二次創作小説(紙ほか)

Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.47 )
日時: 2016/05/05 11:19
名前: ゆーい (ID: hfVure16)
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29話:恐怖のSOS

「…んんっ…あー?」

無性にトイレに行きたくなり、ムクッと体を起こした。
時間を見ると、ちょうど夜中の一時だった。本当はこんな時間にトイレに行きたくはなかったが、
耐えきれないので迷わず直行した。しかし、鍵が開かなかった。

「えっ? まさかこのトイレ、開かずのトイレ?」

だが、それは無いようだった。

「ヒビキ…くん? トイレ入る?」

「う、うん。入る。」

「あー…ごめん。今お取り込み中なんだよねー…」

「えっ、マジで? え、他にどっかトイレある?」

トイレって自分の部屋にしか無いんじゃないか? え? 俺どうすりゃいいの?

「あのさコトネ…他にトイレってあったっけ?」

「一階の温泉…みたいなところに…あった気がする」

「おっけー、ありがとう」

コトネのどういたしましてを聞くと、懐中電灯を持って部屋を出た。
夜中ってこともあって、廊下はかなり不気味な雰囲気を出していた。
一人で行くのは少し勇気が要りそうだ。持っていた懐中電灯を点けて、階段を下りる。
寒くて体が震えた。山の中だから寒いのもあるのだろうか。
一階へと着くと、風呂場に行き、トイレを探した。確かにトイレはあった。が、物凄く怖い。
お化け屋敷が全然平気な俺でも怖い。コトネだったら倒れてるかもな。
コトネの事を考えたら気が楽になった。さっさとトイレに入って部屋に戻ろう。

「はぁスッキリしたぁ! っていうか寒いな…早く部屋に戻ろっと!」

手を洗い、階段へと行く廊下を通る。と、何処からか声が聞こえた気がした。
ボソッと聞こえただけだから、実のところ何を言っているのかはわからない。

……けて……

再び声がし、耳を澄ます。今度は結構ハッキリ聞こえた。背筋がゾッとし、その場で立ち止まる。
俺は、書庫の前にいる。

まさか…そんなことは無いはずだ…

だって、書庫は殆ど誰も使わないと聞いた…鍵だって女将さんが持っている。
入れるわけ無いのだ。でも、もしかしたら誰かいるのかもしれない。
そおっと、書庫の扉のドアノブに手をかける。勇気を振り絞り、開けた。

「…!? あああ…そんなことがあるわけ…」

ドアは開いた。
女将さんがいるのか…?
音を立てないように、書庫の中に入る。すると早速、先程の声が聞こえた。
やはり、この書庫の中から聞こえてきたようだ。

「……か……けて…」

まだよくわからないが、「けて」というのははっきり聞こえたからわかる。
答えてもらうことは出来ないのか…?

「誰かいるんですか? …返事してくれればいいんです、答えてください」

「だれか……たすけて……」

たすけて…? これは俺に言っていることなのか…?
それとも俺以外の奴に言っているのか?
どっちにしろ助けを呼んでいるのはわかった。もっと奥に行けと俺の中の好奇心が疼く。
俺は書庫の奥へと進んだ。しかし、進んでも進んでも本棚ばかりだ。
暗いのもあるから、今自分がどこら辺にいるのか分からない。

「……ア¨ア¨ア¨ア¨ア¨ア¨………」

その声が聞こえ、俺の足は進むのを止めた。今聞こえたのは所謂いわゆる奇声というものだろう。
突如、恐ろしいほどの吐き気が襲ってきた。気持ち悪さでその場に蹲り、必死に口を押さえた。
すると、目の前が眩むと同時に俺の向いている方向に誰かが立った。
此方を向いている。よく見てみると、腕が無く、血がポタポタと流れ落ちている。
そいつは、自分の体を見て悲鳴をあげた。

