねえ」
「『ゲーム』って…どういうことだ?」
「何シルバー、もう忘れちゃったの? 言ったでしょ、三年に一度人を消すって。
でも今回でそれも終わり、全て消すんだ…何もかも…まあ一部の人は逃すけど…」
くすすっと面白そうに笑い、俺とシルバーの目を見た。
何が可笑しいのか俺にはさっぱりわからない。こいつは何をしでかそうとしているのか…
「1年半前に『ゲーム』をやったばっかりなんだけど、もう待ちきれなくなっちゃって…
君たちを呼んだ理由がそこにもある。この事件のこと、今はあんまり知られてないんだ。
だから世間に思い知らせてやるのさ! 恐怖のどん底に落としてやる…ふふふ…
あっはっはっはっはははははははははははははははははは!」
「シルバー…こいつは狂ってる…危ない感じがするから、逃げる準備しとけよ…」
「んなこたあ、わかってる」
シルバーは後ろに下がった。ドアから逃げる準備をしているようだ。
俺もそれに合わせて走り出す体勢になる。いつでも逃げられるように。
アキヒトは大きく息を吸った。
何を始めるのだろうか?
「…スー…旅館内にいる皆様〜おはようございまーす! 一年半ぶりのアキヒトだよー!
突然だけど、今から三年に一度のイベント、『人消しゲーム』を開催したいと思いまーす!
まあ一年半ぶりなんだけどねぇ…制限時間は二日間でーす! 捕まらないように逃げてね?
捕まったらみんな、どうなるかわかってるよね…?
では、三分後に始めたいと思います! その間にみんな、逃げる準備しておいてね〜!
それじゃ、また三分後会えることを期待して…バイバーイ!」
人消しゲーム…それがこいつの言ってた『遊び』だ。
人を消す遊び…それは単なる遊びではなく、恐怖の『遊び』という存在と見た。
「おい待てよ…何言ってんだよ…人消しゲーム? ふざけないでくれよ!
何で俺らがそんなのに付き合わなくちゃなんねーんだよ!」
「ねえ君たち、そんなにゆっくりしてていいの?あと少しで始まっちゃうんだよ?
捕まって消されたいなら話は別なんだけどさ。早く逃げないと『ゲーム』が始まっちゃうよ?」
そうだ、こんなにゆっくりしている暇は無い。早く逃げなければいけない!
俺はシルバーの腕を掴み、書庫を出た。階段を急いで駆け上り、部屋の中に入る。
こんな事をしている間に三分はあっという間経ってしまった。どこからか声が聞こえた。
『それでは皆様〜! ゲームの始まりです! いっぱい逃げて、僕をいっぱい楽しませてねっ?』
アキヒトの声の放送と同時にゲームのスタート音が鳴った。
心の何処かで、アキヒトが喋った気がした。
「楽しい楽しい『ゲーム』の始まりだね。逃げきって無事に家に帰ることができるか、
逃げきれずに捕まって消されるか、どちらの道を進むかは、君の頑張り次第だよ?」
人消しゲームSTART▼
続く
あとがき
『人消しゲーム』が始まりましたね。これでやっと本格的なホラー編になります。もし
貴方がこんな状況に陥ったらどうなんでしょうか…恐怖で震えあがりますか?勇気を出して
旅館内を逃げまわりますか?それとも…
私だったら即トイレに閉じこもりますww←捕まる運命
今回も知り合いに殆ど書いてもらいました!ありがとう!今回は長めですね、すみません。
次回はどうなるんでしょうか…お楽しみに!
それではまた次回!さよなら!
次回→>>56
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 人消しゲームSTART ( No.54 )
- 日時: 2016/05/04 15:48
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
【人消しゲームについて】
- 人消しゲームとは -
人消しゲームとはその名の通り、人を消すゲームである。ただ、1つ注意することは、
このゲームを甘く見てはいけないということだ。単なるお遊びのようにも聞こえるが、正真正銘、
必死に逃げなければいけない。鬼ごっこのようなものでもある。鬼ごっこに例えて説明すると、
鬼はポケモンを使い、逃げている人を消す。誰を消すかは鬼の自由。
捕まった人はこの世から消されてしまい、異世界へと飛ばされる。恐怖のゲームである。
- 異世界とは -
人消しゲームで消された者が行きつく場所である。現実界の裏側にあるという説がある。
異世界に飛ばされた者は、消した本人が現実界に戻さない限り、戻ることはできない。
ただし、異世界に何らかの影響を与えると戻ることができるという。
- 人消しゲーム ルール -
・予め鬼を決めておく
・鬼はパートナーのポケモンを使い、制限時間内に逃げる人を捕まえる
・逃げる人は制限時間内に逃げきれば消されずに済む。だが、制限時間内に逃げきれなかった場合、
捕まえられて消される。行きつくとこは異世界。
・全員が捕まった時点でゲーム終了or制限時間内に逃げ切ったら終了となる
- この旅館での人消しゲーム -
この旅館ではすでに鬼が固定されているため、次にこのゲームをするときも同じ人が鬼役となる。
制限時間は2日間。2日間の間逃げ切ることができれば家に帰ることができる。
- 作者から -
この中から逃げ切れそうな人を予想してみてね。話の中で展開が変わってくるかも…
・ヒビキ ・コトネ
・シルバー ・レッド
・ヤマシロウ ・モブ女将
ちなみに理由があって下の人たちは人消しゲームに入っていないよ!!
