二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ポケモン】ヒビキたちの物語 *ビターメモリーズ ( No.339 )
- 日時: 2016/06/05 20:30
- 名前: ゆーい ◆p17PNBs1wA (ID: hfVure16)
- プロフ: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=10940
※死ネタあり、譚=物語 って読んでくれるとわかりやすいと思います。
1 >>336
ヒビキの譚 2
走って家に帰るとソファーに寝転がった。
シャワーは明日でいいや…
ぼーっとしてたら寝てしまった。
夢を見ればコトネに逢える、そう思っていたのに何故かいつもとは違う夢だった。
辺りを見回しても一面碧い。まるで天空みたいで、雲もたくさんあった。
なんで…?
そのうち、灰が辺りをかき回した。
灰を吸って苦しくなり、咳をする。ちょっと涙が出た。
どこを見回してもコトネはいない。
なんとか目を凝らしてもう一度周りをぐるうっと見渡すと、三人の少年少女が見えた。
さっきまで遠くにいた筈が、いつの間にか近くにいる。
なあって言ってみたが、声は届いていないようだ。
あれ…もしかして、俺ら…?
三人の少年少女は自分たちとそっくりだ。
だって、
一人の少年は前髪が立ってて
もう一人の少年は赤毛で
一人の少女は反重力のツインテール
まさに俺ら三人だ。でもなんで。
俺ら三人はなんだか険しい顔をしていた。まるで一年前の俺らみたいだ。
よく聞いてると、会話が聞こえてきた。
「…だから、お前に俺の何がわかるって言うんだよ! 全然わかってないくせに…!!」
「いちいちうっせーんだよ! 黙ってろ!!」
「コトネもコトネだけどさ、お前もお前だろ! シルバー!!」
「は? てめーに言われたくねーよ。お前も十分悪いじゃねーか!」
「俺が何したっていうんだよ! というかさ、一番は悪いのはコトネだろ!」
「私が一番悪いけど…でもそんな言い方ないよ! 私だけ悪いなんてことはない!!」
なんだ凄い嫌な気分になってくる。…いや、嫌な予感がする。
一年前にもこんなくだりがあった。嫌な気分、嫌な予感がするのはそうだからかもしれない。
「ふざけんなよっ…! 俺が悪い? 馬鹿なこと言うな!! 俺は悪くねえ!!」
「俺のことも知らないで…」
「なんでいつもこうなんだよ…俺もう懲り懲りだ。帰る」
「……なんで私なの…」
「お前が元々の元凶だからに決まってんだろ! だったら証明しろよ!! 自分は悪くないって!!」
「そんなの考えればわかるじゃん! 私から言う必要もない!!」
だめだ、やめてくれ…
「…消えろよ…もう消えろよ!」
「……!!」
「シルバッ…! それはないだろ…!!」
あ
そうだ
ここで俺らは壊れたんだ
景色が変わり、コガネシティになる。
コトネがショックを受けて、道路に飛び出した。あっちの俺はコトネを追いかけた。
だめだって、コトネ
声は届かない。
向こう側から車が走ってきて…コトネと俺は轢かれた。
コトネの姿が消え、シルバー悲痛な叫び声が聞こえる。俺は倒れたままだった。
「コトネッ…!」
そこで目が覚める。外が明るい。朝が来たんだ。
…でも、どうしよう…夢が見れない。コトネに逢えない。
そういえば、最後に見たときあいつはもう戻ってこないでって言っていた。
あれ、もしかして…
…あと最後に、辛そうに手を振ってた。
なんだか無性にシルバーに会いたくなってシルバーの家に行った。
「なんだ、ヒビキか。そんなところに突っ立ってないで入れよ」
俺は一年前のことをもう一度話した。
話し終えると、シルバーも気持ちを話し出した。
でもシルバーは嘘を言うばかりだった。
「別にあいつなんかどうでもいい」
「本当に消えてほしいって思ってたし」
「別につらくなんかねえし」
俺は知ってる、シルバーがコトネのことが好きだってことを。
だからシルバーがあのときムキになってしまっていたのも本当は辛かったんだってことも知ってる。
シルバー、そんな嘘を言わないでくれよ。
わかってるよ、お前が辛いこと。
「俺らに信じてるハッピーエンドはない」
「えっ…?」
「バッドエンドを逆らいたいならさ、お前はここで止まるなよ」
そこで話は終わり。
シルバーがなんであんなことを言ったのかはわからない。
でも、お前は諦めるなってことだとは感じてる。
そうだよな
諦めちゃだめだよな
もう一度コトネに逢って話をしなければ
笑ったけど、なんだかよくわからない涙が溢れた。
心から言おう、コトネに。
3に続く→ >>346