「コんナノ……ボクじゃなイ……コンナ体…ボクノジャナイ……!!」

カタコトで喋っている。こいつは何者なんだと自問する。
そいつはだらんとし、スタスタと此方へ向かってきた。
逃げようと、俺の体が動こうとするが気持ち悪さで立つことすら出来ない。
そんなことをしているうちに、そいつは俺の真ん前に立っていた。恐怖と吐き気で体が竦む。

「君ノ体…綺麗ダネ…羨マシイナ…ネェ、ソノ体、頂戴?」

「は…?」

「僕ノ体…モウボロボロ。使イ物ニナラナインダ……ネェ…イイヨネ? ドウセ君、ソノ体、
 要ラナイデショ?」

何言ってんだ、こいつ。頭おかしいのか? 要らないわけないだろ…
しかし、俺の口は言いたいことが言えなくなっていた。反論も出来ない。

「ソンナ状態ジャア、動ケナイモンネ。楽ニシテアゲルカラ、頂戴? オ願イダカラ…頂戴…?」

「…っ…や…やるわけないだろっ…!?
 誰がボロボロのお前なんかにあげなきゃなんないんだよ!! ふざけんな!」

やっと言葉が出た。吐き気もだんだん無くなってきて、体も動く。次何をされるかわからない。
ゆっくりと立ち上がり、じりじりと下がる。そいつは目を見開き、睨んできた。

「ドウシテソンナコト言ウノ…? ネェ頂戴? 頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴
 頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴…頂戴!! 助ケテ!! 僕の体ヲ!!」

ガアッと音を立て、此方に走ってきた。俺もドアを開け、走り出す。
だが後ろを確認するとそいつはいなくなっていた。360度見回しても何処にもいなかった。
タラッと汗が流れる。走って自分の部屋に戻った。
そういえばコトネは無事なのか…!?
焦ってあたふたする。

「ヒビキくん? どうしたの、そんなに焦って…」

トイレの方を見ると、コトネがタオルを持って立っていた。心配そうな顔で俺を見つめていた。
そして、驚いた顔をしながら俺の体も見つめた。

「物凄い汗かいてるよ…!? びっしょり…拭かなきゃ! 早くこっち来て!」

「え…? あ、本当だ」

確かにコトネの言った通り、服が汗でびっしょびっしょだった。恥ずかしくなる。
こんなに汗をかくほど怖がってたのか……
寝るとこに戻る。コトネが電気をつけた。さっきまで暗いとこにいたから眩しくて、目がチカチカする。
しかし、そんなことを考えていられなかった。

再び自分の体を見る。だが服を見た瞬間驚愕し、体が硬直する。
服がびっしょり濡れていた理由がわかった。服が濡れていたのは汗が原因では無く…

血だったのだ。

怪我をした形跡は何処にもない。それなのに、何で血が…
後ろからガタッと音がした。コトネが恐怖で怯えている。

「ヒ…イッ…! ヒビキくん…何で、血が…あ、あ…どこも怪我してないのに…何でそんなに血が…!
 急いでシャワー浴びなきゃ!!」

「うあ、あ…俺、何したんだ…?」

震えるコトネに風呂場に連れてかれながら考えた。
でも今の俺の頭の中はぐちゃぐちゃで、わけがわからなくなっていた。
一体何した…?
その間に俺は服を脱がされていた。

「ヒビキくん、しっかりして! 見ているこっちは困るんだから…体が洗わなきゃ。
 ほら、ヒビキくん! …もおー!!」

シャワーを浴びながら硬直し、自分についている血を見つめた。
コトネの声だけがその場に響いていた。



続く


あとがき

なんか書いている自分でも、ヒビキがどうして血だらけだったのかよくわかりませんでした。
嘘です、すみません、わかってます。今回の話はおかしな男の子が出てきました。
誰なんでしょうかねー、一体。
そろそろ真面目にホラー回に入っていきます。でもホラー回って言ってもグロかったりするかも…
まぁそこら辺は気にしないで見てくださいね。

次回についてはまだ未定です。今回の話は夢落ち…かもしれないですし、そうでないかもしれません。
そこは次回のお楽しみですね。

ではまた次回!さよなら!


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