理由は今後の話でわかるよ〜
・イツキ ・キイ
・アオ ・シオリ
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.56 )
- 日時: 2016/04/17 19:05
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
前回→>>53
35話: 起きたコトネと隠し扉
どうしたらいい…?今の状況を纏める(まとめる)が、焦りすぎて頭の中がぐちゃぐちゃだ。
コトネはまだ起きていない。このままじゃ動けなくて、消されてしまう可能性も高い…
「ヒビキっ…シルバーっ…! 居るか…!? 居たら開けてくれ…!!」
廊下から息のきれているレッドさんの声が聞こえた。ドアを必死に叩いているのか、ドンドンと
聞こえる。俺がドアを開けてやると、ぐいっと肩を掴んできた。
「はあっ…はあっ…! 人消しゲーム…ってなんのことだ!? 教えてくれ…!!」
何やらさっきのアキヒトの声が聞こえたようだ。レッドさんにしては凄く騒がしい。
きっと人消しゲームが気になるのだろう。俺はレッドさんに人消しゲームを説明した。
真剣そうにこちらを見つめて、話を聞いていた。説明が終わると、すぐにレッドさんが話し出した。
「そういうことか…だから、人が消されたのか…ということは…
異世界に飛ばされたってことなのか…!? 嘘だろ…?」
「レッ…ド…、一体何があったんだ?」
レッドさんに対してシルバーは呼び捨てをしている。ちょっとギクシャクだが……
「……俺の目の前で…人が消されたんだ。しかも食事作ってくれるおばちゃん…
優しかったのに…何で…!! 誰なんだよあの男の子は…!!」
「人が消された…? そんな…嘘だ……」
レッドさんは、
「食事のおばちゃんが目の前で消されたんだ。俺は1階でのんびり過ごしていた。
でもな、自分の部屋に戻るときに、おばちゃんが消された。消したのはフーディンなんだ。
フーディンに 命令していたのは、一人の男の子。フーディンの他にもバリヤードがいたんだけど、
バリヤードには命令を一切していなかった。俺は逃げた。
それで…おばちゃんを助けてあげられなかった。愛想がよくて、面倒見の良い人だったのに…
何もしてあげられなかった。ただ自分の命が危ないと思ったから逃げた。俺…弱い、よなあ…」
と、弱々しく喋った。ショックを受けるのも仕方のないことだ。
レッドさんと食事のおばちゃんは仲が良かった。食事のときにも仲睦まじく話していて…
「…弱くないですレッドさん。泣かないだけ、弱くないです。私だったら…泣いちゃいますもん…」
今喋ったのは俺ではない。だから、その声に俺らはビクッと驚いた。コトネの声だからだ。
コトネが…やっと起きたのだ。
「おはよう、みんな」
「コトネ…今、起きたのか…?」
シルバーの質問に、コトネはこくりと頷いた。
コトネが今から喋る内容が今の現状とそっくりということは、まだ…知らなかった。
俯きながら、夢のことを話し出したのだ。
「…なんかね、深い夢に浸かっていた気がする。
怖かったの、夢の中でフーディンと、バリヤードと…男の子に追いかけられた。
どんどん旅館に居るみんなが消されていって……うっ!?」
急にコトネが頭を押さえた。痛みを和らげたいのか、痛くてどうしようもないのか、
なんなのか理由はわからないが、倒れ混んだ。
「コトネ…!? どうした、頭が痛むのか…!?」
シルバーがコトネの体を支える。…シルバーの様子が妙に変だ。
まるでコトネの体温に目を疑っているように見える。
だけど、これ以上コトネに触れていたら殴られそうな気がする。
「だっ、大丈夫っ…ちょっと…頭痛がしただけ…だよ!」
俺はこのコトネの反応に違和感を覚えた。別人とか…そういうのじゃなくて、なんか変なのだ。
頭痛って…この前も似たような事を言っていたような気がする。
「…ここにいたらアキヒトに捕まる可能性が高い…! 急いで移動しよう!」
「ヒビキ、外に出たほうが危険じゃないか?ここにいる方が安全だろ。」
「馬鹿かお前は。ここは逃げ場が一つしかないんだぞ? 部屋から出るドアだけ…
来られたら終わりじゃんかよ。そこまで考えて───……」
ドンドン!!
ドアを叩く音がした。かなり乱暴な音だ…もしかしたら──……!!
