二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【HGSSキャラ】ヒビキたちの物語 ホラー編!! ( No.48 )
- 日時: 2016/05/05 11:21
- 名前: ゆーい (ID: hfVure16)
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祝!700参照!ありがとうございます!
30話:暗い
気持ちよくない朝がきた。
できれば朝はきてほしかったが、俺がいつも感じる朝と今日の朝は何かが違っていた。
理由は朝日が気持ちよくないからだろう。というか、日が射し込んでいない。
森の中だから朝日射し込まないのも当たり前だろう。朝なのに明るくなかった。天気が曇りの時のようだ。
今日の夜中、俺の身体が血だらけで、大惨事だった。
呆然としている俺の体をコトネが洗ってくれた。文句は言われたが。
洗い終わった後、コトネがシルバーとレッドさんを呼び、話をした。事情は俺が説明した。
2人とも不思議そうな顔をして信じていないようだった。何とか信じてもらおうと説明したのに、呆れられた。
しかも、挙句におかしい奴と言われた。シルバーには
「は? マジでどうしたヒビキ。頭混乱してんじゃねーの?」
と言われ、レッドさんには
「ヒビキ…狂ったか?」
と言われた。混乱してねーし! 狂った覚えもねえ! と1人心の中でツッコんでいた。
コトネはうんうんと頷いて信じてくれたようだが、それが本当なのかどうかはわからない。
もうふらふらしていて、多分、そのまんま寝た。気付いた時にはもう朝だし、機嫌が悪い。
無性にイライラする。とりあえず、顔洗おう。
鏡を見ると、寝ぼけた自分の顔が映った。まだ顔に血の跡が残っている。
だが、体の方を見ると血の跡は残っていない。ちゃんと洗っておこう。
顔も洗い終わったので、食堂に行って朝食をとった。
トイレへ行こうと廊下を通る。すると、通りにある部屋から話し声が聞こえた。
「ねえ、アオ。もしかしたらなんだけど、封印がそろそろ解かれるかもしれないの」
封印…って何のことだ?
「な、なにそれ…だって、封印は一年半前にしたばかりじゃない」
「理由はまだわからないの。考えた分には考えたんだけどね」
「もしや、あいつの力が暴走してるってことだったりする?」
あいつって…昨日俺が会った奴のことなのかもしれない。
「あたり。力が暴走してれば封印も解けるわ。ね、ヒビキくん」
「へあ!?」
いきなり名前を呼ばれ、間抜けな声が出てしまった。
俺はもう手遅れだというのに、口を塞いでいた。仕方なく部屋の中を覗く。
その部屋にはシオリさんとアオさんの二人が椅子に座ってた。
アオさんは俺の方をじいっと見つめており、シオリさんは目を瞑り、ニコニコしていた。
「す、すみませんでしたあああ! 別に悪気があった訳じゃ無いんです! ただ、ここを通って、
ちょうど話し声が聞こえたので聞いてしまっただけなんですよ!!」
「ええ、そんなことは分かっているわ」
意外な返事がきて、下げていた頭を上げる。
「夜中、大変だったでしょ? きっと血だらけだったはず」
「な、なんでそれを……」
「ち、ちょっとシオリ姉。それどういうことよ。アイツがいたってこと!?」
俺の考えは間違っていなかったようだ。アイツとはあの腕の無い少年のことだろう。
その姿を思い出してしまい、気分が悪くなる。
「気持ち悪いわよね……あなたたち、四人が来て興奮してるのかしら……」
「でも、そんなことは今まで無かったはずよ?」
「歴史書に載っていなかったかしら? その話」
あれ…? この話どこかで……もしや……
「あの、アイツって…ポケモントレーナーだったりします?」
俺がそう言うと、二人の表情が一変した。シオリさんは真剣な顔になり、アオさんは驚いた顔になった。
俺の言ったことはあたっていたみたいだ。
