二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ポケモン】ヒビキたちの物語 *ビターメモリーズ ( No.392 )
- 日時: 2016/07/10 08:16
- 名前: ゆーい ◆p17PNBs1wA (ID: hfVure16)
- プロフ: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=10940
※死ネタあり、この話は一人きりロックショーという曲をもとにしています。
※今回は二つの視点が混じり合うので読む際は気をつけてください。
前回→ >>391
たった一人で 3
これで君は救われるのかな? シルバー…
私はね…君の辛く、苦しんでいるところは見たくないんだよ。
どうかな?
私の死を認めて
この言葉を認めて、シルバー
嘘をつかないで
「…別にどうでもいい。お前、どうせ自分だけ救われたいだけだろ?」
俺はコトネに向かってキツイ言葉を放つ。
こんな言葉に意味なんかこもってないけどさ。
この狭い、薄暗いホールに響く。
「そうだよ」
そう言った途端、シルバーの顔が引きつる。
私は確信した。
シルバーはキツイ言葉を言っていても、本当は弱いのだということを。
まだ私の言葉は届く…シルバーは壊れてなんかない。
君の心は誰もいないような劇場だから。
だからさ、客席の奥に佇んでいる君に届けるよ。
聞きたくない。
さよならなんて聞きたくない。
俺は、まだお前と一緒にいたい。
コトネの声は、舞台の上で響いている。
一人でずっと、そうやっていたのか? お前は……
あのとき、シルバーが実際思ってもいなかった言葉で私は逃げた。
そして、その結果がこれだ。
私は死んでしまった
私自身を壊した。
みんなを壊した。
みんなの関係を壊した。
だから私は死んだ後みんなが助かる答えを探し続けた。
それまで一年もかかってしまった。
今度こそ、君を助けるよ…シルバー…!
「……!? あっ、ぐぅう……」
まずい。
もう体が持たない。
私は舞台の上に這いつくばった。
そろそろこの霊体を保つのは限界だと思っていたけど、ここでなるとは…
ごめんね、シルバー
こんな私の姿……どうかな? おかしいよね
シルバーが焦った顔をしてこちらへと向かってくる。
そうか…そうなんだね……やっと、わかったよ
「コトネ!!」
お前は俺をたくさん殺した…俺もお前をたくさん殺した。
だけど、もうわかったんだ。
縋りたい
最後まで悪いけど、お前に縋っていたい
「行かないでくれ、俺が悪かった……ごめん! ごめん…!」
お前がいなくなったら俺らはどうなるんだよ。
俺らの心からお前が消えてしまいそうで怖いんだ。
「私を忘れて、楽になって…いや、私を忘れれば楽になれるよ」
嫌だ
忘れたくない
コトネの体が薄れていく、劇場も消えていく。
失ってしまう。
「疼いてるの? 消えてほしくなくて。痛んでるの? シルバー」
「覚えてるんだよね、あのときの言葉を。いつまでも一人で抱え込んでるんだよね」
「……助けてあげたいけどね…もう、無理なんだ。限界なんだよ、呼吸をするのが」
「いかないでくれ、コトネ…お願いだから…!」
「心が何か嫌なもので埋まってるなら、それを取り除こう……」
「ごめん、ごめんね……私、もっと生きていたかった……」
「最後に一つ……ヒビキくんを…助けてあげて……」
「シルバー…一人で……歌うことになっちゃう…から……ごめんね」
そう言って、コトネは消えていった。
劇場はどこにもない。
だが、それとはまた別の景色が目の前に広がっていた。
俺はなぜか椅子に座っている。
白い部屋。
白いカーテン。
白いベッド。
そして、白い服を着た……
……ヒビキ。
呼吸器もつけている。
もしかして、俺は……一人きりで生きていくのか……?
ベッドに寝ているヒビキはにっこりと俺に笑いかけた。
「起きたのか……シルバー………どうだった? 夢の中は……」
「ごめんな」
シルバー
解説に続く→ >>394