外からは、俺が予想していた奴の声が聞こえてきた。
「ヒビキ、シルバー? いるんでしょ? 開けてよ、捕まれば楽になれるよ? ねえ、開けてよ!!」
アキヒトだ。ここまで追いかけて来たのか。まずい、もう閉じ込められたも同然だ。
さっき言った通り、出口は一つしかない。もう終わりだと、覚悟した。
そのとき、シルバーがおかしな事を言い出した。
「思い出した…隠し扉があるんだった……」
俺、コトネ、レッドさんの3人は、皆同じような顔をした。
レッドさんに関しては、何言ってんだこいつ…と、呆れているようにも見えた。
シルバーは立ち上がって、何の変哲も無い壁をトントンと叩いた。
は? と言いたくなるようなことが起きた。…壁が開いたのだった。
シルバーは自慢気そうに鼻を鳴らした、
「まあ驚くだろうな。これで俺の部屋から出れるぜ?」
「シルバー…行っていいのか?」
レッドさんが質問すると、シルバーは頷いた。
俺たちは、アキヒトが無理矢理ドアをこじ開けるのを耳にすると、隠し扉に入っていった。
…確かに中は、シルバーの部屋だった。
急いでシルバーの部屋から出ると、階段を転げ落ちるように駆け下りる。
…しかし、まだ俺たちはアキヒトがどんな方法を使って捕まえてくるのか考えてもいなかった。
続く
あとがき
テスト期間ですが、書いちゃいました\(^o^)/
すっごい阿保ですね、私(笑)
そういえば、2016/02/27に3dsのバーチャルコン…なんだかってやつでポケモン初代が配信
されますね!!かなり浮かれています(≧∇≦)浮かれるのも仕方の無いことですよね(~_~;)
ホラー編もやっと後編に入りました!やっとです!!これから書くのが楽しみです。
あっ!あと、小説の書き方をホラー編が終わったらちょっと変更したいと思います!!
次の投稿はテスト明けかな?皆さんが見てくれることが、何よりも嬉しいです!!
それでは、また次回!!2日後のテスト頑張ってきます!!
次回→>>57
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 人消しゲームSTART ( No.57 )
- 日時: 2016/02/07 11:21
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
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前回→>>56
36話:日記
俺たちはシルバーを先頭にし、追いかけてくるアキヒトから逃げていた。
後ろから俺たちを捕まえようとしているアキヒトの声が聞こえてきた。
バリヤードとフーディンを連れている。
でもこうやって逃げられるのも時間の問題だ。疲れてきたら終わり。
足が止まって動けなくなってしまう。今のうちに差をつけておかなければ捕まえられて異世界に飛ばされる。
でも、必死に逃げている俺らの逃げ道を阻むかのように、壁が立ち塞がった。
「くっそ…!! 行き止まりだ…! おい、ヒビキ。一旦別れて行動するぞ。
こんなところでモタモタしてたら捕まって異世界行きだ」
「そうだな。…オッケー、また後で会おう」
俺たちは二手に別れることにした。そうすれば、一気に捕まることもない。
シルバーもよく考えたものだ。あのシルバーが。二手だからな…コトネを連れていこう。
「コトネ! こっち来い!!」
「う、うん!!」
コトネが慌ててこちらへと来た。シルバーのとこに行こうとはしていないが、迷ってたみたいだ。
シルバーから何かの視線を感じたが、そんなの気にしている場合ではない。左へと進む。
シルバーとレッドさんは俺たちの反対側へ進んだ。後ろからの声が聞こえなくなってきた。
差がついてきているみたいだ。このまま逃げてしまおう。
「はあっ…はあっ…!! …コトネ…大丈夫か?」
「うん…だ、い丈夫だよ」
書庫に入って、鍵をかける。近くにチェーンがあったので、ドアノブに固定する。
疲れ切ってしゃがみ込むコトネに声をかけた。きっと、無理をしているのだ。
コトネは何に対しても頑張るから、無理をしてしまうところがある。
人に無理してるとか言っておきながら自分が一番頑張って、無理をしてる。
こんなに力を尽くさなくてもいいと思うのだが、そんなことを言ってもコトネは聞かないだろう。
少々頑固なところがあるから。
「ここまで来れば…大丈夫だよね…? アキヒト、だっけ…? 誰なのあの子…」
「……十五年前くらいにこの旅館で殺された子だよ」
「…………!? あの、殺人事件…!?」
目を丸くして、コトネは言った。コトネもあの殺人事件を知っている。
「…まさか、そんな……やっぱり、そうだったんだ……あのね、夢で見たんだ、アキヒトくんのこと。
相当、恨んでるんだよね…酷いことしたんだね、犯人」
なにかを憎むような眼をしてコトネは言った。事件の現場を、夢で見てしまったようだ。
「ねえ…少し休も? ヒビキくんも、疲れてるでしょ…?」
椅子に座って、意見を出された。でも、俺はその意見を否定する。
「いや、俺はいいよ。コトネだけ休んでて。調べたいことがあるからさ」
「そっか、わかった。じゃあ私もヒビキくんと一緒に調べるよ」
自分の意見を取り消して、俺の意見を優先した。
無理することないのに…、この書庫調べるだけだし…
心の奥底で、コトネに言った。
「なんでだよ、休んでていいぜ?」
「どうせヒビキくん、この書庫の中を調べるつもりでしょ。一人より二人の方が手っ取り早いって」
心を見透かされた。ぎくりとする。コトネはニッコリして、「やっぱり」と言った。
こいつは超能力者かなんかか。凄いと感心してしまった。
「…言っても聞かないと思うし、いいよ」
仕方なくオッケーしてやった。コトネが言っても聞かないのはいつものことだ。
もうそんなことはわかりきっている。俺だってコトネの考えていることは大体わかる。
「じゃ、調べようか!」
凄いやる気を見せながらも、もうコトネに体力が無いことは目に見えてわかる。
そんな無駄にやる気のあるとこを見せつけるコトネをチラ見しながら本棚を漁った。
すると、何か薄い物が見つかった。
「…………あ……」
この前俺が見つけた日記とは違う、また別の日記だった。…まだこちらの方が新しいようだ。
破かぬよう、丁寧にページを開く。中身はなんと、ポケモントレーナーが書いたものだ。
表紙には…「AK日記」と書いてある。日記の内容を見てみた。
20XX/XX/XA
今日はポケモントレーナーの間で有名な旅館に来た。
けっこう歴史が長くて、僕にとってはとてもきょうみ深い旅館だ。
今日からここにとまるのが楽しみだ。僕はマリに話しかけた。
マリもうれしそうにして、笑ってた。
20XX/XX/XB
新聞を見ると、また町の方で殺人事件があったようだ。
これで何件目だろう。犯人は前の事件と同じだ。いやになる。
殺された人はどんな気持ちなのだろうか...
