二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ポケモン】ヒビキたちの物語 *ビターメモリーズ ( No.382 )
- 日時: 2016/06/26 08:42
- 名前: ゆーい ◆p17PNBs1wA (ID: hfVure16)
- プロフ: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=10940
※死ネタあり、愛歌=フィーリング って読んでくれるとわかりやすいと思います。feeling(気持ち)
前回→ >>381
俺らの愛歌 1
今
俺はコガネシティにいる
ヒビキとコトネと笑い合っている
だけど
俺の体が乗っ取られようとしていた
暴走しようとしていた
俺は必死にこらえて道路へと歩いて行った
すると
向こう側から車が向かってくる
まずいと思ったが足が動かない
そのときだった
いきなり後ろから背中を押されて道路から抜ける
後ろを見た
コトネが
ごめんね
と言って車に轢かれた
「……っ! ……コトネ…!? …いるのかコトネ!!」
あたりを見回すがコトネはいない。
俺が会いたい会いたいと思っているから夢になったのだろう。
「コトネ………」
俺はコトネの死の数日後から現実から目を逸らした。
コトネが死んだって思いたくなかったんだ。
コトネの死なんか知ってないふりをして
コトネの死なんか聞いてないふりをして
コトネなんかを待ってないふりをして…
「は? 別にコトネのことなんかどうも思ってねーよ」
「あいつが消えたってかまわない。俺には関係ない」
「俺は悪くない。だってヒビキだってそう言ってたじゃんか」
そんな言い訳は、昔の俺がどこかへと持って行ってしまった。
もう言い訳なんかできない。
「うっ……気持ち悪……」
俺は気分が悪くなってその場にしゃがんだ。
今日は一日中部屋で過ごしててよかった。
「はっ…いいんだよ、コトネが死んだって。なあ…そうだろ? シルバー」
コトネの死なんて知らない。
俺は悪くない。
自分に言い聞かせて辛さを加減しようとしたが反対に悪かった。
気持ち悪さが悪化してくるだけだ。
「もう知らねーよ、あんな奴」
知らないふりをすれば良いんだ。
俺は何にも悪くないから。
結局そのあと気持ち悪さで寝込んだ。
俺だって、本当はコトネに言いたいんだよ。
前の自分を見返してやりたいんだよ。
だけどさ、俺は何もやってないじゃないか。
ヒビキみたいに夢の世界へなんて行ってないし、コトネに謝っただけだ。
俺はほとんど動いていない。
生きてる心地がしないんだ、罪悪感が重すぎて。
頭の中で過去の記憶が蘇ってくる。
『うるせーよ! お前は黙ってろ!!』
『黙ってるわけないでしょ! シルバーなんでそんなひどいこと…』
『お前本当にうるさいんだよ! お願いだから近づかないでくれよ…!!』
本当にくだらないことで喧嘩して、文句ばっかり言ってた。
…罪悪感は消えない。
辛さばっかり残ってあの日が恋しくなるんだ。あの楽しかった日々が。
また三人で笑いあいたいのに、俺が全部壊してしまったから。
笑いたいのに、笑えない。
「お前のせいだよ、コトネ」
口ではこんなこと言ってても心は正直だから、嘘ばっかだ。
コトネが死んだのも、ヒビキが怪我を負ったのも全部俺のせいだってわかってるよ。
もうこんなことは考えていたくないんだよ。
この辛さから抜け出したいんだよ。
ヒビキが助けてくれると言った。
その一言だけで体が軽くなって、心も軽くなったんだ。
だけど、コトネはいない。
コトネを足してこそ俺ら三人になるから。
コトネを引いたら俺ら三人にはならない。
コトネがいなきゃ俺らの心が壊れていくだけだ。
あの頃は楽しかった。
みんなで馬鹿みたいに笑って、踊って、盛り上がって。
その思い出が乾く前に、
コトネが帰ってきてほしいという願いがだんだん消えていくんだ。
願望が色褪せてゆく。
これは俺が壊れ始めてる証拠なんだ。
この前だってそうだった。
俺の願望が薄くなっていくと必ず俺の何かが壊れる。
それでこの前ガラスとかを割った。
まずい、このままじゃ…
いや
でももういいか
どうせ
「俺らはさ、元々壊れてるんだから」
俺らは変わっちゃったんだからさ
「馬鹿みたいだな、本当に」
「はっ…ははっ……はははははっ………」
俺は笑いながらヒビキの家へと向かった
2へ続く→ >>383