二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.39 )
- 日時: 2016/02/07 10:40
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前回→>>38
25話:イツキの姉 前編
あれから時間が経ち、もう外は暗くなりはじめていた。
今俺が持っている古びた日記は、傷つけないようそっと置いてある。
どうしてあの時にドアが開かなくなったのかはわからない。
だけど、俺たちを閉じ込めようとしたのは確かだろう。
イツキさん…あの人は不思議な人だったな…
まさか、イツキさんは俺たちを閉じ込めようとはしないはずだ。でも…
「ヒビキくん…? …あれ?私さっきまで書庫にいたはず…」
コトネが数時間ぶりに起きた。まぁ数時間ぶりって言ってもコトネにとっては、一時間くらいだろう。
「寝ちゃってたんだった…」
「疲れたって言ってたしな、寝ちゃっててもいいんじゃないか?」
「よ、良くないよ!」
「え…?」
いきなり大きな声で言うもんだから吃驚した。顔赤いし…
一体何がどうして良くないのか俺にはちんぷんかんぷんだ。
コトネはあたふたしながら大声で言う。
「そっ、そのさっ…間抜けな寝顔とか見られてたらどうしようかなって…思っちゃって…
べ、別に期待とかは全くしてないからね!!」
「……え、あ、うん」
「あー、もう! なんかすっごく恥ずかしい!」
反応の仕方も分からずじまい。こういうときって何て言えばいいんだよ。
「あのさ、気持ちよさそーな顔して寝てたし、気にすることはないと思う。
間抜けな顔でもなかったしな。」
「そ、そっか…それならよかった…なんか一人だけ変なこと言っててごめんね」
少し興奮気味だったのか、息切れをしている。
「コトネ、大丈夫か? 少し休んだ方がよくないか?」
「だ、大丈夫だよ。少し興奮しちゃったみたい、あはは」
…大丈夫そうだし、いいか。
不意にどこからか大きな音がした。物を落とすような大きな音だ。
「な、なんだ? 今の音…」
「どこからだろうね。外出て見てみる?」
「そうするか、気になるし…」
俺たち二人は外に行って確認することにした。部屋から出るドアを開け、外へ出る。
すると、シルバーとレッドさんも出て来た。
「おい、今の音聞いたかヒビキ」
「聞いた聞いた。レッドさんも?」
「あ、あぁ。何かと思って出てきたんだ」
二人とも先ほどの音に凄く驚いたようだ。
「すっ、すみません! 大きな物音を立ててしまって…」
突然、誰かが目の前に現れた。
「うわぁ! どっ、どちら様ですか!?」
「あっ、これは失礼しました。私、108号室に泊まっている奴です。
イツキっていう妹がいるんですけど、今ので会ってませんよね…?」
今のというのは大きな音のことだろうか。この人の言っていることを
聞いていると、さっきの音はこの人が起こしたようだ。
「えっと…名前は…?」
「あ、名前言うの忘れてましたっ…私の名前はキイです。
その…変な名前なんですけど、よろしくお願いします」
「キイってどう書くんですか?」
コトネがあんまり質問しないような質問をした。驚きだ。
「んーと、『希依』って書きます」
キイさんは、ポケットから紙とペンを出し、書いた。
「妹の名前も書いておきますね」
そう言うと、イツキさんの名前も書いた。『樹姫』って書くみたいだ。
あんまりいなそうな名前ではある。
「可愛い妹なんですよね。心配性で怒りんぼなんですけどね」
心配性にも怒りんぼにもみえないんだけどな。クールに見えて、意外にそういうとこあるんだな。
コトネがいつだか、人は見た目ですべてを見るものじゃないって言ってたな…
そういうのって確かに合ってるな……
後編に続く
後編→>>40
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.40 )
- 日時: 2016/02/07 10:48
- 名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)
前編→>>39
25話:イツキの姉 後編
ちらちらと心配そうに…というかなんというか…
とりあえず、何か自分を襲ってくる獲物を待ち構えているように、辺りを見回している。
そんなに焦ることなのか?