マリは「ひどいよ」と言っている。僕もそう思う。
20XX/XX/XC
嘘だと信じたいが、連続殺人事件の犯人だと思われる人がとまりに来た。
これはマリが勘づいた。まさか、この旅館で殺人を犯す気なのか?
...そんなことが起きたら、相当な被害者が出ることになる。
マリを守らなきゃ
20XX/XX/XD
やばい事になった。1人目の被害者が出てしまった。
やったのは多分アイツだ。このままじゃひどいことになる。
でも、僕に止められるのか? 犯人を。僕は守れるのか? マリを。
20XX/XX/XE
どんどん被害者がふえていく。あんなにキレイだった旅館が、
今じゃ血の海だ。もう止められない。逃げなきゃ。
マリには生きていてほしい。早くこの犯人がいなくなればいいのに。
20XX/XX/XF
めのまえでマリがころされた
はんにんはわらっていた
もうだめだ
ぼくがこわれていく
ぼくがつかまるのもじかんのもんだいだ
マリ
ごめん
たすけてあげられなくて
20XX/XX/XG
きょうでこのにっきをかくのはおわりにする
このにっきをみたひとはさいこうのひとだよ
じきにぼくもころされるだろう
いまいくからね
マリ
ここで日記は終わっていた。虚しい終わりかただった。AK…? ……アキヒト?
アキヒトの日記なのか? これは。だったら…マリって子は、アキヒトの彼女ってことか?
そのとき、本がバタバタと落ちる音がした。
アキヒトが来たのかと焦ったが、そんなことはなかった。
だけど、別の意味で焦らなければいけなかった。
コトネが本棚の前で倒れていた……
続く
あとがき
テストが終わりました!!やったね。でも、全然駄目だったね。\(^o^)/
まじね、大変だったよ。やだね、テストは。
えーと、今回はアキヒトくんの日記を主に書きました。新たにアキヒトくんに
ガールフレンドがいることがわかりましたね。マリちゃんです。マリちゃんについては
今後明らかになってきます。アキヒトくんの真実も暴かれる…!?
っていっても明らかになってる気がしますがね。
そしてそして? コトネが倒れてしまいましたあああああ!!!!
最大のピンチがやってきました。コトネどうなってしまうのでしょうか……
それでは、また次回!!さよなら!!
次回→>>58
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 人消しゲームSTART ( No.58 )
- 日時: 2016/02/07 11:22
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
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前回→>>57
37話:マリの想い
コトネがいきなり倒れた。急いでコトネの側へと駆け寄る。
「おい! 大丈夫かコトネ! しっかりしろ!!」
コトネの肩を掴んで揺するが、反応が無い。おでこに触れると凄く熱かった。
身体が熱をもっているのも確かだ。苦しそうに呼吸をしている。
「お前何で無理したんだよ! 身体が辛かったなら言えただろ!?