「聞いたことあるのね? アイツが…ポケモントレーナーだったってこと」
「ポケモントレーナー殺人事件って昔あったらしいんで…知ってます。確か……
十五年くらい前の話でしたっけ…」
そう、十五年くらい前に殺人事件があったらしいのだ。
これは俺の母さんから聞いた話だから詳しいことはよくわからない。
ただ、知っていることは知ってる。内容は…こんな内容だった気がする……
十五年前、森にある旅館でポケモントレーナー殺人事件があった。それは酷い事件だったという。
その旅館に泊まっていた客の殆どがポケモントレーナーだ。犯人は未だに捕まっていないというが、
もしかしたら死んだポケモントレーナーの中に入り交じっているという説がある。
だが、そうだったらもう捕まえることが出来ない。
この事件で泊まっていた客の半分は殺され、亡くなっている。
それからその旅館へ行く森の行き来は禁じられているらしい。
しかし、その旅館は今もやっている…経営しているという。まだまだこの事件には謎が残っている……
母さんは悲しそうな顔をしてこの話を語っていた。
世の中にはこんなことも沢山あるから気をつけなさいとよく注意されたものだ。ポケモントレーナーの殺人…
相当な恨みがあるからこそ、こんなことができると思わないと恐ろしい。
「どうしたのヒビキくん…元気がないわよ? 嫌なことでも思い出した?」
考え事をしていた俺を、シオリさんが心配してきた。
「いえ…大丈夫です。もし新しい情報があるなら、また教えてください」
「わかったわ。じゃあヒビキくんも何かあったら知らせて。
そろそろアイツにした封印が解けるかもしれないから。気をつけて部屋に帰ってね」
俺は部屋を出た。書庫に行きたいが、また腕の無い少年と会うのは嫌だ。
そういえば、今何時だ?携帯を見ると、何故かもう夜の十一時だった。
「ただいまー…コトネ、もう昼…」
「ヒビキくん……!」
部屋に入ると、コトネが飛び込んできた。
俺の頭がビックリマークとクエスチョンマークに覆われる。
「コ、コトネ!? どうした!?」
「おかしいの、この旅館に来てから! 携帯の時計が狂っちゃって…しかも外を見に行ったら暗いし…!
さっきまで朝だったのに、もう夜の八時だよ!? 本当におかしいよ、此処……」
「八時…!? なんでだよ、今昼の十一時だぜ…!?」
「携帯の時間見てみてよ……絶対8時だから…」
時計を見てみても針は昼の十一時を指している。でも、外は夜のように暗い。
電気を点けないと暗くて見えない。
「え…何で? シルバーにも確認して来なきゃ! 行ってくるね!」
「…ちょ…お、おい! コトネ!」
声をかけた時にはもう靴を履いて行ってしまっていた。
「ったく……」
外を確認しようと窓の方を見た。青空ひとつ見えない、それどころか真っ暗だ。
真っ暗…? 空の青色が見えない…?
「………!!」
…ここはジョウト地方でもカントー地方でも何にでもない何処かだ。
わかることは、ここは森の中だとだけだ。あとは全くと言っていいほどわからない。
やっと気づいた。イツキさんたちが帰れないのはここが何処だかわからないからだろう。
…ということは、俺らも家へ帰れないということだ。
「嘘だろ……」
暗い部屋の中で1人、しゃがみこんだ。
続く
あとがき
今回の話の内容がよくわからない人もいらっしゃると思うので、簡潔に説明します。
外が暗いと思ったら森の中で日が射さない。しかも、ここは森ということ以外わからない。
ヒビキはわかった…帰り道がわからないということが。
みたいな感じです。なぜ最後しゃがみこんだか?それはいろんな考えを出して読みましょう。
次回は夜中から始まると思います。視点は…シルバーかコトネにしようかと考えています。
忙しい中ですが、出来るだけ早く投稿しますので、気長にお待ちください!
それではまた次回!さよなら!!
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