二次創作小説(紙ほか)

Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.41 )
日時: 2016/02/07 10:48
名前: ゆーい (ID: x8l1Qes7)

前回→>>40


26話:喧嘩

あれから少し話して自分たちの部屋に帰った。イツキさんとキイさんから色々話を聞いて胸が苦しくなった。
二年間もこんなとこにいておかしくならないのが凄い。精神が丈夫なのだろうか。
とにかく、俺らはイツキさんとキイさんの精神の無事を祈ることにした。
キイさんのあの状態じゃあ、いつおかしくなってもわからない。

「ヒビキくん。ボーッとしてるけど大丈夫? さっきの話が辛くなっちゃった…?」

コトネがいきなり目の前に来た。一瞬だがビックリした。小さくうわっと言う。

「い、いや、大丈夫…そっ、それよりもコトネは?」

唐突に話を変える。そんなことコトネに言われたら言いたくなくなる。

「私は大丈夫。ヒビキくんもさ、無理しなくて良いと思うよ。…いつもヒビキくん、
 無理してばっかり。無理するの苦しいよね。無理しなくていいんだよ」

「別に無理なんかしてない。お前こそ我慢してんじゃないのか?」

「私はヒビキくんのことが心配で言ってるの! ヒビキくん、お父さんいない…」

その言葉と共に俺の体が動いていた。自分が言いたい言葉より先に。俺の腕と手が壁にのびていた。
いわゆる壁ドンというものだろうか。ドンッという大きな音がする。
コトネが打ち付けられるように壁に引っ付いた。

「ひっ…ヒビキくっ…! 何して…!」

「…それ以上喋るな。口が裂けるぜ?」

自分でも言っている言葉に驚いてしまった。何を言っているんだ俺は。
なんで俺コトネに対してこんなこと言ってんだ…違う、俺が言いたいのはこんなことじゃない…

「……ヒビ…きゃあっ」

自分でも何故か自我というものを忘れてしまっていた。足で壁を蹴る。
自分自身の心が止められなくなっている。まるで、自分が誰かに乗っ取られているかのように…

「俺の気持ち…お前全っ…然! わかってねーじゃねぇか!!ふざっけんなよ嘘つきやろーが!
 暴力でも振られてーのか!?」

その言葉に傷ついたのか、コトネがポロポロと涙を流した。
俺も流石にマズイと思ったが、自分の思うように言葉が出てこない。
ごめんと言いたい気持ちでいっぱいなのに。暴言しか出ないのか、俺の口は…

「ヒビキく…ごめ…こんな筈じゃ…っく…」

謝らなきゃいけないのはお前じゃなくて俺の方だ。お願いだから泣かないでくれ…
もうこれ以上此処にいられない。床を見つめながら、出入口の方に体を向けた。
コトネはそんな俺に、泣きながら震える手で触る。俺はその手を振り払った。

「っ…触んな!!」

今コトネがどんな顔をしているのかも、何を考えているのかもわからない。
見れない…俺自身で泣かしたコトネの顔なんか。心が罪悪感で埋め尽くされる。

「ヒビキくんっ…! 待ってっ…!」

その言葉を聞き終わる前に、逃げるように走った。後ろを何も振り返らずに。
乱暴にドアを開け閉めし、部屋から出る。その音が、シーンとした廊下に響いた。
静かな廊下に1人だけポツンと立っている。

俺の目から、自然と涙が零れ落ちてきた。
拭っても拭っても鬱陶しい程に流れてくる。こんなに喧嘩したのは何年ぶりだろうか。
そのときも、先にコトネが泣いていた。俺はそのあとに必ず泣いた。

「こと、ねぇ…ごめん…なぁ…」

今更言っても遅いのに、言葉が出てきた。勝手に自分の足が動きだした。不思議に思ったが、
此処にいるわけにはいかないので、下に行くことにした。
下ならこの廊下のように凄く静かで、心を落ち着かせることができる筈だ。

「………ひっく…うっく……」

あっという間に下についた。考えは当たっていたようだ。静かで誰もいない。
もしかしたら女将さんが来るかもしれないと思った。
確か、このフロアに椅子やソファがあるルームがあった気がする。そこに行こう。

そこのルームのドアを開け、ソファに座る。顔を手で覆う。
コトネと喧嘩してしまった俺はどうすればいいのだろうか…しかも泣かせた。
暴言を吐いてしまった。しかも大好きな人をだ。自分で自問自答する。

突然激しい頭痛に襲われた。頭が痛みでクラッとする。
変な頭痛だ…頭がガンガンする。耐えられず、ソファに倒れこむ。
目の前がぼやけ始めるなか、色々なことを考えた。コトネにどうやって謝ろうか…
会ったらどうやって話しかけようか…

普通に率直に謝れば許してくれるか、コトネ…
ごめんな、コトネ…

俺の意識はそこで途切れた。



続く


あとがき

前回の予告を裏切りました、すみません。女将さんたちについてはまた今度にまわします。

今回の話では、ヒビキとコトネ喧嘩しちゃいましたね……
ヒビキも泣いちゃったし、コトネも泣いちゃいましたね。ヒビキも自分の意志がどっかに
とんじゃってたんでしょうかね…?しかも最後にヒビキ、意識失っちゃったし、
一体どうなるんでしょうかねぇ…

次回の話の内容はまだ未定です。ヒビキとコトネの2人が喧嘩しちゃったんで、
次回、26話でシルバーを出そうと思ってます。それで仲直りまでいくといいですね。

それでは、また次回!!!


次回→>>42