もっと早くに、こんなに 熱が出る前に言えただろ!? 何でっ………」
「…………ヒビキくんの、やくに…たちたかった、からっ……」
辛そうな顔をして、答えてくれた。
でも俺は、返事を返してくれたことよりも返事の内容にビックリしてしまった。役に立ちたかった…か。
「だからって無理すること無いだろ!? 苦しいときは休めよ!」
「ヒ、ビキ…くんも…がんばっ、て…るから…わたしも、がんばらなきゃって…おもって…
でも…むり、しすぎちゃった……ごめん、ね……?」
「………………」
俺はコトネを持ち上げた。最近あんまり食べてないせいか、軽くなっている。
別に、前に持ったわけではないが……いや、持ったか。
「ヒビ…く…!? ど、して……!」
「お前が頑張ってんなら、俺も頑張んなきゃだろ? お前の役に立てるなら、俺だって…」
コトネの顔を見ずに喋る。
「…………ありがと……」
どんな顔をしているのかは分からない。俺は、見たくても見られない。
コトネを椅子に座らせると、自分のパーカーをかけてやった。
「ちょっと辛いと思うけど、これで我慢してくれ。帰ったら、しっかり休もうな」
「うん……」
さて、どうしようか。ここにいてもじきに捕まるはずだ。
アキヒトにはエスパータイプのポケモンがついている。何をしても勝てないのが事実だ。
エスパーってことは鍵も開けられるだろう。さっきだって俺の部屋を開けやがった。
休んでいたいが、逃げないと捕まってゲームオーバーだ……何か考えを出さないと……
「コトネ、本棚んとこに隠れてろ。俺はその近くに……コトネ?」
「あ、うん……ごめん、ボーッとしちゃってて……」
「立てるか?」
「むり…かも。やればできると…おもうけど…」
再びコトネを担いで本棚のところに寝かせる。
少し床が居心地悪いと思うが、こうもしないと寝かせられない。コトネには我慢してもらうことにした。
俺は、コトネの隣に座った。
本棚に寄り掛かってアキヒトの日記の中身のことを考えた。
文章から読み取ると、アキヒトは『マリ』という女の子と付き合っていたようだ。
だが、そんな幸せな二人の関係があの事件で全てぶち壊れた。
アキヒトはどれほどショックを受けたのだろうか。消されるならまだしも、死んだら二度と会うことは出来ない。
気がおかしくなるくらい、残酷な死だったのかもしれない。
どうして、そんなことになってしまったのだろう…どう、して………
「ん…、ここは…? あれ、俺確か書庫にいた筈なんだけどな…」
そこは、色のない、真っ白な世界だった。どこなのか全くわかりやしない。
「どこだよここ……あ、俺…捕まった?」
こんなところに来るのかそれしか考えられなかった。
夢だとしても、少しくらい別の色があるのではないか?ここは、異世界の可能性が百パーセントに近い。
「…こんにちは! …ヒビキだよね?」
声のした方を向く。その声の主は、ポニーテールをした女の子だったようだ。
「そ、うですけど、ここは…?」
「夢の中ね。あなたの」
夢の中とは、また突飛な話だ。
「……実はね、あなたに言いたい事があるの。大切なことなのよ?」
「わかった、よく聞いておく」
「アキヒトに、こんな事は止めてって…言っておいてくれないかな?」
アキヒトに…? この人は…まさかマリ…?
「……マリが、怒ってるって伝えておいて。こんな事したって誰も報われないから……お願い。
もう、こんな事は止めて欲しいから……言って? もう、時間がないの」
「時間がないってどういうことだ?」
「もう、あなたの夢が覚めちゃう。目が覚めたら朝の筈よ。
……できるだけ私が、あなたが捕まらないようにするから。今も、そういう力を使ってる。
だから、この夢を見させてるのも私……ごめん、消えちゃう。約束よ、言っておいて……」
「マリ!!」
そこで俺の夢は終わった。今のは、夢。だって朝だ。多分、あのゲームが始まってから一日経った。
時間は進むのが早いと思った。そして、夢でマリに会った。そして、マリの想いを聞いた。
きっと、マリの言葉をアキヒトに伝えれば、気持ちが変わるかもしれない。
俺はコトネを起こした。夢の中の話と日記の内容を教えてやると、
「アキヒトくんの元へ行こう」と即答された。俺も最初からその気だった。
コトネと共にアキヒトを探しに、書庫を出た。
続く
あとがき
皆様お分かりかと思いますが、途中から力尽きました。
眠かったです。しかも明日学校です。何で土曜日に学校があるのかわかりません。
えっと、今回はマリちゃんの想いを書いてみました。マリちゃんがこう想っているという事が
わかったでしょうか…?…マリちゃんも辛いんですよ……
そろそろホラー編もクライマックスです!!
そして、ホラー編では終わらないで、ちゃんと最終編で終わります!!
いつ終わるかわかりませんけどね……あはは…(^^;;
それではまた次回!!さよなら!!
次回→>>60
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 1000参照ありがとう! ( No.60 )
- 日時: 2016/04/18 14:54
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=56413601
前回→>>58
38話:バリヤードとフーディン (短めかも)
コトネと一緒に廊下を走る。今はどっちかって言うと、アキヒトに会いたい。
俺の夢に出てきたマリの言葉をすぐに伝えてやりたい。信じてくれるかどうかは分からないけれど。
「う……あ………」
呻き声が聞こえた。咄嗟に後ろを振り向く。
コトネが壁に手をついて、今にも倒れそうな状態になっていた。すぐさま救助に向かう。
「コトネ、やっぱりやめたほうがいいと思う。そんなに、無理すんなよ」
しかし、コトネは首を振った。
「だめ、だよ……つたえ、なくちゃ…あ」
その言葉に俺は何も言えず、黙ってしまった。だって、本当のことだから。
「わかったよ。じゃあ、お前はトイレにでも閉じこもっててくれ」
「な、なんで…!?」
「ほらー、トイレ行きだああああ」
そう言って、コトネをトイレに連れていく。あっという間に一日経ってしまったから、
二日目も経つのも早いのではないのだろうか。
「よし、ここにいればだいぶ無事な方向じゃないか?」
「……ばか」
俺は聞かなかったふりをした。
「じゃあな、コトネ。行ってくる」
後ろからコトネの声が聞こえたが、コトネの方を向かずに、そのまま前へと突き進んだ。
まともに話し合うことができなくて、捕まることはもうわかっている。
トイレから出ると、アキヒトを探した。
────・・・
あれから探し続けたが、まったくと言っていいほど見つからない。
もう午後の六時を回ろうとしていた。でも……どうしてこんな時に限って見つからないんだ?
