二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ポケモン】ヒビキたちの物語 *ビターメモリーズ ( No.391 )
日時: 2016/07/09 13:06
名前: ゆーい ◆p17PNBs1wA (ID: hfVure16)
プロフ: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=10940

※死ネタあり、この話は一人きりロックショーという曲をもとにしています。


前回→ >>390


たった一人で 2


お前は本当に愛というものを大事にしてるよ。

だけどさ、そんなお前の心はすぐに変わっていくよな。


立ち直って、明るくふるまって…そんなお前が羨ましいよ。


俺は…いまだにあの日のことが立ち直れずにいる。
あの日のことの思い出を忘れてしまいそうで進めないんだ。




コトネに教えてもらった本の中でこんなことが書いてあった。

主人公は中学生の男の子で、ミュージシャンの夢を持っている。
毎日毎日楽器を使って色々な曲を弾いていた。

だが、試験に落ちた。
落第というものだ。


悔しくて、悔しくて……


そんな男の子は別の学校で必死に勉強して夢をあきらめなかった。
試験に落ちた日から立ち直ったんだ。




でも、俺はそんなに強くはない。



「ねえ、シルバー…あなたは自分から逃げてるの? あの日の自分から逃げてるの? あの日私は…」


コトネは喋り続ける。
嫌だ、嫌だ…その先は聞きたくない。
わかってる、わかってるからもう聞きたくないんだよ。


俺は目を閉じた。


「あ、私シルバーたちに教えたよね、元気が出る歌…私はもうあの歌は歌えない」

「だから、シルバー…元気が出ないときは私の代わりにそれを思い出して歌ってみてよ」

「でさ、シルバーは忘れたいんでしょ? 私のこともあの日のことも」


「それはっ……」


「…なんてさ、逃げたいから全部そうなって壊そうとするんでしょ?」


コトネの言ってることはすべて事実だった。


「…っ………」


あの日の夕焼け色がまだ消えない。
声が張り付いて、目に焼き付いて……移しているのだ。


「お前だってさ! 俺らのこと見ようともしないじゃねえか!! 見えてんのか!? 見てないのか!?」


外を見てんのかと叫ぶ。


「見てるよ」


コトネが俯きながら言った。


「ずっと見てるけど…もう死にたいの。私はもう死んでるけど、あなたたちのことが心配で死ねない」

「姿を消して、影として見てるの」

「だから、もう逃げないで…向き合って……昔と変わらないでほしい……」


あの辛い思い出から逃げない…消えないから……ってことか?
俺も、あの日から変わりたくない。
またあの日のように歌ってくれよ、俺だってあの楽しい日々から変わりたくないんだよ……




3に続く→ >>392