「お姉ちゃーん!!! またやったの!?」
なんか聞いたことのある声がしたと思ったら、向こうから
イツキさんが猛ダッシュで走ってきた。
キイさんとイツキさんの背を比べてみると、若干イツキさんの方が背が高い気がする。
四センチくらいの差だろうか。
「げぇ! イツキィ…!」
「またなんか落としたの!?」
「いや…別に何もありませんでした…」
今まであったことを誤魔化そうとするように、キイさんはイツキさんから目を逸らした。
でも誰から見てもこの様子は誤魔化そうとしてるのがバレバレだ。
「…はぁ…」
イツキさんが溜息をついた。キイさんの肩がビクついた。
「私はね、お姉ちゃんのストレスが溜まるのもしょうがないことだと思ってるわ。
だけど、女将さんたちや、コトネちゃんたちに迷惑をかけるようなことはしちゃいけないわ。
そんなことお姉ちゃんだってわかっているはずよ。そうでしょう…?」
悲しそうな、辛そうな顔をして、キイさんを見つめていた。
何かあるのだろうか…
もしかしたら親がいないとかかもしれない。それならあり得なくも……
「でも…もう嫌なの! 犠牲者が出るのは…
イツキ!! ここはどれだけ起こったのか知ってるでしょ!?」
「知ってるわよ…そんなこと。だからって八つ当たりしなくても…」
「そうしないと、暴走するの…わかってるわよね?…ならイツキ、お願いだから、わかって。
これ以上ここで…大量殺人事件が…」
「やめて、お姉ちゃん!! あれを思い出させないで…!!」
イツキさんの叫びでその場がシーンと静まり返った。
なんだよ、犠牲者とか大量殺人事件とか…この旅館で何があったんだよ……
「もういや…!! あんなこと…本当は起きちゃいけないのよ…!!」
「イツキさん、落ち着いてください! 呼吸を整えて…! ゆっくりでいいんで…!!」
コトネが言うと、イツキさんはゆっくりと呼吸をし、整えた。
相当、キイさんが言ったことに対し、怒りで興奮したようだ。
「…はぁ…ごめんなさい、取り乱してしまったわ…コトネちゃん、ありがとう」
「…今まで、イツキさんたちに何があったのかはわかりません。
だけど、凄く辛いことがあったんですよね……」
「……………」
イツキさんは、俯きながら黙って頷いた。俯いているからどんな表情をしているのかよくわからないけど、
辛そうな表情をしているのだと思う。キイさんも難しそうな表情をしている。
「この旅館に来てから、辛いことなんて星の数ほどあった。ここの女将さんはね、
この旅館に来た人がほとんどなの。だから、私たちも女将さんになるときが来る」
「でも、その人たちも、あなたたちと同じような感じでこの旅館に来たのよ。男性が来ることは無いんだけど、
今回が初めてかもしれないわ。」
女将さんたちが俺たちと同じようにここに来た…?
ということは、俺たちもイツキさんたちと同じめに逢うんじゃないか…?
いや、待て。イツキさんとキイさんはあのおじさんのような人に連れて来られたっていうことになるのか…?
「あの、その…俺たち連れて来られたんですよ。それはイツキさんとキイさんが来た傾向と似てますか?」
俺が質問すると2人は見つめ合い、やがてキイさんが話し出した。
「…私たちも連れて来られたわ。二年くらい前にね。随分前の話だけど…
今でも何で来ちゃったんだろうって思ってる。あの頃の私たちはね、
常識というものをよくわかってなかったのよ。いまでも自分が生まれてきたことが物凄く憎い」
この人たちはどれだけ苦しい思いをしてきたのだろう。二年もこの旅館に居させられて。
辛くて死にたい気持ちもあったのではないか?
俺はこの二人の気持ちが伝わってきた気がした。
そのとき、鋭い視線を感じた。身に覚えのある視線だ。視線のした方をバッと振り返る。周りを見回しても、
俺、コトネ、シルバー、レッドさん、イツキさん、キイさんの他に誰もいなかった。
今の視線はなんだったのだろう……
背中に冷や汗をかいていた。
続く
あとがき
初めに…祝500参照ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
では、ここから本当のあとがきです。この24話でイツキさんの姉、キイさんが
登場しましたね。年齢とか気になる方もいると思いますが、これからの話で
だんだんと明らかになっていきます。2人とも何歳なんでしょうかね…
話は変わり、次回の話の予告をしたいと思います!次回は、女将さんたちの
意外な事実が(多分)発覚します。その意外な事実とは…!!
おじさんも久しぶりに出てくるのではないでしょうか。ハハハ。
それでは、また次回!!!
次回→>>41