「くそっ!!!」
コトネだって調子悪いのに……早く戻らないといけないのに……
「アキヒト………あ、れ?」
アキヒトのポケモン、バリヤードとフーディンが俺を待ち構えるように並んでいた。
やばい…絶対捕まえられる。まさかこの二体だけが来るとは思っていなかった。
アキヒトも一緒かと思っていた。ミスった……
しかし、バリヤードとフーディンは何もしてこなかった。でも油断はできない。
いつ襲ってくるかわからない。でも、いつまで経っても何もしてこないから、話をしてみる。
「アキヒトは?」
すると、バリヤードかフーディンかはわからないが、脳に声が響いた。
『書庫に行った。お前、マリに会ったのか?』
「……!!」
『…そうか。わかった。君たちにはできる限り加算してあげよう。
君たちがね、アキヒトに捕まってもらっちゃあ困るんだよ。あの子は少し狂ってしまった。
マリが死んでから…だから、絶対マリから言われたことを伝えてね。
でも…アキヒトは今、自分の世界に入っている。アキヒトを見つけるのは大変だと思うけど、頑張って』
「お、おい、待てよ!! だって、お前らはアキヒトの仲間だろ!? なんで…」
『俺たちも、アキヒトのことが大好きだからだよ。大切に想ってるからこそ、言えることって、あるだろ?
…狂って、壊れちゃったら何にも残らないだろ? 早く、言ってやってくれ…
アキヒトのためにも、マリのためにも…』
そう言って、二匹は行ってしまった。
廊下に一人だけ残された俺は、その場に立ち尽くしていた。
『大切に想ってるからこそ、言えることって、あるだろ?』
そのたった一言だったのに、俺の心のなかに響いていた。
続く
あとがき
ふと、
「大切だからこそ、守りたくなるよね」
と言った友達の姿を思い出しました。なので、ちょっとその言葉を変えて今回の話に
出てきたフーディンとバリヤードに言わせました。いい言葉だったのでつい……
次回は………新展開です。新展開が起きます。わかる人には、わかるでしょうか…?
ホラー編が終わるまで残り数話となりました。
ではまた次回!!さよなら!!
11/21 & 11/29
1000参照突破しましたぁあああああああああああああああ!!!!!!
本っ当にありがとうございます!!!!!!
これからもよろしくお願いします!!!!
知り合いに1000参照記念絵を描いてもらいました!!
知り合いのpixivに投稿してありますので、ご覧ください!!
(URLからどうぞ)
次回→>>61
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 1000参照ありがとう! ( No.61 )
- 日時: 2016/02/07 11:23
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
前回→>>60
39話:「出会えて良かった」
ずっと、考え事をしていた。いつの間に夜の11時になっていた。
時間の進みが、なぜこんなに早いのかわからない。結局、アキヒトを探す気も失せてしまい、
トイレにいるコトネを出しにいく。トイレに行き着くと、寝ているコトネを見つけた。
「こんなところで寝て…症状悪化するぞ」
「……んん……ヒビキくん? 伝えてくれた?」
真っ直ぐ見つめてくる、その目が辛かった。
「ごめん、伝えられてない」
「…大丈夫だよ、しょうがないよ。見つからないのは…私も知ってるから」
コトネは、元気が無さそうに笑った。
「知ってる?」
「うん、夢で見たの。アキヒトくん…幸せだよね。皆から愛されてる。
なのに、どうしてみんなを恨んでるんだろう……もっと皆を大切にしてほしい…」
皆を大切に…そうだ。みんなを大切にしなきゃ、ポケモンを大切にできるわけがない。
「あはは、なに言ってんだろうね私。…ヒビキくん、ソファールームに行こう」
そう言って、俺の腕を引っ張った。無駄のないシンプルな部屋に連れてこられた。
何をするのかと思えば、コトネがソファーに座った。
「疲れたよね、寝よう」
「え? 寝んのかよ、ここで」
寝るよ、とでも言いたそうな顔をして、頷かれた。
何を言っても絶対聞かないと思うから、コトネの隣に座った。
「これで…良いだろ?」
すると、コトネは嬉しそうに目を瞑った。俺も目を瞑る。
もう少しで、このゲームも終わりだ。あと、少しの辛抱だ。絶対逃げ切ってやるんだ。
そんなことを思っていると、寝てしまった。
起きると、ゲーム終了まで五分だった。コトネももう起きていた。少し、コトネと駄弁ることにした。
(会話タイム)
「…おはようヒビキくん」
「おはようコトネ、よく眠ったな。どうだ? 今の心境は」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「あと終了まで五分だからだよ」
「あ、そっかあ。うーんとね、やっぱりそろそろ終わりかあ…って思うよ。
だってそうじゃないかな?アキヒトくんから逃げなくてもよくなるんだから」
そう言うと、コトネは立ち上がった。
「ヒビキくん、これが終われば帰れるんだよ! みんなで無事に帰ろうね。こっちには
ヒビキくんだって、シルバーだって、レッドさんだっているんだから!!」
「何言ってんだお前は。無事に帰れるに決まってんだろ」
そう、俺たちなら無事に帰れる。
「ヒビキくん、帰ったら伝えたい事があるんだ。なんでって聞かれたって言わないからね」
わかってると返すと、コトネは安心したように笑った。
「よし、そろそろ終わるし、部屋に戻るか───…」
そのときだ、コトネの後ろにアキヒトがいるのが気づいたのは。
「コト……!!」
ものすごい勢いで、コトネを捕まえた。声をかけようにも、もう駄目だ。
「捕まえた♪」
アキヒトがニヤリと笑った。コトネが絶望に満ちた表情を見せる。
「えっ……?」
その瞬間、コトネの体が消え始めた。
「ああ…う、あ……嘘…でしょ…?」
俺の心がヒシヒシと、怒りの色に染まっていく。
「アキヒト!!! てめえ何しやが……」
「ヒビキくん」
「………コトネ……」
コトネは、寂しそうに笑って俺の名前を呼んだ。言葉が出てこない。
体が半分になっても喋るというのか…?
