二次創作小説(紙ほか)

Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.38 )
日時: 2016/02/07 10:40
名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)

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24話:鍵 後編

───・・・

「ここです、お入りください」

「ありがとうございました。って暗っ! うわっ、痛っ」

「大丈夫か、コトネ!」

「ぶつけちゃった…ちょっと…暗くて見えない…あ、明かりは…?」

確かに真っ暗といってもいいくらいに暗い。

「す、すみません! 随分と長い間使っていなかったものでしてっ…
 真っ暗なのを忘れていました!!」

長い間って…どれくらい入ってないんだろ。
疑問に思っていると、ボウッとランタンの明かりがついた。

「これでもまだ暗いと思いますけど…専用の電気がないんで我慢してくださいね」

「へー…、あ、すみません! ありがとうございます」

お礼を言うと「いえいえ」と言ってドアをカチャッと閉め戻っていった。

「さーて、探すとしよう。コトネはどうする? ここにいる?」

「…一人でいるのは怖いからここにいる」

コトネを抱きしめたい気持ちでいっぱいになるが、ぐぅっと抑える。
今ここで抱きしめたら怖がられちゃうもんな。自然に笑みがこぼれてしまった。

「ヒビキくん、嬉しいことでもあったの?」

きょとっと見つめてくるが別に何もないよと言って誤魔化した。
本当はコトネと二人きりでいられるのが嬉しかったからなんだけどな。
それは心の奥に置いておく。

「この書斎漁ってみる? 面白そうなものいっぱいあるし!」

「俺も本来はそのつもりでいたから。じゃあさっさと探そう」




───…結構時間も経ったのだろう。俺とコトネはこの旅館に関する記事や本を
見つけ出そうと頑張っていた。でも出てくるのは古い辞書とか本とかしか出てこない。
俺ら2人も飽き始め、眠くなっていた。そしてコトネは、

「ヒビキくん。私もう眠くなってきちゃった。ふわぁあ…少し休んでてもいい?」

そりゃ、疲れるよな。俺はコトネに無理させてたのかもしれない。

「いいよ、休んでても。でも見つけたら起こすから」

「うん…そ…だ…ね…おこし…てね……スゥ…スゥ…」

「…寝るの早いな。ここ毛布とかないのか?あればかけてやりたいんだけどな」

ここの書庫は寒かった。長袖を着ているからいいものの、半袖だったら寒いだろう。

「俺ももう少ししたら片づけよ」

呟きながらパラパラと本のページを捲る。色々なことが書いてあった。

「ふーん。…あ、これ」

俺が声を思わず出したページにはこんなことが書いてあった。


1855年3月6日、山の奥に旅館が作られた。大工によると、木製で作られており、
最新の設備も備わっているようだ。損をしないつくりにしたのだという。
私から見渡しても綺麗だし、火事さえ起きなければ一生綺麗なままで残るだろう。
これからの日常が楽しみになってくる。


「こっ、この旅館150年以上も前に作られてんのか!めちゃくちゃ古いな。
 えーと、他には…?」


1900年、父が死んだ。この本、日記を大切に持っていてくれと言われたものだから
書くのもいいだろう。捨ててもだめだし、まだページも残っている。
あと俺も何年生きていられるかわからない。でもこの日記は次の息子に託そう。
息子は綺麗好きだからこの日記を大切にとっていてくれるはずだ。


「1900年か…長生きはしたのかもしれないな」


1965年、父さんが死んだ。僕の父さんは長生きしたと思う。
この日記を大切にとっておいてくれって言ってたから父さんの形見として残しておくことにしよう。


「1965年…ん? なんだこれ。鍵…?」

そこには挟まれるような感じで鍵が入っていた。不思議な形の鍵だった。

「なんか説明無いのか…!?」


俺はもうすぐ死ぬんだな。あぁ、長い人生だった…
隠し扉の鍵を残しておかなければ。そうだ、日記に挟もう。
この日記を見つけた誰かがわかるように…


「隠し扉…!? この書庫にあるっていうのか…!?」

…本棚の裏とかに隠れてそうだな。動かしてみるか?

そのときかちゃりと音がした。何の音か確かめるため、ドアに近づく。

「何の音だったんだ…? ってん? か、鍵が…開かない!?」

なんてこった。さっきの音は鍵を閉める音だったのか!? 迂闊だった…
もっと早くに気づいていれば…

この鍵でどうにかならないか?

そんな考えが脳裏を過る。無理に決まってるじゃないか。この鍵は隠し部屋の鍵なんだぞ。
…でももしかしたら…

「試してみるか」

この書庫は中に鍵穴がある。入れてみよう。

…カチャリ

開いた。奇跡なのかこれ。
俺はコトネをおぶって、書庫を出た。古びた日記と不思議な鍵を持って。



続く


あとがき

本当は前編と後編に分けようと考えましたがやめました。…嘘です、分けました。
このホラー編、吊り橋効果がたくさん出てきます。あと…、2人っきりという展開もたくさんあります。
いやー、だんだんと旅館の秘密が明らかになっていきますね。このホラー編が
終わったら完結…もあり得なくもない話です。完結、したとしたらですがね。
そろそろグッバイのお時間ですね!また次回!


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