「もう、言わなきゃいけないみたい。……ヒビキくん、
あなたの事が、昔から大好きだった。もうお別れ、言うの遅くなっちゃった。君に出会えて良かった。
ありがとう…………」
「コトネ_____!!!」
俺はコトネの体を掴もうと手を伸ばすが、その手は虚しくも宙を舞った。
膝がガクッとなり、力を失う。俺の心に、ポッカリと穴が開いたような感覚だった。
「……あああああ……う、ああああああああああああああ……!!!」
静まり返った部屋に、一人の泣き叫ぶ声がこだました。
『ヒビキくん、これが終われば帰れるんだよ! みんなで無事に帰ろうね』
コトネが言ったこの言葉が、俺に痛みを与えた。
続く
あとがき
あああああああああアキヒトオオオオオオオオ貴様あああああああああ
こういう展開になることはもう今までの話の中でわかったと思います。
アキヒトがこんな事をしたのはちゃんと理由があります。次回の話でわかるでしょう……
ではまた次回!!さよなら!!
次回→>>63
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 1000参照ありがとう! ( No.63 )
- 日時: 2016/02/07 11:24
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
- プロフ: http://www.pixiv.net/member.php?id=13997448
前回→>>61
40話:再会
「どう? 大切な人を失った感覚は。僕はもう君を捕まえたりしない。
僕だってこういう感覚になったんだ。そうなるのが僕だけじゃ嫌だもん。
だからさ、君にもそういう感覚になってほしかったんだよ」
どういう感覚かもわからなくなっていた。
だから、アキヒトを恨む心かも悲しい心かも何なのかわからない。でも、意識は保っていた。
「……マリ、嬉しいでしょ? こういうことになって」
「アキヒト、お前は間違ってる。マリや、お前のポケモンは嬉しいとか楽しいだとか…
まったくそんなこと思っていない!! マリから聞いた。
こんなことはもうやめてほしいって。お前のポケモンからも。だからこんなことはやめてくれ!」
「うるさい! だまれ! マリを使ってそんなことするなんてひどいよ!!」
「嘘なんかじゃない! 本当のことだ!! そうだろ?マリ」
すると、俺の返事に答えたかのようにマリが現れた。アキヒトはその場に座り込んでしまった。
俺もその場に座っていた。
「マリ……?」
「アキヒト、ヒビキの言ってることは本当のこと。私がお願いしたの」
「嘘だ、マリがそんなこと……」
「嘘なんかじゃない。私もみんなももう恨んでなんかない。
だからほかの関係のない人に八つ当たりすることはもうやめて。可哀想だよ……
ごめんね、これは霊体だからもう消えちゃう。それじゃあね、アキヒト」
「……マリ…」
マリはすぐに消えてしまった。アキヒトはポタポタと涙を流して頷いていた。
「そうだった…やっと気がついたよ、マリ。ごめん、ごめん…」
「…アキヒト、コトネ達や女将さんは帰ってこられるのか?」
アキヒトは声には出さなかったが、頷いた。
アキヒトは立ち上がり、円を描いた。
その円は黒くなり、異世界へと思われる場所と繋がった。その円の中は真っ暗だ。
「いいよ、入って。この中に入れば会えるはずさ。さ、行ってらっしゃい!!」
「え!? ちょっ……!? しまった…!!」
押されて異世界に入れられてしまった。
「…ここが異世界……」
異世界って話には聞いたことはあったが、実際に来たのは初めてだ。
ちょっとばかりドキドキする。でも、心配だ。まわりがまったくもって見えやしない。
しかし、そんな視界を明るくするようにコトネが現れた。
「また会ったね、ヒビキくん」
「……………」
「何泣いてるの。また会えたんだからもっと笑いなよ」
涙が自然と溢れるから、止められない。止められるものなら止めたい。
「だって…また…会えたからっ……!」
「戻ろっか、現実界に」
続く
あとがき
もう、途中で力尽きました(またかよ)なので今回は短めでしたね。
次回は、ホラー編最終話です!!ホラー編なんで、本編自体は最終話じゃないです。
本編は、頑張って100投稿はしたいと思います。でも、自信がありませぬ。
いや、本当にガチで(‾ー‾)…デキルダケガンバリマスガ
ではまた次回!!さよなら!!
次回→>>64
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編完結! ( No.64 )
- 日時: 2016/04/17 19:07
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
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41話:帰ろう
異世界から戻ると、旅館は驚いてしまうくらいもの凄く賑やかだった。
コトネと顔を見合わせると、笑ってしまった。
まさか、今まで異世界にいた人がみんな帰ってきているとは思わなかったのだ。
「ヒビキ、コトネ、お帰り」
レッドさんが俺らのところに来た。レッドさんも嬉しそうに笑っていた。
ああ、人消しゲームは終わったんだな。
「よう、ヒビキ、コトネ」
そこに、シルバーもやってきた。いつも通り不機嫌そうな顔……ではなかった。
幸せそうに微笑んで、俺たちとは違う方を見た。
シルバーの見た方向に目を向けると、イツキさんやキイさん、アオさん、シオリさんがいた。
その四人はこちらへと向かってきた。
「みんなありがとう。あなたたちのおかげで旅館のみんなが明るくなったわ。
全部…全部あなたたちのおかげ!! 本当にありがとう!!」
「ほら、お前らの荷物」
シルバーが俺らの荷物を出した。どこから出してきたのだろうか。
「ごめんね、迷惑かけちゃって。これで、あなたたちはジョウトに帰れるわよ。
私たち、これでも結構寂しい。みんな、明るくて元気だから…お別れするのがとっても辛いよ。
結局はお別れしなきゃいけないのにね」
キイさんは手を後ろに回した。すると、俺らにお守りをくれた。
「キイさん…なんですかこれ」
「あら、コトネちゃんわからないかしら? お守りよ」
「いやいや! そんなことはわかってます! なんでこれをってことです!!」
「ああ、そういうことね。それなら、この子が教えてくれるわ」
そう言った後、四人は退いた。キイさんたち四人の後ろにはアキヒトがいた。
どうしてアキヒトがいるのかわからない。まだ成仏できないのか?
「…僕ね、もう成仏できないみたいなんだ。だからね、君たちにそれあげる。
そのお守り、いつか役に立つはずだから。絶対持ってて」
「……おけ。アキヒトくんがそう言うなら持ってる。無くさないよ」
俺たちは全員して頷いた。
「うん。それじゃあ帰る?」
「ああ、そうするよ。ありがとなアキヒト、お前の気持ちが変わってきっとマリだって、
バリヤードとフーディンも喜んでるはずだぜ」
「そうだといいな。…ヒビキ、確か君鍵持ってたよね?」
「鍵?」
書庫の鍵だと思ってポケットから鍵を取り出した。アキヒトはその鍵を俺の手から取り、
鍵をクルクルと回した。
「そう、これこれ。書庫にはね、隠し部屋があるんだ。知らなかったでしょ」
隠し部屋…この旅館にはやたら隠し部屋が多いな。
「ついてきて、そこから帰れるから」
俺たちは、書庫に向かうアキヒトについて行こうとする。だが、誰かに引き留められた。
誰かと思えばヤマシロウさんだった。ヤマシロウさんは申し訳なさそうに言った。
「ごめんよ、みんな。騙して連れてきたりなんかして…本当に申し訳ない」
「いいんですよ、もう気にしてませんから。それよりも、ヤマシロウさん大丈夫でしたか?
異世界にとんだみたいですが……」
「あ、そこは大丈夫だよ。君たちは気をつけて帰ってね。それじゃあ……」
ヤマシロウさんは戻ってしまった。そしたらまた、イツキさんたち4人が来た。
「コトネちゃん、みんな、また遊びに来てね…待ってるから」
「はい、絶対いつか遊びに来ます…!!」
コトネのその言葉を最後に、書庫へと向かった。書庫はすぐだった。
アキヒトは書庫を開けて、なんかのスイッチを押した。すると本棚が動き、扉が現れたのだ。
「ここだよ、隠し扉っていうのは。…じゃあ、みんな。楽しかったよ」
「ああ。みんなで、また旅館をつくり上げていけよ」
とシルバー。
「君たちならやっていける」
とレッドさん。
「それじゃあね、アキヒトくん。イツキさんたちによろしく言っておいて」
とコトネ。
「元気にしてろよ、またいつかここに遊びに来るから」
と俺。みんな複雑な気持ちだったけど、隠し扉を開けて外に出た。その外と言うのは、森の中だった。
だけど、その森をさ迷い歩くと、ポケモンリーグの外に着いた。
どういう道順だったのかはわからないけれど、間違いなくポケモンリーグの外だ。
「うっ…うう……やっと…帰ってこられたよ……」
突然コトネが泣き出した。その泣き声聞いて、シルバーは顔を隠して俯いた。
レッドさんは帽子を深く被って、立っている。俺はコトネの背中をさすり、空を見上げた。
何日ぶりだろう、この青空を見るのは。でも、やっと帰ってこられたんだ。
喜ぼう、ジョウトに帰ってこられたに。
喜ぼう、幸せな日常に戻れることに────・・・
本編に続く
あとがき
終わりましたよホラー編!!
いやー、ホラー編長かったですね。多分、【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 の話の
半分以上はホラー編だと思っています!!てゆーか、本当にそうです…(多分ね)
次回からはなんとなんと……?ロケット団再復活編です!!
さて、どういう展開になっていくのでしょうかね…
ではまた次回!!さよなら!
次回→>>65